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ストレスには漢方が効果的って本当?効果的な漢方薬を詳しく解説

監修医師 田頭 秀悟
更新日:2024年09月25日

更新日:2024年09月25日

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現代社会において、私たちは日々さまざまなストレスにさらされています。仕事や家庭、育児など、日常生活の中で感じるストレスは、心身に大きな影響を与えることがあります。ストレスが原因で体調を崩す人も増えており、適切な対策が必要です。

最近、ストレスに対する対策として漢方薬が注目されています。漢方薬は、体全体のバランスを整え、ストレスによる不調を和らげる効果があるとされています。しかし、具体的にどのような漢方薬が効果的なのか、どのように選べばよいのかを知っている方は少ないかもしれません。
この記事では、ストレスに対して効果的な漢方薬について詳しく解説し、その選び方や使用方法をご紹介します。ストレスを軽減し、心身の健康を保つためのヒントを見つけてください。

ストレスには漢方が効果的って本当?

漢方の基本的な考え方は「心身一如(しんしんいちにょ)」です。これは、心の問題と身体の症状を一つのものとして捉え、治療を行うという東洋医学的な考え方です。このアプローチは、ストレスが原因で病気が発生するメカニズムと一致しているため、漢方はストレス関連の症状に非常に効果的です。

 

漢方では、身体全体を診ることが重要視されます。心と体のバランスが崩れることが不調の原因と考えられており、全身の状態を整えることで個々の症状も改善されるとされています。そのため、原因が特定しにくいストレスによる症状の治療に特に有効です。

ストレスが発生するメカニズム

ストレスとは、外部からの刺激によって体内に生じる反応のことです。心理的・社会的なストレスが特に大きな影響を与えるとされています。もともとは物理学の用語で、外部からの力に対する応力を意味していました。ストレスの原因となる外的な刺激は「ストレッサー」と呼ばれ、これには物理的・化学的なもの(暑さや寒さ、有害物質など)、生理的なもの(病気、飢え、睡眠不足など)、心理的・社会的なもの(職場や家庭での不安、緊張、恐怖、怒りなど)があります。

 

ストレスが生じると、体内ではそれを解消しようとする防御反応が働きますが、同じストレッサーでも人によって反応が異なります。ストレッサーをうまく制御できた場合は適応と呼ばれる状態になりますが、制御できなかった場合には不適応が生じ、身体や精神にさまざまな影響を及ぼすかもしれません。

心に起こる影響

ストレスが溜まると、気分が落ち込んだり、憂うつな気持ちになることがあります。また、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなるのもストレスによる影響です。やる気が出なくなり、集中力が低下して注意が散漫になることもあります。

 

ストレスが強いと、興味や関心が薄れ、理由もなく悲しくなったり、物事を悪い方向に考えがちになることもあります。さらに、何も考えられなくなったり、自分を責めて無価値だと感じることもあり、最悪の場合、消えてしまいたいと思うこともあるため注意しましょう。

身体に起こる影響

身体的な面では、眠れない、または寝てもすっきりしないといった睡眠障害が見られ、逆に過眠になることもあります。疲労感や倦怠感が続き、食欲がなくなったり、逆に暴飲暴食に走ることもあります。

 

頭痛やめまい、耳鳴り、肩こりや腰痛、動悸や息切れ、腹痛、下痢や便秘などもストレスの影響で起こることがある症状です。さらに、理由もなく涙が出て止まらないこともあります。ストレス解消のためにお酒を飲む方もいますが、過度な飲酒は健康に悪影響を及ぼし、さらなるストレスを招く可能性があるため注意が必要です。

ストレスが溜まるとどうなる?

ストレスが溜まると、漢方の概念では「気」(き)の流れが滞ると考えられます。これは、体内のエネルギーの流れが乱れることを意味し、さまざまな不調を引き起こします。ストレスが溜まると、体と心の両方に影響が出るため、早めの対処が大切です。

気滞の概要

「気滞(きたい)」とは、漢方医学で使われる用語で、体内の「気」の流れが滞っている状態です。気滞は体内の血液や水分の流れを妨げ、他の臓器や組織の機能を低下させることがあります。気滞そのものを自覚するのは難しく、実際に感じる不快感は気滞から派生した他の症状によるものです。表面的な症状だけを改善しようとすると、根本的な気滞が解消されないため、再び同じ問題が起こることがあります。

 

気滞の原因はさまざまですが、最も一般的なのは精神的なストレスです。また、食生活の乱れも原因となることがあります。責任感が強く、精神的に繊細で、考え込みやすい人、ストレスの発散が苦手な人、悩みを一人で抱え込む人、几帳面で完璧主義な人に多く見られます。

気滞の症状

気の巡りが悪くなると、自律神経のバランスが崩れ、精神的に不安定になることがあります。これにより、イライラや怒りっぽさ、憂鬱感、不安感、落ち込みやすさなどの症状が現れやすくなります。また、胃やお腹、脇腹が張ったり、ガスやゲップが多くなることもあるため注意しましょう。高血圧や生理不順、月経前症候群などの症状も見られることがあります。

