診察とどう違う?心療内科カウンセリングの内容をわかりやすく紹介
心療内科カウンセリングとは?薬だけに頼らない治療の柱
心療内科では、薬による治療だけでなく「カウンセリング(心理療法)」を取り入れることで、より包括的な治療を目指しています。
カウンセリングは、ストレスや心の悩みの背景にある思考や感情にじっくり向き合い、回復をサポートする重要な手段のひとつです。薬物治療だけでは十分な効果が得られにくい場合や、再発予防、自己理解の深化といった目的で活用されます。
カウンセリングって何をする?
カウンセリングでは、公認心理師/臨床心理士などの心理の専門家が、対話を通じて相談者の気持ちや考えを丁寧に整理していきます。
単に話を聞いてもらうだけではありません。「なぜ今つらいのか」「どうすれば心が軽くなるのか」といった問いを一緒に探りながら、自分の内面を深く理解していくプロセスです。
「診察」と「カウンセリング」はどう違う?
診察は、医師が病状を評価し、薬物療法や生活習慣の調整、医療としての精神療法など、医学的な観点から治療計画を立てる場です。診察時間は医療機関や症状の状態によって異なりますが、「初診は30分前後かそれ以上、再診は5〜15分程度など施設や状態で幅があります。
一方、カウンセリングは、公認心理師/臨床心理士が心理学的なアプローチを用いて、感情や考えの整理、問題解決の支援を行う面接です。基本的に1回30〜50分以上の継続的な面接が中心です。診察は医学的アプローチ、カウンセリングは心理学的アプローチが中心であり、互いに補い合う関係にあります。
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「お悩み相談」とは違う、心療内科カウンセリングの目的とは
「話を聞いてもらうだけ」や「気休め」といったイメージを持たれがちなカウンセリングですが、実際はそれ以上に深く、体系的な目的を持っています。
気持ちを整理し、自分を理解するための時間
日々のストレスや出来事に対する感じ方・考え方を言葉にしていくことで、自分でも気づいていなかった感情や行動パターンを見つけていけます。「なぜこんなに苦しいのか」「なぜ同じことで悩むのか」が整理されていく中で、必要な対応や自分の強みにも気づけるようになります。
話すことで気持ちが落ち着くのは、ただ共感を得るだけでなく、自分を客観的に見つめる視点が得られるからです。
ストレスや不安を和らげるサポート
日常生活に支障をきたすようなストレスや不安に対して、現実的で実践的な対処法を提案することもあります。リラクゼーション法、思考の偏りへの気づき、行動パターンの調整など、症状の背景にある“こころのクセ”に働きかけることで、根本的な改善を目指します。悩みに対し、自分自身でコントロールできる感覚を取り戻していくことが目的です。
心療内科でよく使われる心理療法の種類
心理療法(カウンセリング)にはさまざまな方法があり、相談者の状態や目標に応じて適切な技法が選ばれます。ここでは、代表的な心理療法を紹介します。
気持ちを支える「支持的精神療法」
共感的に話を聴き、気持ちを言語化しながら、揺らぎやすい時期を安全に過ごせるよう支えます。自分では気づきにくい感情やニーズに気づくことで、対処の幅が広がります。
考え方と行動を変える「認知行動療法」
物事の受け取り方(認知)と行動のパターンに働きかける方法です。思考記録、行動活性化、暴露法、SST(社会生活技能訓練)などを用い、再発予防にも役立ちます。医師が行う、または医師の管理下で行われる認知行動療法は、条件により保険適用となる場合があります。
今この瞬間に集中する「マインドフルネス」
呼吸や体の感覚に注意を向け、浮かぶ考えや感情に振り回されにくくする練習です。不眠や不安、反すう思考の軽減を目的に取り入れられることがあります。
その他の代表的な心理療法
対人関係の改善を目的とした「対人関係療法」、過去の体験に焦点を当てる「精神分析的心理療法」、人間の成長と自己実現を重視する「来談者中心療法」、家族全体を一つのシステムとして支援する「家族療法」など、さまざまな心理療法があります。
心療内科では、これらを単独または組み合わせて活用し、相談者に合ったアプローチを提供しています。
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心療内科カウンセリングの流れ
カウンセリングは一度きりで完結するものではありません。目的に応じて複数回の面接を通じて進められます。最初は不安もあるかもしれませんが、流れを知っておくことで、心構えがしやすくなるでしょう。
予約・初回面接で確認すること
予約時にカウンセリング希望を伝え、初回の面接では、現在の悩みや生活状況、これまでの治療歴などについて詳しく話を聞かれます。「何に困っていて、どうなりたいか」を共有しながら、今後の方針を一緒に考える時間です。無理にすべてを話そうとせず、思いつくことから少しずつ伝えていきましょう。
心理アセスメントと目標設定
必要に応じて心理検査や質問票を用い、現在地を可視化します。そのうえで、カウンセリングの目的や目指したいゴールを共有します。「不安で夜眠れないのを改善したい」「仕事中の緊張感を減らしたい」など、具体的な課題を明確にしましょう。小さな目標から取り組んでいきます。
継続面接とフォローアップの進め方
心療内科カウンセリングはどんな人が受けられる?
