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湿疹にステロイド外用薬が効かないのはなぜ?考えられる原因と適切な塗り方について詳しく解説

監修医師 山下 真理子
更新日:2024年12月9日

更新日:2024年12月9日

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ステロイド外用薬は、湿疹を治すときによく用いられる薬です。ただし、場合によっては思うように効果が現れないかもしれません。その理由はさまざまで、適切な使い方や原因を理解することが重要です。

この記事では、ステロイド外用薬が効かない原因や、正しい使用方法について詳しく解説します。

ステロイド外用薬が効かないのはなぜ?

ステロイドを塗っても湿疹が治らないのは、さまざまな理由が考えられます。まずは、ステロイド外用薬について、くわしくみていきましょう。

ステロイド外用薬とは

ステロイド外用剤は、皮膚に起きた炎症を抑えるための薬です。これは、体内で自然に作られるホルモンに似た成分を使っていて、炎症やアレルギー反応を軽減する働きがあります。直接肌に塗ることで、全身に対する影響を最小限に抑えつつ、患部に効果を発揮します。たとえば、湿疹やかゆみの治療にかかせない大切なお薬です。

ステロイド外用薬の効果の強さ

ステロイド外用剤には、いくつかの種類があり、それぞれ効き目の強さが異なります。これは、人によって薬の効き方が違うこともあり、薬そのものの種類によって強さがランク分けされています。

strongest
最も強い
クロベタゾールプロピオン酸エステル

ジフロラゾン酢酸エステル

very strong
非常に強い
モメタゾンフランカルボン酸エステル

酪酸プロピオン酸ベタメタゾン

フルオシノニド

ベタメタゾンジプロピオン酸エステル

ジフルプレドナート

アムシノニド

ジフルコルトロン吉草酸エステル

strong
強い
デプロドンプロピオン酸エステル

デキサメタゾンプロピオン酸エステル

デキサメタゾン吉草酸エステル

ベタメタゾン吉草酸エステル

フルオシノロンアセトニド

medium
おだやか
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル

トリアムシノロンアセトニド

アルクロメタゾンプロピオン酸エステル

クロベタゾン酪酸エステル

ヒドロコルチゾン酪酸エステル

デキサメタゾン

weak
弱い
プレドニゾロン

ランク分けは、ステロイド成分そのものの強さではなく、薬の効果に基づいています。軟膏を基準にしているため、クリームやローションなどの形によっては、効果の強さが少し異なるかもしれません。

ステロイド外用薬の副作用

ステロイドというと、副作用が気になる方が多いかもしれません。内服薬や注射などの場合は、長期使用により糖尿病や胃潰瘍、顔が丸くなる「ムーンフェイス」、肥満、免疫力の低下といった全身的な副作用が起こることがあります。

 

ただし、ステロイドの外用薬(肌に塗るもの)では、これらの全身的な副作用はほとんど心配いりません。外用薬の副作用は、塗った場所に限られる局所的なものがほとんどです。

 

多毛➝毛が濃くなる

・ステロイドざ瘡➝肌にきびができやすくなる

・テロイド潮紅➝血管が目立って皮膚が赤く見える

・皮膚萎縮➝皮膚が薄くなる

・皮膚感染症

・毛細血管拡張

・乾皮症

 

ステロイドの外用薬は適切に使用すれば、副作用を最小限にしながら効果的な治療が可能なため、心配なことがあれば医師や薬剤師に相談してください。

ステロイドを塗ってもかゆみが消えない!考えられる原因とは

ステロイドを塗っても湿疹が治らない理由はいくつか考えられます。

 

・塗る薬の量が少なすぎて、湿疹の範囲全体に行き渡っていない

・湿疹のタイプによっては、ステロイドが効果を発揮しない

・体調が良くなかったり、別の皮膚の問題が進行している

・冬の乾燥や夏の汗・湿気で湿疹が悪化する

・医師の指示や薬の説明書に従っていない

 

