心療内科の診断書のもらい方|休職や申請で困らないために
心療内科の診断書はどんな時に必要か
仕事や学校、保険の申請などで「診断書を提出してください」と言われたことがある方も多いかもしれません。心やストレスに関わる不調は、周囲から見てわかりづらい分、医師が専門的に評価した「診断書」が重要な役割を果たします。
心療内科の診断書は、患者の状態や治療内容、今後の見通しを客観的に記載することで、職場や学校、制度利用の場面で適切な対応や支援を得るための“橋渡し”となります。
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誰が書ける?診断書の正式な位置づけ
診断書を作成できるのは、実際に診察した医師に限られます。看護師や事務担当者、診察していない医師が作ることはできません。また、医学的に判断できない事項や事実に反する内容は記載できず、必要性が乏しい場合や不正使用が疑われる場合は発行が見送られることもあります。
書式や内容はバラバラ?最低限おさえるべき項目
診断書には、病院で用意された一般的なフォーマットと、提出先(職場・保険会社・自治体など)が指定する様式の2種類があります。どちらにせよ、基本的に以下の情報が盛り込まれます。
●氏名や生年月日などの本人情報
●診断名や病状(例:うつ病、適応障害、抑うつ状態など)
●発症時期や通院・治療の経過
●就労や学業への影響(例:休職の必要性)
●今後の治療方針や配慮事項
●医療機関名、発行日、医師名・捺印
休職や制度申請で必要とされるのは「治療の継続が必要かどうか」「業務に支障があるか」といった部分です。
内科の診断書とはここが違う!注意すべきポイントは
メンタル領域では症状が日々変動し、確定診断まで経過観察が必要になることがあります。そのため「抑うつ状態」「適応障害」など、状態像を用いた表現や暫定的な診断名になることも珍しくありません。休職期間も、薬の調整やリハビリの時間を見込み、やや長めに記載される傾向があります。
どんなときに必要?心療内科の診断書が役立つ場面
心療内科の診断書は、単に「病名を伝える」ためだけでなく、社会の中で安心して療養し、必要な支援を受けるための大切なツールです。メンタル不調は他者に理解されにくい分、医師の見解を明記した診断書が「状況を可視化する」手段になります。ここでは、診断書が実際に役立つ主なケースについて解説します。
休職・休学や復職・復学のタイミングで
休職(休学)を申請する際、就業規則や校則で診断書の提出が定められていることがあります。内容は、休養の必要性と目安期間が中心です。
復職(復学)の際は主治医の「復職可」だけで即復帰とは限りません。産業医面談や時短・業務軽減など段階的復帰の計画が合わせて検討されます。
各種制度申請(自立支援医療・障害年金など)
自立支援医療(精神通院医療)の申請、障害年金、精神障害者保健福祉手帳などでは、所定様式の診断書が必要です。内容は症状の持続性や生活機能への影響など、制度ごとに求められる観点が異なります。
保険金請求や職場での配慮依頼にも
メンタル不調で通院や休職をした場合、加入している生命保険や医療保険、就業不能保険などから保険金が支払われるケースがあります。ただし、その際にも診断書の提出が必要となることがほとんどです。
職場に合理的配慮(業務量や時間、環境の調整)を依頼する際も、医学的な根拠を添える意味で診断書が役立ちます。ただし、医師がすべての希望を書くわけではありません。医学的に妥当と判断した内容のみが記載される点には注意が必要です。
心療内科で診断書をもらうには?
心療内科で診断書をもらいたいと考えたとき、「何を準備すればよいのか」「どう伝えればいいのか」と不安になる方も多いでしょう。診断書の発行には一定の流れや注意点があり、事前に知っておくことでスムーズに手続きできます。
診断書発行までのステップ
まず最初に必要なのは、心療内科での受診です。診断書は、医師が診察を通じて医学的な判断を下したうえで作成するものなので、診察なしでは発行できません。
通常は、以下のような流れになります:
1.予約を取り、医師の診察を受ける
2.医師が必要と判断した場合、診断書の作成に進む
3.数日〜1週間ほどで発行されることが多い(即日発行も場合によっては可)
診断書の発行には、別途費用がかかるのが一般的です。内容や用途に応じて作成日数が変わることもあるため、診察時にあらかじめ「いつまでに必要か」を伝えるようにしましょう。
予約・診察時に伝えるべき「3要素」
医師が正確な診断書を書くためには、患者自身からの情報提供が欠かせません。3つのポイントをしっかり伝えることが重要です。
1.現在の症状や困っていること(例:眠れない、不安感が強い、集中できないなど)
2.日常生活や仕事・学校への影響(例:業務が手につかない、通勤ができない、授業に出られない)
3.診断書の提出先と目的(例:会社へ休職の届け出として出す、自立支援医療の申請に使う)
これらを伝えることで、医師も「誰に向けて」「どんな内容を書けばよいのか」を判断しやすくなります。
初診でも診断書は出る?
場合によっては、初診の段階でも診断書を出してもらえることがあります。たとえば、明らかに重度のうつ状態で、今すぐ休職が必要と判断されるケースなどです。
ただし、医師が「もう少し経過を見てから」と考えることもあり、必ずしも即日発行されるとは限りません。診断書は医療的な根拠に基づいて発行されるため、希望だけでは出せない点には注意が必要です。
診断書はオンライン診療でももらえる?
