【医師監修】ニキビが治らない原因は“体の中”?漢方で内側から整えよう


更新日:2025年05月7日

西洋医学とどう違う?漢方から見るニキビの原因
ニキビ治療と聞くと、多くの人は塗り薬や抗菌薬などを思い浮かべるかもしれません。これらは主に、皮脂の分泌や菌の繁殖といった“外的要因”にアプローチする方法です。一方で漢方は、肌に表れた症状の背景にある体質や内臓機能の乱れを整えることで改善を目指します。ニキビの根本原因にアプローチするという意味で、漢方ならではの考え方と治療法があります。
皮膚症状は内臓の鏡
ニキビは肌のトラブルであると同時に、体の内側の不調を表していることもあります。漢方では、「皮膚は内臓を映す鏡」とされ、ニキビは単なる表面的な症状ではありません。内臓の働きや体全体のバランスの乱れが原因であると考えられています。月経不順や胃腸の不調、ストレスなどが影響することもあり、そうした体の状態を整えることが、ニキビの根本的な改善につながるとされています。
熱・気・血・水の乱れがニキビを生む
漢方では、体は「気・血・水」という3つの要素で成り立っており、このバランスが崩れることでさまざまな不調が起こると考えられています。体内に余分な熱(気)がこもることや、熱の巡りが悪くなることで炎症が生じやすくなり、肺や脾胃(消化器系)の働きが乱れていると、肌に不調が現れやすくなると考えられています。
あなたのニキビはどのタイプ?症状別・漢方の選び方
ニキビは一見同じように見えても、実は原因や症状のタイプによって適した治療法が異なります。自分のニキビタイプを知り、合った漢方薬を選びましょう。
赤ニキビには「清上防風湯」「十味敗毒湯」
清上防風湯は、赤く腫れたニキビや脂っぽい肌に悩む方に向いた漢方薬です。顔や頭にこもった熱を冷まし、皮膚の炎症を鎮める力があります。赤みが強く、顔全体に熱がこもりやすいタイプに効果的で、にきびだけでなく、赤ら顔や皮膚炎の症状もまとめてケアできます。脂性肌で赤にきびが出やすい方におすすめです。
十味敗毒湯は、かゆみや軽い膿を伴う赤ニキビ、湿疹や皮膚炎に適した漢方薬です。赤みや痛みをともなう初期段階の皮膚トラブルに広く使われ、肌が荒れやすい体質の方に効果が期待できます。10種類の生薬が体の外に毒素を排出し、化膿しやすいにきびを鎮めていきます。顔に限らず、体の他の部位のニキビにも有効です。
膿や腫れがあるなら「排膿散及湯」
排膿散及湯は、赤く腫れて痛みを伴うニキビに使われる漢方薬です。肌表面だけでなく、内部に膿をため込んで腫れが強いタイプに向いています。熱を冷ましながら、患部にたまった膿を排出しやすくすることで、皮膚の回復を促します。炎症が広がる前の早期対応にも適しており、繰り返す化膿性の皮膚症状におすすめです。
白・黒ニキビや皮脂型には「芍薬甘草湯」「防風通聖散」
芍薬甘草湯は、本来はこむら返りなどの筋肉けいれんに用いられる漢方薬です。男性ホルモンの影響で、皮脂分泌が過剰になっているタイプの白・黒ニキビが目立つ場合に、体のバランスを整える目的で使われることがあります。ホルモンの影響を受けやすい方の体質改善に効果が期待できます。
防風通聖散は、皮脂の分泌が多く、便秘をともなうタイプのニキビに適している漢方薬です。体の中にたまった余分な熱や老廃物を排出し、脂っぽさや肌荒れの原因を根本から整えていきます。肥満傾向があり、ニキビとともにむくみやのぼせもある方に向いた漢方で、全身の代謝バランスを整える点が特徴です。
診療ガイドラインにある皮膚科でも使われる漢方薬
漢方薬も、日本皮膚科学会の「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」で治療選択肢として掲載されています。ここでは、ガイドラインに登場する代表的な処方をご紹介します。
「荊芥連翹湯」
鼻炎やちくのう症(蓄膿症)など、上半身に慢性的な炎症を繰り返す人に向いている漢方薬です。鼻やのど、皮膚に共通して現れる「化膿しやすさ」を体質として捉え、炎症の根を断つことで症状の再発を防ぎます。皮膚の色が浅黒く、手足の裏に脂汗をかくような体質にも着目しており、慢性炎症型のニキビに適しています。
「清上防風湯」
赤みが目立つ顔のニキビや皮脂の多い肌質に用いられる漢方薬です。頭部や顔面に「熱がこもる」ことで生じる皮膚トラブルに対して、熱を鎮めながら膿を排出する作用があります。脂っぽさや赤ら顔がある方に効果が期待でき、顔の湿疹や吹き出物にも使用できます。体力があり、のぼせやすいタイプにおすすめです。
「桂枝茯苓丸」
月経不順や冷えのぼせといった「血の巡りの乱れ」がある女性に使用します。赤黒いニキビが特徴で、顔が赤らんでいるのに足元が冷える、下腹部に張りがあるといった「瘀血(おけつ)」体質に対して血流を整え、肌の炎症改善をめざします。皮膚だけでなく月経症状も伴う方に効果的です。
「黄連解毒湯」
イライラしやすく、赤ら顔やのぼせをともなう体質に向けた漢方薬です。ストレスや自律神経の乱れが関与するニキビや皮膚の炎症に対し、熱を冷まし精神状態も整えます。皮膚そう痒症や高血圧に伴う不眠・動悸に使われることもあり、「内面の興奮」からくる炎症に対応するのが特徴です。
女性の大人ニキビにおすすめの漢方薬