ストレスに効果的な漢方薬7選

漢方薬は気の巡りを良くする方法の一つです。気の流れを整え、乱れた気・血・水のバランスを調整し、ストレスによる体の不調を改善するのに役立つとされています。ここでは、ストレスに効果のある漢方薬を7つ紹介します。

桂枝加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)は、不眠やイライラなどのストレス症状に対処するための漢方薬です。漢方の考え方では、「気」や「血(けつ)」のバランスが崩れると、些細なことが気になったり、興奮しやすくなったりすることがあります。これが一般的に「神経質」と呼ばれる状態です。

 

この薬は、体のバランスを整える「桂枝湯」をベースに、「竜骨」と「牡蛎」を加えた処方です。これらの成分が一緒に働くことで、神経の高ぶりを鎮め不安を取り除き、「気」や「血(けつ)」を補ってバランスを整えます。結果として、不安定な精神を落ち着かせる効果があります。

 

疲れやすく、神経過敏で興奮しやすい方に適しています。具体的には、神経質、不眠症、小児の夜泣きや夜尿症、眼精疲労、神経症などの症状に効果があります。

柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、ストレスや不眠に悩む方におすすめの漢方薬です。仕事や人間関係でイライラしたり、テストや試合前の緊張で眠れない方に向いています。

 

大人になると情報過多や疲労、精神的ストレスが増え、「気」の巡りが悪くなります。その結果、体に熱がこもり、頭に上って脳を疲れさせてしまいます。柴胡加竜骨牡蛎湯は、「気」の巡りを良くし、体内の熱を冷ますことで心を落ち着かせ、脳の興奮からくる不眠を改善する薬です。

 

精神不安や動悸、不眠、便秘などの症状を持つ方に適しています。また、高血圧に伴う動悸や不安、不眠、神経症、更年期神経症、小児の夜泣き、便秘などにも効果があります。

半夏厚朴湯

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、ストレスやのどの異物感、不安神経症などに効果がある漢方薬です。体を動かす機会が少なく、ストレスをためがちな方に適しています。

 

体を動かす機会が少ないと「気」の巡りが悪くなり、症状が悪化することもあります。「半夏厚朴湯」は、「気」の巡りを良くし、のどの詰まり感や異物感を改善する薬です。気分がふさいでのどや食道に異物感があり、時に動悸やめまい、吐き気などを伴う不安神経症や神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声などに効果があります。

抑肝散

抑肝散(よくかんさん)は、ストレスや緊張で気持ちが高ぶりやすい方に適した漢方薬です。イライラや不眠、歯ぎしりなどの症状を和らげる効果があります。特に、普段から興奮しやすく、カッとなりやすい方や、目が冴えて寝つけない方におすすめです。

 

漢方医学で「肝」という言葉は「肝臓」の意味ではなく、「精神機能全般」を指しています。「肝」の機能が乱れると、感情が不安定になり、イライラなどの症状が現れると考えられています。抑肝散は、この「肝」の機能を整えることで、これらの症状を改善します。

 

この薬は、神経が高ぶりやすく、怒りっぽい、イライラしやすいといった症状に効果的です。具体的には、神経症、不眠症、小児の夜泣きや神経過敏、歯ぎしり、更年期障害、そして女性のホルモン変動に伴う精神的・身体的な不調に用いられます。

抑肝散加陳皮半夏

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)は、ストレスや更年期の症状に対して使われる漢方薬です。この薬は、神経が高ぶりやすく、イライラしやすい方に向いています。

 

上述のように漢方医学において「肝が高ぶる」とは、精神が高ぶり、怒りやイライラが現れる状態を指します。「血」が不足すると、ストレスに対する耐性が低くなり、ちょっとしたことでイライラしやすくなるため、感情を抑えられず、物に当たってしまうかもしれません。

 

この薬は、自律神経を調節しながら「血」を補い、「気」と「血」の巡りを良くします。その結果、ストレスによる身体への影響を和らげ、自律神経を安定させる効果があります。また、胃腸の働きを整える作用もあるため、「抑肝散」を飲ませたいけれど胃腸が弱いという方であっても安心して服用できます。

 

この薬の効能・効果は、神経症、不眠症、小児の夜泣きや神経過敏、更年期障害、月経や妊娠、出産、更年期に伴う精神不安やイライラなどです。

加味帰脾湯

加味帰脾湯(かみきひとう)は、不眠症に悩む方に向けた漢方薬です。「血」が不足していると昼夜のリズムが乱れてしまい、浅い眠りが多くなり、すっきりしない状態が続くことがあります。

 