原則として、継続して通院している患者であればオンラインでも診断書を発行できる場合がありますが、初診や状態の把握が不十分な場合は難しいこともあります。
また、オンラインで発行された診断書は、後日郵送やPDF送信などの手段で受け取る形になるため、受け取り方法も事前に確認しておきましょう。
診断書には何が書かれる?内容を事前に知っておこう
提出先の書式や目的によって細部は変わりますが、心療内科の診断書は「現在の医学的評価」と「就学・就労、日常生活への影響」をわかりやすく示す文書です。どんな情報が記載されやすいかを把握しておくと、依頼時の説明が的確になり、必要な情報を漏れなく反映しやすくなります。
診断書に記載される内容
心療内科の診断書には、「うつ病」「適応障害」などの診断名(病名)だけでなく、それに伴う具体的な症状や治療の経過も記載されます。
たとえば、「抑うつ気分」「意欲の低下」「不安感」「食欲不振」といった症状です。そのほか、通院頻度や治療方針(休養、薬物療法、カウンセリングなど)が書かれることもあります。
診断名に関しては、社会的な影響や偏見を考慮して、あえて「抑うつ状態」や「心因反応」といった表現が用いられる場合もあります。これは医師の判断で行われる配慮のひとつです。
「休職が必要」と書かれる条件と期間の書かれ方
「休職が必要」と診断書に記されるには、業務の継続が困難であり、心身の安定のために休養が医学的に必要であるという判断がなされる必要があります。
この場合、診断書には以下のような文言が記載されることが多いです。
「○月○日より○週間(または○ヶ月)の休養が必要と判断する」
ただし、明確な「復職可能日」が書かれるとは限りません。心の病気は状態が日々変わるため、まずは「一定期間の休養が必要」とだけ書かれ、経過を見ながら次の判断に進むことが一般的です。
職場への配慮事項が入るケースとは
職場でのストレスが再発の引き金になることを防ぐために、診断書に「就業上の配慮事項」が書かれることがあります。
●勤務時間の短縮(時短勤務)
●通勤ラッシュを避ける時間帯の出勤
●担当業務の軽減や変更
●定期的な通院を継続するための配慮
これらは、職場が柔軟な対応をするための参考になりますが、診断書に書ける内容には制限がある点も忘れてはいけません。医師が書けるのはあくまで「医学的に必要な配慮」であり、業務内容に踏み込んだ指示は出せないのです。実際の勤務調整は、産業医や人事との相談を通じて進めていく必要があります。
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即日発行できる?診断書の発行にかかる期間
診断書が必要になったとき、気になるのが「どのくらいで発行されるのか」という点です。実際には、即日で発行できる場合もあれば、数日〜1週間以上かかることもあります。発行の可否やスピードには、医療機関の対応体制や診断の難易度が大きく関わってきます。
即日発行してもらえるケース・もらえないケース
診断書が即日で出るかどうかは、いくつかの条件によって異なります。たとえば、以下のような場合には即日対応が可能なことがあります。
●継続して通院している患者で、医師が状態を把握している
●診断内容が明確で、書式も医療機関指定のものでよい
●軽微な内容(通院証明や自立支援医療の継続手続きなど)
一方、初診の場合や病状が複雑な場合は、医師が診断書の内容を慎重に判断する必要があるため、即日発行は難しくなる傾向があります。保険会社や公的制度への申請用など、提出先の指定様式がある場合は作成に時間がかかることもあるため、余裕を持って依頼するのが安心です。
病院ごとに違う所要日数と注意点
診断書の発行にかかる日数は、医療機関によってまちまちです。一般的には2〜7日程度が目安ですが、病院によっては1〜2週間かかることもあります。
主な理由としては
●医師の診療スケジュールや事務手続きの関係
●当医が不在で診断書作成までに時間がかかる
●症状の精査が必要なケース(複数回の受診を要する場合など)
診断書が必要な日程が決まっている場合は、できるだけ早めに医師へ伝えることが重要です。あわせて、提出先から「どのような内容を書いてほしいか」「記載様式があるか」などを確認しておくと、手戻りを防げます。
診断書の費用はいくら?
診断書の内容とあわせて気になるのが「費用面」です。保険診療とは別扱いになることが多く、診断書1通ごとに費用が発生します。事前に相場や料金の考え方を知っておくことで、思わぬ出費に慌てずに済みます。
相場は数千円〜?高額になるケースも
一般的な相場は概ね2,000〜10,000円程度です。会社指定書式や詳細な制度様式では記載工数が増え、1万円前後になることもあります。複数部数や再発行には追加費用がかかるのが通常です。
なぜ保険が使えないの?
