花粉症に効く食べ物はある?症状をやわらげる成分と正しい対策【医師監修】
<span id="h2-1">「花粉症に効く食べ物」ってある?食事だけで治る?</span>
「これを食べれば明日治る」という魔法のような食材は、残念ながら医学的に証明されていません。国立健康・栄養研究所も、特定の食品だけで病気が治るという根拠は乏しいと注意を促しています。
しかし、食事が無意味なわけではありません。体は食べたもので作られているため、栄養状態はアレルギー反応に影響します。
食事の目的を「完治」から「症状が出にくい体づくり(体調管理)」に切り替えることが、正しい対策のスタートです。
食事は「治療」ではなく、体調管理を支える“補助”
つらい症状には、まず医師による抗ヒスタミン薬や舌下免疫療法などの適切な治療が必要です。これに対して食事の役割は、あくまで治療の“補助”になります。
わかりやすく言うなら、薬は「燃え盛る火(症状)を消す消火器」で、食事は「火が燃え広がりにくい家(体)を作る土台」です。即効性はなくても、毎日の積み重ねがシーズンの苦しみをやわらげるための重要なアプローチと言えます。
炎症を「広げる食事」と「鎮める食事」がある
花粉症は、免疫システムが暴走して起こる「炎症」です。食事には、この炎症の火に油を注ぐものと、鎮める手助けをするものがあります。
乱れた食生活は免疫バランスを崩し、過剰な反応を引き起こしかねません。逆に、炎症を抑える働きが期待される栄養をバランスよく摂ることは、体の防衛反応を落ち着かせるサポートになります。「何を食べるか」で、体の中の戦況を変えていきましょう。
<span id="h2-2">免疫のカギは「腸」!食事で変わる体のバリア機能</span>
鼻水や目のかゆみなのに、なぜお腹の話?と思うかもしれません。ウイルスや花粉と戦う免疫システムの司令塔は、「腸」にあります。
花粉症は免疫の暴走です。この過剰な反応を落ち着かせるには、免疫細胞が集まる腸の環境を整えることが、遠回りのようで一番の近道です。
鼻や目の症状なのに「腸内環境」が大事なワケ
腸は、食べ物を吸収するだけでなく、体の防御に関わる免疫細胞が多く集まる「腸管免疫」の中心です。腸内細菌のバランスが乱れると、免疫の調整がうまくいかず、炎症が起こりやすい状態になることがあります。
花粉症は抗体(IgE/ige)が関与するアレルギー反応なので、腸内環境を整えて過剰な免疫反応を起こしにくくすることは、症状対策の土台になります。
ここで重要なのが腸内細菌です。善玉菌が優勢で環境が良いと免疫は冷静に働きますが、環境が荒れると免疫がパニックになり、無害な花粉まで「敵だ!」と攻撃してしまいます。お腹の調子を整えることは、免疫系の正常な働きを取り戻すことにつながるのです。
食事パターンが“炎症の起こりやすさ”に影響しうる
免疫細胞たちが冷静に働ける環境を作るにはどうすればいいのでしょうか。ここで関わってくるのが、私たちの毎日の食事です。
食物繊維(野菜・海藻など)が少ない食事や、脂っこい食事ばかり続けていると、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れ、悪玉菌が増えやすくなります。すると、腸の壁にある細胞の隙間がゆるみ、そこから有害な物質が入り込んで、全身の炎症を引き起こしやすい状態を作ってしまうことがわかっています。
「花粉症だから鼻の治療」というだけでなく、「炎症を起こしにくい体質にするために、今日のランチを選ぶ」という視点を持つことが、つらい季節を乗り切るための戦略です。食物繊維や発酵食品をしっかり摂る食事は、腸内のバリア機能を強化し、免疫の暴走(作用)を抑える手助けをしてくれます。
<span id="h2-3">研究で注目される「症状緩和に役立つかもしれない」栄養素と食品</span>
ここからは、研究で「アレルギー症状をやわらげる可能性」が示唆されている食品や栄養素を紹介します。あくまで「治療の補助」ですが、スーパーで買える身近なものばかりです。
【ヨーグルト】菌との相性が命。自分に合う選び方
ヨーグルト(プロバイオティクス)は最も研究が進んでいる分野の一つです。2022年に国際的な免疫学誌『Frontiers in Immunology』で発表された解析結果では、プロバイオティクスを摂取したグループで「鼻症状や生活の質(QOL)の改善」が認められました。
ただし、日本アレルギー学会も指摘するように、菌の種類(菌株)や量によって結果は異なります。「誰にでも効く菌」はありません。まずは2週間ほど試し、お腹の調子が整う感覚があるかを見極めましょう。キムチ等の発酵食品も含め、腸内の善玉菌を育てる意識が大切です。
