高血圧は初期症状がない?|起こりうる初期症状と危険な合併症状を解説
高血圧に「初期症状」は本当にある?
結論から言えば、高血圧に特徴的な初期症状はほぼありません。多くの方が自覚症状のないまま血圧が上昇していきます。「痛みがない」「体調に問題がない」と安心しているうちに、知らず知らずのうちに合併症が進行してしまうリスクがある病気です。
参考元
医療現場では、高血圧症は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれています。症状が出ないうちに血管や臓器がダメージを受け、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった重大な疾患として発症することもあります。
参考元『高血圧||国立循環器病研究センター』
高血圧症の分類にはふたつのタイプがあります。原因がはっきりしない「本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつ)」と、腎臓の病気などの基礎疾患を原因とする「二次性高血圧」です。
日本人の多くの高血圧患者は原因のはっきりしない「本態性高血圧」といわれており、「二次性高血圧」の人の割合は10%~20%程度と言われます。
なぜ高血圧には「初期症状」がないのか?
血圧の上昇は徐々に進行し、神経を直接刺激するようなものではありません。静かに血管へ負担がかかり続けるため、身体が異変としてそれを「痛み」や「不調」として感知しづらいのです。このため、血圧が160mmHgや180mmHgといった高値でも、本人にとってはまったく自覚がないことがよくあります。
参考元
高血圧とは「血管」が常に張り詰めている状態
高血圧とは、心臓が送り出す血液に対し、血管が強く抵抗する状態を指します。つまり、血管の内側が絶えず高い圧力にさらされており、常に「張り詰めたゴムホース」のような状態です。
この状態が続くことで、血管の内皮(内側の壁)が傷つきやすくなり、微細な損傷が繰り返されていきます。しかし、血管には痛覚がないため、本人がそれを「感じる」ことはできません。
参考元『高血圧治療ガイドライン2019』
症状なく「動脈硬化」が進行する
高血圧が続くと、血管の壁が厚く硬くなる「動脈硬化」が進行します。動脈硬化は、脳・心臓・腎臓などの重要な臓器に栄養や酸素を届ける血管の働きを妨げ、次第に臓器機能にも悪影響を及ぼします。
この動脈硬化の進行もまた、ほとんどの場合で症状がありません。そして、ある日突然、血管が詰まったり破れたりすることで、命に関わる発作を起こすことがあります。
参考元
症状が出た時は「SOS」のサイン
もし何らかの症状が現れた場合、それは「高血圧のせいで体が壊れ始めたサイン」である可能性が高くなります。たとえば以下のようなものです。
・強い頭痛やめまい
・息切れ、動悸
・視界の異常やふらつき
・顔や手足のむくみ
単なる「血圧の高さ」ではなく、「命にかかわる疾患の前触れ」と捉え、放置せずすぐに医療機関を受診しましょう。
参考元『高血圧||国立循環器病研究センター』
高血圧を放置することで起こりえる合併症
高血圧は「血管の老化」を早め、全身の大切な臓器に影響します。合併症は突然の発作として現れることがあるため、発症前にリスクを下げることが重要です。
参考元
『循環器疾患について「高血圧」|大阪医科薬科大学 循環器内科』
『日本臨床内科医会|わかりやすい病気のおはなしシリーズ9 高血圧』
脳の病気: 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)
高血圧は脳の血管に大きな負担をかけます。高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。血管の壁がもろくなったり詰まりやすくなったりすることで、以下のような脳卒中を引き起こします。
代表疾患と特徴的な症状
心臓の病気: 心筋梗塞、狭心症、心不全
高血圧により心臓の血管(冠動脈)に負担がかかると、動脈硬化が進行しやすくなります。これにより以下のような病気が起こります。
代表疾患と特徴的な症状
腎臓の病気: 腎硬化症、腎不全(透析につながる可能性)
腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する重要な臓器ですが、細い血管が張り巡らされているため高血圧のダメージを受けやすい構造になっています。
代表疾患と特徴的な症状
目の病気: 高血圧性網膜症(失明のリスク)
目の奥にある網膜は、光を受け取って脳に視覚情報を伝える重要な器官で、非常に細かい血管が密集しています。高血圧が続くと、これらの血管に強い圧力がかかり、血管が破れやすくなったり、詰まりやすくなったりすることで、網膜の機能が障害されるのが「高血圧性網膜症」です。
高血圧性網膜症における主な症状
いま対処するほど将来の負担が下がる
これらの合併症は、一度発症してしまうと元の状態に戻すのが難しい場合が多く、生活に大きな支障が出たり、長期的な治療が必要になったりします。症状がない「今」から血圧を管理することが、将来の健康を守るためにとても大切です。
「高血圧の初期症状」と間違われやすい症状
継続的に高い血圧にさらされると、血管や臓器が少しずつダメージを受け、最終的に症状として現れることがありますが、それは“初期”ではなく“ある程度進行した段階”の話です。
参考元
頭痛・頭重感
頭痛や頭の重さはよく見られる体調不良ですが、通常の高血圧が直接の原因となることは少ないとされています。ただし、急激に血圧が上昇した場合(例:高血圧緊急症)には、強い頭痛や吐き気、意識障害が起こることもあり、その場合は緊急対応が必要です。これは脳の血圧を調整する機能が追いつかなくなり、脳がむくむ(脳浮腫)ことなどが原因と考えられています。
日常的な頭痛は、高血圧とは別の緊張型頭痛や片頭痛、ストレスによるものが多いため、継続的に見られる場合は原因を見極めましょう。
めまい・ふらつき
高血圧による脳の血流変動が関与することもありますが、耳(三半規管)の異常、貧血、自律神経の乱れなど、他の原因のほうが圧倒的に多いとされています。立ち上がったときのふらつきや長時間のめまいは、高血圧の初期症状とは言い難く、別の疾患を疑うべきケースです。高血圧の治療薬の副作用として現れることもあります。
ただし、脳梗塞など重篤な疾患の前兆の場合もあり、症状が急激に現れたり長引く場合には、放置しないようにしましょう。
参考元『高血圧の初期症状について解説【頭痛・動悸・めまい・耳鳴り】 | ひまわり医院』
肩こり
「高血圧の人は肩がこる」とよく言われますが、医学的な因果関係ははっきりしていません。むしろ、肩こりは筋肉疲労や姿勢の悪さ、ストレスなどの要因が多く、直接的に血圧と関係づけることはできないのです。
ただし、精神的なストレスや緊張状態が続くと、血圧が上がりやすくなると同時に、筋肉も緊張して肩こりを引き起こすことは考えられます。
参考元『日本臨床内科医会|わかりやすい病気のおはなしシリーズ9 高血圧』
動悸・息切れ
これは高血圧の「初期症状」ではなく、進行した結果として心臓に異常が現れているサインと考えるべきです。長期間にわたり高血圧が続くと、心臓はより強く働く必要があり、心肥大や心不全の入り口となります。
動悸や軽い運動でもすぐに息切れするといった症状がある場合は、心臓が疲弊し始めているかもしれません。これは高血圧によって長期間心臓に負担がかかり続けた結果、心臓の筋肉が厚くなり(心肥大)、さらに心臓のポンプ機能が弱りはじめている(心不全の兆候)可能性があり、早急に循環器内科での診察が必要です。
参考元『心不全の初期サイン-早期発見のために-|日本心臓財団』
耳鳴り
耳鳴りと高血圧の関連性については、明確な因果関係は確認されていませんが、一部では血流の変化や耳の毛細血管への影響が関係しているのではないかと考えられています。
しかし、加齢、騒音曝露、耳の病気(突発性難聴、メニエール病など)が原因となっていることが多いため、耳鳴りが続く場合は耳鼻科で相談しましょう。
参考元
むくみ
これも「初期症状」とは言えません。「塩分の取りすぎ」や「疲労」だけで起こることもありますが、高血圧が原因で腎臓の細い血管を傷つけ、腎臓の働きが悪くなり始めた可能性もあります。具体的には腎硬化症などの腎障害が進行している段階で見られる症状です。
結果として体に余分な水分がたまり、むくみが出ることがあります。足だけでなく顔や手のむくみ、朝に目が腫れるような症状がある場合は、早めに受診してください。また、心臓の機能が低下した心不全でもむくみは起こります。