診断書作成は診療行為ではなく「文書作成料」として扱われるため、公的医療保険の対象外です。診察自体の医療費は保険適用、診断書は自費というのが基本の考え方です。
心療内科で診断される代表的な病名
名称はあくまで治療の出発点です。同じ診断でも症状や回復の道筋は人それぞれです。
抑うつ状態
強い落ち込みや意欲低下が前景に立ち、睡眠・食欲の変化、倦怠感などを伴いやすい状態像です。うつ病の一部で見られますが、他の疾患経過でも起こり得ます。
適応障害
環境変化やストレスにうまく適応できず、情緒・行動の変化が生活に支障を及ぼす状態です。休養と環境調整、心理的支援が柱になります。
自律神経失調症
動悸、めまい、頭重感、消化器不調、倦怠感など多彩な身体症状が続き、検査で明確な器質的異常が見つからないときに用いられる概念です。背景にはストレスや生活リズムの乱れが関わることがあります。
心因反応
比較的はっきりした心理社会的ストレスに反応して生じる心身の症状を指します。ストレス源から距離を置き、回復を図ることが改善への近道です。
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うつ病の診断書で休職するなら
うつ病と診断されたとき、まず考えるべきは「心身の安定のために休む」という選択肢です。診断書は、その休職を正当化する重要な証明書となりますが、同時にその後の生活や復職の段取りにも関わってくるため、全体の流れを押さえておくことが大切です。
休職制度をチェック(最長期間・社会保険など)
まず確認したいのは、勤務先における休職制度の内容です。企業によって、休職できる期間の上限や手続きの流れが異なります。たとえば、「3ヶ月」「6ヶ月」「1年」など、就業規則に明記されているケースがほとんどです。
また、休職中の収入保障についても確認が必要です。多くの会社員は、健康保険の「傷病手当金」を利用できます。これは、休職中に給与が出ない場合でも、月収の約3分の2にあたる額が最長1年6ヶ月支給される制度です。
企業によっては、休職開始直後に有給休暇を使ってから無給期間に移行する場合や、会社独自の補償制度があるケースもあるため、人事部や労務担当への早めの相談がポイントとなります。
提出から療養までのステップ
診断書を受け取ったら、会社に提出することになります。提出先は人事部や上司など会社ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
診断書には、休職が必要とされる理由と期間が記載されており、これをもとに休職の手続きが進められます。提出後は、基本的に就業義務が免除され、医師の指導に基づく療養期間に入ることになります。
復職可の診断書と産業医面談
復職を目指す際には、「復職可能」の診断書を提出する必要があります。これは、「症状が安定し、仕事に復帰できる状態にある」と医師が判断した場合に発行されるものです。
多くの企業では、この診断書の提出後に産業医による面談が実施されます。ここで、勤務時間や業務内容の調整が必要かどうかなどを話し合い、復職の可否を最終的に判断します。
適応障害・自律神経失調症など診断名別のポイント
心療内科では「適応障害」や「自律神経失調症」といった診断が下されることがあります。これらの病名は、それぞれの状態や背景によって使い分けられており、診断書における意味合いも異なります。
診断名が変わることも?医師が大切にする「状態像」
心の不調の診断は、血液検査などの「数値」で判断されるものではなく、問診と経過観察に基づく総合的な判断で行われます。そのため、診断名は経過とともに変わることも珍しくありません。
たとえば、最初は「抑うつ状態」と診断されていた人が、環境要因が明確であれば「適応障害」に変更されることもあります。逆に、症状が長引いて慢性化すれば「うつ病」に診断名が変わることもあるのです。
医師が重視するのは「今、どのような状態にあるのか」「その背景に何があるのか」という点であり、病名はその表現手段の一部です。診断書にも、その時点での適切な病名が記されます。
自律神経失調症の診断書が求められるケース
「自律神経失調症」という診断名は、ストレスや疲労などが原因で、自律神経のバランスが乱れ、身体症状(動悸・めまい・発汗・消化不良など)が出る状態を指します。
この病名で診断書が求められる場面としては、
●職場のストレスによる体調不良で休職が必要
●通勤困難なため配慮を求めたい
●保険会社への申請に使いたい
といったケースが多く見られます。
ただし、近年では「自律神経失調症」は医学的にあいまいな印象を持たれることもあるため、具体的な症状や背景を補足する形で記載されることが増えています。必要に応じて、診断名とあわせて状態像を詳しく説明してもらうとよいでしょう。
診断書を会社に出すときのコツと注意点
診断書を受け取ったあと、「どうやって会社に渡せばいいのか」「何を伝えればいいのか」と迷う方も多いでしょう。内容がセンシティブなだけに、伝え方には配慮が必要です。
対面・電話・メール…伝え方のベストは?
基本は対面での説明が望ましいものの、体調や状況により電話やメールでも構いません。無断で連絡を途絶えさせるより、簡潔でも良いので現状と次の連絡予定を伝える方が信頼的です。
書いてほしい内容を医師にうまく伝える方法
診断書を依頼する際には、「何の目的で使うのか」「誰に提出するのか」を具体的に伝えることが大切です。これにより、医師は記載すべき情報を判断しやすくなります。
たとえば、「会社に提出する休職のための診断書です」と伝えれば、休職期間の明記が必要だと医師も認識できます。
ただし、「○○と書いてください」と指示することは避けましょう。診断書は医師の医学的判断に基づいて作成されるものであり、患者が内容を決めることはできません。
診断書に書けること・書けないこと
診断書は「医学的事実と専門家の意見」を伝える文書です。原因の断定や人事判断の指示までは踏み込みません。
医師が記載できる範囲とは
症状・所見、診断名や状態像、治療内容、就労・学業への影響、医療上望ましい配慮までは意見できます。一方で、原因の特定や治癒時期の断言、特定部署の指定などは医学的判断の範囲を超えます。
職場での配慮は産業医・人事と連携して進める
診断書をもとに、現場事情を知る産業医と人事が具体策を詰めます。医師は医学的観点を示し、最終的な調整は会社側の責任で進む、という役割分担を押さえておきましょう。
診断書を活用できる主な制度と支援
心療内科の診断書は、ただの「お休みの証明書」にとどまりません。各種の制度申請に使える正式な書類であり、医療費や生活費の負担を軽減するための大切な一歩でもあります。
自立支援医療の申請
精神疾患で継続通院が必要な場合、自己負担が原則1割に軽減され、所得に応じた上限額が設けられます。申請はお住まいの自治体窓口で、専用の診断書が必要です。
傷病手当金のもらい方
業務外の病気やけがで働けず、連続3日間の待期後も就労不能が続くとき、標準報酬日額の3分の2相当が支給の目安です(通算1年6か月)。申請書には主治医の意見欄があり、一般の診断書とは別に医師の記載が求められます。
障害年金・精神障害者保健福祉手帳
日常・社会生活に長期の制約がある場合、要件を満たせば申請可能です。いずれも専用診断書で生活機能の評価が重視されます。就労中でも受給・取得できるケースがあります。
休職期間をどう過ごす?リワークと再発予防
休職は「治療のための期間」であると同時に、「復帰に向けて整える時間」でもあります。心と体をしっかり休めながら、段階的に社会復帰を目指すためのステップを知っておきましょう。
休養期→活動期→復職準備期の目安
回復の過程は、おおまかに3つの時期に分けて考えられます。
休養期
まずは睡眠や食事など、生活の基本リズムを整えることが最優先。無理に何かをしようとせず、しっかりと心身を休める時間です。
活動期
症状が落ち着いてきたら、軽い運動や趣味、読書などを取り入れ、生活に少しずつ「能動的な時間」を戻していきます。
復職準備期
外出の頻度や時間を増やし、通勤練習やリワークプログラムへの参加など、「仕事モード」への慣らしを行う時期です。
急ぎすぎず、しかし目標を意識して回復していくことが、再発防止にもつながります。
リワークやデイケアの活用法
復職に向けて不安がある方には、「リワークプログラム」や「デイケア」の利用がおすすめです。これらは医療機関や支援施設が提供しており、以下のようなサポートを受けられます。
再発リスクのある方や、復職後の継続勤務に不安がある方にとっては、安心して職場に戻るための心強いステップとなります。
診断書が出ない、使えない時はどうすれば?
