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【医師監修】ニキビにステロイドは効く?悪化する?正しい使い方と注意点は

監修医師 鎌形 博展
更新日:2025年05月8日

更新日:2025年05月8日

【医師監修】ニキビにステロイドは効く?悪化する?正しい使い方と注意点はのイメージ
「ニキビにステロイドって効くの?」と疑問に思ったことはありませんか?赤く腫れたニキビに対して、炎症を抑える目的でステロイドを使いたくなるかもしれません。しかし、使用法を誤るとニキビが悪化するリスクもあるため注意が必要です。この記事では、ステロイド外用薬の基本的な仕組みから、ニキビへの影響、適切な使い方や注意点まで、医師の監修のもとで詳しく解説します。

ステロイド外用薬とは?

ステロイド外用薬は、湿疹やアトピー性皮膚炎などの炎症性の皮膚トラブルに広く使われる抗炎症作用を持つ塗り薬です。医療用医薬品として処方されるものと、一部は市販薬としても入手できるものがあります。皮膚に直接塗ることで、赤みやかゆみといった炎症症状を和らげる効果があります。

副腎皮質ホルモンを応用した薬

ステロイド外用薬に含まれる成分は「合成副腎皮質ホルモン」と呼ばれるもので、体の中にある副腎皮質という器官で自然に作られるホルモンをもとに開発されています。このホルモンは、炎症を抑える力を持っており、これを薬として外用できるように加工したものがステロイド外用薬です。

皮膚への働きは

ステロイド外用薬は、皮膚の炎症部分に直接作用します。炎症によって生じる赤み、腫れ、かゆみなどの症状を抑え、症状の悪化を防ぐのが主な役割です。

ステロイドの強さのランク

ステロイド外用薬は、強さのランクが定められています。医療機関で使われる薬は「ストロンゲスト(最強)」、「ベリーストロング(とても強い)」、「ストロング(強い)」、「ミディアム(中程度)」、「ウィーク(弱い)」の5段階に分かれ、症状の重さや塗る場所に応じて選ばれます。

 

顔など皮膚の薄い部分には弱めの薬を使い、手足や体など皮膚が厚い部分にはやや強めの薬が選ばれることが一般的です。

ステロイド外用薬の使い方

効果を最大限に引き出し安全に使うためには、塗り方や剤形ごとの使い分けについて正しい知識を持つことが大切です。

正しい塗り方

ステロイド外用薬は、「どれくらいの量を、どう塗るか」が重要です。基本の目安は「1FTU」と呼ばれる量で、これは大人の人差し指の第一関節までチューブから押し出した薬(約0.5g)になります。大人の手のひら約2枚分の範囲に塗るのに適しています。

 

塗る際は、薬を擦り込まずに、軽く伸ばすように塗布してください。薄く塗りすぎると効果が十分に得られないことがあるため、塗った部位がわずかに光る程度が目安です。

剤形による使い方

ステロイド外用薬には、クリーム、軟膏、ローション、スプレー、ジェルなど、さまざまな剤形があります。

 

たとえば、軟膏は油分が多く、乾燥した皮膚に適しています。一方、クリームはさらっとしており、顔や首など皮膚の薄い部位に使いやすいタイプです。ローションやスプレーは頭皮など毛のある部位に、ジェルはさらっとした使用感を好む場合に向いています。

 

剤形によって薬の吸収率や使用感も異なるため、自分の症状や部位に合ったものを選ぶことが大切です。わからない場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

ステロイドがニキビに与える影響

ここでは、ステロイドがニキビに与える影響やリスクについて解説します。

炎症を抑える効果

ステロイドは、赤く腫れた炎症性ニキビ(赤ニキビや膿ニキビ)に対して短期的に炎症を抑制する効果を示すことがあります。炎症がひどい場合、医師の判断で一時的に使用することがあります。しかし、これは対症療法であり、ニキビの根本治療ではないことを理解する必要があります。「炎症を抑えるだけ」であり、毛穴詰まりやアクネ菌の増殖といったニキビの根本的な原因には直接作用しません。

免疫抑制作用によるリスク

ステロイドには免疫反応を抑える作用もあります。これは炎症を抑える上では有効ですが、皮膚の局所免疫が低下することで、アクネ菌や他の細菌に対する抵抗力も下がってしまいます。結果として、ニキビが治りにくくなったり、かえって悪化したりすることがあります。