利用の入り口は複数あります。医療の中で行う場合と、医療外の自費カウンセリングでは位置づけが異なります。
主治医の判断で行うケース
●うつ病や不安障害、心身症、過敏性腸症候群、身体症状症、
摂食障害、適応障害などの診断がある
●薬物療法だけでは十分な効果が得られにくい
●過去の体験が症状に影響していると考えられる
これらの場合に、医師の判断によってカウンセリング(心理療法)が治療の一部として行われます。この場合、医師の管理下にあるため保険が適用されることもあり、より体系的な治療の中で公認心理師/臨床心理士のサポートを受けられます。CBTなど一部療法の保険算定は、対象疾患・実施体制・回数などの要件を満たす必要があります。取り扱いの有無は医療機関にご確認ください。
自費で受ける心理カウンセリングとの違い
医療機関の外で提供される心理カウンセリングは原則自費です。診断や薬の処方は行わず、悩みの整理や自己理解のサポートを目的にしています。公認心理師/臨床心理士の有資格者が対応しているかどうかは、信頼性を見極めるポイントになります。
一方、心療内科でのカウンセリングは医療の一部として位置づけられ、必要に応じて医師の診断や治療と連携がとれるのが大きな違いです。
カウンセリングで得られる変化と心の回復
カウンセリングを受けることで、目に見えない「こころの整理」が少しずつ進みます。焦らず丁寧に気持ちと向き合っていく中で、自然と考え方や行動に変化が表れ、日々の生活が過ごしやすくなっていくのです。
「話すだけ」でなぜスッキリするのか
カウンセリングでは、自分の話を否定されずに聞いてもらえるという安心感が得られます。悩みを言葉にすることは、自分の中でぼんやりしていた問題を整理することにもつながります。頭の中にあるモヤモヤを言語化し、それを誰かに受け止めてもらえるだけで、心の負担が軽くなるのです。
問題の根っこが見えると、人は変われる
対話を重ねるうちに、「自分がなぜそう感じるのか」「同じ悩みを繰り返す理由は何か」といった深い気づきが得られることがあります。それは、ただ感情を発散するだけではありません。無意識の思考や行動パターンを見つめ直すことにつながり、持続的な変化への第一歩になります。
前より少し、自分が好きになれるかもしれない
カウンセリングでは「できていること」や「頑張っている自分」にも光を当てていきます。否定ばかりしていた自分に対して優しい視点を持てるようになると、自己肯定感が少しずつ育っていきます。完璧でなくても、今の自分でいいと思える瞬間が増えていくことも、カウンセリングの大きな成果のひとつです。
心療内科のカウンセリングを活かすコツ
カウンセリングの効果をより実感するためには、受け身になるのではなく、自分の目標や希望を明確にしておくことが大切です。
目標と優先順位の決め方
「何に困っているか」「どうなれたら良いか」を一緒に明確にすることで、カウンセリングの方向性がはっきりします。いくつも悩みがある場合には、どれから取り組むかを相談しながら決めていきます。無理なく、現実的な目標を立てることが継続のカギです。
カウンセラーとの相性を見極める
カウンセリングの効果には、「この人なら安心して話せる」という感覚も大きく影響します。話しやすさ、受け止め方、提案の仕方など、相性が合わないと感じた場合は、担当変更を希望することも可能です。遠慮せず、自分に合ったサポーターを見つけることが回復への近道になります。
オンラインと対面、選び方のポイント
通院が負担に感じる方や、リラックスできる場所で話したい方にはオンラインが適しているかもしれません。直接会って表情や雰囲気を共有したい方には対面が向いています。生活スタイルや性格に合わせて選ぶとよいでしょう。
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心療内科のカウンセリングと費用・保険
