高血圧の原因とは?2種の高血圧それぞれの原因を解説
原因による高血圧症の分類
高血圧は、その原因によって「本態性(ほんたいせい)高血圧症」と「二次性(にじせい)高血圧症」の2種類に分類されます。
原因がわかりづらい「本態性高血圧症」
特定の病気(原因)が見当たらないのに血圧が高い状態を指します。いわば「原因がハッキリしないタイプ」の高血圧です。高血圧患者さんの約90%がこの本態性高血圧症に該当すると言われています。厚生労働省の調査(令和5年)によれば、高血圧性疾患で治療を受けている患者数は約1,609万人にも上り、非常に身近な病気であることがわかります。
「原因が特定できない」とはいえ、何もないわけではありません。遺伝的な体質、食生活、運動習慣、ストレスなど、複数の要因が絡み合って血圧を上昇させている状態です。つまり、特定の病気があるわけではないものの、日常生活の中に血圧を上げる要素が複数存在しているということになります。
原因が特定しやすい「二次性高血圧症」
何か特定の病気や薬剤が原因となって引き起こされる高血圧です。高血圧患者さんの約10%がこのタイプとされています。腎臓の病気やホルモン分泌の異常など、具体的な疾患が血圧上昇を引き起こしています。
二次性高血圧症の重要なポイントは、原因となる疾患を治療することで高血圧そのものが改善したり、完治したりする可能性があることです。例えば、腎動脈の狭窄や副腎の腫瘍などが原因の場合、手術によって原因を取り除けば血圧が正常化することも期待できます。
「本態性高血圧症」の原因
本態性高血圧症は明確な原因疾患がないとはいえ、多くの場合は日々の生活習慣や体質的な要因が血圧上昇に関与しています。
参考元『本態性高血圧症の成因』
塩分過多・塩分受容性が高い
塩分を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が上昇します。体はそれを薄めようとして水分を蓄積するため、血液量が増えて血圧が上がる仕組みです。
日本人は塩分の影響を受けやすい体質の方が多く、塩分の摂りすぎは高血圧の最大の原因とされています。日本高血圧学会は食塩摂取量の目標を1日6g未満と定めていますが、日本人の平均摂取量は約10gと、依然として過剰な状態です。
肥満・内臓脂肪
太りすぎ、特に内臓脂肪型肥満は高血圧の大きな危険因子です。肥満の人は正常体重の人に比べて1.5〜2.5倍も高血圧になりやすいというデータがあります。
内臓脂肪が増えると、血糖値を調節する「インスリン」というホルモンが効きにくくなります。すると、体は「インスリンが足りない!」と勘違いし、効きにくい分を補おうと必要以上にインスリンを作り出してしまうのです。
この増えすぎたインスリンには、腎臓に対して「塩分や水分を体に溜め込む」ように命令してしまう働きもあります。その結果、体内の血液(水分)の量が増え、血管にかかる圧力が強くなり、血圧が上がってしまいます。
さらに、体が大きくなると、そのすみずみまで血液を送るために、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。この心臓のポンプの負担が増えることも、血圧をさらに上げてしまう原因になります。
過剰飲酒
お酒の飲み過ぎも高血圧の一因です。アルコールの大量摂取は交感神経を刺激して血管を収縮させたり、体内の水分・電解質バランスを崩したりすることで、高血圧を引き起こします。適度な飲酒量の目安は、成人男性で日本酒1合(ビール中瓶1本、ワイン2杯相当)以内、女性はその半分程度です。適量を超えた飲酒は明らかに高血圧のリスクを高めます。
精神的ストレス
精神的なストレスも高血圧の要因です。ストレスを感じると体は「戦闘モード」になり、交感神経が活発になります。その結果、心臓の拍動が速くなったり血管が収縮したりするため、血圧が上がります。
現代社会では仕事や勉強、人間関係などストレス要因も多いため、リラックスする時間を作ることが大切です。一時的な血圧上昇自体はストレスが解消されれば落ち着きますが、慢性的なストレス状態にあると交感神経が常に緊張して血圧が高い状態が続いてしまいます。
自私立神経の調節異常
私たちの体は自律神経によって無意識に血圧や心拍数が調整されています。この自律神経のバランスが崩れると、血管の収縮・拡張や心臓の拍動リズムのコントロールが乱れ、高血圧を招くことがあるのです。
