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AGA治療は不妊に繋がる？妊活中・妊娠中にAGA治療をする場合の注意点について解説

監修医師　山下真理子

更新日：2024年05月31日

妊活中の男性がAGA治療薬「プロペシア」を用いる場合、有効成分であるフィナステリドは安全性が高いとされていますが、妊娠への影響あるいは胎児や赤ちゃんへの影響が心配されるかもしれません。

実際には、妊活中であっても、フィナステリドは使用可能です。ただ、注意点がいくつかあります。

本コラムでは、フィナステリドが妊活に与える影響を解説します。使用する男性だけではなく、女性にも注意点がありますので、妊活されている方は、男性女性ともに是非ご覧ください。

AGA治療は不妊に繋がる？

フィナステリドの服用に要注意

フィナステリドとは

フィナステリドは、代表的なAGA治療薬「プロペシア」の有効成分です。AGAの脱毛を抑制する作用を有します。

プロペシアは元来、前立腺肥大症の治療薬として開発されました。しかしながら、AGAに対しても有効でかつ安全であると評価され、現在では、AGA治療の第一選択薬として、世界中で使用されています。

フィナステリドは、2005年に日本でも薬事承認され、日本皮膚科学会のAGA治療ガイドラインでは、男性のAGAに対し推奨度Aとして強く勧められています。現在は、「プロペシア」のジェネリック医薬品である「フィナスリド錠」が、より安価な治療薬として販売されています。

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フィナステリドの効果効能

フィナステリドは、5α-リダクターゼの活性を阻害することで、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン（DHT）の産生を抑制し、それによって脱毛の原因となるTGF-βの産生を抑えます。5α-リダクターゼには1型と2型の2タイプがありますが、1型5α-リダクターゼより2型5α-リダクターゼの方がAGAに関係が深いとされます。前頭部や頭頂部には、2型5α-リダクターゼの方が多く存在しているからです。

フィナステリドは、特異的に2型5α-リダクターゼの活性を阻害する作用があるため、AGAの治療に有効です。

フィナステリドの副作用

性欲減退

フィナステリドの副作用はいくつか報告されていますが、最も頻度の高いのが性欲減退で、1〜5％で発現します。

妊活の際、「タイミング法」と呼ばれる方法で妊娠するには、排卵のタイミングで夫婦生活を持つため、男性は女性の排卵日に合わせて性欲を高める必要があります。

しかし、フィナステリドの副作用で性欲が減退すると、排卵のタイミングで夫婦生活を持つのが難しくなるかもしれません。

ED

フィナステリドの副作用の1つがEDですが、その頻度は1%未満です。

しかし、「プロペシアを飲むと、EDになるかもしれない」という精神的な原因によってED（心因性ED）を発症するかもしれません。

「病は気から」という諺もありますが、このように本来なら生じないはずの副作用が、本人の思い込みによって生じることがあります。このような現象を「ノセボ効果」と呼びます。

精液量の減少

精液量の減少も、フィナステリドの副作用として報告されています。

この副作用は、発現率が1％未満と非常に低い頻度ですが、妊活中の期間は心配事の1つになります。なお、フィナステリドの服用を中止すると精液量の減少が改善したという研究報告がなされています。

フィナステリドの女性への影響

ホルモンバランスの乱れの原因になる

フィナステリドは男性ホルモン（DHT）の産生を抑制することによって効果を発揮します。この男性ホルモンは女性の体内でも分泌されていますが、その量は男性の1/10程度にすぎません。

しかし、ホルモンはごく少量であっても、そのバランスが乱れると、吐き気や頭痛などの不調が生じる可能性があります。そのような予測できない体調の悪化を避けるため、女性がフィナステリドを服用するのは良くないこととされています。

胎児奇形の可能性がある

男性ホルモン（DHT）は胎児期に男性の外生殖器の形成に必須のホルモンです。もし男の子を妊娠している女性が服用し、女性体内でフィナステリドが胎児のDHTの産生を抑制すると、男子胎児の生殖器等の正常発育に悪影響を及ぼす可能性があります。

女性がフィナステリドを取り扱う場合の注意点

服用しないようにする

女性がフィナステリドを服用すると、体内でのホルモンバランスを崩す恐れがあることから、女性は服用しないようにしましょう。

特に、妊婦又は妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性には投与しないこととされています。フィナステリドは男性ホルモン（DHT）の体内濃度を低下させるため、男子胎児や男子乳児の生殖器等の正常発育に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

割れた錠剤に触れるのもNG

女性はフィナステリドに直接触れることも避けた方がいいでしょう。プロペシアの添付文書には、「粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性は取扱わないこと」と記載されています。したがって、男性が厳重にお薬の管理をする必要があります。

また、添付文書には、「本剤を分割・粉砕しないこと」とも書かれています。女性が、飛び散ったフィナステリドに直接触れる可能性があるからです。したがって、自己判断で錠剤を分割したり粉砕したりするのはやめましょう。

その他AGA治療薬「ミノキシジル」の妊活への影響

ミノキシジルもAGA治療薬の1つであり、血管拡張作用を有し、頭皮の血流を良くする効果があります。ミノキシジルは、男性の脱毛症以外に、広く女性の脱毛症にも使用されています。

ミノキシジルの作用は頭皮の血管を拡張することであって、男性ホルモンには作用しません。したがって、精液量の減少や性機能の低下などの副作用は生じないと考えられますので、妊活に対しては影響しないと思われます。

不安な場合は専門医に相談を

特に妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性は、服用すると胎児や赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れがあるため、服用しないでください。妊活中の男性のフィナステリドの服用で、心配事のある方は医師に相談してください。

普段は忙しく、通院時間を確保できない方は、オンライン診療がお勧めです。自宅や職場など遠隔地からでも予約や診察が可能ですので、是非ご活用ください。

まとめ

フィナステリドはAGA治療薬として安全性・有効性ともに証明されており、妊活している男性の服用も、特に問題ないとされています。しかし、やはり心配な面があるということから、休薬を考慮される男性もいます。

妊活については、パートナー同士でよく話し合って、その期間中、両者ともに納得できる選択肢を取ることがとても重要です。

SOKUYAKUオンラインクリニックは、オンラインでのAGA治療の診療サービスを実施しています。AGA治療の効果や副作用について、あるいは症状のお悩みや不安について、お気軽にご相談ください。

受付時間：平日10:00～19:00

監修医コメント

医師
山下真理子

AGA治療が若年者に拡がっていることで、AGA治療をしながら、不妊治療をうけたり妊活をしたいというひともいることでしょう。
ただ、AGAの投薬内容によっては、避妊が必要になるような場合もあります。
妊活と並行させて行なう治療が可能か場合もあるので、医師の判断をその都度あおぐ必要があります。
妊活したいという場合は、まずは生活習慣の是正など、自宅でできることから始めてもよいかもしれません。

この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。

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監修医師　山下真理子

くみこクリニック京都駅前院所属専門領域分類は美容皮膚科。京都府立医科大学医学部医学科卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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