医療機関で行われる心理療法には、保険が使えるものと使えないものがあり、その違いを正しく理解しておくことが大切です。なお、カウンセリングは悩みや不安を整理し、行動や考え方のパターンを見直すための体系的な心理的介入であり、効果には個人差があります。
保険適用となる心理療法との違い
心療内科や精神科で行われる「心理療法」のうち、医師が実施するものや医師の指示のもとで行われる一部の療法(たとえば認知行動療法など)は、条件を満たせば健康保険の適用を受けられます。たとえば、診断名がついていて、医師が治療上必要と判断した場合などです。
同じ医療機関内でも、公認心理師/臨床心理士による自由診療のカウンセリングは、原則として保険が使えず、自費扱いとなります。保険診療との組み合わせが制限されるケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
自費カウンセリングの料金目安
自費で行うカウンセリングの費用は、医療機関やカウンセラーによって異なりますが、一般的には1回(30〜60分)あたり5,000円〜15,000円程度が相場です。初回はもう少し時間をかけて行う場合もあり、その分費用がかかることもあります。
料金は高く感じられるかもしれませんが、1対1でじっくり話を聴いてもらえる時間であり、精神的な回復に向けた大切な投資ともいえるでしょう。
心療内科のカウンセリングでよくある不安
初めてカウンセリングを受ける方の多くが、内容や雰囲気について不安を感じています。けれど、そのほとんどは実際に話してみることで軽くなっていくものです。
「何を話せばいい?」
沈黙があっても問題ありません。うまくまとめようとしなくて大丈夫です。最近困っている場面や、気分や体調の変化、気になる出来事を思いつく順で話してください。話しながら一緒に整理します。
「家族は同席できる?」
基本は本人のプライバシーを守るため、1対1で行うことがほとんどです。家族と話したいテーマがある場合は、事前に相談しておくとよいでしょう。
「合わないと感じたらどうする?」
相性や方法が合わないことは珍しくありません。理由を一緒に言語化し、担当変更や別の心理療法への切り替えを相談しましょう。納得感は継続の鍵です。
こんなときは迷わず相談を。受けるべきタイミング
こころの不調は早めに手を打つことが大切です。日常のちょっとした不安や違和感の段階でも、カウンセリングは十分な助けになります。
日常生活に支障を感じるとき
睡眠・食事・仕事や学業・家事・対人関係などに明らかな影響が出てきたら、受診やカウンセリングのタイミングです。小さな支障でも構いません。
不安や落ち込みが長く続くとき
きっかけが思い当たらない落ち込みや不安が続く、回復と悪化を繰り返すようなら、我慢せずに相談してみましょう。
誰にも相談できずに一人で抱え込んでいるとき
話す場がないことでつらさが長引くことがあります。信頼できる第三者に言葉で渡すだけでも、整理と回復が始まります。
まずは気軽に話してみることから始めましょう
心療内科のカウンセリングは、薬に頼るだけでは難しい感情や思考の整理を手助けし、あなたの生活に無理のない変化をもたらします。「どこかに頼ってもいいんだ」と思えることは、自分を大切にすることの第一歩でもあります。
まずは、相談するだけでも構いません。あなたに合ったペースで、回復への道を一緒に探していきましょう。
忙しくて受診できない場合にはオンライン診療がおすすめ