参考元『Frontiers in Immunology (2022) プロバイオティクスとアレルギー性鼻炎の症状・QOLに関するメタ解析』
『日本アレルギー学会(JSA) アレルギー性鼻炎 Q&A(プロバイオティクスや代替医療への見解)』
【食物繊維】野菜や果物が「腸のバリア」を応援
食物繊維には、水溶性と不溶性があり、どちらも腸内細菌のバランス(腸内細菌叢)や腸のバリア機能に関係します。水溶性は善玉菌のエサになりやすく、短鎖脂肪酸の産生を後押しし、不溶性は便のかさを増やして腸の動きを助けます。
野菜やきのこ類、ごぼうなどの根菜に含まれる食物繊維は、単なるお通じ対策ではありません。食物繊維をエサにして腸内細菌が作り出す「短鎖脂肪酸」という物質に、免疫の暴走(過剰反応)を強力に抑制する働きがあることが、近年の免疫研究で明らかになっています。
毎日の食事に野菜料理をプラスし、体の中で「天然の炎症止め」を作らせることが、バリア機能の強化につながります。野菜、きのこ類、ごぼうに加えて、手軽に増やすならヨーグルトにきな粉を足すなどの工夫もおすすめです。
※2024年に東京理科大学がThe Journal of Immunologyで発表した研究では、短鎖脂肪酸がアレルギー反応を引き起こすマスト細胞の働きを直接抑えることが示されています。『短鎖脂肪酸がアレルギーを抑制する作用機構を解明~アレルギーに対する食物繊維の有効性を分子レベルで実証~|東京理科大学』
【ビタミンD】日光不足に注意!免疫調整の栄養素
ビタミンD(ビタミンd)は、カルシウムだけでなく免疫調整の要です。2025年の『Medicina』誌などのシステマティックレビュー(複数の研究をまとめた解析)でも、ビタミンDの摂取がアレルギー性鼻炎の症状改善に関連する可能性が示されています。
参考元『Medicina (2025) ビタミンD補給とアレルギー性鼻炎の影響に関するシステマティックレビュー&メタ解析』
現代人は日光不足でこの栄養素が足りていないことが多く、それが症状悪化の一因とも言われます。魚類(サケなど)や干し椎茸、サプリメントを活用し、体内濃度を保つことが重要です。
【オメガ3】青魚のサラサラ成分。炎症と戦う油
脂質のとり方は、体内で作られる炎症物質のバランスに関わるため、花粉症シーズンの体調管理にも影響します。
イワシやサンマなどの青魚に多いのがオメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)です。EPA(epa)・DHA(dha)ともに不飽和脂肪酸の一種になります。
魚が苦手な人は、まず揚げ物やスナック菓子など“油が多い食品”を控えたうえで、間食をナッツ類に置き換えるのも一案です(※脂質が多いので食べ過ぎ注意)。
花粉症の鼻づまりや血管拡張を引き起こすのは「ロイコトリエン」などの炎症物質ですが、オメガ3はこの物質が作られるのを邪魔する働き(競合阻害)を持っています。
逆に、サラダ油やスナック菓子に多いオメガ6脂肪酸は炎症を促進するため、このバランスを変えることが、医学的メカニズムに基づいた対策となります。
単品より「全体のバランス」。それが一番の近道
どれか一つを大量に食べるのではなく、幅広く摂ることも大切です。
お茶類
カカオ
<span id="h2-4">逆効果になることも:花粉症シーズンに注意したい食事・飲み物</span>
「花粉症に良い食べ物」を一生懸命食べていても、一方で症状を悪化させるものを摂っていては努力が水の泡です。この時期は、普段なら平気な食べ物が、くしゃみや鼻水の引き金になることがあります。避けるべき「NG行動」を知っておきましょう。
鼻づまりが悪化?「お酒×花粉」の相性
アルコールは鼻粘膜の血管を拡張させ、鼻づまりが悪化しやすいため、つらい時期は控えめが無難です。ワインやビールなどの醸造酒には、かゆみの原因物質であるヒスタミンが含まれていることも多く、火に油を注ぐようなものです。つらい時期だけでも、アルコールを控えてみましょう。
コンビニ・脂っこい食事は、炎症を招く「腸の大敵」
忙しい時に頼りがちなのがコンビニ弁当やスナック菓子です。これらに多く使われる油(リノール酸など)は、摂りすぎると体内の炎症を促進させてしまいます。先ほど紹介した「オメガ3」とは正反対の作用です。
また、脂っこい食事は腸内細菌のバランスを崩し、アレルギーへの抵抗力を下げてしまいます。手軽な食事で済ませる時も、揚げ物よりはおにぎりや和惣菜を選ぶなど、油の質と量を意識するだけで体への負担は大きく変わります。
【重要】果物で口がかゆい?「口腔アレルギー」の正体
「花粉症に良いから」と生の野菜や果物を積極的に食べていたら、なぜか口の中がピリピリしたり、喉がイガイガしたりした経験はありませんか?
