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花粉症について~原因や症状、対策方法について詳しく解説~

監修医師 中路 幸之助
更新日:2024年05月31日

更新日:2024年05月31日

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花粉症の季節が到来すると多くの方が「病院へ行くタイミングはいつか?」「どの診療科を受診すれば良いのか?」「治療方法にはどのようなものがあるのか?」といった疑問を抱えるかもしれません。

かゆみ、鼻水、くしゃみといった花粉症の不快な症状は、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
では、多くの方が悩まされる花粉症の原因とは何なのでしょうか?

そこで今回は、花粉症の原因や症状を詳しく解説し、病院で受けられる治療法や対策について、分かりやすく説明します。
快適な日々を送るための知識を身につけましょう。

花粉症について~原因や症状、対策方法について詳しく解説~

花粉症とは

花粉症は季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれるアレルギー症状です。

特徴

花粉症は、特定の植物の花粉が空気中に広がることで引き起こされるアレルギー反応です。スギやヒノキの花粉が特に知られており、これらが飛散する季節には多くの人がくしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状に悩まされます。日本では、人口の約25%が花粉症を経験しているとされています。

原因

花粉症の原因は、免疫システムが花粉を異物と認識し、過剰に反応することにあります。この過剰反応によって、IgE抗体が生成され、花粉との接触が繰り返されるたびに体内に蓄積されます。そして、蓄積されたIgE抗体が一定量に達すると、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状が引き起こされます。

 

去年まで花粉症ではなかったのに急に症状が出る理由は、蓄積されていたIgE抗体が一定量に達したことが原因で発症するためです。

症状

花粉症の症状は、主に鼻と目に影響を及ぼします。鼻の三大症状にはくしゃみ、透明で水のような鼻水、鼻づまりがあり、風邪と間違えるかもしれません。ただし、花粉症は花粉が飛散している期間中ずっと続くことが特徴です。

 

目の三大症状は、かゆみ、充血、涙が多くなるという症状です。さらに、全身にわたる症状として、倦怠感、微熱、イライラ、喉や顔、首のかゆみ、集中力の低下などが見られることもあります。これらの症状は、花粉が飛散する季節にのみ現れ、その期間が終われば自然と軽減します。

花粉の飛散時期はいつからいつまで?

花粉症は、多くの人々が春の訪れと共に悩まされるアレルギー反応です。そのため、スギやヒノキの花粉が特に有名ですが、それだけではありません。実は年間を通じて様々な植物が花粉症の原因となっています。

 

春の代表的な花粉症の原因は、スギやヒノキです。スギ花粉は冬から飛散し始め、ヒノキ花粉も春に飛びます。夏にはシラカンバ、秋にはブタクサやカナムグラなど、地域によって異なる花粉が飛散します。つまり、季節性アレルギー性鼻炎を引き起こす花粉は、一年中飛んでいるのです。

 

それぞれの飛散時期に注意し、適切な対策を講じることで症状を和らげられます。

スギ

飛散時期: 2月~4月
スギ花粉は、春先に多くの日本人が悩む主な原因です。特に本州、四国、九州の山間部で多く見られます。

ヒノキ

飛散時期: 3月~4月

ヒノキもスギと同様に、春の花粉症の原因となります。福島以南の本州や四国、九州に分布しています。

シラカンバ

飛散時期: 3月下旬~6月

北海道や本州の中部以北で主に見られ、スギ花粉症が少ない地域ではシラカンバ花粉症が問題となります。

イネ科

飛散時期: 春~秋

カモガヤ(5月~6月)、オオアワガエリ(6月~8月)、ススキ(9月~10月)など、イネ科の植物は長い期間にわたって花粉を飛ばします。

菊科

飛散時期: 主に秋

ブタクサ(8月~9月)やヨモギ(9月~10月)など、菊科の植物は秋の花粉症の原因となります。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)と通年性アレルギー性鼻炎の違い

アレルギー性鼻炎は、空気中のアレルゲンが鼻の粘膜に触れることで発症します。これには、スギやヒノキの花粉のような季節に依存するものと、ハウスダストのような年間を通じて影響を及ぼすものがあります。

 

季節性アレルギー性鼻炎は特定の季節にだけ症状が現れるのに対し、通年性アレルギー性鼻炎は年中無休で症状が出る可能性があります。

通年性アレルギー性鼻炎

通年性アレルギー性鼻炎は、ハウスダストやペットのフケ、カビ、ダニなど、室内で発生するアレルゲンが原因です。これらは季節に関係なく、一年中症状を引き起こすことがあります。