例えば、更年期におけるホルモンバランスの変化で自律神経の働きが乱れると、急に血圧が上昇するケースがあります。また、過労や睡眠不足でも自律神経が乱れて血圧が不安定になることがあります。
運動不足
適度な運動には血管を拡張させる物質の分泌を促し、余分な塩分を排泄させる効果があります。そのため、運動不足も高血圧のリスク要因です。
運動不足だと血管の弾力性が失われたり、体に塩分や水分が溜まりやすくなったりして血圧が上がりやすくなります。また運動不足は肥満の原因にもなるため、間接的にも高血圧リスクを高めます。日常的にウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣を持つことが望ましいでしょう。
カリウム・ミネラル不足
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出するのを助ける働きがあります。野菜や果物に多く含まれるカリウムが不足すると、塩分が体外に出にくくなり、血圧が上がりやすくなります。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは、交感神経を強く刺激し、血管を急速に収縮させます。喫煙のたびに血圧は一時的に急上昇し、これを繰り返すことで血管が傷つき、動脈硬化(血管が硬くなること)が進行し、高血圧を悪化させます。動脈硬化が進むと血圧はさらに上がりやすくなるため、高血圧予防のためにも喫煙習慣はできるだけ避けるべきです。
「二次性高血圧症」の原因
本態性高血圧症とは異なり、原因となる病気が存在する高血圧です。原因を突き止め、その治療を行うことが重要です。
腎臓の疾患
腎臓は“体の水と塩分(ナトリウム)の出し入れを調整するフィルター”です。ここがうまく働かないと体に水と塩分がたまり、血液の量が増えます。さらに、腎臓が関わるホルモンが強く働くと血管が縮みやすくなり、血圧が上がる条件がそろうのです。逆に、高い血圧が続くと腎臓を傷めるので、腎臓と血圧は悪循環になりがちです。
腎臓が原因の高血圧には大きく二つの代表的なものがあり、どちらも「水と塩のたまりやすさ」や「血管が縮みやすい状態」をつくって血圧を押し上げます。
腎実質性高血圧
腎動脈狭窄症
内分泌系疾患
ホルモンは体の働きを調整する「伝達物質」のようなものです。このホルモンが出すぎたり足りなかったりすると、血圧が上がることがあります。
原発性アルドステロン症
褐色細胞腫
クッシング症候群
甲状腺やホルモンの異常
血管の病気
血液は“ホース(血管)”を通って全身に送られます。ホースが細くなる・固くなる・炎症で傷むと、流れにくくなり、血圧が上がることがあります。代表的なのが「大動脈縮窄症」と「大動脈炎症候群(高安動脈炎)」です。
大動脈縮窄症
大動脈炎症候群
その他
上記以外にも高血圧の原因となるものがあります。
薬剤によるもの
睡眠時無呼吸症候群
原因が当てはまる方は
「自分も高血圧かも?」と不安に思ったり、上記で挙げた原因に心当たりがあったりする場合は、どうすればよいのでしょうか。
受診・検査を
まず最も大切なのは、医療機関を受診し、医師の診断を受けることです。大多数は生活習慣の見直しと必要に応じた薬でコントロールできますが、中には二次性高血圧症が潜んでいる場合があります。
「若いのに血圧が高い」「急に悪化した」「薬を飲んでも下がらない」といったケースでは要注意です。放置せず専門医による検査・診断を受けてください。原因疾患が見つかればその治療が優先されますし、単なる生活習慣が原因であっても、医師の指導のもとで適切な対策を講じることが大切です。
オンライン診療の活用
高血圧は基本的に定期的な経過観察や長期の治療が必要な慢性疾患です。忙しくて通院が難しい方や、遠方に住んでいる方は、オンライン診療を上手に活用するのも一つの方法です。
最近ではスマホやパソコンを使って医師に相談できるオンライン医療サービスも普及してきました。
例えば、オンライン診療サービス「SOKUYAKU」なら、自宅や職場からスマートフォンやPCを通じて医師の診察を受け、必要に応じて薬を自宅に配送してもらうことも可能です。(※医師の判断により、対面受診が必要になる場合があります。)
自身で血圧をチェック