参考元『高血圧のむくみはなぜ起きる?原因と対策について徹底解説!』
高血圧に気づくための方法は
症状のない高血圧にどうやって気づけばいいのでしょうか?答えはシンプルで、「血圧を測る」こと以外に方法はありません。
家庭血圧の測り方(時間帯・姿勢・回数・記録の基本)
健康診断だけでなく、家で血圧を測る習慣をつけることがとても重要です。病院で測る血圧(診察室血圧)は、緊張などから普段より高くなること(白衣高血圧) や、逆に病院では正常なのに家では高いこと(仮面高血圧) があります。そのため、普段の血圧を知るために家庭での測定が推奨されています。
測定のタイミング
朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食・薬の前
夜:就寝前、入浴・飲酒・食後30分以上空けてから
姿勢と環境
背もたれのある椅子に背筋を伸ばして座る
足は組まず、床にしっかりつける
腕は心臓の高さに保ち、リラックスした状態で測定
測定前は1〜2分安静にする
測定回数と記録
朝・夜それぞれ2回ずつ測定し、平均を記録
数日〜1週間分を記録し、傾向を見る
手帳やスマホアプリでの記録がおすすめ
血圧計は
手首や指で測るタイプより、上腕(二の腕)で測るタイプが正確でおすすめです
参考元
測定値の読み方
血圧は「上の血圧(収縮期血圧)/ 下の血圧(拡張期血圧)」で表され、単位は「mmHg(ミリメートルエイチジー)」です。家庭で測った血圧の場合、上が135mmHg以上、または下が85mmHg以上だと、高血圧の可能性があります。診察室での基準(140/90mmHg以上) より少し低い値が目安になります。
参考元『高血圧治療ガイドライン2019』
健康診断
毎年の健康診断で測る血圧も、高血圧を発見する重要な機会です。健診で「血圧が高め」と言われた場合は、「一時的なもの」と思い込まず、家庭血圧の測定や再検査を必ず行いましょう。
参考元
どんな状態なら医療機関へ?受診の目安
自己判断で放置せず、状況に応じて受診しましょう。治療目標は年齢や病気の有無で変わるため、医師と相談して「自分の目標値」を決めることが大切です。
早めの受診が望ましいケース(繰り返し高い、家族歴あり、合併症リスク)
・家庭で135/85mmHg以上が続く
・診察室で140/90mmHg以上が繰り返し出る
・家族に脳卒中や心筋梗塞の方が多い
・糖尿病・腎臓病・脂質異常症・喫煙などのリスクがある
こうした方は早めに受診しましょう。一般的な目標は、75歳未満は130/80mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg未満(体調に合わせて個別化)です。
参考元
直ちに受診、救急を検討するケース
次のような症状がある場合は、高血圧緊急症や脳卒中、心筋梗塞など、命に関わる危険な状態の可能性があります。
・今までに経験したことのないような激しい頭痛
・ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない
・片方の手足が動かしにくい、しびれる
・経験したことのないような激しい胸の痛み、圧迫感
・意識がもうろうとする
すぐに医療機関を受診するか、救急車(119番)を呼ぶことを検討してください。
参考元『高血圧||国立循環器病研究センター』
高血圧は「症状がない今」が最大の予防チャンス
高血圧は症状が出にくいからこそ、気づかないうちに進行しやすい病気です。しかし、裏を返せば、症状がない健康なうちから対策を始めることが、将来の大きな病気を防ぐ最大のチャンスとも言えます。
参考元
『日本臨床内科医会|わかりやすい病気のおはなしシリーズ9 高血圧』
症状がなくても定期的に血圧を測る習慣をつける
朝と夜の測定を日課にして、記録を続けます。数字の変化が自分の体調の「言葉」になります。
生活習慣の改善
減塩(目標は1日6g未満)、野菜・果物でカリウムを補う、適正体重(BMI25未満)を目指す、息が弾む程度の有酸素運動を続ける、飲酒は控えめにして休肝日を設ける、そして禁煙。薬を使っていても生活習慣は土台です。
気になる症状があれば、自己判断せず早めに医療機関を受診する