「病院に行きたいけれど、時間が取れない」「人目が気になって通院しづらい」そんな方におすすめなのが、オンライン診療です。時間や場所に縛られずに受診できるのは、継続的な治療が必要な心療内科のカウンセリングにとっても大きなメリットといえます。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットにつながるスマートフォンやタブレット、パソコンを利用して、自宅や職場などから医師の診察を受けられる医療サービスです。ビデオ通話で医師と直接話すことができ、診察の予約・問診・診断・処方箋の発行・支払いまで、基本的な流れをすべてオンラインで完結できます。
※初診の可否・処方できる範囲・薬の配送方法については、事前に医療機関へご確認ください。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をスムーズに利用できるサービスです。診察の予約から薬の受け取りまでをアプリで簡単に行えるほか、専門スタッフによるサポートや、よく利用するクリニック・薬局の登録機能も備えています。
お薬手帳をデジタル化できるため、服薬管理も効率的に行えます。全国どこでも当日または翌日に薬を受け取れる点も大きな特徴です。
※対応内容は医療機関・薬局・地域により異なります。初診可否・処方範囲・配送は事前にご確認ください。
まとめ
心療内科で行うカウンセリングは、診察とは異なり「気持ちを整理し、自分を理解するための時間」です。薬物療法に加えて、こころの回復を支える大切な方法のひとつといえるでしょう。
「うまく話せるか不安」という方でも心配はいりません。カウンセラーが丁寧に寄り添いながら進めてくれるので、安心して臨めます。小さな一歩を踏み出すことが、心を軽くし、回復への大切なきっかけになるはずです。
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当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
「心療内科のカウンセリングって、どんなことをするの?」「診察とどう違うの?」
初めて受ける方にとっては、内容がわからず不安を感じることも少なくありません。心療内科でのカウンセリングは、薬による治療だけに頼らず、心の整理やストレスの軽減をサポートする大切な治療方法のひとつです。
この記事では、心療内科で行われるカウンセリングの目的や進め方、主な心理療法の種類、費用の目安までを、医師監修のもとでわかりやすく解説していきます。
心療内科カウンセリングとは?薬だけに頼らない治療の柱
心療内科では、薬による治療だけでなく「カウンセリング(心理療法)」を取り入れることで、より包括的な治療を目指しています。
カウンセリングは、ストレスや心の悩みの背景にある思考や感情にじっくり向き合い、回復をサポートする重要な手段のひとつです。薬物治療だけでは十分な効果が得られにくい場合や、再発予防、自己理解の深化といった目的で活用されます。
カウンセリングって何をする?
カウンセリングでは、公認心理師/臨床心理士などの心理の専門家が、対話を通じて相談者の気持ちや考えを丁寧に整理していきます。
単に話を聞いてもらうだけではありません。「なぜ今つらいのか」「どうすれば心が軽くなるのか」といった問いを一緒に探りながら、自分の内面を深く理解していくプロセスです。
「診察」と「カウンセリング」はどう違う?
診察は、医師が病状を評価し、薬物療法や生活習慣の調整、医療としての精神療法など、医学的な観点から治療計画を立てる場です。診察時間は医療機関や症状の状態によって異なりますが、「初診は30分前後かそれ以上、再診は5〜15分程度など施設や状態で幅があります。
一方、カウンセリングは、公認心理師/臨床心理士が心理学的なアプローチを用いて、感情や考えの整理、問題解決の支援を行う面接です。基本的に1回30〜50分以上の継続的な面接が中心です。診察は医学的アプローチ、カウンセリングは心理学的アプローチが中心であり、互いに補い合う関係にあります。