それは「気のせい」ではなく、花粉症に関連した「口腔アレルギー症候群(PFAS)」かもしれません。花粉と食べ物のタンパク質の形が似ているために起こる過剰反応(交差反応)です。
この口腔アレルギー症候群は、OAS(oas)とも呼ばれ、花粉と食べ物のタンパク質の形が似ている「関係(交差反応)」で起こります。なお、原因タンパク質は加熱で変性しやすいものも多く、「生はダメでも加熱したら食べられる」ケースもあります(ただし個人差があるため無理は禁物です)。
● スギ花粉症の方:トマトなど
● シラカバ花粉症の方:リンゴ、モモなど
● ブタクサ花粉症の方:メロン、スイカ など
● ヨモギ花粉症の方:セロリ など
特定の食べ物で違和感を感じたら、無理せず食べるのをやめて医師に相談しましょう。「ヘルシーだから大丈夫」という思い込みは禁物です。
<span id="h2-5">危険:「スギ花粉を食べる」等の健康食品・民間療法は避けて</span>
花粉症がつらいあまり、「スギ花粉を食べると免疫がついて治るらしい」といった噂や、怪しい健康食品に飛びつきたくなるかもしれません。しかし、自己判断でのアレルゲン摂取は、効果がないどころか、命に関わる危険性があります。
安易な民間療法には絶対に近づかないでください。
「慣れさせる」は間違い。アナフィラキシーの危険
「毒をもって毒を制す」のように、花粉を食べて体を慣れさせようとする考え方は非常に危険です。過去には、スギ花粉を含む健康食品を摂取した人が、全身に蕁麻疹が出たり、呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こしたりした健康被害が報告されており、厚生労働省も注意喚起を行っています。
病院で行う治療(免疫療法)は、計算された微量を医師の厳重な管理下で投与するから安全なのです。食品として不確定な量を食べる行為は、火薬を口に入れるようなものだと心得ましょう。
「天然由来=安全」の思い込みを捨てよう
「天然成分だから体に優しい」「薬じゃないから副作用はない」という言葉も、鵜呑みにしてはいけません。スギ花粉も漆(ウルシ)も、トリカブトの毒もすべて「天然由来」です。
アレルギー体質の方は、濃縮された成分に対して敏感に反応してしまうことがあります。インターネット上の「奇跡のサプリ」のような広告に惑わされず、口に入れるものは慎重に選んでください。
<span id="h2-6">食事だけで何とかしない:医療との上手な付き合い方</span>
花粉症は、体質や環境も関わるアレルギー性の疾患です。食事は体調管理の助けになりますが、症状が強いときは医療を優先しましょう。
どんなに完璧な食生活をしていても、飛んでいる花粉の量が多ければ症状は出ます。つらい時は無理をせず、医師の力を借りてください。
病院でできる「免疫療法」
花粉症そのものに対する一般的な予防接種(ワクチン)で一発で防ぐ方法が確立しているわけではありません。根本治療としては医師管理下で行うアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など)が中心です。
これは、体を少しずつアレルゲン(花粉エキス)に慣れさせ、体質そのものを変えていく治療です。3年〜5年ほどの期間が必要ですが、「薬がいらなくなった」「症状が劇的に軽くなった」という方が増えています。興味がある方は、耳鼻咽喉科やアレルギー科のクリニックで相談してみましょう。
つらい症状は我慢せず、薬+食事
「薬に頼りたくない」と限界まで我慢してしまう方もいますが、炎症を放置するのは逆効果です。粘膜がどんどん敏感になり、症状がこじれてしまう悪循環に陥りかねません。
今は、眠くなりにくい抗ヒスタミン薬や、使いやすい点鼻薬など、薬も増えています。まずは受診してつらい症状を抑え、その上で食事による体調管理を取り入れる。「医療で守り、食事で整える」という2つの対策を組み合わせることが、春を乗り切る一番の近道です。
<span id="h2-7">ヨーグルトはいつ?サプリは?食事対策の疑問Q&A</span>
「体に良いのはわかったけれど、具体的にどうすればいいの?」という疑問にお答えします。タイミングや注意点を知って、無駄なく効果的な対策をしましょう。
花粉症に効く食べ物は「いつから」食べる?