「様子を見る」で手遅れになる前に、原因をはっきりさせましょう。薬の自己中断は危険です。減量や体調の改善で薬を減らせるかは、医師と一緒に判断します。
オンライン診療も活用しよう
忙しくてなかなか病院に行けない場合や、まずは気軽に相談したい場合に活用してみるのも良いでしょう。たとえば「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、予約・診療・服薬指導・薬の配送までをひとつのアプリで完結できるサービスです。通院と上手に組み合わせれば、無理なく継続できます。
「最近、頭痛やめまいがする…もしかして高血圧の初期症状?」そう不安に思われるかもしれませんが、高血圧が『初期症状』として自覚症状を引き起こすことは稀です。
高血圧の特徴は、初期症状がほとんど「ない」ことです。だからこそ「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれ、自覚がないまま血管を傷つけ、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めていきます。
高血圧は「症状がないから大丈夫」と見過ごすべきではありません。気づかないうちに合併症が進行している可能性もあるため、健康診断を受けたり、家庭で血圧を測ったりするなど、定期的に自分の血圧状態を確認し、必要に応じて医療機関で診察を受けることが大切です。少しでも不安を感じるような体の異変があれば、自己判断をせず、早めに受診してください。
この記事では、高血圧の重篤な状態に気づくヒントになりうる症状と、高血圧との関係について詳しく解説していきます。
高血圧に「初期症状」は本当にある?
結論から言えば、高血圧に特徴的な初期症状はほぼありません。多くの方が自覚症状のないまま血圧が上昇していきます。「痛みがない」「体調に問題がない」と安心しているうちに、知らず知らずのうちに合併症が進行してしまうリスクがある病気です。
参考元
医療現場では、高血圧症は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれています。症状が出ないうちに血管や臓器がダメージを受け、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった重大な疾患として発症することもあります。
参考元『高血圧||国立循環器病研究センター』
高血圧症の分類にはふたつのタイプがあります。原因がはっきりしない「本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつ)」と、腎臓の病気などの基礎疾患を原因とする「二次性高血圧」です。
日本人の多くの高血圧患者は原因のはっきりしない「本態性高血圧」といわれており、「二次性高血圧」の人の割合は10%~20%程度と言われます。
なぜ高血圧には「初期症状」がないのか?
血圧の上昇は徐々に進行し、神経を直接刺激するようなものではありません。静かに血管へ負担がかかり続けるため、身体が異変としてそれを「痛み」や「不調」として感知しづらいのです。このため、血圧が160mmHgや180mmHgといった高値でも、本人にとってはまったく自覚がないことがよくあります。
参考元
高血圧とは「血管」が常に張り詰めている状態
高血圧とは、心臓が送り出す血液に対し、血管が強く抵抗する状態を指します。つまり、血管の内側が絶えず高い圧力にさらされており、常に「張り詰めたゴムホース」のような状態です。
この状態が続くことで、血管の内皮(内側の壁)が傷つきやすくなり、微細な損傷が繰り返されていきます。しかし、血管には痛覚がないため、本人がそれを「感じる」ことはできません。
参考元『高血圧治療ガイドライン2019』
症状なく「動脈硬化」が進行する
高血圧が続くと、血管の壁が厚く硬くなる「動脈硬化」が進行します。動脈硬化は、脳・心臓・腎臓などの重要な臓器に栄養や酸素を届ける血管の働きを妨げ、次第に臓器機能にも悪影響を及ぼします。
この動脈硬化の進行もまた、ほとんどの場合で症状がありません。そして、ある日突然、血管が詰まったり破れたりすることで、命に関わる発作を起こすことがあります。
参考元
症状が出た時は「SOS」のサイン