「お悩み相談」とは違う、心療内科カウンセリングの目的とは
「話を聞いてもらうだけ」や「気休め」といったイメージを持たれがちなカウンセリングですが、実際はそれ以上に深く、体系的な目的を持っています。
気持ちを整理し、自分を理解するための時間
日々のストレスや出来事に対する感じ方・考え方を言葉にしていくことで、自分でも気づいていなかった感情や行動パターンを見つけていけます。「なぜこんなに苦しいのか」「なぜ同じことで悩むのか」が整理されていく中で、必要な対応や自分の強みにも気づけるようになります。
話すことで気持ちが落ち着くのは、ただ共感を得るだけでなく、自分を客観的に見つめる視点が得られるからです。
ストレスや不安を和らげるサポート
日常生活に支障をきたすようなストレスや不安に対して、現実的で実践的な対処法を提案することもあります。リラクゼーション法、思考の偏りへの気づき、行動パターンの調整など、症状の背景にある“こころのクセ”に働きかけることで、根本的な改善を目指します。悩みに対し、自分自身でコントロールできる感覚を取り戻していくことが目的です。
心療内科でよく使われる心理療法の種類
心理療法(カウンセリング)にはさまざまな方法があり、相談者の状態や目標に応じて適切な技法が選ばれます。ここでは、代表的な心理療法を紹介します。
気持ちを支える「支持的精神療法」
共感的に話を聴き、気持ちを言語化しながら、揺らぎやすい時期を安全に過ごせるよう支えます。自分では気づきにくい感情やニーズに気づくことで、対処の幅が広がります。
考え方と行動を変える「認知行動療法」
物事の受け取り方(認知)と行動のパターンに働きかける方法です。思考記録、行動活性化、暴露法、SST(社会生活技能訓練)などを用い、再発予防にも役立ちます。医師が行う、または医師の管理下で行われる認知行動療法は、条件により保険適用となる場合があります。
今この瞬間に集中する「マインドフルネス」
呼吸や体の感覚に注意を向け、浮かぶ考えや感情に振り回されにくくする練習です。不眠や不安、反すう思考の軽減を目的に取り入れられることがあります。
その他の代表的な心理療法
対人関係の改善を目的とした「対人関係療法」、過去の体験に焦点を当てる「精神分析的心理療法」、人間の成長と自己実現を重視する「来談者中心療法」、家族全体を一つのシステムとして支援する「家族療法」など、さまざまな心理療法があります。
心療内科では、これらを単独または組み合わせて活用し、相談者に合ったアプローチを提供しています。
心療内科カウンセリングの流れ
カウンセリングは一度きりで完結するものではありません。目的に応じて複数回の面接を通じて進められます。最初は不安もあるかもしれませんが、流れを知っておくことで、心構えがしやすくなるでしょう。
予約・初回面接で確認すること
予約時にカウンセリング希望を伝え、初回の面接では、現在の悩みや生活状況、これまでの治療歴などについて詳しく話を聞かれます。「何に困っていて、どうなりたいか」を共有しながら、今後の方針を一緒に考える時間です。無理にすべてを話そうとせず、思いつくことから少しずつ伝えていきましょう。
心理アセスメントと目標設定
必要に応じて心理検査や質問票を用い、現在地を可視化します。そのうえで、カウンセリングの目的や目指したいゴールを共有します。「不安で夜眠れないのを改善したい」「仕事中の緊張感を減らしたい」など、具体的な課題を明確にしましょう。小さな目標から取り組んでいきます。
継続面接とフォローアップの進め方
定期的に面接を行い、ホームワークの振り返りや計画の微調整を続けます。安定してきたら間隔を空け、再発サインの確認とセルフケア計画を共有してフォローアップに移ります。
心療内科カウンセリングはどんな人が受けられる?