薬が効かない理由として多い理由は、必要な量を使っていなかったり、薬を肌にこすりつけすぎたり、または塗りすぎて均一に広がっていないことです。その結果、薬がしっかり効かず、症状が改善しないことがあります。

また、ステロイド薬に対する恐れから、医師の指示を無視して自己判断で使用を中断すると、湿疹が再び悪化してしまうこともあります。

ステロイド外用薬の正しい使い方

ステロイド外用薬は、感染症や皮膚の損傷がある場合には使わないほうが安全です。

 

ステロイドを使うと、免疫力が低下することがあります。そのため、すでに細菌や真菌などの感染症が皮膚にある場合には、ステロイドを使うと症状が悪化する恐れがあります。

 

また、耳の湿疹などで鼓膜が破れている場合にもステロイドの使用は避けるべきです。鼓膜が破れているときにステロイドを使うと、治癒が遅くなったり感染するリスクが高まる可能性があります。

 

さらに、皮膚がただれている場合や、火傷、凍傷の場合にはステロイド外用薬を使用すると症状が悪化することがあるため、使用しないようにしましょう。

 

塗る範囲、塗る量、塗る回数にも注意してください。炎症がある部位に塗る際には、赤みやざらつきが見える範囲だけでなく、その周りの少し広めの部分にも塗ることが大切です。これは、実際に見えている症状以上に炎症が広がっていることが多いからです。

 

また、塗る量については、ティッシュペーパーが塗った部分にしっかりと貼り付けられる程度の量を目安にすると良いでしょう。これくらいの量を塗ることで、効果的に炎症を抑えられます。

ステロイド外用薬の効果の強さで選ぶ

ステロイドは作用が強い順に「strongest」「very strong」「Strong」「Medium」「Weak」の5つのランクに分けられています。

 

市販薬に使われるステロイド外用剤は、市販薬のステロイドは、下位3つの「強い(Strong)」「中程度(Medium)」「弱い(Weak)」の3つです。

 

市販のステロイド外用剤を選ぶときは、年齢を基準にしましょう。中学生以上なら「強い」ランクの薬を使えますが、小さな子どもや赤ちゃんには「おだやか」または「弱い」ランクの薬を使うことが勧められます。赤ちゃんや子どもの皮膚は、大人ほどしっかりしていないため、薬の成分がより強く作用しやすいからです。

 

・2歳未満:Weak

・2歳〜小学生:Medium

・中学生以上:Strong

 

さらに、市販薬を使う場合は、使用期間や部位の注意事項を守ることが大切です。これにより、安全に薬を使えます。生後間もない赤ちゃんの場合は、皮膚症状の原因を特定するのが難しいため、自己判断せずに必ず医師の診察を受けるようにしましょう。

薬の剤形(軟膏やクリームなど)で選ぶ

ステロイドの塗り薬には3つの種類があります。

・軟膏

・クリーム

・ローション

 

ジクジクしたり掻き壊してしまった部分や皮膚の薄いデリケートな場所には、刺激の少ない軟膏を使うのがおすすめです。ステロイドの種類を患部の状態に合わせて選ぶことで、より効果的な治療が期待できます。

 

軟膏
油分が多くて刺激が少ないので、湿っている部分や乾燥している部分のどちらにも使えます。

 

クリーム
軟膏よりも水分が多く、乾燥部分には適しています。ただし、傷に塗ると刺激を感じやすく、汗で流れやすいという特徴があります。


ローション
クリームよりもさらに水分が多く、さらっとした使用感があります。乾燥した部分に向いていますが、刺激を感じやすい特徴があります。

薬を使用する期間の目安

ステロイドは効果が弱いものであっても、長期使用すると副作用が出る可能性が高くなります。そのため、使用期間はしっかり守ることが大切です。

 

市販の薬の場合、吸収率が高い顔などの部位では、数日から1週間程度を目安にしてください。手足などの吸収率が低い部位では、1週間から10日程度が目安です。これを超えても症状が改善しない場合は、皮膚科で診察を受けることをおすすめします。