診断書は必ずしも希望通りに出してもらえるとは限りません。また、提出先に受け取ってもらえないなどのトラブルが起こることもあります。よくあるケースとその対処法を知っておきましょう。
医師が書いてくれないのはなぜ?
●診断が確定できない
●医学的根拠が薄い
●提出先の趣旨に合わない
●不正使用リスクがある
こうした場合は発行が見送られます。医師によっては「診断書を出すことで患者が不利益を被る可能性がある」と判断し、慎重になるケースもあります。経過を追って再評価したり、用途を明確化して再相談したりするのが近道です。
診断名がつかない…そんなときの対処法
「明確な病名がつかない」=「何も問題がない」というわけではありません。このような場合には、「経過観察中」「抑うつ傾向あり」「ストレス反応による体調不良」などの表現で診断書が作成されることもあります。提出先にその旨を説明すれば、形式的な病名がなくても配慮を受けられることがあります。
有効期限・再発行・記載修正
診断書には通常、「この期間は療養が必要」といった有効期間が記載されます。これは「無期限で有効」というわけではないため、延長が必要な場合は、都度受診して再発行を依頼する必要があります。
また、記載ミスがあったり、申請様式に合わなかったりする場合には「修正」や「書き直し」をお願いすることも可能です。
ただし、修正が必要な場合は、診断内容そのものを変えられるわけではないため、あらかじめ提出先の要件を確認し、必要事項を医師に丁寧に伝えることが重要です。
いずれも追加費用や日数の見込みを確認しておくと安心です。
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心療内科で診断書を作成する際によくある質問(FAQ)
困ったときの判断材料を手元に置いておくと、手続きは格段に楽になります。
診断書の費用って会社が払ってくれる?
多くは自己負担ですが、会社の求めで特定の書式が必要な場合など、費用負担を相談できる余地があるかもしれません。就業規則や社内ルールを確認し、人事部へ相談してみてください。
内容は指定できる?できない?
「事実に反する記載」「治癒時期の断言」「特定部署の指定」などはできません。一方で「夜勤回避」「段階的復帰」など医療上の配慮は意見として盛り込みやすい領域です。
何科に行けばいいか分からない時の判断基準
気分の落ち込みや不安、対人緊張など心の症状が主なら精神科、ストレスに伴う身体症状が前面なら心療内科が入口になります。迷う場合はどちらでも構いません。受診先が適切な診療科へ橋渡ししてくれます。
心療内科の診断書を活用して療養・復帰へ
心療内科で発行される診断書は、ただの書類ではありません。心や体の不調を適切に社会へ伝え、療養や復帰のためのステップを進める「橋渡し」となる大切なツールです。職場や学校、各種制度においては、診断書があることで理解や支援が得やすくなります。
忙しくて受診できない場合には心療内科のオンライン診療がおすすめ
「仕事が忙しくて通院できない」「診療時間と都合が合わない」といった事情から、受診を先延ばしにしてしまう人も少なくありません。そんなときには、オンライン診療も視野に入れてみましょう。
一部の医療機関では、オンラインでも診断書の発行に対応しているため、療養や休職に必要なサポートを受けられる可能性があります。もちろん、医師による診断や医学的な判断に基づくことが前提ではありますが、まずは相談の一歩を踏み出すことが何よりも重要です。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットを使って医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォンやパソコン、タブレットなどを使って、自宅にいながらビデオ通話を通じて医師と直接対話できます。予約から問診、診察、そして処方箋の発行や支払いまで、すべてオンライン上で完結できるのが特徴です。
オンライン診療サービス「SOKUYAKU」
SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をより簡単・便利に利用できるサービスです。アプリで手軽に医療機関の予約を行え、診察後はそのまま薬局での処方や薬の受け取りまでスムーズに完了します。
このサービスでは、お気に入りのクリニックや薬局を登録できるほか、お薬手帳のデジタル管理機能なども備えており、通院と変わらない安心感が得られます。さらに、全国どこでも当日または翌日に薬が届く仕組みが整っているため、時間が限られている方や外出が難しい方にとって大きなメリットとなるでしょう。
忙しさや不安から受診を後回しにせず、自分のタイミングで医師とつながる第一歩として、ぜひ活用を検討してみてください。
まとめ
心療内科で発行される診断書は、療養に専念するための環境を整えたり、各種制度を利用したり、復職へ向けた準備を進めるうえで欠かせない重要な書類です。その内容や使いどころをあらかじめ知っておくことで、職場との調整や行政手続きをスムーズに進められます。
不安や疑問を感じたときには、一人で抱え込まずに、主治医や産業医、各種相談窓口に確認しながら、自分に合ったサポートを受けていくことが大切です。診断書を正しく活用することが、安心して休養を取り、再び前向きな一歩を踏み出すための支えとなるでしょう。
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当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
心療内科の診断書は、休職・復職の可否判断をはじめ、傷病手当金や自立支援医療などの各種申請、さらには職場への配慮を依頼する際にも欠かせない重要書類です。
