【2025年版】高血圧を改善する6つの方法|血圧を下げる生活習慣と目標値の目指し方
高血圧を放置するリスク|なぜ改善が必要なのか
高血圧とは、血液が血管の壁を押す圧力(血圧)が、ずっと高い状態が続いていることです 。症状がないからといって放置していると、常に強い力で押され続けている血管は、次第に傷つき、硬く、もろくなってしまいます。
高血圧の初期症状として、頭痛、めまい、肩こりなどが現れることがありますが、多くの場合は自覚症状がなく突如深刻な合併症を引き起こすため”サイレントキラー”と呼ばれています。
高血圧が引き起こす合併症とその危険性
高血圧が引き起こす代表的な合併症を紹介します。
動脈硬化
脳卒中
心筋梗塞
その他
オンライン診療「SOKUYAKU」の詳細はコチラ
目標とする血圧値
数値
用語解説
高血圧改善の第一歩|家庭で正しい血圧測定を
高血圧を改善するために、初めにすべきことは「正しい血圧の測定」です。
病院で測る血圧だけでなく、リラックスした状態の「家庭血圧」を記録することが非常に重要です。
参考元
『健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 厚生労働省』
大切なのは”家庭血圧"の記録
高血圧の改善のために重要なのは家庭血圧です。
理由としては、高血圧の診断を受けた方は24時間に渡って血圧が適切にコントロールされているかどうかを確認し適切な治療に結び付ける必要があるからです。
また、家庭のリラックスした状態と病院での計測は、以下のようにズレることがあるためです。
白衣高血圧
病院では緊張して血圧が上がってしまうが、家庭では正常な状態
仮面高血圧
病院では正常なのに、家庭や職場では血圧が高い状態
目標とする家庭血圧の目安は125/75mmHg未満
2025年の日本高血圧学会ガイドラインでは、診察室での目標が130/80mmHg未満、家庭での目標が125/75mmHg未満に統一されました。
より早く、軽度の段階からの対策が重要とされており、家庭血圧はその指標として欠かせません。
適切な血圧計選び
家庭用の血圧計は、腕(上腕)にカフ(腕帯)を巻くタイプを選びましょう 。手首式は使いやすそうに見えますが、姿勢や測定条件によって誤差が出やすく、正確性に劣ります。
購入時には、日本高血圧学会の「認証マーク」や医療機関で勧められている製品かどうかを確認してください。表示が大きく見やすいもの、メモリー機能があるものだと記録がしやすくなります。
測定のタイミングと方法
血圧は時間帯によって変動します。正しい測定のためには、タイミングを守ることが重要です。
朝:起床後1時間以内。トイレの後、朝食や薬を飲む前
夜:就寝前、入浴や飲酒の前に
測定時は、背もたれのある椅子に座り、足を組まず、1〜2分安静にした後に測ってください。腕は心臓と同じ高さに保ちましょう。1回だけでなく、1回の機会に2回測ってその平均を記録するのが理想です。
アプリやノートに記録を残す習慣をつけることで、医師との情報共有もスムーズになります。
参考元
『一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 特定非営利活動法人日本高血圧学会 特定非営利活動法人日本高血圧協会 認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML』
高血圧を改善する6つの方法
血圧を下げるためには、生活習慣の見直しが不可欠です 。これから紹介する6つの方法を、無理のない範囲で組み合わせて実践してみましょう。
ただし、すでに高血圧の診断を受けていて、血圧が安定していれば生活習慣の指導については個々人の体質や、何を優先するべきかは専門医に指導をもらったほうが良いでしょう。
このようなケースでは生活習慣のアドバイスをオンライン診療で受けることは可能なケースもありえますので活用を検討されてみてください。
オンライン診療「SOKUYAKU」についてはコチラ
血圧を下げる方法①|食生活の見直し
毎日の食事は、血圧を上げも下げもします。
高血圧の方は血圧を下げる食べ物のポイントを押さえ、少しずつ食生活を改善していくことで、血圧改善につながることがあります。
この後の段落では注意点、具体的に避けるべき食事・食材の例を取り上げていきます。
減塩