家庭で血圧を測定する習慣をつけましょう。高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように自覚症状がほとんどありませんが、毎日自分で血圧を測ることで早期に異常に気づけます。手首式より上腕式の血圧計の方が精度が高いとされていますので、使いやすいものを準備して継続することが大切です。
日本高血圧学会のガイドラインでも家庭血圧の測定を推奨しています。朝起きてすぐと就寝前の1日2回、安静時に血圧計で測り記録しておくと、自分の平常時の血圧の範囲が分かります。家庭血圧が135/85mmHg以上が続くようなら高血圧かもしれません。
生活習慣の改善
高血圧予防・改善の基本は生活習慣の見直しです。塩分の摂取量を控え(目標1日6g未満)、野菜や果物をしっかり摂ってカリウムを十分に補給しましょう。また、お酒はできれば控えめに、タバコは高血圧のみならず様々な疾患リスクを高めますのでこの機会に禁煙をおすすめします。
適正体重の維持(減量)も重要で、BMI25以上の方はエネルギー摂取を見直して少しずつ減量を目指してください。さらに、継続できる範囲で構いませんので定期的な運動習慣をつけましょう。
生活習慣の改善は最初は大変かもしれませんが、習慣化してしまえば高血圧だけでなく健康全般に良い影響が現れます。無理のない範囲で今日からできることを始めてみましょう。ただし、自己診断や治療は避け、専門的な評価を優先してください。
「血圧が高め」と聞くと、多くの方が生活習慣の問題を思い浮かべると思います。しかし、高血圧の原因はそれだけではありません。
実は、高血圧は大きく2つのタイプに分けられます。自分がどちらのタイプに当てはまる可能性があるのかを知ることは、高血圧の原因を探り、正しく対処するための第一歩です。
この記事では、それぞれの高血圧のタイプについて、その原因をわかりやすく解説していきます。
原因による高血圧症の分類
高血圧は、その原因によって「本態性(ほんたいせい)高血圧症」と「二次性(にじせい)高血圧症」の2種類に分類されます。
原因がわかりづらい「本態性高血圧症」
特定の病気(原因)が見当たらないのに血圧が高い状態を指します。いわば「原因がハッキリしないタイプ」の高血圧です。高血圧患者さんの約90%がこの本態性高血圧症に該当すると言われています。厚生労働省の調査(令和5年)によれば、高血圧性疾患で治療を受けている患者数は約1,609万人にも上り、非常に身近な病気であることがわかります。
「原因が特定できない」とはいえ、何もないわけではありません。遺伝的な体質、食生活、運動習慣、ストレスなど、複数の要因が絡み合って血圧を上昇させている状態です。つまり、特定の病気があるわけではないものの、日常生活の中に血圧を上げる要素が複数存在しているということになります。
原因が特定しやすい「二次性高血圧症」
何か特定の病気や薬剤が原因となって引き起こされる高血圧です。高血圧患者さんの約10%がこのタイプとされています。腎臓の病気やホルモン分泌の異常など、具体的な疾患が血圧上昇を引き起こしています。
二次性高血圧症の重要なポイントは、原因となる疾患を治療することで高血圧そのものが改善したり、完治したりする可能性があることです。例えば、腎動脈の狭窄や副腎の腫瘍などが原因の場合、手術によって原因を取り除けば血圧が正常化することも期待できます。
「本態性高血圧症」の原因
塩分過多・塩分受容性が高い
塩分を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が上昇します。体はそれを薄めようとして水分を蓄積するため、血液量が増えて血圧が上がる仕組みです。
日本人は塩分の影響を受けやすい体質の方が多く、塩分の摂りすぎは高血圧の最大の原因とされています。日本高血圧学会は食塩摂取量の目標を1日6g未満と定めていますが、日本人の平均摂取量は約10gと、依然として過剰な状態です。
肥満・内臓脂肪
太りすぎ、特に内臓脂肪型肥満は高血圧の大きな危険因子です。肥満の人は正常体重の人に比べて1.5〜2.5倍も高血圧になりやすいというデータがあります。
内臓脂肪が増えると、血糖値を調節する「インスリン」というホルモンが効きにくくなります。すると、体は「インスリンが足りない!」と勘違いし、効きにくい分を補おうと必要以上にインスリンを作り出してしまうのです。