ただし、記載内容や発行までの手順、費用には押さえるべきポイントがあり、事前に理解しておけば必要な場面でスムーズに活用できます。
この記事では、診断書が求められるケースや受け取り方、費用の目安、活用できる制度までを、医師監修のもとでわかりやすく解説します。
心療内科の診断書はどんな時に必要か
仕事や学校、保険の申請などで「診断書を提出してください」と言われたことがある方も多いかもしれません。心やストレスに関わる不調は、周囲から見てわかりづらい分、医師が専門的に評価した「診断書」が重要な役割を果たします。
心療内科の診断書は、患者の状態や治療内容、今後の見通しを客観的に記載することで、職場や学校、制度利用の場面で適切な対応や支援を得るための“橋渡し”となります。
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診断書を作成できるのは、実際に診察した医師に限られます。看護師や事務担当者、診察していない医師が作ることはできません。また、医学的に判断できない事項や事実に反する内容は記載できず、必要性が乏しい場合や不正使用が疑われる場合は発行が見送られることもあります。
書式や内容はバラバラ?最低限おさえるべき項目
診断書には、病院で用意された一般的なフォーマットと、提出先(職場・保険会社・自治体など)が指定する様式の2種類があります。どちらにせよ、基本的に以下の情報が盛り込まれます。
●氏名や生年月日などの本人情報
●診断名や病状(例:うつ病、適応障害、抑うつ状態など)
●発症時期や通院・治療の経過
●就労や学業への影響(例:休職の必要性)
●今後の治療方針や配慮事項
●医療機関名、発行日、医師名・捺印
休職や制度申請で必要とされるのは「治療の継続が必要かどうか」「業務に支障があるか」といった部分です。
内科の診断書とはここが違う!注意すべきポイントは
メンタル領域では症状が日々変動し、確定診断まで経過観察が必要になることがあります。そのため「抑うつ状態」「適応障害」など、状態像を用いた表現や暫定的な診断名になることも珍しくありません。休職期間も、薬の調整やリハビリの時間を見込み、やや長めに記載される傾向があります。
どんなときに必要?心療内科の診断書が役立つ場面
心療内科の診断書は、単に「病名を伝える」ためだけでなく、社会の中で安心して療養し、必要な支援を受けるための大切なツールです。メンタル不調は他者に理解されにくい分、医師の見解を明記した診断書が「状況を可視化する」手段になります。ここでは、診断書が実際に役立つ主なケースについて解説します。
休職・休学や復職・復学のタイミングで
休職(休学)を申請する際、就業規則や校則で診断書の提出が定められていることがあります。内容は、休養の必要性と目安期間が中心です。
復職(復学)の際は主治医の「復職可」だけで即復帰とは限りません。産業医面談や時短・業務軽減など段階的復帰の計画が合わせて検討されます。
各種制度申請(自立支援医療・障害年金など)
自立支援医療(精神通院医療)の申請、障害年金、精神障害者保健福祉手帳などでは、所定様式の診断書が必要です。内容は症状の持続性や生活機能への影響など、制度ごとに求められる観点が異なります。
保険金請求や職場での配慮依頼にも
メンタル不調で通院や休職をした場合、加入している生命保険や医療保険、就業不能保険などから保険金が支払われるケースがあります。ただし、その際にも診断書の提出が必要となることがほとんどです。
職場に合理的配慮(業務量や時間、環境の調整)を依頼する際も、医学的な根拠を添える意味で診断書が役立ちます。ただし、医師がすべての希望を書くわけではありません。医学的に妥当と判断した内容のみが記載される点には注意が必要です。
心療内科で診断書をもらうには?
心療内科で診断書をもらいたいと考えたとき、「何を準備すればよいのか」「どう伝えればいいのか」と不安になる方も多いでしょう。診断書の発行には一定の流れや注意点があり、事前に知っておくことでスムーズに手続きできます。
診断書発行までのステップ
まず最初に必要なのは、心療内科での受診です。診断書は、医師が診察を通じて医学的な判断を下したうえで作成するものなので、診察なしでは発行できません。
通常は、以下のような流れになります:
1.予約を取り、医師の診察を受ける
2.医師が必要と判断した場合、診断書の作成に進む
3.数日〜1週間ほどで発行されることが多い(即日発行も場合によっては可)
診断書の発行には、別途費用がかかるのが一般的です。内容や用途に応じて作成日数が変わることもあるため、診察時にあらかじめ「いつまでに必要か」を伝えるようにしましょう。
予約・診察時に伝えるべき「3要素」
医師が正確な診断書を書くためには、患者自身からの情報提供が欠かせません。3つのポイントをしっかり伝えることが重要です。
1.現在の症状や困っていること(例:眠れない、不安感が強い、集中できないなど)
2.日常生活や仕事・学校への影響(例:業務が手につかない、通勤ができない、授業に出られない)
3.診断書の提出先と目的(例:会社へ休職の届け出として出す、自立支援医療の申請に使う)
これらを伝えることで、医師も「誰に向けて」「どんな内容を書けばよいのか」を判断しやすくなります。
初診でも診断書は出る?
場合によっては、初診の段階でも診断書を出してもらえることがあります。たとえば、明らかに重度のうつ状態で、今すぐ休職が必要と判断されるケースなどです。
ただし、医師が「もう少し経過を見てから」と考えることもあり、必ずしも即日発行されるとは限りません。診断書は医療的な根拠に基づいて発行されるため、希望だけでは出せない点には注意が必要です。
診断書はオンライン診療でももらえる?