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といった、小さな工夫から始めましょう。味が薄く感じる場合は、だし・香辛料・柑橘の酸味を活用して、風味を出すのがおすすめです。
DASH食(ダッシュ食)
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カリウムの多い食品
血圧を下げる方法②|おすすめの運動
「運動で血圧が下がる」と聞いても、実際にどのような運動をすれば良いのか、ピンとこない人も多いかもしれません。
しかし、日常の中に少しずつ取り入れられる運動を続けるだけで、血圧を自然に下げる効果が期待できます。特に有効とされるのが、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせです。
有酸素運動
筋力トレーニング
血圧を下げる方法③|飲酒の節制
お酒を飲むと「リラックスして血圧が下がる」と思われがちですが、実はそのあとに血圧が上昇しやすくなります。
習慣的に多くのアルコールをとっている人ほど、血圧が高くなる傾向があるため、飲酒の量や頻度を見直すことが血圧管理においてとても重要です。
1日の適量
降圧剤とアルコールの組み合わせは危険な場合も
血圧を下げる方法④|適正体重の維持
太っていると血液の量が増え、心臓がより強い力で血液を送り出さなければならなくなり、それが血圧の上昇につながります。
内臓脂肪が多いタイプの肥満は、血管を収縮させる物質が多く分泌されることもわかっており、高血圧の大きな要因となります。
目標の体重(BMI)
適正体重を実現するために大切なこと
血圧を下げる方法⑤|睡眠とストレス管理
体をしっかり休めることは、血圧を安定させるうえで欠かせません。睡眠の質や日中のストレスは、自律神経に影響を与え、それが血圧に直結します。忙しい日々の中でも、心と体のリズムを整える意識が、結果的に血管を守ることにつながるのです。
十分な睡眠をとる
ストレス管理
血圧を下げる方法⑥|禁煙
タバコが健康に悪いことはよく知られていますが、血圧との関係は深刻です。喫煙すると、ニコチンが交感神経を刺激して血管を強く収縮させ、心拍数と血圧がともに上昇します。つまり、タバコを吸うたびに血管は「ギュッ」と締めつけられ、内側が傷ついていくのです。
しかもこの影響は、加熱式タバコや電子タバコでもほとんど変わりません。タバコの煙には、動脈硬化を進行させる成分も含まれており、高血圧がある人にとってはまさに“火に油”を注ぐようなものです。
うまく禁煙を目指すには
まとめ|高血圧を改善するには
高血圧の改善は、一日で成し遂げられるものではなく、日々の積み重ねが大切です。鍵となるのは「継続」です。
生活習慣の見直し
この記事で紹介したように、血圧を下げる方法は特別なものではありません。減塩、栄養バランスの取れた食事、運動、適度な飲酒、良質な睡眠、禁煙など、どれも生活の中で実践できることばかりです。
そして、どの対策も「1つだけ」で効果を出そうとするのではなく、少しずつ、いくつかを組み合わせていくことで、体への負担を減らしながら血圧を安定させていくことができます。薬に頼る前にできることがたくさんある…それが高血圧の生活改善の強みです。
記録をつけること
血圧のコントロールにおいて、「測ること」はとても大きな意味を持ちます。家庭用の血圧計を使って、朝と夜の2回、なるべく毎日記録をつけるようにしましょう。数値が高い日があっても慌てる必要はありません。平均的な傾向を見て、少しずつ整えていけば良いのです。
血圧記録を続けることで、自分の体調のリズムや変化に気づきやすくなり、医師との相談にも役立ちます。「記録=自己管理の第一歩」として、ぜひ習慣にしてみてください。
完璧を目指さない
どんなに体に良いことでも、がんばりすぎてしまうと続きません。忙しい日や気分が乗らない日だって当然あります。そんなときは、「今日はできなかった」よりも、「また明日からやればいい」と気持ちを切り替えることのほうが大切です。
完璧を目指すのではなく、“まあまあ良い”を積み重ねていきましょう。無理せず、でもあきらめずに続けていくことが、血圧を改善する最大のコツです。
不安な時は