理想的なスタート時期は、花粉が飛び始める「1ヶ月〜3ヶ月前」です。たとえば春のスギ花粉なら、年明けあるいは年末から意識し始めましょう。
食事によって腸内細菌のバランスが変わり、体質への変化を感じられるまでには、少なくとも数週間から数ヶ月の時間がかかります。試験の前日に詰め込んでも点数が伸びないのと同じで、体づくりも事前の準備期間が勝負を分けます。
もちろん、シーズンに入ってから始めても遅すぎるということはありません。
ヨーグルトはいつ食べるといい?
おすすめのタイミングは「食後」です。
乳酸菌やビフィズス菌の多くは酸に弱く、空腹時の強い胃酸にさらされると、腸に届く前に死んでしまうことがあるからです。食事をして胃酸が薄まったタイミングであれば、善玉菌が生きたまま腸に届きやすくなります。
また、朝食べるか夜食べるかよりも重要なのは「毎日続けること」です。菌は腸に定着しにくいため、毎日摂取して常に援軍を送り続ける必要があります。
サプリに頼っていい?注意点は?
基本は毎日の食事ですが、どうしても不足しがちな栄養素(ビタミンDやオメガ3など)をサプリメントで補うのはおすすめです。
ただし、「たくさん飲めば効く」というのは間違いです。特に特定の成分を過剰に摂りすぎると、逆に健康を害することもあります。
パッケージに書かれた目安量を必ず守りましょう。また、病院で薬を処方されている場合は、飲み合わせに問題がないか必ず医師や薬剤師に確認してください。
食べ物で悪化するサインは?
特定の野菜や果物を食べた直後に、唇が腫れたり、口の中がピリピリしたり、喉がイガイガしたりした場合は要注意です。これは前述した「口腔アレルギー」の可能性が高く、体が「これ以上食べないで!」と警告を出しているサインです。
「花粉症に効く成分が入っているから」と無理して食べ続けると、症状が悪化したり、時には呼吸が苦しくなったりする危険もあります。少しでも違和感を感じたら、すぐに食べるのを中止してください。
<span id="h2-8">まとめ:食事は「体調管理」の味方。つらい時は無理せずプロを頼ろう</span>
食事は「魔法」ではありませんが、毎日の積み重ねは決して裏切りません。薬で今ある症状を抑えつつ、食事で体の内側からバリア機能を高める。この「医療」と「食事」の両輪こそが、つらい花粉シーズンを乗り切る一番の近道です。
春はスギ花粉症が注目されがちですが、季節が進むとブタクサやヨモギの花粉が放出される時期に入り、鼻炎や鼻づまり、くしゃみ、鼻水が長引く方もいます。自分が反応する花粉(スギ花粉症だけなのか、他の花粉も関係するのか)を知ることも、対策の精度を上げるポイントです。
まずは「腸内環境」と「バランス」から!できる範囲でコツコツと
「毎日完璧な食事をしなきゃ」と気負う必要はありません。まずはコンビニのおにぎりにサラダを足してみる、おやつをヨーグルトに変えてみる。そんな小さな工夫が、免疫の要である「腸内環境」を整えていきます。
無理をせず、自分のできる範囲でバランスの良い食事をコツコツ続けることが、来年の、そして将来のあなたの体を強くする一番の投資になります。
病院に行く時間がない…そんな時は「オンライン診療」も
「病院に行きたいけど、忙しくて時間がない」「待ち時間が長くて行くのが億劫」という方も多いはずです。市販薬でなんとなく誤魔化している間に、症状が悪化してしまうかもしれません。
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つらい症状を我慢して生活の質を落とす前に、こうした便利なサービスに頼って、快適な春を取り戻しましょう。
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春の気配を感じると同時にやってくる、止まらないくしゃみや鼻水、目のかゆみ。毎年この季節を憂鬱に感じる方もいるでしょう。テレビやSNSでは「〇〇を食べれば治る」「ヨーグルトが最強」といった情報が飛び交っていますが、本当に食事だけであのつらい症状が消えるのでしょうか。
花粉症の鼻水・くしゃみ・かゆみは、集中力や睡眠にも影響し、日常生活に支障が出ることも少なくありません。だからこそ「治す」ではなく、症状を和らげるための現実的な対策を積み重ねていきましょう。
この記事では、公的なデータを元に、食べ物が花粉症に与える本当の影響を解説します。即効性のある魔法の食材はありませんが、食事は間違いなく「体調管理」の強い味方です。薬だけに頼らず、体の内側から免疫を整える正しい対策を一緒に見ていきましょう。
「花粉症に効く食べ物」ってある?食事だけで治る?