原則として、継続して通院している患者であればオンラインでも診断書を発行できる場合がありますが、初診や状態の把握が不十分な場合は難しいこともあります。
また、オンラインで発行された診断書は、後日郵送やPDF送信などの手段で受け取る形になるため、受け取り方法も事前に確認しておきましょう。
診断書には何が書かれる?内容を事前に知っておこう
提出先の書式や目的によって細部は変わりますが、心療内科の診断書は「現在の医学的評価」と「就学・就労、日常生活への影響」をわかりやすく示す文書です。どんな情報が記載されやすいかを把握しておくと、依頼時の説明が的確になり、必要な情報を漏れなく反映しやすくなります。
診断書に記載される内容
心療内科の診断書には、「うつ病」「適応障害」などの診断名(病名)だけでなく、それに伴う具体的な症状や治療の経過も記載されます。
たとえば、「抑うつ気分」「意欲の低下」「不安感」「食欲不振」といった症状です。そのほか、通院頻度や治療方針(休養、薬物療法、カウンセリングなど)が書かれることもあります。
診断名に関しては、社会的な影響や偏見を考慮して、あえて「抑うつ状態」や「心因反応」といった表現が用いられる場合もあります。これは医師の判断で行われる配慮のひとつです。
「休職が必要」と書かれる条件と期間の書かれ方
「休職が必要」と診断書に記されるには、業務の継続が困難であり、心身の安定のために休養が医学的に必要であるという判断がなされる必要があります。
この場合、診断書には以下のような文言が記載されることが多いです。
「○月○日より○週間(または○ヶ月)の休養が必要と判断する」
ただし、明確な「復職可能日」が書かれるとは限りません。心の病気は状態が日々変わるため、まずは「一定期間の休養が必要」とだけ書かれ、経過を見ながら次の判断に進むことが一般的です。
職場への配慮事項が入るケースとは
職場でのストレスが再発の引き金になることを防ぐために、診断書に「就業上の配慮事項」が書かれることがあります。
●勤務時間の短縮(時短勤務)
●通勤ラッシュを避ける時間帯の出勤
●担当業務の軽減や変更
●定期的な通院を継続するための配慮
これらは、職場が柔軟な対応をするための参考になりますが、診断書に書ける内容には制限がある点も忘れてはいけません。医師が書けるのはあくまで「医学的に必要な配慮」であり、業務内容に踏み込んだ指示は出せないのです。実際の勤務調整は、産業医や人事との相談を通じて進めていく必要があります。
即日発行できる?診断書の発行にかかる期間
診断書が必要になったとき、気になるのが「どのくらいで発行されるのか」という点です。実際には、即日で発行できる場合もあれば、数日〜1週間以上かかることもあります。発行の可否やスピードには、医療機関の対応体制や診断の難易度が大きく関わってきます。
即日発行してもらえるケース・もらえないケース
診断書が即日で出るかどうかは、いくつかの条件によって異なります。たとえば、以下のような場合には即日対応が可能なことがあります。
●継続して通院している患者で、医師が状態を把握している
●診断内容が明確で、書式も医療機関指定のものでよい
●軽微な内容(通院証明や自立支援医療の継続手続きなど)
一方、初診の場合や病状が複雑な場合は、医師が診断書の内容を慎重に判断する必要があるため、即日発行は難しくなる傾向があります。保険会社や公的制度への申請用など、提出先の指定様式がある場合は作成に時間がかかることもあるため、余裕を持って依頼するのが安心です。
病院ごとに違う所要日数と注意点
診断書の発行にかかる日数は、医療機関によってまちまちです。一般的には2〜7日程度が目安ですが、病院によっては1〜2週間かかることもあります。
主な理由としては
●医師の診療スケジュールや事務手続きの関係
●当医が不在で診断書作成までに時間がかかる
●症状の精査が必要なケース(複数回の受診を要する場合など)
診断書が必要な日程が決まっている場合は、できるだけ早めに医師へ伝えることが重要です。あわせて、提出先から「どのような内容を書いてほしいか」「記載様式があるか」などを確認しておくと、手戻りを防げます。
診断書の費用はいくら?
診断書の内容とあわせて気になるのが「費用面」です。保険診療とは別扱いになることが多く、診断書1通ごとに費用が発生します。事前に相場や料金の考え方を知っておくことで、思わぬ出費に慌てずに済みます。
相場は数千円〜?高額になるケースも
一般的な相場は概ね2,000〜10,000円程度です。会社指定書式や詳細な制度様式では記載工数が増え、1万円前後になることもあります。複数部数や再発行には追加費用がかかるのが通常です。
なぜ保険が使えないの?