生活習慣を見直していても、思ったように血圧が下がらなかったり、逆に高くなったりすることもあるかもしれません。そんなときは、ひとりで悩まず、医師という専門家に相談してください。特に、すでに降圧薬を使っている方は、自分だけで判断せず、治療計画を一緒に立ててもらうことが安心につながります。
忙しくてなかなか病院に行けない場合は、オンライン診療などを活用するのも一つの方法です。例えば「SOKUYAKU」のようなサービスを利用すれば、スマホ一つで完結します。自宅や職場から医師の診察を受け、必要に応じて薬を配送してもらうことも可能です。
どんなに小さな不安でも、誰かに聞いてもらえることが、次の行動につながります。高血圧は「治療」だけでなく「理解とサポート」で乗り越えていくものです。
オンライン診療 SOKUYAKUとは
日本では高血圧の推計患者数は約4300万人にものぼると言われています。
この高血圧は自覚症状がほとんどないという厄介な疾患です。しかし、自覚症状がないからと放置してしまうと、心臓や脳、腎臓などにダメージがたまり、ある日突然に重篤な病状を引き起こすこともあり、このことから別名“サイレントキラー”とも呼ばれます。
薬による治療も大切ですが、高血圧は生活習慣の見直しで予防や改善が期待できます。
「血圧が高めで心配」「薬以外にも注意が必要と聞いたが具体的にはどうすればよいかわからない・忘れてしまった」、本稿ではそんな方の疑問を解消していきます。
具体的には血圧を下げるために有効とされる6つの生活習慣等をわかりやすく解説します。今日から始められる高血圧を改善する第一歩として、ぜひ参考にしてください。
高血圧を放置するリスク|なぜ改善が必要なのか
高血圧とは、血液が血管の壁を押す圧力(血圧)が、ずっと高い状態が続いていることです 。症状がないからといって放置していると、常に強い力で押され続けている血管は、次第に傷つき、硬く、もろくなってしまいます。
高血圧の初期症状として、頭痛、めまい、肩こりなどが現れることがありますが、多くの場合は自覚症状がなく突如深刻な合併症を引き起こすため”サイレントキラー”と呼ばれています。
高血圧が引き起こす合併症とその危険性
高血圧が引き起こす代表的な合併症を紹介します。
動脈硬化
高血圧が続くと血管にダメージが蓄積し、血管が固くもろくなる「動脈硬化」が進行します 。
長期間の高血圧は動脈硬化を通じて、脳や心臓、腎臓などの“血管の集まる臓器”に負担をかけます。
脳卒中
高血圧による血管へのダメージが限界に達した時、ある日突然、脳の血管が破れたり詰まる「脳卒中」という恐ろしい病気につながることも考えられます。
心筋梗塞
高血圧症が続くと心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」といった致命的な発作を引き起こし、最悪の場合、そのまま命を落としてしまうケースもあります。
また、助かったとしても後遺症として心臓がうまく血液を送り出せなくなる「心不全」を患う場合もあります。
その他
このように、高血圧は命に直結する脳や心臓への深刻なダメージだけでなく、徐々に腎臓の機能を奪い腎不全のように腎機能にも影響をもたらすこともあります。
心配な場合、もし自宅で血圧測定器をお持ちであれば、その数値や最近の気になる症状をもとにオンライン診療で相談のうえ、本格的な検査が必要かどうかをご相談されるのもひとつの手段となるかもしれません。
ただし、オンライン診療では高血圧の診断を出すことはできず、設備の整った医療機関での検査が必要です。また、危険と判断された場合にオンライン診療では設備の整った病院へ行くべきかどうかの意見をもらうことができる程度にとどまると思ったほうがよいでしょう。
目標とする血圧値
数値
2025年8月に日本高血圧学会が公表した改訂ガイドライン(JSH2025)では、「年齢にかかわらず、血圧は診察室で130/80mmHg未満、家庭では125/75mmHg未満を目指す」ことが原則となりました。
ただし、高齢で日常生活動作に制限がある方などは、主治医と相談しながら個別に目標を設定します。
これは、より早い段階での血圧管理が、脳や心臓の病気を防ぐのに有効であるという研究結果をふまえたものです。
用語解説
一般的に“上の血圧”と呼ばれる収縮期血圧と、“下の血圧”と呼ばれる拡張期血圧のふたつが大切になります。
・上の血圧
収縮期血圧とは心臓が収縮して血圧を送り出すときの血圧をいい、最高血圧ともいいます。
・下の血圧