もし何らかの症状が現れた場合、それは「高血圧のせいで体が壊れ始めたサイン」である可能性が高くなります。たとえば以下のようなものです。
・強い頭痛やめまい
・息切れ、動悸
・視界の異常やふらつき
・顔や手足のむくみ
単なる「血圧の高さ」ではなく、「命にかかわる疾患の前触れ」と捉え、放置せずすぐに医療機関を受診しましょう。
参考元『高血圧||国立循環器病研究センター』
高血圧を放置することで起こりえる合併症
高血圧は「血管の老化」を早め、全身の大切な臓器に影響します。合併症は突然の発作として現れることがあるため、発症前にリスクを下げることが重要です。
参考元
『循環器疾患について「高血圧」|大阪医科薬科大学 循環器内科』
脳の病気: 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)
高血圧は脳の血管に大きな負担をかけます。高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。血管の壁がもろくなったり詰まりやすくなったりすることで、以下のような脳卒中を引き起こします。
代表疾患と特徴的な症状
脳梗塞:血管が詰まり、脳への血流が途絶える
症状→片方の手足の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、言葉が理解できない、片方の目が見えにくくなる
脳出血:血管が破れて脳内に出血する
症状→突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害、片麻痺
くも膜下出血:動脈瘤が破裂し、命に関わる出血を起こす
症状→バットで殴られたような今までに経験したことのない激しい頭痛、意識を失う
これらは突然発症し、麻痺やしびれ、言葉のもつれなどの後遺症が残ったり、命を落とすこともあります。
心臓の病気: 心筋梗塞、狭心症、心不全
高血圧により心臓の血管(冠動脈)に負担がかかると、動脈硬化が進行しやすくなります。これにより以下のような病気が起こります。
代表疾患と特徴的な症状
狭心症:心臓の血流が一時的に不足する
症状→坂道や階段を上った時などに、胸が締め付けられるような痛みや圧迫感が出る(数分で治まることが多い)
心筋梗塞:血流が完全に途絶え、心筋が壊死する
症状→突然の激しい胸痛(30分以上続く)、冷や汗、吐き気、肩や顎への痛みの広がり(放散痛)
心不全:長期間の負荷で心臓が弱り、全身に血液を十分送れなくなる
症状→動悸や息切れ(特に横になると苦しい)、足のむくみ、疲れやすさ
心筋梗塞は突然死につながる恐れがあり、心不全は生活の質を著しく低下させます。
腎臓の病気: 腎硬化症、腎不全(透析につながる可能性)
腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する重要な臓器ですが、細い血管が張り巡らされているため高血圧のダメージを受けやすい構造になっています。
代表疾患と特徴的な症状
腎硬化症:血管が狭くなり、腎臓のろ過機能が低下する
症状→むくみ(特に足や顔)、尿量の変化(減少や泡立ち)、倦怠感、夜間頻尿
腎不全:腎臓の機能が著しく低下し、人工透析が必要になる場合も
症状→食欲不振、吐き気、皮膚のかゆみ、息切れ、むくみ、体重増加、集中力低下、顔色の悪化
自覚症状が乏しいまま進行し、気づいたときには腎機能の回復が困難な段階に達していることも多いのが腎疾患の特徴です。
目の病気: 高血圧性網膜症(失明のリスク)
目の奥にある網膜は、光を受け取って脳に視覚情報を伝える重要な器官で、非常に細かい血管が密集しています。高血圧が続くと、これらの血管に強い圧力がかかり、血管が破れやすくなったり、詰まりやすくなったりすることで、網膜の機能が障害されるのが「高血圧性網膜症」です。
高血圧性網膜症における主な症状
網膜出血:血管が破れて網膜内に出血が起こる
症状 → 黒い点や線が視界に浮かぶ(飛蚊症)、かすみ目、視力の低下
血管の狭窄や閉塞:網膜の細い血管が狭くなったり、詰まったりする
症状 → 視野の一部が欠ける、かすみ目、視力低下
いま対処するほど将来の負担が下がる
これらの合併症は、一度発症してしまうと元の状態に戻すのが難しい場合が多く、生活に大きな支障が出たり、長期的な治療が必要になったりします。症状がない「今」から血圧を管理することが、将来の健康を守るためにとても大切です。