この漢方薬は、消化器の働きを助けながら不足している「血」を補い、不眠を改善します。さらに、「血」を増やし、「気」の巡りを良くすることで、気持ちを落ち着かせ、精神を安定させる効果があるお薬です。血色が悪く貧血気味で、精神的なストレスや不安、不眠、焦りなどの神経症状がある方や、胃腸の調子が悪い方に適しています。

柴胡桂枝乾姜湯

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)は、気疲れや抜けないだるさに悩む方におすすめの漢方薬です。ストレスを受けると「肝」の働きが乱れ、「気」の巡りが悪くなり、動悸やストレス、神経症などの症状が現れます。また、「気」が滞るとだるさが出やすくなり、体内の熱が上昇して頭に汗をかいたり、のぼせたりすることもあります。

 

気が抜けたときに一気に疲れが押し寄せる方の自律神経を整え、興奮を鎮め、身体や口の乾きを潤すお薬です。また、胃腸を温めてその働きを高める効果もあります。この漢方薬は、動悸や息切れ、気疲れなどの症状に適しており、更年期のホットフラッシュにも効果があります。

自分に合う漢方が分からない場合は医師に相談しましょう

漢方薬は一人ひとりの体質や症状に合わせて処方されるものです。自己判断で選んだ場合には、効果が得られないばかりか、逆に体調を悪化させる可能性もあります。医師は専門的な知識を持っており、体質や症状を詳しく診断した上で、最適な漢方薬を選んでくれます。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

ストレスに悩んでいても、忙しい場合には病院を受診する時間はつくれません。時間を有効活用する方法として、オンライン診療がおすすめです。

オンライン診療とは

オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使って、自宅などから医師の診察を受けられる医療サービスです。通常の対面診療と異なり、インターネットを通じてビデオ通話やチャットを利用して診察が行われます。診察の予約や決済もオンラインで行え、処方箋も郵送や薬局での受け取りが可能です。

 

オンライン診療を活用することで、病院に行く時間や交通費を節約できます。また、待ち時間が少なく、特に忙しい人や移動が難しい人にとって便利です。

SOKUYAKUとは

SOKUYAKUは、アプリを使ってオンラインで診療を受けられる便利なサービスです。予約からお薬の受け取りまで、すべての手続きを簡単に行えます。

 

専門スタッフがサポートしてくれるほか、お気に入りのクリニックや薬局を登録する機能もあります。また、お薬手帳をデジタル化でき、全国どこでも当日または翌日にお薬を受け取ることが可能です。このサービスを利用することで、忙しい日常の中でもスムーズに医療を受けられます。

まとめ

漢方薬は、ストレスによる体調不良を改善するための自然な方法として注目されています。これらの薬は、体全体のバランスを整えることを目指しており、個々の体質や症状に合わせて選ぶことで、ストレスの影響を和らげられます。

 

ストレスが続く場合や、一般的な対処法では効果が見られない場合には、専門家のアドバイスを受けながら漢方薬を試してみましょう。漢方薬を上手に活用することで、心身の健康を維持し、より健康的な毎日を送る手助けとなります。

コメント ストレスによる影響は人によって多種多様で、漢方薬での対処にも様々な選択肢があります。逆に言えば、専門の医師でも最適な判断を行うのに迷う場面も多いです。そもそも患者さん自身がストレスによる症状だと気づかないことも珍しくありません。なのでまずは困った症状を自覚した際に患者の立場でもストレスとの関連があるかどうかを検討することが大事です。具体的には不安や緊張が高まった場面で症状が増悪するとか、誰にも相談できていない悩みを抱えている状況があるなどの場合は、その症状とストレスの関連を疑うべきだと思います。ストレスによる症状に対しては、漢方薬が症状の緩和に役立つことがあるということを心に留めておいて頂き、今回の記事がその場合の漢方薬の選択する際の参考になれば幸いです。

監修医コメント

医師
田頭 秀悟

ストレスによる影響は人によって多種多様で、漢方薬での対処にも様々な選択肢があります。逆に言えば、専門の医師でも最適な判断を行うのに迷う場面も多いです。そもそも患者さん自身がストレスによる症状だと気づかないことも珍しくありません。なのでまずは困った症状を自覚した際に患者の立場でもストレスとの関連があるかどうかを検討することが大事です。具体的には不安や緊張が高まった場面で症状が増悪するとか、誰にも相談できていない悩みを抱えている状況があるなどの場合は、その症状とストレスの関連を疑うべきだと思います。ストレスによる症状に対しては、漢方薬が症状の緩和に役立つことがあるということを心に留めておいて頂き、今回の記事がその場合の漢方薬の選択する際の参考になれば幸いです。

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監修医師 田頭 秀悟
経歴:鳥取大学医学部 卒業 / たがしゅうオンラインクリニック院長 / 脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門とし、主として糖質制限食やストレスマネジメント指導を中心に内科疾患全般に対しての診療を行うオンライン総合診療医。 また東洋医学会専門医でもあり、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。 所属:たがしゅうオンラインクリニック
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