拡張期血圧はその逆で心臓が血液を送り出すための準備のため広がっている状態を指し、最低血圧ともいいます。
ただし、体質や合併症の有無により、目標値は柔軟に設定されるべきとされています。とくに高齢者や体調の変化に敏感な人では、副作用にも注意しながら、主治医と相談して最適な範囲で血圧を整えていくことが大切です。
参考元
『厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果」』
『日本生活習慣病予防協会「高血圧」』
『ケアネット「全年齢で130/80mmHg未満を目標に」』
高血圧改善の第一歩|家庭で正しい血圧測定を
高血圧を改善するために、初めにすべきことは「正しい血圧の測定」です。
病院で測る血圧だけでなく、リラックスした状態の「家庭血圧」を記録することが非常に重要です。
大切なのは”家庭血圧"の記録
高血圧の改善のために重要なのは家庭血圧です。
理由としては、高血圧の診断を受けた方は24時間に渡って血圧が適切にコントロールされているかどうかを確認し適切な治療に結び付ける必要があるからです。
また、家庭のリラックスした状態と病院での計測は、以下のようにズレることがあるためです。
白衣高血圧
病院では緊張して血圧が上がってしまうが、家庭では正常な状態
仮面高血圧
病院では正常なのに、家庭や職場では血圧が高い状態
目標とする家庭血圧の目安は125/75mmHg未満
2025年の日本高血圧学会ガイドラインでは、診察室での目標が130/80mmHg未満、家庭での目標が125/75mmHg未満に統一されました。
より早く、軽度の段階からの対策が重要とされており、家庭血圧はその指標として欠かせません。
適切な血圧計選び
家庭用の血圧計は、腕(上腕)にカフ(腕帯)を巻くタイプを選びましょう 。手首式は使いやすそうに見えますが、姿勢や測定条件によって誤差が出やすく、正確性に劣ります。
購入時には、日本高血圧学会の「認証マーク」や医療機関で勧められている製品かどうかを確認してください。表示が大きく見やすいもの、メモリー機能があるものだと記録がしやすくなります。
測定のタイミングと方法
血圧は時間帯によって変動します。正しい測定のためには、タイミングを守ることが重要です。
朝:起床後1時間以内。トイレの後、朝食や薬を飲む前
夜:就寝前、入浴や飲酒の前に
測定時は、背もたれのある椅子に座り、足を組まず、1〜2分安静にした後に測ってください。腕は心臓と同じ高さに保ちましょう。1回だけでなく、1回の機会に2回測ってその平均を記録するのが理想です。
アプリやノートに記録を残す習慣をつけることで、医師との情報共有もスムーズになります。
参考元
『一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 特定非営利活動法人日本高血圧学会 特定非営利活動法人日本高血圧協会 認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML』
高血圧を改善する6つの方法
血圧を下げるためには、生活習慣の見直しが不可欠です 。これから紹介する6つの方法を、無理のない範囲で組み合わせて実践してみましょう。
ただし、すでに高血圧の診断を受けていて、血圧が安定していれば生活習慣の指導については個々人の体質や、何を優先するべきかは専門医に指導をもらったほうが良いでしょう。
このようなケースでは生活習慣のアドバイスをオンライン診療で受けることは可能なケースもありえますので活用を検討されてみてください。
血圧を下げる方法①|食生活の見直し
毎日の食事は、血圧を上げも下げもします。
高血圧の方は血圧を下げる食べ物のポイントを押さえ、少しずつ食生活を改善していくことで、血圧改善につながることがあります。
この後の段落では注意点、具体的に避けるべき食事・食材の例を取り上げていきます。
減塩
塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、体は血液中の塩分濃度を薄めるため体の水分を血液中に引き込みます。その結果、血液量が増加、血管にかかる圧力、つまり血圧が上がってしまいます。
健康な日本人の場合、1日の食塩摂取の目標は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。高血圧の方については、より厳しく1日6g未満が推奨されます。