「これを食べれば明日治る」という魔法のような食材は、残念ながら医学的に証明されていません。国立健康・栄養研究所も、特定の食品だけで病気が治るという根拠は乏しいと注意を促しています。
しかし、食事が無意味なわけではありません。体は食べたもので作られているため、栄養状態はアレルギー反応に影響します。
食事の目的を「完治」から「症状が出にくい体づくり(体調管理)」に切り替えることが、正しい対策のスタートです。
食事は「治療」ではなく、体調管理を支える“補助”
つらい症状には、まず医師による抗ヒスタミン薬や舌下免疫療法などの適切な治療が必要です。これに対して食事の役割は、あくまで治療の“補助”になります。
わかりやすく言うなら、薬は「燃え盛る火(症状)を消す消火器」で、食事は「火が燃え広がりにくい家(体)を作る土台」です。即効性はなくても、毎日の積み重ねがシーズンの苦しみをやわらげるための重要なアプローチと言えます。
炎症を「広げる食事」と「鎮める食事」がある
花粉症は、免疫システムが暴走して起こる「炎症」です。食事には、この炎症の火に油を注ぐものと、鎮める手助けをするものがあります。
乱れた食生活は免疫バランスを崩し、過剰な反応を引き起こしかねません。逆に、炎症を抑える働きが期待される栄養をバランスよく摂ることは、体の防衛反応を落ち着かせるサポートになります。「何を食べるか」で、体の中の戦況を変えていきましょう。
免疫のカギは「腸」!食事で変わる体のバリア機能
鼻水や目のかゆみなのに、なぜお腹の話?と思うかもしれません。ウイルスや花粉と戦う免疫システムの司令塔は、「腸」にあります。
花粉症は免疫の暴走です。この過剰な反応を落ち着かせるには、免疫細胞が集まる腸の環境を整えることが、遠回りのようで一番の近道です。
鼻や目の症状なのに「腸内環境」が大事なワケ
腸は、食べ物を吸収するだけでなく、体の防御に関わる免疫細胞が多く集まる「腸管免疫」の中心です。腸内細菌のバランスが乱れると、免疫の調整がうまくいかず、炎症が起こりやすい状態になることがあります。
花粉症は抗体(IgE/ige)が関与するアレルギー反応なので、腸内環境を整えて過剰な免疫反応を起こしにくくすることは、症状対策の土台になります。
ここで重要なのが腸内細菌です。善玉菌が優勢で環境が良いと免疫は冷静に働きますが、環境が荒れると免疫がパニックになり、無害な花粉まで「敵だ!」と攻撃してしまいます。お腹の調子を整えることは、免疫系の正常な働きを取り戻すことにつながるのです。
食事パターンが“炎症の起こりやすさ”に影響しうる
免疫細胞たちが冷静に働ける環境を作るにはどうすればいいのでしょうか。ここで関わってくるのが、私たちの毎日の食事です。
食物繊維(野菜・海藻など)が少ない食事や、脂っこい食事ばかり続けていると、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れ、悪玉菌が増えやすくなります。すると、腸の壁にある細胞の隙間がゆるみ、そこから有害な物質が入り込んで、全身の炎症を引き起こしやすい状態を作ってしまうことがわかっています。
「花粉症だから鼻の治療」というだけでなく、「炎症を起こしにくい体質にするために、今日のランチを選ぶ」という視点を持つことが、つらい季節を乗り切るための戦略です。食物繊維や発酵食品をしっかり摂る食事は、腸内のバリア機能を強化し、免疫の暴走(作用)を抑える手助けをしてくれます。
研究で注目される「症状緩和に役立つかもしれない」栄養素と食品
ここからは、研究で「アレルギー症状をやわらげる可能性」が示唆されている食品や栄養素を紹介します。あくまで「治療の補助」ですが、スーパーで買える身近なものばかりです。
【ヨーグルト】菌との相性が命。自分に合う選び方
ヨーグルト(プロバイオティクス)は最も研究が進んでいる分野の一つです。2022年に国際的な免疫学誌『Frontiers in Immunology』で発表された解析結果では、プロバイオティクスを摂取したグループで「鼻症状や生活の質(QOL)の改善」が認められました。
ただし、日本アレルギー学会も指摘するように、菌の種類(菌株)や量によって結果は異なります。「誰にでも効く菌」はありません。まずは2週間ほど試し、お腹の調子が整う感覚があるかを見極めましょう。キムチ等の発酵食品も含め、腸内の善玉菌を育てる意識が大切です。
参考元『Frontiers in Immunology (2022) プロバイオティクスとアレルギー性鼻炎の症状・QOLに関するメタ解析』
『日本アレルギー学会(JSA) アレルギー性鼻炎 Q&A(プロバイオティクスや代替医療への見解)』
【食物繊維】野菜や果物が「腸のバリア」を応援