「ステロイドざ瘡」の発生

ステロイドざ瘡(ざそう)とは、ステロイドの長期または不適切な使用によって引き起こされるニキビ様の皮疹です。見た目は一般的なニキビに似ています。

ステロイドでニキビが悪化するケース

ステロイドには免疫を抑制する作用があるため、細菌による感染を起こしているニキビの場合は、悪化する恐れがあります。一時的に炎症は抑えられますが、長期間使用すると皮膚が薄くなったり、免疫が抑制されてかえってニキビができやすくなったりするリスクがあるため注意が必要です。

非炎症性、感染性ニキビに使用

白ニキビや黒ニキビといった、炎症を伴わない初期のニキビには、ステロイドの抗炎症作用はそもそも効果が見込めません。さらに、感染性のニキビに対してステロイドを使うと、免疫が抑制されることで細菌の増殖を促し、かえって症状を悪化させる可能性があります。

長期に使用

ステロイド外用剤は、本来短期間で効果を発揮し、症状が改善したら速やかに中止すべき薬です。しかし「症状が軽くなったから」と自己判断でだらだらと使い続けたり、慢性的に塗布していると、皮膚が薄くなる、毛細血管が浮き出るといった局所的な副作用が発生しやすくなります。

適切でない強さや量を使用

ステロイドには「ストロンゲスト」から「ウィーク」まで段階的な強さがあります。肌の状態や部位に合わない強さのステロイドを使うと、必要以上に皮膚に負担をかけてしまいます。また、使用量が多すぎると副作用のリスクが増し、逆に少なすぎると効果が不十分で長期使用につながり、結果的に副作用を引き起こす原因になります。皮膚の薄い部位や子どもが使用する場合は特に注意しましょう。

自己判断で中止する

ステロイド外用薬を一定期間使用した後、急に中止すると『リバウンド』と呼ばれる症状悪化が起こることがあります。特に顔や首などの敏感な部位では注意が必要です。中止する際は、使用頻度を徐々に減らす、あるいは弱いステロイドに切り替えるなど、医師の指導のもとで段階的に行うことが重要です。必ず医師に相談して、適切なタイミングと方法で中止することが大切です。

ステロイド以外でおすすめのニキビの塗り薬

ステロイドは主に炎症を抑える目的で使われますが、医師が特別な状況で短期的に使用を判断する場合があるものの、炎症性ニキビの標準治療ではありません。ここでは、ニキビの状態に応じて皮膚科で処方される主な外用薬について解説します。

過酸化ベンゾイル

アクネ菌を殺菌する効果があり、赤ニキビや黄ニキビの治療に効果的な薬剤です。日本では2.5%と5%の濃度があり、肌の状態によって使い分けられます。耐性菌が生じにくく、長期使用でも効果が持続するのが特徴になります。また、角質を剥離する作用を持ち、白ニキビや黒ニキビにも有効とされています。皮膚への刺激があるため、まずは保湿剤で肌を整えた上で少量から使用し、慣らしていきましょう。

アダパレン

レチノイド系薬剤の一種で、毛穴の正常な角化を促すことで毛穴詰まりを防ぎ、新たな白ニキビや黒ニキビの形成を抑える作用があるため、白ニキビ・黒ニキビの予防に効果的です。日本では0.1%製剤が使用され、夜間のみの使用が推奨されています。使用初期には乾燥やかゆみが出やすいため注意してください。使い続けることで皮膚が順応し、数週間で副作用は落ち着いてくることが一般的です。

過酸化ベンゾイル・アダパレン配合ゲル

赤ニキビが多い中等症以上の患者に処方されることがある薬剤で、過酸化ベンゾイルとアダパレンを組み合わせた治療効果の高い処方です。単剤よりも高い効果が期待できる一方で、刺激などの副作用も強くなる可能性があります。

抗菌剤

主に膿を伴う赤ニキビの治療に用いられます。嚢腫性ニキビに用いる場合もあります。

 

ニキビの種類ごとにまとめると以下のようになります。

白ニキビ・黒ニキビ(非炎症性):アダパレンや角質ケア製品が有効

赤ニキビ(炎症性):過酸化ベンゾイル、抗菌薬が有効

黄ニキビ(炎症性):抗菌薬、場合によっては排膿が必要。内服を行う場合もあります。

ステロイドに頼らないニキビを悪化させないため対処方法

ニキビを悪化させないためのスキンケア方法や生活習慣の見直しにも役に立つポイントを見ていきましょう。

スキンケアをする

正しいスキンケアは、ニキビ予防の基本です。洗顔は泡をしっかり立てて優しく洗い、摩擦や皮脂の落としすぎを避けましょう。保湿も重要で、肌が乾燥するとターンオーバーが乱れ毛穴詰まりを引き起こします。ニキビの有無に関係なく、化粧水でしっかり潤いを与え、乳液やゲルなどでうるおいを逃がさないよう蓋をしましょう。