日常生活に密接に関連し、住宅の密閉化や冷暖房の普及により、ハウスダストによるアレルギー反応が増加していると言われています。

季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

季節性アレルギー性鼻炎は、特定の季節に起こるアレルギー性鼻炎です。代表的な原因物質は花粉になります。

 

最近の疫学調査によると、アレルギー性鼻炎の有病率は増加しており、特に季節性と通年性の両方に悩む人が多いことがわかっています。花粉症患者の約半数以上がハウスダストにも敏感であるという調査結果もあるため、花粉症で悩んでいる方は通年性アレルギー性鼻炎にも注意してください。

重症度について

鼻の症状は個人差があり、それぞれの症状によって病型や重症度を分類することが可能です。この分類は治療方針を決定する際の重要な基準となります。自分がどのカテゴリーに該当するかを理解しておくことは、適切な治療を受けるためにも非常に重要です。

 

くしゃみ: 1日に何回くしゃみが出るかで重症度を評価

鼻水: 1日に何回鼻をかむかで重症度を評価

鼻づまり: 口呼吸をする時間で重症度を評価

 

アレルギー性鼻炎症状の重症度分類

 

・【最重症】
(鼻閉)1日完全に詰まっている又は(くしゃみ発作・鼻漏)1日21以上の場合

 

・【重症】
(鼻閉)非常に強く口呼吸がかなりの時間+(くしゃみ発作・鼻漏)1日0回~20回

または
(鼻閉)非常に強く口呼吸がかなりの時間~鼻閉は無し+(くしゃみ発作・鼻漏)1日11回~20回

 

・【中等症】
(鼻閉)強く口呼吸がときどきある+(くしゃみ発作・鼻漏)1日0回~10回

または
(鼻閉)強く口呼吸がときどきある~鼻閉は無し+(くしゃみ発作・鼻漏)1日6回~10回

 

・【軽症】
(鼻閉)口呼吸は全くない、ときどき鼻閉がある+(くしゃみ発作・鼻漏)1日0回~5回

または
(鼻閉)口呼吸は全くない、ときどき鼻閉がある~鼻閉は無し+(くしゃみ発作・鼻漏)1日1回~5回

 

・【無症状】
(鼻閉)無し+(くしゃみ発作・鼻漏)無し

 

参考元:鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版、第4章より

鼻水・くしゃみ型

くしゃみと鼻水は密接に関連しており、これらが主な症状の場合、このタイプに分類されます。

鼻づまり型

鼻づまりが他の症状よりも顕著な場合、このタイプとされます。

充全型

くしゃみ・鼻水型と鼻づまり型の症状がほぼ同じ程度に見られる場合、充全型に分類されます。

治療方法

鼻の問題を和らげる方法は主に3つあります。薬物療法では、症状を抑えるための薬を使用します。アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因となる物質に対する体の耐性を高める治療です。手術療法は、他の方法では改善が難しい場合に行われることがあります。

 

これらの治療法について理解し、自分の症状や状況に合った適切な対処をすることが、快適な呼吸への第一歩です。医師と相談しながら、最も効果的な治療法を選びましょう。自己判断せず、専門家の意見を聞くことが重要です。

薬物療法

花粉症などのアレルギー症状を軽減するためには、症状が出始める前や軽い段階で治療を始めることが効果的です。このような治療法を「初期療法」と呼びます。早めに薬を使用することで、花粉が多く飛ぶ時期でも症状をコントロールしやすくなり、シーズンを通して症状を軽くできます。

 

一方で、症状が強くなってしまった場合の薬物療法は「導入療法」です。これは、症状が強い時に始める治療で、経口ステロイド薬の短期間の服用や鼻噴霧用ステロイド薬の使用などが含まれます。

 

そして、症状が落ち着いた後も、再発を防ぐために「維持療法」を続けることが大切です。これには、抗ヒスタミン薬や必要に応じて鼻噴霧用ステロイド薬を使用します。

 

花粉症に効果的な薬は、症状や時期によって異なりますが、一般的に使用されるものは抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬です。重い症状の場合は、鼻噴霧用ステロイド薬が併用されることもあります。これらの薬は、医師の処方が必要なものもあるため、症状が辛い場合は医療機関を受診してください。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法とは、アレルギーの原因物質を体に少しずつ慣れさせることで、アレルギー反応を弱める治療法です。この方法には、皮膚に注射をするタイプと、舌の下で薬を溶かして吸収させるタイプがあります。

 