食物繊維には、水溶性と不溶性があり、どちらも腸内細菌のバランス(腸内細菌叢)や腸のバリア機能に関係します。水溶性は善玉菌のエサになりやすく、短鎖脂肪酸の産生を後押しし、不溶性は便のかさを増やして腸の動きを助けます。
野菜やきのこ類、ごぼうなどの根菜に含まれる食物繊維は、単なるお通じ対策ではありません。食物繊維をエサにして腸内細菌が作り出す「短鎖脂肪酸」という物質に、免疫の暴走(過剰反応)を強力に抑制する働きがあることが、近年の免疫研究で明らかになっています。
毎日の食事に野菜料理をプラスし、体の中で「天然の炎症止め」を作らせることが、バリア機能の強化につながります。野菜、きのこ類、ごぼうに加えて、手軽に増やすならヨーグルトにきな粉を足すなどの工夫もおすすめです。
※2024年に東京理科大学がThe Journal of Immunologyで発表した研究では、短鎖脂肪酸がアレルギー反応を引き起こすマスト細胞の働きを直接抑えることが示されています。『短鎖脂肪酸がアレルギーを抑制する作用機構を解明~アレルギーに対する食物繊維の有効性を分子レベルで実証~|東京理科大学』
【ビタミンD】日光不足に注意!免疫調整の栄養素
ビタミンD(ビタミンd)は、カルシウムだけでなく免疫調整の要です。2025年の『Medicina』誌などのシステマティックレビュー(複数の研究をまとめた解析)でも、ビタミンDの摂取がアレルギー性鼻炎の症状改善に関連する可能性が示されています。
参考元『Medicina (2025) ビタミンD補給とアレルギー性鼻炎の影響に関するシステマティックレビュー&メタ解析』
現代人は日光不足でこの栄養素が足りていないことが多く、それが症状悪化の一因とも言われます。魚類(サケなど)や干し椎茸、サプリメントを活用し、体内濃度を保つことが重要です。
【オメガ3】青魚のサラサラ成分。炎症と戦う油
脂質のとり方は、体内で作られる炎症物質のバランスに関わるため、花粉症シーズンの体調管理にも影響します。
イワシやサンマなどの青魚に多いのがオメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)です。EPA(epa)・DHA(dha)ともに不飽和脂肪酸の一種になります。
魚が苦手な人は、まず揚げ物やスナック菓子など“油が多い食品”を控えたうえで、間食をナッツ類に置き換えるのも一案です(※脂質が多いので食べ過ぎ注意)。
花粉症の鼻づまりや血管拡張を引き起こすのは「ロイコトリエン」などの炎症物質ですが、オメガ3はこの物質が作られるのを邪魔する働き(競合阻害)を持っています。
逆に、サラダ油やスナック菓子に多いオメガ6脂肪酸は炎症を促進するため、このバランスを変えることが、医学的メカニズムに基づいた対策となります。
単品より「全体のバランス」。それが一番の近道
どれか一つを大量に食べるのではなく、幅広く摂ることも大切です。
お茶類
緑茶のカテキンや甜茶のポリフェノールには、動物実験レベル等で抗アレルギー作用が報告されています。たとえばルイボスティーにもポリフェノール(タンニンなど)が含まれます。
カカオ
チョコレートのカカオポリフェノールも、炎症に関わる細胞の働きを抑えるという報告があります。
これらをバランスよく摂り、「炎症に負けない体」の土台を固めていきましょう。
逆効果になることも:花粉症シーズンに注意したい食事・飲み物
「花粉症に良い食べ物」を一生懸命食べていても、一方で症状を悪化させるものを摂っていては努力が水の泡です。この時期は、普段なら平気な食べ物が、くしゃみや鼻水の引き金になることがあります。避けるべき「NG行動」を知っておきましょう。
鼻づまりが悪化?「お酒×花粉」の相性
アルコールは鼻粘膜の血管を拡張させ、鼻づまりが悪化しやすいため、つらい時期は控えめが無難です。ワインやビールなどの醸造酒には、かゆみの原因物質であるヒスタミンが含まれていることも多く、火に油を注ぐようなものです。つらい時期だけでも、アルコールを控えてみましょう。
コンビニ・脂っこい食事は、炎症を招く「腸の大敵」
忙しい時に頼りがちなのがコンビニ弁当やスナック菓子です。これらに多く使われる油(リノール酸など)は、摂りすぎると体内の炎症を促進させてしまいます。先ほど紹介した「オメガ3」とは正反対の作用です。
また、脂っこい食事は腸内細菌のバランスを崩し、アレルギーへの抵抗力を下げてしまいます。手軽な食事で済ませる時も、揚げ物よりはおにぎりや和惣菜を選ぶなど、油の質と量を意識するだけで体への負担は大きく変わります。
【重要】果物で口がかゆい?「口腔アレルギー」の正体
「花粉症に良いから」と生の野菜や果物を積極的に食べていたら、なぜか口の中がピリピリしたり、喉がイガイガしたりした経験はありませんか?