バランスの良い食事を摂る

ビタミンA・B群・C・E、亜鉛、たんぱく質、食物繊維などの栄養素をバランスよく取り入れることで、肌の修復と新陳代謝が促されます。動物性脂肪や糖質の摂りすぎは皮脂分泌を増やし、ニキビを悪化させることがあるため注意してください。1日3食を規則正しく、さまざまな食材を意識して食事に取り入れましょう。

睡眠をしっかりとる

良質な睡眠は肌の回復に欠かせません。成長ホルモンが分泌される深い眠り(ノンレム睡眠)は、入眠後3時間以内に訪れるため、毎日同じ時間に就寝し、睡眠のリズムを整えることが重要です。就寝前のスマートフォン使用を控え、ぬるめの入浴やストレッチなどでリラックスする習慣をつけると、深い睡眠が得られやすくなります。

ストレスをためない

ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させニキビを悪化させます。完全に避けることは難しくても、アロマやストレッチ、入浴、軽い運動など、自分に合った方法でストレスを発散することが大切です。精神的なゆとりが肌の回復力にもつながります。

皮膚科を受診する

ニキビにステロイドを使うと、一時的に赤みが引いても、悪化することがあります。感染がある場合や使い方を誤った場合は、かえって症状が悪化しやすくなります。自己判断せず、まずは皮膚科で正しい治療を受けましょう。

自己判断でステロイドをニキビに使う前に、皮膚科を受診しよう

市販薬で対応する前に、一度専門医に相談することが、肌を守るための最も確実な方法です。ニキビにステロイドを使っていいのか迷ったら、まず皮膚科を受診しましょう。

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まとめ

ステロイドには強い抗炎症作用がありますが、通常はニキビへの使用は不適切なので、医師の指導のもとでの慎重な判断が必要です。特に顔面では副作用リスクが高く、ニキビ専用の治療薬(過酸化ベンゾイルやアダパレンなど)を優先的に検討すべきです。使い方を誤ると、症状の悪化や副作用の原因になりかねません。自己判断で使うのではなく、症状に応じた適切な治療を選ぶことが大切です。炎症が強い、あるいは長引いている場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。ニキビの改善には、正確な知識と専門的な判断が不可欠です。

コメント 「ニキビにステロイド薬を使うべき?」この疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。赤く炎症を起こしたニキビを早く治したい一心で、ステロイド薬に手を伸ばしてしまいがち。しかし、その判断が逆効果になることも…。
本記事では、ステロイド外用薬の基本から、ニキビへの効果と注意点、そして本当に効果的なニキビ治療法まで、徹底解説しました。自己判断による肌トラブルを防ぎ、あなたのニキビ悩みを根本から解決するための正しい知識を身につけましょう。忙しい方には便利なオンライン診療の活用もお勧めです。

監修医コメント

医師
鎌形 博展

「ニキビにステロイド薬を使うべき?」この疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。赤く炎症を起こしたニキビを早く治したい一心で、ステロイド薬に手を伸ばしてしまいがち。しかし、その判断が逆効果になることも…。
本記事では、ステロイド外用薬の基本から、ニキビへの効果と注意点、そして本当に効果的なニキビ治療法まで、徹底解説しました。自己判断による肌トラブルを防ぎ、あなたのニキビ悩みを根本から解決するための正しい知識を身につけましょう。忙しい方には便利なオンライン診療の活用もお勧めです。

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監修医師 鎌形 博展
株式会社EN 代表取締役兼CEO、医療法人社団季邦会 理事長
社会医学系専門医指導医・日本医師会認定健康スポーツ医・日本災害医学会コーディネーションサポートチーム
薬学部卒業後、中外製薬株式会社を経て、北里大学医学部に学士編入。卒後は都立多摩総合医療センターを経て、東京医科大学病院 救命救急センター 後期研修医(現在、非常勤医師)。慶應義塾大学大学院経営管理研究科で医療政策を学び、東北大学発医療AIベンチャー 創業社員・経営企画室長、東京大学大学院工学系研究科学術支援専門職員を経て、2019年うちだ内科医院(街のクリニック立川・村山)を承継開業、2020年医療法人社団季邦会 理事長に就任、2021年街のクリニック日野・八王子開業、2024年街のクリニック大船こども院・高血圧といびきの内科神保町駅前を開業。
2023年に株式会社ENを創業し、Med-Pro Doctorsを運営。医師の転職、バイト探し、開業、承継開業を支援。京セラ・Donuts・Mediencer等で多数の医療事業の開発を支援している。

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