治療期間は2〜3年と長いですが、アレルギーの根本的な改善が期待できる唯一の方法とされています。まれに副作用が起こることもあるため、医師とよく話し合いながら進めることが大切です。

手術療法

鼻づまりが特にひどい場合には、手術で改善することが可能です。この手術では、鼻の内部の粘膜を小さくすることで、呼吸が楽になります。最近では、入院の必要がないレーザー手術などが行われるようになりました。

 

鼻水の分泌を抑えるために特定の神経を切断する手術もあります。これらの手術は鼻づまりだけでなく、くしゃみや鼻水に対しても効果がありますが、症状が戻ってくることもあるため、治療を受ける際は医師とよく話し合うことが大切です。

花粉症が辛い場合は、医師に相談を

花粉症の治療には市販薬も役立ちますが、病院での診察を受けることにはそれ以上に大きなメリットがあります。

 

症状が花粉だけでなく他のアレルゲンによって引き起こされているかもしれません。血液検査を通じて、どの花粉がアレルギーの原因かを特定できます。これにより、自分にとって問題のある原因を避けるための具体的な対策を立てることが可能です。

 

市販薬と処方薬の成分量には違いがありますが、花粉症の薬に関しては市販薬でも処方薬と同じ量の成分が含まれていることがほとんどになります。しかし、医師の指導のもとで薬を使用することで、副作用があった場合にはすぐに対応してもらえることがメリットです。

 

花粉が飛び始める前に治療を開始することで、症状を抑えられます。また、個々の症状や体質に合わせた薬を処方してもらえるため、市販薬よりも効果的な治療が期待できます。また、長期にわたって花粉症薬を使用する場合、ジェネリック医薬品を選べる処方薬の方がコスト面で有利です。

 

自分の症状に合った治療を受けるためにも、病院を受診することがおすすめです。

 

忙しくて時間がない方でも、花粉症の治療は可能です。オンライン診療を利用すれば、自宅やオフィスからでも予約や診察を受けられます。オンライン診療を活用して、忙しい日々の中でも健康を管理しませんか?

まとめ

花粉症のようなアレルギーは、くしゃみや鼻水といった症状が長引くことで日常生活に影響を与えるかもしれません。花粉症の治療は、市販薬で症状を抑えることも可能ですが、病院での診察を受けることにはメリットがあります。症状を緩和するためには、医師の診断を受け、アレルゲンを特定し早期に治療を開始することがおススメです。

 

しかし、多忙な中では病院に行く時間を確保するのは難しいかもしれません。そんな時、オンラインで医師の診察を受けられるサービスが便利です。

 

オンライン診療を利用して、時間を有効に使いながら、必要な治療を受けましょう。

コメント 花粉症に対して、現在様々な新しい検査・治療法が登場してきていますが、なんといっても、花粉を体の内に入れないようにすることが一番重要です。
花粉症の時期には、メガネ・ゴーグル・マスクなどで目や鼻を覆いましょう。
また花粉は昼から夕方にかけて多く飛ぶため、花粉を帰宅後持ち込まない工夫として、帰宅した時に玄関先で衣服を払ったりすることが重要です。
そのうえ、手洗い・うがいに加えて、洗顔で顔の周りの花粉を落とすとよいでしょう。
また、ストレスをためない様に睡眠を十分にとり、規則正しい生活を心がけることが重要です。

監修医コメント

医師
中路 幸之助

花粉症に対して、現在様々な新しい検査・治療法が登場してきていますが、なんといっても、花粉を体の内に入れないようにすることが一番重要です。
花粉症の時期には、メガネ・ゴーグル・マスクなどで目や鼻を覆いましょう。
また花粉は昼から夕方にかけて多く飛ぶため、花粉を帰宅後持ち込まない工夫として、帰宅した時に玄関先で衣服を払ったりすることが重要です。
そのうえ、手洗い・うがいに加えて、洗顔で顔の周りの花粉を落とすとよいでしょう。
また、ストレスをためない様に睡眠を十分にとり、規則正しい生活を心がけることが重要です。

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監修医師 中路 幸之助
医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター 専門領域はアレルギー・膠原病内科, 神経内科, 消化器内科, 血液内科, 肝胆膵内科, 呼吸器内科, 総合内科, 感染症科, 循環器内科, 腎臓内科, 内分泌代謝科, 糖尿病内科, 内科 経歴:1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。 主な研究内容・論文として、カプセル内視鏡 消化器内視鏡 消化器病 保有免許・資格は、米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医 日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医 日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医
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