インタビューコラム

2025/07/20

働き方改革からはじまった社員の自発性を育む健康経営の取り組み

千葉県船橋市を拠点に民間や公共の建設事業などに携わる株式会社斉藤総業は、ITツールの活用で業務改善を行い、従業員の労働環境を大幅に改善しました。

働き方改革の中でも特に重要な健康についても様々な取り組みを行っており、経済産業省および日本健康会議が選定する「健康経営優良法人」中小規模法人部門においては6年連続、さらにブライト500にも3年連続で認定されている株式会社斉藤総業の専務取締役 中尾美紀氏に、健康経営に関する取り組みを伺いました。

インタビューイ

株式会社斉藤総業
専務取締 中尾美紀 様

-取り組みを始めたきっかけは?

2016年、長時間労働による過労自死事件が社会に大きな衝撃を与えました。建設業界も「ブラック」というイメージが強く、当時は同社でも残業時間が多く課題を抱えていました。この事件をきっかけに「社員の健康と安全を守るのは会社の責任」と強く認識し、働き方改革に取り組み始めました。様々なセミナーに参加して各社の取り組みを参考にしながら自社でも取り組める事から始めました。

-はじめての健康経営の申請はどのように進めましたか?

健康経営を意識し始めたのは、協会けんぽ様から「健康宣言」を勧められたことがきっかけでした。これまでの取り組み内容を伝えたところ「健康経営優良法人に申請できる」と提案され、2019年度の申請締切り1か月前だったのですが認定取得を目的とするのではなく、今の取り組みの評価を認識するために急遽申請をしました。準備期間は短かったものの、これまでの取り組みをそのまま申請に盛り込み、認定が取得できました。

-具体的な取り組み内容を教えてください

健康経営の取り組みは「働き方改革」と一体で進めています。

- 勤怠システムを導入し、設定した残業時間を超過した場合は役員にメールで通知
- 管理システムのクラウド化により現場でも業務可能に
- 週1回の会議で進捗や有給取得を共有し、相互に助け合う文化を醸成

さらに健康面では、歯科検診・がんリスク検査・ストレスチェックをシステムで管理し、社員の生活習慣や環境変化も含めて把握できるようにしております。また、毎月テーマを変えたセミナーやイベント、Eラーニングを実施し、社員の健康リテラシーの向上を図っております。

-施策の検証や定着で工夫していることはありますか?

認定取得後も「義務的な実施」ではなく「楽しみながら続けられる仕組み」を重視しております。具体的には、

- 年間スケジュールを作成し、毎月必ず複数の新しい施策を実施
- BMI改善プロジェクト(毎週の動画配信・歩数イベントなど)の実施
- 対象者以外も含めた全社員の特定保健指導、健康アンケートの実施
- 地域清掃や防災訓練、地域のお祭りなどにも参加し本業以外のボランティア活動も展開

こうした積み重ねが、社員の自発的な参加や健康習慣の定着につながっています。

-今後の重点施策を教えてください。

今後は普段我慢してしまうような軽度な症状でも不調を感じたら、我慢せずに医師の診察を受けるよう「早期受診・早期回復」を強化していきたいと考えています。

すでに導入しているSOKUYAKUベネフィット(オンライン診療システム)では自宅や職場にてオンラインで医師の診察を受けられ、薬も最短で当日中に受け取れるのでこの仕組みをもっとうまく活用できるようにします。

また、社員だけでなく家族も利用できるので、「我慢せずすぐに相談や受診ができる環境づくり」の施策を進めていきます。

同社の健康経営の特徴は、「仕組みを作る」だけでなく「社員の意識を育てる」ことにありました。制度を一方的に与えるのではなく、社員が前向きに取り組み、健康を楽しみながら習慣化する文化を築き上げ取り組まれております。

また、本業以外の活動も含めて「会社は社員と地域を守る存在」という理念を体現しており、この取り組みは終わりがなく、今後も時代の変化に合わせて新しい取り組みを続けていく姿勢がとても印象的でした。

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