それは「気のせい」ではなく、花粉症に関連した「口腔アレルギー症候群(PFAS)」かもしれません。花粉と食べ物のタンパク質の形が似ているために起こる過剰反応(交差反応)です。
この口腔アレルギー症候群は、OAS(oas)とも呼ばれ、花粉と食べ物のタンパク質の形が似ている「関係(交差反応)」で起こります。なお、原因タンパク質は加熱で変性しやすいものも多く、「生はダメでも加熱したら食べられる」ケースもあります(ただし個人差があるため無理は禁物です)。
● スギ花粉症の方:トマトなど
● シラカバ花粉症の方:リンゴ、モモなど
● ブタクサ花粉症の方:メロン、スイカ など
● ヨモギ花粉症の方:セロリ など
特定の食べ物で違和感を感じたら、無理せず食べるのをやめて医師に相談しましょう。「ヘルシーだから大丈夫」という思い込みは禁物です。
危険:「スギ花粉を食べる」等の健康食品・民間療法は避けて
花粉症がつらいあまり、「スギ花粉を食べると免疫がついて治るらしい」といった噂や、怪しい健康食品に飛びつきたくなるかもしれません。しかし、自己判断でのアレルゲン摂取は、効果がないどころか、命に関わる危険性があります。
安易な民間療法には絶対に近づかないでください。
「慣れさせる」は間違い。アナフィラキシーの危険
「毒をもって毒を制す」のように、花粉を食べて体を慣れさせようとする考え方は非常に危険です。過去には、スギ花粉を含む健康食品を摂取した人が、全身に蕁麻疹が出たり、呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こしたりした健康被害が報告されており、厚生労働省も注意喚起を行っています。
病院で行う治療(免疫療法)は、計算された微量を医師の厳重な管理下で投与するから安全なのです。食品として不確定な量を食べる行為は、火薬を口に入れるようなものだと心得ましょう。
「天然由来=安全」の思い込みを捨てよう
「天然成分だから体に優しい」「薬じゃないから副作用はない」という言葉も、鵜呑みにしてはいけません。スギ花粉も漆(ウルシ)も、トリカブトの毒もすべて「天然由来」です。
アレルギー体質の方は、濃縮された成分に対して敏感に反応してしまうことがあります。インターネット上の「奇跡のサプリ」のような広告に惑わされず、口に入れるものは慎重に選んでください。
食事だけで何とかしない:医療との上手な付き合い方
花粉症は、体質や環境も関わるアレルギー性の疾患です。食事は体調管理の助けになりますが、症状が強いときは医療を優先しましょう。
どんなに完璧な食生活をしていても、飛んでいる花粉の量が多ければ症状は出ます。つらい時は無理をせず、医師の力を借りてください。
病院でできる「免疫療法」
花粉症そのものに対する一般的な予防接種(ワクチン)で一発で防ぐ方法が確立しているわけではありません。根本治療としては医師管理下で行うアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など)が中心です。
これは、体を少しずつアレルゲン(花粉エキス)に慣れさせ、体質そのものを変えていく治療です。3年〜5年ほどの期間が必要ですが、「薬がいらなくなった」「症状が劇的に軽くなった」という方が増えています。興味がある方は、耳鼻咽喉科やアレルギー科のクリニックで相談してみましょう。
つらい症状は我慢せず、薬+食事
「薬に頼りたくない」と限界まで我慢してしまう方もいますが、炎症を放置するのは逆効果です。粘膜がどんどん敏感になり、症状がこじれてしまう悪循環に陥りかねません。
今は、眠くなりにくい抗ヒスタミン薬や、使いやすい点鼻薬など、薬も増えています。まずは受診してつらい症状を抑え、その上で食事による体調管理を取り入れる。「医療で守り、食事で整える」という2つの対策を組み合わせることが、春を乗り切る一番の近道です。
ヨーグルトはいつ?サプリは?食事対策の疑問Q&A
「体に良いのはわかったけれど、具体的にどうすればいいの?」という疑問にお答えします。タイミングや注意点を知って、無駄なく効果的な対策をしましょう。
花粉症に効く食べ物は「いつから」食べる?