この増えすぎたインスリンには、腎臓に対して「塩分や水分を体に溜め込む」ように命令してしまう働きもあります。その結果、体内の血液(水分)の量が増え、血管にかかる圧力が強くなり、血圧が上がってしまいます。
さらに、体が大きくなると、そのすみずみまで血液を送るために、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。この心臓のポンプの負担が増えることも、血圧をさらに上げてしまう原因になります。
過剰飲酒
お酒の飲み過ぎも高血圧の一因です。アルコールの大量摂取は交感神経を刺激して血管を収縮させたり、体内の水分・電解質バランスを崩したりすることで、高血圧を引き起こします。適度な飲酒量の目安は、成人男性で日本酒1合(ビール中瓶1本、ワイン2杯相当)以内、女性はその半分程度です。適量を超えた飲酒は明らかに高血圧のリスクを高めます。
精神的ストレス
精神的なストレスも高血圧の要因です。ストレスを感じると体は「戦闘モード」になり、交感神経が活発になります。その結果、心臓の拍動が速くなったり血管が収縮したりするため、血圧が上がります。
現代社会では仕事や勉強、人間関係などストレス要因も多いため、リラックスする時間を作ることが大切です。一時的な血圧上昇自体はストレスが解消されれば落ち着きますが、慢性的なストレス状態にあると交感神経が常に緊張して血圧が高い状態が続いてしまいます。
自私立神経の調節異常
私たちの体は自律神経によって無意識に血圧や心拍数が調整されています。この自律神経のバランスが崩れると、血管の収縮・拡張や心臓の拍動リズムのコントロールが乱れ、高血圧を招くことがあるのです。
例えば、更年期におけるホルモンバランスの変化で自律神経の働きが乱れると、急に血圧が上昇するケースがあります。また、過労や睡眠不足でも自律神経が乱れて血圧が不安定になることがあります。
運動不足
適度な運動には血管を拡張させる物質の分泌を促し、余分な塩分を排泄させる効果があります。そのため、運動不足も高血圧のリスク要因です。
運動不足だと血管の弾力性が失われたり、体に塩分や水分が溜まりやすくなったりして血圧が上がりやすくなります。また運動不足は肥満の原因にもなるため、間接的にも高血圧リスクを高めます。日常的にウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣を持つことが望ましいでしょう。
カリウム・ミネラル不足
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出するのを助ける働きがあります。野菜や果物に多く含まれるカリウムが不足すると、塩分が体外に出にくくなり、血圧が上がりやすくなります。
喫煙
タバコに含まれるニコチンは、交感神経を強く刺激し、血管を急速に収縮させます。喫煙のたびに血圧は一時的に急上昇し、これを繰り返すことで血管が傷つき、動脈硬化(血管が硬くなること)が進行し、高血圧を悪化させます。動脈硬化が進むと血圧はさらに上がりやすくなるため、高血圧予防のためにも喫煙習慣はできるだけ避けるべきです。
「二次性高血圧症」の原因
本態性高血圧症とは異なり、原因となる病気が存在する高血圧です。原因を突き止め、その治療を行うことが重要です。
腎臓の疾患
腎臓は“体の水と塩分(ナトリウム)の出し入れを調整するフィルター”です。ここがうまく働かないと体に水と塩分がたまり、血液の量が増えます。さらに、腎臓が関わるホルモンが強く働くと血管が縮みやすくなり、血圧が上がる条件がそろうのです。逆に、高い血圧が続くと腎臓を傷めるので、腎臓と血圧は悪循環になりがちです。
腎臓が原因の高血圧には大きく二つの代表的なものがあり、どちらも「水と塩のたまりやすさ」や「血管が縮みやすい状態」をつくって血圧を押し上げます。
腎実質性高血圧
腎実質性高血圧とは、腎臓そのものに病気があるために起こる高血圧の総称です。原因には、慢性糸球体腎炎、糖尿病腎症、のう胞腎、腎盂腎炎のあとなど、様々な腎疾患で見られます。
「腎実質」とは、腎臓の中で尿を実際につくっているメインの部分(組織)のことです。腎炎や腎不全などでこの「腎実質」の働きが悪くなると、体にとって不要な塩分や水分を尿としてうまく排出できなくなります。血液の量が増えると、それを排出しようと血圧を上げるホルモンが過剰に働くため血圧が上昇します。