日本人は「塩分感受性(=塩分の影響を受けやすい体質)」であることが多い人種で、塩分の摂取量にはとくに注意が必要です。現在の日本人の平均摂取量は10g前後とされているため、意識して減らすことが必要です。
具体的には
ラーメンのスープを残す
しょうゆを控える
漬物を減らす
といった、小さな工夫から始めましょう。味が薄く感じる場合は、だし・香辛料・柑橘の酸味を活用して、風味を出すのがおすすめです。
DASH食(ダッシュ食)
DASHは「Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を止める食事法)」の略で、アメリカで開発された食事療法です。
実際の臨床研究では、2か月継続した臨床研究では、収縮期血圧が平均11mmHg低下したという報告があります。
DASH食のポイント
野菜・果物・大豆製品・乳製品・魚などを多くとる
飽和脂肪(脂身の多い肉など)や塩分、加工食品を控える
食物繊維・カリウム・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルを多くとる
カリウムの多い食品
カリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)を体の外に排出するのを助ける働きがあります。
カリウムが多く含まれる食品
| 野菜 | ほうれん草、にんじん、ブロッコリー |
| 果物 | バナナ、アボカド、みかん |
| 豆類 | 納豆、大豆、枝豆 |
| 海藻類 | わかめ、ひじき、昆布 |
| いも類 | さつまいも、じゃがいも |
| 乳製品 | 牛乳、ヨーグルト |
注意点として、腎臓の働きが弱っている方はカリウムが排出されにくくなるため、摂り過ぎは逆に危険です。腎機能に問題がある方は、医師の指示に従いましょう。
血圧を下げる方法②|おすすめの運動
「運動で血圧が下がる」と聞いても、実際にどのような運動をすれば良いのか、ピンとこない人も多いかもしれません。
しかし、日常の中に少しずつ取り入れられる運動を続けるだけで、血圧を自然に下げる効果が期待できます。特に有効とされるのが、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせです。
有酸素運動
ウォーキング(速歩)、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、血圧を下げる効果が期待できます 。運動によって自律神経のバランスが整い、血管が広がりやすくなるためです 。
「ややきつい」と感じるくらいの強度で、毎日30分以上、または週に合計180分(3時間)以上を目標に、無理のない範囲で続けましょう 。最初は「1日15分×2回」や「週3日から」でも大丈夫です。
筋力トレーニング
ダンベル体操やスクワットなどの筋力トレーニング(レジスタンス運動)は、それだけで血圧を大きく下げません。しかし、有酸素運動と組み合わせることで、筋肉量の維持・向上に役立ちます 。
ただし、重い負荷をかけると一時的に血圧が急上昇することがあります。非常に軽い負荷から始め、息を止めないように「ふーっ」と息を吐きながら行うことが大切です 。
運動中にフラついたり、異常な動悸・息切れが出た場合はすぐに中止し、無理のない範囲で続けましょう。
血圧を下げる方法③|飲酒の節制
お酒を飲むと「リラックスして血圧が下がる」と思われがちですが、実はそのあとに血圧が上昇しやすくなります。
習慣的に多くのアルコールをとっている人ほど、血圧が高くなる傾向があるため、飲酒の量や頻度を見直すことが血圧管理においてとても重要です。
1日の適量
適度な飲酒であれば大きな問題はありませんが、過剰な飲酒は血管を収縮させたり、心拍数を上げてしまい、結果的に高血圧につながります。
1日の適量の目安は、純アルコール量で男性なら20〜30mL以下、女性なら10〜20mL以下です 。
| お酒の種類 | 純アルコール20gの目安 |
| ビール | 中瓶1本(500mL) |
| 日本酒 | 1合(180mL) |
| 焼酎 | 0.6合(約110mL) |
| ワイン | グラス2杯(240mL程度) |
| ウイスキー | ダブル1杯(60mL) |
週に2日は「休肝日」を作り、連日飲み続けないことも大切です。