「高血圧の初期症状」と間違われやすい症状
継続的に高い血圧にさらされると、血管や臓器が少しずつダメージを受け、最終的に症状として現れることがありますが、それは“初期”ではなく“ある程度進行した段階”の話です。
参考元
頭痛・頭重感
頭痛や頭の重さはよく見られる体調不良ですが、通常の高血圧が直接の原因となることは少ないとされています。ただし、急激に血圧が上昇した場合(例:高血圧緊急症)には、強い頭痛や吐き気、意識障害が起こることもあり、その場合は緊急対応が必要です。これは脳の血圧を調整する機能が追いつかなくなり、脳がむくむ(脳浮腫)ことなどが原因と考えられています。
日常的な頭痛は、高血圧とは別の緊張型頭痛や片頭痛、ストレスによるものが多いため、継続的に見られる場合は原因を見極めましょう。
めまい・ふらつき
高血圧による脳の血流変動が関与することもありますが、耳(三半規管)の異常、貧血、自律神経の乱れなど、他の原因のほうが圧倒的に多いとされています。立ち上がったときのふらつきや長時間のめまいは、高血圧の初期症状とは言い難く、別の疾患を疑うべきケースです。高血圧の治療薬の副作用として現れることもあります。
ただし、脳梗塞など重篤な疾患の前兆の場合もあり、症状が急激に現れたり長引く場合には、放置しないようにしましょう。
肩こり
「高血圧の人は肩がこる」とよく言われますが、医学的な因果関係ははっきりしていません。むしろ、肩こりは筋肉疲労や姿勢の悪さ、ストレスなどの要因が多く、直接的に血圧と関係づけることはできないのです。
ただし、精神的なストレスや緊張状態が続くと、血圧が上がりやすくなると同時に、筋肉も緊張して肩こりを引き起こすことは考えられます。
動悸・息切れ
これは高血圧の「初期症状」ではなく、進行した結果として心臓に異常が現れているサインと考えるべきです。長期間にわたり高血圧が続くと、心臓はより強く働く必要があり、心肥大や心不全の入り口となります。
動悸や軽い運動でもすぐに息切れするといった症状がある場合は、心臓が疲弊し始めているかもしれません。これは高血圧によって長期間心臓に負担がかかり続けた結果、心臓の筋肉が厚くなり(心肥大)、さらに心臓のポンプ機能が弱りはじめている(心不全の兆候)可能性があり、早急に循環器内科での診察が必要です。
耳鳴り
耳鳴りと高血圧の関連性については、明確な因果関係は確認されていませんが、一部では血流の変化や耳の毛細血管への影響が関係しているのではないかと考えられています。
しかし、加齢、騒音曝露、耳の病気(突発性難聴、メニエール病など)が原因となっていることが多いため、耳鳴りが続く場合は耳鼻科で相談しましょう。
参考元
むくみ
これも「初期症状」とは言えません。「塩分の取りすぎ」や「疲労」だけで起こることもありますが、高血圧が原因で腎臓の細い血管を傷つけ、腎臓の働きが悪くなり始めた可能性もあります。具体的には腎硬化症などの腎障害が進行している段階で見られる症状です。
結果として体に余分な水分がたまり、むくみが出ることがあります。足だけでなく顔や手のむくみ、朝に目が腫れるような症状がある場合は、早めに受診してください。また、心臓の機能が低下した心不全でもむくみは起こります。
高血圧に気づくための方法は
症状のない高血圧にどうやって気づけばいいのでしょうか?答えはシンプルで、「血圧を測る」こと以外に方法はありません。
家庭血圧の測り方(時間帯・姿勢・回数・記録の基本)
健康診断だけでなく、家で血圧を測る習慣をつけることがとても重要です。病院で測る血圧(診察室血圧)は、緊張などから普段より高くなること(白衣高血圧) や、逆に病院では正常なのに家では高いこと(仮面高血圧) があります。そのため、普段の血圧を知るために家庭での測定が推奨されています。
測定のタイミング
朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食・薬の前
夜:就寝前、入浴・飲酒・食後30分以上空けてから
姿勢と環境
背もたれのある椅子に背筋を伸ばして座る
足は組まず、床にしっかりつける
腕は心臓の高さに保ち、リラックスした状態で測定
測定前は1〜2分安静にする
測定回数と記録