利用の入り口は複数あります。医療の中で行う場合と、医療外の自費カウンセリングでは位置づけが異なります。
主治医の判断で行うケース
●うつ病や不安障害、心身症、過敏性腸症候群、身体症状症、
摂食障害、適応障害などの診断がある
●薬物療法だけでは十分な効果が得られにくい
●過去の体験が症状に影響していると考えられる
これらの場合に、医師の判断によってカウンセリング(心理療法)が治療の一部として行われます。この場合、医師の管理下にあるため保険が適用されることもあり、より体系的な治療の中で公認心理師/臨床心理士のサポートを受けられます。CBTなど一部療法の保険算定は、対象疾患・実施体制・回数などの要件を満たす必要があります。取り扱いの有無は医療機関にご確認ください。
自費で受ける心理カウンセリングとの違い
医療機関の外で提供される心理カウンセリングは原則自費です。診断や薬の処方は行わず、悩みの整理や自己理解のサポートを目的にしています。公認心理師/臨床心理士の有資格者が対応しているかどうかは、信頼性を見極めるポイントになります。
一方、心療内科でのカウンセリングは医療の一部として位置づけられ、必要に応じて医師の診断や治療と連携がとれるのが大きな違いです。
カウンセリングで得られる変化と心の回復
カウンセリングを受けることで、目に見えない「こころの整理」が少しずつ進みます。焦らず丁寧に気持ちと向き合っていく中で、自然と考え方や行動に変化が表れ、日々の生活が過ごしやすくなっていくのです。
「話すだけ」でなぜスッキリするのか
カウンセリングでは、自分の話を否定されずに聞いてもらえるという安心感が得られます。悩みを言葉にすることは、自分の中でぼんやりしていた問題を整理することにもつながります。頭の中にあるモヤモヤを言語化し、それを誰かに受け止めてもらえるだけで、心の負担が軽くなるのです。
問題の根っこが見えると、人は変われる
対話を重ねるうちに、「自分がなぜそう感じるのか」「同じ悩みを繰り返す理由は何か」といった深い気づきが得られることがあります。それは、ただ感情を発散するだけではありません。無意識の思考や行動パターンを見つめ直すことにつながり、持続的な変化への第一歩になります。
前より少し、自分が好きになれるかもしれない
カウンセリングでは「できていること」や「頑張っている自分」にも光を当てていきます。否定ばかりしていた自分に対して優しい視点を持てるようになると、自己肯定感が少しずつ育っていきます。完璧でなくても、今の自分でいいと思える瞬間が増えていくことも、カウンセリングの大きな成果のひとつです。
心療内科のカウンセリングを活かすコツ
カウンセリングの効果をより実感するためには、受け身になるのではなく、自分の目標や希望を明確にしておくことが大切です。
目標と優先順位の決め方
「何に困っているか」「どうなれたら良いか」を一緒に明確にすることで、カウンセリングの方向性がはっきりします。いくつも悩みがある場合には、どれから取り組むかを相談しながら決めていきます。無理なく、現実的な目標を立てることが継続のカギです。
カウンセラーとの相性を見極める
カウンセリングの効果には、「この人なら安心して話せる」という感覚も大きく影響します。話しやすさ、受け止め方、提案の仕方など、相性が合わないと感じた場合は、担当変更を希望することも可能です。遠慮せず、自分に合ったサポーターを見つけることが回復への近道になります。
オンラインと対面、選び方のポイント
通院が負担に感じる方や、リラックスできる場所で話したい方にはオンラインが適しているかもしれません。直接会って表情や雰囲気を共有したい方には対面が向いています。生活スタイルや性格に合わせて選ぶとよいでしょう。
心療内科のカウンセリングと費用・保険
医療機関で行われる心理療法には、保険が使えるものと使えないものがあり、その違いを正しく理解しておくことが大切です。なお、カウンセリングは悩みや不安を整理し、行動や考え方のパターンを見直すための体系的な心理的介入であり、効果には個人差があります。
保険適用となる心理療法との違い
心療内科や精神科で行われる「心理療法」のうち、医師が実施するものや医師の指示のもとで行われる一部の療法(たとえば認知行動療法など)は、条件を満たせば健康保険の適用を受けられます。たとえば、診断名がついていて、医師が治療上必要と判断した場合などです。
同じ医療機関内でも、公認心理師/臨床心理士による自由診療のカウンセリングは、原則として保険が使えず、自費扱いとなります。保険診療との組み合わせが制限されるケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
自費カウンセリングの料金目安
自費で行うカウンセリングの費用は、医療機関やカウンセラーによって異なりますが、一般的には1回(30〜60分)あたり5,000円〜15,000円程度が相場です。初回はもう少し時間をかけて行う場合もあり、その分費用がかかることもあります。
料金は高く感じられるかもしれませんが、1対1でじっくり話を聴いてもらえる時間であり、精神的な回復に向けた大切な投資ともいえるでしょう。
心療内科のカウンセリングでよくある不安
初めてカウンセリングを受ける方の多くが、内容や雰囲気について不安を感じています。けれど、そのほとんどは実際に話してみることで軽くなっていくものです。