また、「家で飲むと量が増えてしまう」「つい飲み過ぎる」という方は、ノンアルコール飲料や炭酸水などを代用してみましょう。
降圧剤とアルコールの組み合わせは危険な場合も
降圧薬(血圧を下げる薬)を飲んでいる方は、アルコールの影響に特に注意が必要です。どちらも血圧に影響するため、組み合わせると血圧が下がりすぎて立ちくらみや転倒を招くことがあります。
また、一部の薬では肝機能に負担がかかるため、飲酒が推奨されないケースもあります。薬を服用中の方は、医師または薬剤師に「飲酒しても大丈夫かどうか」を事前に確認しておきましょう。
血圧を下げる方法④|適正体重の維持
太っていると血液の量が増え、心臓がより強い力で血液を送り出さなければならなくなり、それが血圧の上昇につながります。
内臓脂肪が多いタイプの肥満は、血管を収縮させる物質が多く分泌されることもわかっており、高血圧の大きな要因となります。
目標の体重(BMI)
目標とすべき体重を知るには、BMI(Body Mass Index)という指標が便利です。
・計算式
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)²
たとえば、身長が165cm、体重が65kgの方なら、65 ÷ (1.65×1.65) = 約23.9というふうに計算してください。
日本人の目標とされるBMIは22とされており、健康的な範囲としては18.5〜24.9が推奨されています。高血圧の人にとっては、25未満を維持することが重要な目安になります。数キロの減量でも、血圧はしっかりと反応してくれるのが特徴です。
適正体重を実現するために大切なこと
体重を減らすのは簡単ではありません。ただ食事を我慢するだけでは続かないし、極端なダイエットは体に悪影響を与える可能性もあります。そこで大切なのは、ここまで紹介してきた食事・運動・飲酒のコントロールを「無理のない範囲で日常化していく」ことです。
たとえば、
・毎朝コーヒーと一緒に塩気の強いパンを食べていたなら、1日おきに野菜スープに置き換えてみる。
・週末の夕食後にテレビを見ていた時間に、10分だけでも近所を歩いてみる。
・お酒の量も、“飲み会ゼロ”ではなく、“おつまみを変える”“2杯でやめる”
このような柔らかいルールからで十分です。一気に厳しいルールを設けると継続が難しくなります。
“少しの工夫”をいくつか重ねていくと、体重はじわじわと減りはじめます。数値だけを目標にするより、「今週も続けられたな」と自分を認められる習慣のほうが、長く続けやすく、リバウンドもしにくくなります。
血圧のための減量は、「痩せる」ことではなく、「整える」ことです。焦らず、ひとつずつ積み上げていきましょう。
血圧を下げる方法⑤|睡眠とストレス管理
体をしっかり休めることは、血圧を安定させるうえで欠かせません。睡眠の質や日中のストレスは、自律神経に影響を与え、それが血圧に直結します。忙しい日々の中でも、心と体のリズムを整える意識が、結果的に血管を守ることにつながるのです。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は高血圧の大敵です。睡眠が足りないと、体を活動的にする「交感神経」が優位になり、体が緊張状態となります 。その結果、血管が収縮して血圧が高い状態が続き、高血圧の発症リスクが高まってしまいます 。
意識して睡眠時間を確保することが大切です。目安としては、6〜8時間程度の安定した睡眠が望ましいとされます。ただし時間だけでなく、朝スッキリ起きられるか、日中に強い眠気がないかといった“質”も大切です。
よく眠るためには、寝る前のスマホやカフェインを控える、入浴は寝る1〜2時間前に済ませる、朝はカーテンを開けて日光を浴びるなど、生活習慣を見直してみましょう。
ストレス管理
強いストレスを感じると、交感神経が活発になり 、アドレナリンなどの「ストレスホルモン」が分泌されます。これにより血管が収縮し、心拍数が増え、血圧が一時的に急上昇します。
ストレスをゼロにすることは難しくても、自分なりの解消法を見つけることが大切です。仕事や人間関係の悩みは避けられないものですが、日々の中で“ストレスの出口”を持っているかどうかが、大きな違いを生みます。
音楽を聴く、湯船にゆっくり浸かる、深呼吸や軽いストレッチをする、本を読む、自然の中を歩く…どれも血圧を安定させる効果があるとされています。