理想的なスタート時期は、花粉が飛び始める「1ヶ月〜3ヶ月前」です。たとえば春のスギ花粉なら、年明けあるいは年末から意識し始めましょう。
食事によって腸内細菌のバランスが変わり、体質への変化を感じられるまでには、少なくとも数週間から数ヶ月の時間がかかります。試験の前日に詰め込んでも点数が伸びないのと同じで、体づくりも事前の準備期間が勝負を分けます。
もちろん、シーズンに入ってから始めても遅すぎるということはありません。
ヨーグルトはいつ食べるといい?
おすすめのタイミングは「食後」です。
乳酸菌やビフィズス菌の多くは酸に弱く、空腹時の強い胃酸にさらされると、腸に届く前に死んでしまうことがあるからです。食事をして胃酸が薄まったタイミングであれば、善玉菌が生きたまま腸に届きやすくなります。
また、朝食べるか夜食べるかよりも重要なのは「毎日続けること」です。菌は腸に定着しにくいため、毎日摂取して常に援軍を送り続ける必要があります。
サプリに頼っていい?注意点は?
基本は毎日の食事ですが、どうしても不足しがちな栄養素(ビタミンDやオメガ3など)をサプリメントで補うのはおすすめです。
ただし、「たくさん飲めば効く」というのは間違いです。特に特定の成分を過剰に摂りすぎると、逆に健康を害することもあります。
パッケージに書かれた目安量を必ず守りましょう。また、病院で薬を処方されている場合は、飲み合わせに問題がないか必ず医師や薬剤師に確認してください。
食べ物で悪化するサインは?
特定の野菜や果物を食べた直後に、唇が腫れたり、口の中がピリピリしたり、喉がイガイガしたりした場合は要注意です。これは前述した「口腔アレルギー」の可能性が高く、体が「これ以上食べないで!」と警告を出しているサインです。
「花粉症に効く成分が入っているから」と無理して食べ続けると、症状が悪化したり、時には呼吸が苦しくなったりする危険もあります。少しでも違和感を感じたら、すぐに食べるのを中止してください。
まとめ:食事は「体調管理」の味方。つらい時は無理せずプロを頼ろう
食事は「魔法」ではありませんが、毎日の積み重ねは決して裏切りません。薬で今ある症状を抑えつつ、食事で体の内側からバリア機能を高める。この「医療」と「食事」の両輪こそが、つらい花粉シーズンを乗り切る一番の近道です。
春はスギ花粉症が注目されがちですが、季節が進むとブタクサやヨモギの花粉が放出される時期に入り、鼻炎や鼻づまり、くしゃみ、鼻水が長引く方もいます。自分が反応する花粉(スギ花粉症だけなのか、他の花粉も関係するのか)を知ることも、対策の精度を上げるポイントです。
まずは「腸内環境」と「バランス」から!できる範囲でコツコツと
「毎日完璧な食事をしなきゃ」と気負う必要はありません。まずはコンビニのおにぎりにサラダを足してみる、おやつをヨーグルトに変えてみる。そんな小さな工夫が、免疫の要である「腸内環境」を整えていきます。
無理をせず、自分のできる範囲でバランスの良い食事をコツコツ続けることが、来年の、そして将来のあなたの体を強くする一番の投資になります。
病院に行く時間がない…そんな時は「オンライン診療」も
「病院に行きたいけど、忙しくて時間がない」「待ち時間が長くて行くのが億劫」という方も多いはずです。市販薬でなんとなく誤魔化している間に、症状が悪化してしまうかもしれません。
そんな時に便利なのが、スマホ一つで医師の診察が受けられる「オンライン診療」です。たとえば『SOKUYAKU(ソクヤク)』のようなサービスを使えば、自宅や隙間時間に診察を受けられ、処方薬を家まで届けてもらえます。
つらい症状を我慢して生活の質を落とす前に、こうした便利なサービスに頼って、快適な春を取り戻しましょう。
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