腎動脈狭窄症
腎臓に血液を送る“給水管”にあたる腎動脈が細くなる病気のことです。腎臓は届く血液が減ると「血圧が足りない」と勘違いして血圧上昇ホルモン(レニン)をたくさん出します。連鎖的に血管を強く縮める仕組みが過剰に働いて、全身の血圧がぐっと上がります。
年齢が高い方では動脈硬化が原因になることがほとんどです。片側の腎動脈だけが狭くても起こります。若い女性では線維筋性異形成という体質的な病気が原因になることもあります。
内分泌系疾患
ホルモンは体の働きを調整する「伝達物質」のようなものです。このホルモンが出すぎたり足りなかったりすると、血圧が上がることがあります。
原発性アルドステロン症
腎臓の上にある「副腎(ふくじん)」という小さな臓器から、「アルドステロン」というホルモンが過剰に出てしまう病気です。アルドステロンは塩分(ナトリウム)と水分を体に溜め込む働きがあるため、血液の量が増えて血圧が上がります。
通常は腎臓が作るレニンという物質が指令を出してアルドステロンの量を調整していますが、この病気ではレニンが低いのにアルドステロンだけが高くなっているのが特徴です。原因は、副腎にできる良性の腫瘍(腺腫)や、副腎全体の働きが過剰になる状態(過形成)などがあります。二次性高血圧の中では最も多い原因のひとつです。
褐色細胞腫
副腎(またはその周辺)にできる腫瘍です。アドレナリンやノルアドレナリンなど、「緊張状態のときに出るホルモン(カテコラミン)」を過剰に作り出します。発作的に血圧が急上昇する、激しい頭痛、動悸、大量の発汗などの症状が特徴的です。高血圧全体の中ではまれな病気ですが、見つけて治療すれば血圧が大きく改善します。
クッシング症候群
コルチゾールという副腎のステロイドホルモンが過剰に分泌される病気です。原因は大きく2つあります。
①下垂体(脳の下にある小さな臓器)の腺腫がACTHというホルモンを出しすぎて、副腎を刺激するタイプ(これを特にクッシング病と呼びます)、②副腎そのものがコルチゾールを作りすぎるタイプです。
特徴的な症状として、満月様顔貌(顔が丸くなる)、お腹だけが太る中心性肥満、皮膚に赤紫色の線ができる(紫紅色線条)、筋力が低下するなどがあります。コルチゾールは塩分と水分を体に溜め込み、さらに血管をホルモンに反応しやすくする作用があるため、高血圧になりやすいのです。
甲状腺やホルモンの異常
首の前側にある「甲状腺」から甲状腺ホルモンが出すぎたり、不足したりする病気でも高血圧になることがあります。大切なのは、「高血圧」に加えて「ホルモン異常のサイン(急激な体重変化、脈が速い、むくみ、異常な発汗、手の震えなど)」が見られたら、早めに内分泌の検査を検討することです。
甲状腺ホルモンが過剰になる「甲状腺機能亢進症」では、心拍数が速くなり収縮期血圧(上の血圧)が上がりやすくなります。逆に甲状腺ホルモンが不足する「甲状腺機能低下症」では、血管が収縮しやすくなり拡張期血圧(下の血圧)が上がることがあります。
そのほかにも、先端巨大症(成長ホルモンの過剰分泌)や原発性副甲状腺機能亢進症(カルシウムのバランス異常)なども血圧に影響を与えるため注意しましょう。
血管の病気
血液は“ホース(血管)”を通って全身に送られます。ホースが細くなる・固くなる・炎症で傷むと、流れにくくなり、血圧が上がることがあります。代表的なのが「大動脈縮窄症」と「大動脈炎症候群(高安動脈炎)」です。
大動脈縮窄症
生まれつき、大動脈(心臓から出て全身へ向かう一番太い血管)の一部が急に細くなっている病気です。細い場所より先、つまりお腹から下に血が流れにくくなり、逆に細くなる手前(上半身)では血圧が高くなります。そのため、腕の血圧は高いのに、脚の血圧は低い、脈が弱いといった差が出ます。
大動脈炎症候群
高安動脈炎(たかやすどうみゃくえん)とも呼ばれる自己免疫疾患です。炎症で血管の壁が分厚くなり、狭くなる・詰まる・一部が広がってこぶ(動脈瘤)になることがあります。はじめは発熱・だるさなどかぜに似た症状だけのこともありますが、病気が進むと腕の脈が弱い、左右の腕で血圧が違う、首やあごがだるいなどの症状が出ます。
主に若い女性に多い、大動脈やその枝(頸動脈・腎動脈・腕や脚へ行く動脈)に炎症が起きる病気です。もし腎動脈が狭くなれば、「腎動脈狭窄症」と同じ仕組みで高血圧を引き起こします。
その他