「何を話せばいい?」
沈黙があっても問題ありません。うまくまとめようとしなくて大丈夫です。最近困っている場面や、気分や体調の変化、気になる出来事を思いつく順で話してください。話しながら一緒に整理します。
「家族は同席できる?」
基本は本人のプライバシーを守るため、1対1で行うことがほとんどです。家族と話したいテーマがある場合は、事前に相談しておくとよいでしょう。
「合わないと感じたらどうする?」
相性や方法が合わないことは珍しくありません。理由を一緒に言語化し、担当変更や別の心理療法への切り替えを相談しましょう。納得感は継続の鍵です。
こんなときは迷わず相談を。受けるべきタイミング
こころの不調は早めに手を打つことが大切です。日常のちょっとした不安や違和感の段階でも、カウンセリングは十分な助けになります。
日常生活に支障を感じるとき
睡眠・食事・仕事や学業・家事・対人関係などに明らかな影響が出てきたら、受診やカウンセリングのタイミングです。小さな支障でも構いません。
不安や落ち込みが長く続くとき
きっかけが思い当たらない落ち込みや不安が続く、回復と悪化を繰り返すようなら、我慢せずに相談してみましょう。
誰にも相談できずに一人で抱え込んでいるとき
話す場がないことでつらさが長引くことがあります。信頼できる第三者に言葉で渡すだけでも、整理と回復が始まります。
まずは気軽に話してみることから始めましょう
心療内科のカウンセリングは、薬に頼るだけでは難しい感情や思考の整理を手助けし、あなたの生活に無理のない変化をもたらします。「どこかに頼ってもいいんだ」と思えることは、自分を大切にすることの第一歩でもあります。
まずは、相談するだけでも構いません。あなたに合ったペースで、回復への道を一緒に探していきましょう。
忙しくて受診できない場合にはオンライン診療がおすすめ
「病院に行きたいけれど、時間が取れない」「人目が気になって通院しづらい」そんな方におすすめなのが、オンライン診療です。時間や場所に縛られずに受診できるのは、継続的な治療が必要な心療内科のカウンセリングにとっても大きなメリットといえます。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットにつながるスマートフォンやタブレット、パソコンを利用して、自宅や職場などから医師の診察を受けられる医療サービスです。ビデオ通話で医師と直接話すことができ、診察の予約・問診・診断・処方箋の発行・支払いまで、基本的な流れをすべてオンラインで完結できます。
※初診の可否・処方できる範囲・薬の配送方法については、事前に医療機関へご確認ください。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をスムーズに利用できるサービスです。診察の予約から薬の受け取りまでをアプリで簡単に行えるほか、専門スタッフによるサポートや、よく利用するクリニック・薬局の登録機能も備えています。
お薬手帳をデジタル化できるため、服薬管理も効率的に行えます。全国どこでも当日または翌日に薬を受け取れる点も大きな特徴です。
※対応内容は医療機関・薬局・地域により異なります。初診可否・処方範囲・配送は事前にご確認ください。
まとめ
心療内科で行うカウンセリングは、診察とは異なり「気持ちを整理し、自分を理解するための時間」です。薬物療法に加えて、こころの回復を支える大切な方法のひとつといえるでしょう。
「うまく話せるか不安」という方でも心配はいりません。カウンセラーが丁寧に寄り添いながら進めてくれるので、安心して臨めます。小さな一歩を踏み出すことが、心を軽くし、回復への大切なきっかけになるはずです。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
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2.
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当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.
前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。

2014年千葉大学医学部卒業
2020年国際医療福祉大学 医学部精神医学・成田病院 精神科 助教
2021年千葉大学大学院医学研究院 精神医学教室 特任助教(兼任)
2023年Bellvitge University Hospital (Barcelona, Spain)
2025年メンタルヘルスかごしま中央クリニック 院長
<主な研究領域>https://researchmap.jp/nr_ohsako
精神医学(摂食障害、行動依存症(ゲーム依存、ギャンブル依存、etc)、せん妄)
【免許・資格】
医学博士
精神保健指定医
日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医
日本医師会認定産業医
公認心理師

















