血圧を下げる方法⑥|禁煙
タバコが健康に悪いことはよく知られていますが、血圧との関係は深刻です。喫煙すると、ニコチンが交感神経を刺激して血管を強く収縮させ、心拍数と血圧がともに上昇します。つまり、タバコを吸うたびに血管は「ギュッ」と締めつけられ、内側が傷ついていくのです。
しかもこの影響は、加熱式タバコや電子タバコでもほとんど変わりません。タバコの煙には、動脈硬化を進行させる成分も含まれており、高血圧がある人にとってはまさに“火に油”を注ぐようなものです。
うまく禁煙を目指すには
「体に悪いのは分かってるけど、やめられない」そんな声が多いのも、禁煙が難しい理由のひとつです。ニコチンには強い依存性があり、意思だけで急にやめるのはなかなか難しいかもしれません。そこでおすすめしたいのが、禁煙外来の活用です。
医療機関では、ニコチンパッチやガムといった補助薬を使いながら、計画的に禁煙を進めることができます。最近ではオンライン診療でも禁煙治療を受けられるようになってきており、忙しい人にもハードルが下がっています。
禁煙は「根性」ではなく「治療」で取り組む時代です。一度の挑戦で成功しなくても構いません。何度かトライするうちに、自分に合った禁煙方法が見つかることもあります。
まとめ|高血圧を改善するには
高血圧の改善は、一日で成し遂げられるものではなく、日々の積み重ねが大切です。鍵となるのは「継続」です。
生活習慣の見直し
この記事で紹介したように、血圧を下げる方法は特別なものではありません。減塩、栄養バランスの取れた食事、運動、適度な飲酒、良質な睡眠、禁煙など、どれも生活の中で実践できることばかりです。
そして、どの対策も「1つだけ」で効果を出そうとするのではなく、少しずつ、いくつかを組み合わせていくことで、体への負担を減らしながら血圧を安定させていくことができます。薬に頼る前にできることがたくさんある…それが高血圧の生活改善の強みです。
記録をつけること
血圧のコントロールにおいて、「測ること」はとても大きな意味を持ちます。家庭用の血圧計を使って、朝と夜の2回、なるべく毎日記録をつけるようにしましょう。数値が高い日があっても慌てる必要はありません。平均的な傾向を見て、少しずつ整えていけば良いのです。
血圧記録を続けることで、自分の体調のリズムや変化に気づきやすくなり、医師との相談にも役立ちます。「記録=自己管理の第一歩」として、ぜひ習慣にしてみてください。
完璧を目指さない
どんなに体に良いことでも、がんばりすぎてしまうと続きません。忙しい日や気分が乗らない日だって当然あります。そんなときは、「今日はできなかった」よりも、「また明日からやればいい」と気持ちを切り替えることのほうが大切です。
完璧を目指すのではなく、“まあまあ良い”を積み重ねていきましょう。無理せず、でもあきらめずに続けていくことが、血圧を改善する最大のコツです。
不安な時は
生活習慣を見直していても、思ったように血圧が下がらなかったり、逆に高くなったりすることもあるかもしれません。そんなときは、ひとりで悩まず、医師という専門家に相談してください。特に、すでに降圧薬を使っている方は、自分だけで判断せず、治療計画を一緒に立ててもらうことが安心につながります。
忙しくてなかなか病院に行けない場合は、オンライン診療などを活用するのも一つの方法です。例えば「SOKUYAKU」のようなサービスを利用すれば、スマホ一つで完結します。自宅や職場から医師の診察を受け、必要に応じて薬を配送してもらうことも可能です。
どんなに小さな不安でも、誰かに聞いてもらえることが、次の行動につながります。高血圧は「治療」だけでなく「理解とサポート」で乗り越えていくものです。
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.
当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.
当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.
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4.
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