上記以外にも高血圧の原因となるものがあります。
薬剤によるもの
薬や一部のサプリ・漢方が、血圧を上げてしまうことがあります。とくに多いのは、痛み止めのNSAIDs(イブプロフェン、ロキソニン®など)です。腎臓での水と塩分の排出を妨げたり、血管を広げる働きを弱めたりして、体に水分がたまって血圧が上がるのが理由です。
甘草を含む漢方・健康食品にも注意しましょう。体内のホルモンの働きが変わり、偽性アルドステロン症という状態になって高血圧+低カリウム血症を起こすことがあります。
そのほか、ステロイド(副腎皮質ホルモン)、カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン/タクロリムス)、エリスロポエチン製剤、エストロゲン(経口避妊薬など)、一部の抗うつ薬やMAO阻害薬、抗VEGF薬なども血圧を上げることがあります。
睡眠時無呼吸症候群
眠っているあいだにのどが狭くなって呼吸が止まる病気です。息が止まるたびに体は“非常事態モード”になり、交感神経(緊張のスイッチ)が過剰に働いて血圧が跳ね上がるため、夜間の高血圧や血圧の乱高下が起こります。
さらに寝ている間ずっと血圧が下がらず高止まりする「夜間高血圧」の状態にもなりやすいことが知られています。特徴は大きないびき、寝ている最中の「息が止まっている」指摘、朝のだるさや頭痛、日中の強い眠気などです。
原因が当てはまる方は
「自分も高血圧かも?」と不安に思ったり、上記で挙げた原因に心当たりがあったりする場合は、どうすればよいのでしょうか。
受診・検査を
まず最も大切なのは、医療機関を受診し、医師の診断を受けることです。大多数は生活習慣の見直しと必要に応じた薬でコントロールできますが、中には二次性高血圧症が潜んでいる場合があります。
「若いのに血圧が高い」「急に悪化した」「薬を飲んでも下がらない」といったケースでは要注意です。放置せず専門医による検査・診断を受けてください。原因疾患が見つかればその治療が優先されますし、単なる生活習慣が原因であっても、医師の指導のもとで適切な対策を講じることが大切です。
オンライン診療の活用
高血圧は基本的に定期的な経過観察や長期の治療が必要な慢性疾患です。忙しくて通院が難しい方や、遠方に住んでいる方は、オンライン診療を上手に活用するのも一つの方法です。
最近ではスマホやパソコンを使って医師に相談できるオンライン医療サービスも普及してきました。
例えば、オンライン診療サービス「SOKUYAKU」なら、自宅や職場からスマートフォンやPCを通じて医師の診察を受け、必要に応じて薬を自宅に配送してもらうことも可能です。(※医師の判断により、対面受診が必要になる場合があります。)
自身で血圧をチェック
家庭で血圧を測定する習慣をつけましょう。高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように自覚症状がほとんどありませんが、毎日自分で血圧を測ることで早期に異常に気づけます。手首式より上腕式の血圧計の方が精度が高いとされていますので、使いやすいものを準備して継続することが大切です。
日本高血圧学会のガイドラインでも家庭血圧の測定を推奨しています。朝起きてすぐと就寝前の1日2回、安静時に血圧計で測り記録しておくと、自分の平常時の血圧の範囲が分かります。家庭血圧が135/85mmHg以上が続くようなら高血圧かもしれません。
生活習慣の改善
高血圧予防・改善の基本は生活習慣の見直しです。塩分の摂取量を控え(目標1日6g未満)、野菜や果物をしっかり摂ってカリウムを十分に補給しましょう。また、お酒はできれば控えめに、タバコは高血圧のみならず様々な疾患リスクを高めますのでこの機会に禁煙をおすすめします。
適正体重の維持(減量)も重要で、BMI25以上の方はエネルギー摂取を見直して少しずつ減量を目指してください。さらに、継続できる範囲で構いませんので定期的な運動習慣をつけましょう。
生活習慣の改善は最初は大変かもしれませんが、習慣化してしまえば高血圧だけでなく健康全般に良い影響が現れます。無理のない範囲で今日からできることを始めてみましょう。ただし、自己診断や治療は避け、専門的な評価を優先してください。
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