診断書作成は診療行為ではなく「文書作成料」として扱われるため、公的医療保険の対象外です。診察自体の医療費は保険適用、診断書は自費というのが基本の考え方です。
心療内科で診断される代表的な病名
名称はあくまで治療の出発点です。同じ診断でも症状や回復の道筋は人それぞれです。
抑うつ状態
強い落ち込みや意欲低下が前景に立ち、睡眠・食欲の変化、倦怠感などを伴いやすい状態像です。うつ病の一部で見られますが、他の疾患経過でも起こり得ます。
適応障害
環境変化やストレスにうまく適応できず、情緒・行動の変化が生活に支障を及ぼす状態です。休養と環境調整、心理的支援が柱になります。
自律神経失調症
動悸、めまい、頭重感、消化器不調、倦怠感など多彩な身体症状が続き、検査で明確な器質的異常が見つからないときに用いられる概念です。背景にはストレスや生活リズムの乱れが関わることがあります。
心因反応
比較的はっきりした心理社会的ストレスに反応して生じる心身の症状を指します。ストレス源から距離を置き、回復を図ることが改善への近道です。
うつ病の診断書で休職するなら
うつ病と診断されたとき、まず考えるべきは「心身の安定のために休む」という選択肢です。診断書は、その休職を正当化する重要な証明書となりますが、同時にその後の生活や復職の段取りにも関わってくるため、全体の流れを押さえておくことが大切です。
休職制度をチェック(最長期間・社会保険など)
まず確認したいのは、勤務先における休職制度の内容です。企業によって、休職できる期間の上限や手続きの流れが異なります。たとえば、「3ヶ月」「6ヶ月」「1年」など、就業規則に明記されているケースがほとんどです。
また、休職中の収入保障についても確認が必要です。多くの会社員は、健康保険の「傷病手当金」を利用できます。これは、休職中に給与が出ない場合でも、月収の約3分の2にあたる額が最長1年6ヶ月支給される制度です。
企業によっては、休職開始直後に有給休暇を使ってから無給期間に移行する場合や、会社独自の補償制度があるケースもあるため、人事部や労務担当への早めの相談がポイントとなります。
提出から療養までのステップ
診断書を受け取ったら、会社に提出することになります。提出先は人事部や上司など会社ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
診断書には、休職が必要とされる理由と期間が記載されており、これをもとに休職の手続きが進められます。提出後は、基本的に就業義務が免除され、医師の指導に基づく療養期間に入ることになります。
復職可の診断書と産業医面談
復職を目指す際には、「復職可能」の診断書を提出する必要があります。これは、「症状が安定し、仕事に復帰できる状態にある」と医師が判断した場合に発行されるものです。
多くの企業では、この診断書の提出後に産業医による面談が実施されます。ここで、勤務時間や業務内容の調整が必要かどうかなどを話し合い、復職の可否を最終的に判断します。
適応障害・自律神経失調症など診断名別のポイント
心療内科では「適応障害」や「自律神経失調症」といった診断が下されることがあります。これらの病名は、それぞれの状態や背景によって使い分けられており、診断書における意味合いも異なります。
診断名が変わることも?医師が大切にする「状態像」
心の不調の診断は、血液検査などの「数値」で判断されるものではなく、問診と経過観察に基づく総合的な判断で行われます。そのため、診断名は経過とともに変わることも珍しくありません。
たとえば、最初は「抑うつ状態」と診断されていた人が、環境要因が明確であれば「適応障害」に変更されることもあります。逆に、症状が長引いて慢性化すれば「うつ病」に診断名が変わることもあるのです。
医師が重視するのは「今、どのような状態にあるのか」「その背景に何があるのか」という点であり、病名はその表現手段の一部です。診断書にも、その時点での適切な病名が記されます。
自律神経失調症の診断書が求められるケース
「自律神経失調症」という診断名は、ストレスや疲労などが原因で、自律神経のバランスが乱れ、身体症状(動悸・めまい・発汗・消化不良など)が出る状態を指します。
この病名で診断書が求められる場面としては、
●職場のストレスによる体調不良で休職が必要
●通勤困難なため配慮を求めたい
●保険会社への申請に使いたい
といったケースが多く見られます。
ただし、近年では「自律神経失調症」は医学的にあいまいな印象を持たれることもあるため、具体的な症状や背景を補足する形で記載されることが増えています。必要に応じて、診断名とあわせて状態像を詳しく説明してもらうとよいでしょう。
診断書を会社に出すときのコツと注意点
診断書を受け取ったあと、「どうやって会社に渡せばいいのか」「何を伝えればいいのか」と迷う方も多いでしょう。内容がセンシティブなだけに、伝え方には配慮が必要です。
対面・電話・メール…伝え方のベストは?
基本は対面での説明が望ましいものの、体調や状況により電話やメールでも構いません。無断で連絡を途絶えさせるより、簡潔でも良いので現状と次の連絡予定を伝える方が信頼的です。
書いてほしい内容を医師にうまく伝える方法
診断書を依頼する際には、「何の目的で使うのか」「誰に提出するのか」を具体的に伝えることが大切です。これにより、医師は記載すべき情報を判断しやすくなります。
たとえば、「会社に提出する休職のための診断書です」と伝えれば、休職期間の明記が必要だと医師も認識できます。
ただし、「○○と書いてください」と指示することは避けましょう。診断書は医師の医学的判断に基づいて作成されるものであり、患者が内容を決めることはできません。
診断書に書けること・書けないこと
診断書は「医学的事実と専門家の意見」を伝える文書です。原因の断定や人事判断の指示までは踏み込みません。
医師が記載できる範囲とは
症状・所見、診断名や状態像、治療内容、就労・学業への影響、医療上望ましい配慮までは意見できます。一方で、原因の特定や治癒時期の断言、特定部署の指定などは医学的判断の範囲を超えます。
職場での配慮は産業医・人事と連携して進める
診断書をもとに、現場事情を知る産業医と人事が具体策を詰めます。医師は医学的観点を示し、最終的な調整は会社側の責任で進む、という役割分担を押さえておきましょう。
診断書を活用できる主な制度と支援
心療内科の診断書は、ただの「お休みの証明書」にとどまりません。各種の制度申請に使える正式な書類であり、医療費や生活費の負担を軽減するための大切な一歩でもあります。
自立支援医療の申請
精神疾患で継続通院が必要な場合、自己負担が原則1割に軽減され、所得に応じた上限額が設けられます。申請はお住まいの自治体窓口で、専用の診断書が必要です。
傷病手当金のもらい方
業務外の病気やけがで働けず、連続3日間の待期後も就労不能が続くとき、標準報酬日額の3分の2相当が支給の目安です(通算1年6か月)。申請書には主治医の意見欄があり、一般の診断書とは別に医師の記載が求められます。
障害年金・精神障害者保健福祉手帳
日常・社会生活に長期の制約がある場合、要件を満たせば申請可能です。いずれも専用診断書で生活機能の評価が重視されます。就労中でも受給・取得できるケースがあります。
休職期間をどう過ごす?リワークと再発予防
休職は「治療のための期間」であると同時に、「復帰に向けて整える時間」でもあります。心と体をしっかり休めながら、段階的に社会復帰を目指すためのステップを知っておきましょう。
休養期→活動期→復職準備期の目安
回復の過程は、おおまかに3つの時期に分けて考えられます。
休養期
まずは睡眠や食事など、生活の基本リズムを整えることが最優先。無理に何かをしようとせず、しっかりと心身を休める時間です。
活動期
症状が落ち着いてきたら、軽い運動や趣味、読書などを取り入れ、生活に少しずつ「能動的な時間」を戻していきます。
復職準備期
外出の頻度や時間を増やし、通勤練習やリワークプログラムへの参加など、「仕事モード」への慣らしを行う時期です。
急ぎすぎず、しかし目標を意識して回復していくことが、再発防止にもつながります。
リワークやデイケアの活用法
復職に向けて不安がある方には、「リワークプログラム」や「デイケア」の利用がおすすめです。これらは医療機関や支援施設が提供しており、以下のようなサポートを受けられます。
再発リスクのある方や、復職後の継続勤務に不安がある方にとっては、安心して職場に戻るための心強いステップとなります。
診断書が出ない、使えない時はどうすれば?