漢方は、女性特有の体の変化に合わせたものも多数存在します。生理前に悪化するタイプや、冷え・むくみを伴う方におすすめの処方をご紹介します。
月経前後に悪化するタイプには「当帰芍薬散」「加味逍遥散」
当帰芍薬散は、冷え性で貧血傾向があり、月経に伴って体調を崩しやすい女性に向いています。体内の水分代謝や血流の滞りを改善し、ホルモンバランスの変動に伴う肌荒れやニキビを内側から整える漢方薬です。色白でむくみやすく、疲れやすい体質の方に適しています。
加味逍遥散は、精神的なストレスやイライラが強く出るタイプの女性におすすめです。怒りっぽい、眠れない、気分が不安定といった「不定愁訴」をともなう方に適しており、ホルモンと自律神経の乱れによって悪化するニキビを落ち着かせるのに役立ちます。
血の巡りを整える「桂枝茯苓丸加薏苡仁」
桂枝茯苓丸にヨクイニン(薏苡仁)を加えた漢方薬で、血の滞りと皮膚の新陳代謝を一緒に改善する作用があります。月経不順やのぼせ、足の冷えといった「瘀血体質」が背景にあるニキビや、くすみ・シミをともなう肌トラブルに有効です。赤黒く、治りにくいニキビができやすい方や、周期的に繰り返す肌荒れを抱えている方に適しています。
漢方を始める前に知っておきたい注意点
漢方は体質に合わせた治療ができる一方で、始める前に知っておきたい大切なポイントがあります。効果的に、そして安全に活用するためには、いくつかの注意点をしっかり理解しておくことが大切です。
自己判断より専門家の診断を重視しよう
漢方薬は自然由来の成分からできていますが、すべての方に安全というわけではありません。体質に合わない処方を選ぶと、副作用や体調悪化の原因になることもあります。
たとえ市販されている漢方薬でも、症状や体質に合わせた使い分けが重要です。自分のニキビに合う漢方薬を選ぶためには、医師や薬剤師などの専門家に相談し、体質の見極めを受けてから服用を始めるのが良いでしょう。
漢方が飲みづらい場合の工夫
漢方薬は独特の風味があり、苦手に感じる方も少なくありません。そうした場合には、あらかじめ口に水を含んでから薬を落として飲む「水で流し込む方法」や、粉薬を包む「オブラート」を使って味やにおいを和らげる方法がおすすめです。
オブラートを水でゼリー状にすると飲みやすさがさらに増します。なお、コーヒーや牛乳、ジュースなどでの服用は成分の吸収に影響を与えるため避けましょう。
ニキビを繰り返すなら、漢方という選択も。まずは医師に相談しよう
漢方を使用する際は市販薬を自己判断で使うのではなく、まずは医師に相談し、自分に合った方法で無理なく続けることが大切です。漢方が持つ本来の力を引き出すためにも、正しい使い方から始めましょう。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
通院の時間が取りづらい方でも、あきらめる必要はありません。そんな場合は、オンライン診療を活用しましょう。通院の負担を減らしながら、自分に合った治療を継続したい方に適した医療サービスです。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどを使って、医師の診察を自宅で受けられるサービスです。予約から診察、処方、支払いまでをすべてインターネット上で完結できるため、忙しい方でも無理なく受診できます。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をアプリでスムーズに受けられるサービスです。診察の予約から診療、薬の受け取りまでを一括して行えるのが特徴で、薬は最短で当日または翌日に全国どこでも届けてもらえます。
お気に入りのクリニックや薬局を登録したり、お薬手帳をデジタルで管理できる機能もあり、忙しい方でも手間なく継続的な治療を受けられる仕組みが整っています。
まとめ
ニキビの原因は、肌表面だけでなく体の内側にあることも少なくありません。漢方は、気・血・水や内臓機能のバランスを整えることで、ニキビの根本的な改善を目指します。自分に合った漢方薬を見つけるには、専門家のサポートが重要です。なかなか治らない、繰り返すニキビに悩んでいる方は、外側のケアに加えて、内側から整える漢方も治療の選択肢として検討してみてください。

医師
高藤 円香

この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
- 当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
- 当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
- 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
- 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。


SOKUYAKUの使い方
-
STEP1
診療予約
-
STEP2
オンライン問診
-
STEP3
オンライン診療
-
STEP4
オンライン服薬指導
-
STEP5
おくすり配達
※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。