朝・夜それぞれ2回ずつ測定し、平均を記録
数日〜1週間分を記録し、傾向を見る
手帳やスマホアプリでの記録がおすすめ
血圧計は
手首や指で測るタイプより、上腕(二の腕)で測るタイプが正確でおすすめです
参考元
測定値の読み方
血圧は「上の血圧(収縮期血圧)/ 下の血圧(拡張期血圧)」で表され、単位は「mmHg(ミリメートルエイチジー)」です。家庭で測った血圧の場合、上が135mmHg以上、または下が85mmHg以上だと、高血圧の可能性があります。診察室での基準(140/90mmHg以上) より少し低い値が目安になります。
参考元『高血圧治療ガイドライン2019』
健康診断
毎年の健康診断で測る血圧も、高血圧を発見する重要な機会です。健診で「血圧が高め」と言われた場合は、「一時的なもの」と思い込まず、家庭血圧の測定や再検査を必ず行いましょう。
参考元
どんな状態なら医療機関へ?受診の目安
自己判断で放置せず、状況に応じて受診しましょう。治療目標は年齢や病気の有無で変わるため、医師と相談して「自分の目標値」を決めることが大切です。
早めの受診が望ましいケース(繰り返し高い、家族歴あり、合併症リスク)
・家庭で135/85mmHg以上が続く
・診察室で140/90mmHg以上が繰り返し出る
・家族に脳卒中や心筋梗塞の方が多い
・糖尿病・腎臓病・脂質異常症・喫煙などのリスクがある
こうした方は早めに受診しましょう。一般的な目標は、75歳未満は130/80mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg未満(体調に合わせて個別化)です。
参考元
直ちに受診、救急を検討するケース
次のような症状がある場合は、高血圧緊急症や脳卒中、心筋梗塞など、命に関わる危険な状態の可能性があります。
・今までに経験したことのないような激しい頭痛
・ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない
・片方の手足が動かしにくい、しびれる
・経験したことのないような激しい胸の痛み、圧迫感
・意識がもうろうとする
すぐに医療機関を受診するか、救急車(119番)を呼ぶことを検討してください。
参考元『高血圧||国立循環器病研究センター』
高血圧は「症状がない今」が最大の予防チャンス
高血圧は症状が出にくいからこそ、気づかないうちに進行しやすい病気です。しかし、裏を返せば、症状がない健康なうちから対策を始めることが、将来の大きな病気を防ぐ最大のチャンスとも言えます。
参考元
症状がなくても定期的に血圧を測る習慣をつける
朝と夜の測定を日課にして、記録を続けます。数字の変化が自分の体調の「言葉」になります。
生活習慣の改善
減塩(目標は1日6g未満)、野菜・果物でカリウムを補う、適正体重(BMI25未満)を目指す、息が弾む程度の有酸素運動を続ける、飲酒は控えめにして休肝日を設ける、そして禁煙。薬を使っていても生活習慣は土台です。
気になる症状があれば、自己判断せず早めに医療機関を受診する
「様子を見る」で手遅れになる前に、原因をはっきりさせましょう。薬の自己中断は危険です。減量や体調の改善で薬を減らせるかは、医師と一緒に判断します。
オンライン診療も活用しよう
忙しくてなかなか病院に行けない場合や、まずは気軽に相談したい場合に活用してみるのも良いでしょう。たとえば「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、予約・診療・服薬指導・薬の配送までをひとつのアプリで完結できるサービスです。通院と上手に組み合わせれば、無理なく継続できます。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.
当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.
当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.
当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.
前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。