診断書は必ずしも希望通りに出してもらえるとは限りません。また、提出先に受け取ってもらえないなどのトラブルが起こることもあります。よくあるケースとその対処法を知っておきましょう。
医師が書いてくれないのはなぜ?
●診断が確定できない
●医学的根拠が薄い
●提出先の趣旨に合わない
●不正使用リスクがある
こうした場合は発行が見送られます。医師によっては「診断書を出すことで患者が不利益を被る可能性がある」と判断し、慎重になるケースもあります。経過を追って再評価したり、用途を明確化して再相談したりするのが近道です。
診断名がつかない…そんなときの対処法
「明確な病名がつかない」=「何も問題がない」というわけではありません。このような場合には、「経過観察中」「抑うつ傾向あり」「ストレス反応による体調不良」などの表現で診断書が作成されることもあります。提出先にその旨を説明すれば、形式的な病名がなくても配慮を受けられることがあります。
有効期限・再発行・記載修正
診断書には通常、「この期間は療養が必要」といった有効期間が記載されます。これは「無期限で有効」というわけではないため、延長が必要な場合は、都度受診して再発行を依頼する必要があります。
また、記載ミスがあったり、申請様式に合わなかったりする場合には「修正」や「書き直し」をお願いすることも可能です。
ただし、修正が必要な場合は、診断内容そのものを変えられるわけではないため、あらかじめ提出先の要件を確認し、必要事項を医師に丁寧に伝えることが重要です。
いずれも追加費用や日数の見込みを確認しておくと安心です。
心療内科で診断書を作成する際によくある質問(FAQ)
困ったときの判断材料を手元に置いておくと、手続きは格段に楽になります。
診断書の費用って会社が払ってくれる?
多くは自己負担ですが、会社の求めで特定の書式が必要な場合など、費用負担を相談できる余地があるかもしれません。就業規則や社内ルールを確認し、人事部へ相談してみてください。
内容は指定できる?できない?
「事実に反する記載」「治癒時期の断言」「特定部署の指定」などはできません。一方で「夜勤回避」「段階的復帰」など医療上の配慮は意見として盛り込みやすい領域です。
何科に行けばいいか分からない時の判断基準
気分の落ち込みや不安、対人緊張など心の症状が主なら精神科、ストレスに伴う身体症状が前面なら心療内科が入口になります。迷う場合はどちらでも構いません。受診先が適切な診療科へ橋渡ししてくれます。
心療内科の診断書を活用して療養・復帰へ
心療内科で発行される診断書は、ただの書類ではありません。心や体の不調を適切に社会へ伝え、療養や復帰のためのステップを進める「橋渡し」となる大切なツールです。職場や学校、各種制度においては、診断書があることで理解や支援が得やすくなります。
忙しくて受診できない場合には心療内科のオンライン診療がおすすめ
「仕事が忙しくて通院できない」「診療時間と都合が合わない」といった事情から、受診を先延ばしにしてしまう人も少なくありません。そんなときには、オンライン診療も視野に入れてみましょう。
一部の医療機関では、オンラインでも診断書の発行に対応しているため、療養や休職に必要なサポートを受けられる可能性があります。もちろん、医師による診断や医学的な判断に基づくことが前提ではありますが、まずは相談の一歩を踏み出すことが何よりも重要です。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットを使って医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォンやパソコン、タブレットなどを使って、自宅にいながらビデオ通話を通じて医師と直接対話できます。予約から問診、診察、そして処方箋の発行や支払いまで、すべてオンライン上で完結できるのが特徴です。
オンライン診療サービス「SOKUYAKU」
SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をより簡単・便利に利用できるサービスです。アプリで手軽に医療機関の予約を行え、診察後はそのまま薬局での処方や薬の受け取りまでスムーズに完了します。
このサービスでは、お気に入りのクリニックや薬局を登録できるほか、お薬手帳のデジタル管理機能なども備えており、通院と変わらない安心感が得られます。さらに、全国どこでも当日または翌日に薬が届く仕組みが整っているため、時間が限られている方や外出が難しい方にとって大きなメリットとなるでしょう。
忙しさや不安から受診を後回しにせず、自分のタイミングで医師とつながる第一歩として、ぜひ活用を検討してみてください。
まとめ
心療内科で発行される診断書は、療養に専念するための環境を整えたり、各種制度を利用したり、復職へ向けた準備を進めるうえで欠かせない重要な書類です。その内容や使いどころをあらかじめ知っておくことで、職場との調整や行政手続きをスムーズに進められます。
不安や疑問を感じたときには、一人で抱え込まずに、主治医や産業医、各種相談窓口に確認しながら、自分に合ったサポートを受けていくことが大切です。診断書を正しく活用することが、安心して休養を取り、再び前向きな一歩を踏み出すための支えとなるでしょう。
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2012年 東北大学医学部医学科卒
2014年 東京大学医学部精神神経科
2015年 都立松沢病院
2018年 柏メンタルクリニック
免許・資格:医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医


















