湿疹を治すためのセルフケアポイント

湿疹が発生すると、炎症が原因で皮膚がかゆくなり、赤みや皮むけを引き起こします。湿疹が現れた際には速やかに適切な対処をすることが必要です。ここでは、ステロイド外用薬以外のセルフケアを紹介します。

皮膚を清潔に保つ

皮膚には、汗やほこり、細菌など、さまざまな汚れがつきます。これを放置すると、その汚れが原因で皮膚が炎症を起こしたり、かゆみが出たりしやすくなる原因です。さらに、細菌が繁殖すると感染症のリスクも高まります。皮膚をきれいに保つためには、毎日しっかりと洗うことが重要です。

毎日入浴し、肌は手で優しく洗浄する

体を洗う頻度は生活習慣や個人の好みによって異なりますが、基本的には1日に1回が望ましいとされています。特に汗をかきやすい夏場や運動後には、シャワーを浴びて肌を清潔に保つことが重要です。

 

タオルやナイロンタオルで強くこすりすぎると、肌のバリア機能が弱まってしまいます。代わりに、泡立てた石鹸を使って手で優しく洗いましょう。皮膚を洗うときは、皮膚のしわの方向に沿って洗うことで、より効果的に汚れを落とせます。

洗浄の際は、刺激の少ない石鹸で、よく泡立てて使用する

洗浄力が強い石けんやボディソープは肌の油分を奪い、乾燥や刺激を引き起こすことがあります。全身がかゆくなることもありますので、こうした場合は、肌にやさしく低刺激の製品を選ぶことが大切です。敏感肌用の製品や、保湿成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。

 

皮膚を洗うときには、泡をたっぷり立てて使用するのがおすすめです。泡は、皮膚の汚れをやさしく包み込み、しっかりと取り除く働きがあります。また、泡を使うことで、摩擦による皮膚への刺激を減らせます。

 

たとえば、手のひらで石鹸をしっかりと泡立てて、その泡でやさしく皮膚をなでるように洗うといいでしょう。泡立てることで、洗浄力もアップし、皮膚への負担も軽減します。

薬を塗る前に、処方以外の薬や保湿剤を塗るのはやめる

医師の指示がある場合は、順番を守ってください。処方された薬を塗る前に、別の薬や保湿剤を塗ると、薬の効果が弱まったり、逆に副作用が現れることがあります。そのため、処方された薬を塗る前には、他の製品を使用しないようにしましょう。湿疹がある場所に塗り薬をしっかりと効かせたいため、まずは皮疹のある場所に薬を塗ってください。

薬を塗った箇所は、極力触らない

塗り薬は一般的に皮膚の表面に塗布後、数分から10分程度で吸収され始めます。そのため、薬を塗った箇所は極力触らないようにしましょう。薬が肌に吸収される過程で触れると、薬が拭き取られたり、効力が減少したりすることがあります。

医師の指示通りの期間・用量を守って薬を使用する

病院の処方の場合は医師や薬剤師から指定された期間・用量を守ることが大切です。また、市販の薬の場合も、説明書に書いてある使い方を守りましょう。

 

指示より少ない回数しか塗らなかった場合、薬の効果が十分に発揮されません。そのため、病状が改善しない可能性があります。一方で、指示以上に多く塗ってしまうと、薬の成分が過剰に吸収されることで、副作用が現れる恐れがあります。

症状が改善しない場合は早めに医師に相談しましょう

ステロイドの塗り薬を使っても症状が改善しない場合は、長期間続けると副作用が出る可能性があるため、早めに医師に相談しましょう。顔や陰部にできるブツブツやかゆみなどは、ニキビやカンジダ、ヘルペスなどの感染症が原因のこともあり、ステロイドが使えない場合もあります。自己判断で使い続けるのではなく、症状が続く場合は医師に相談してください。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

忙しい現代生活では時間の確保が難しいかもしれません。時間がつくれない場合には、オンライン診療もおすすめです。

オンライン診療とは

オンライン診療について

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専門スタッフによるサポートも充実しており、気に入ったクリニックや薬局をアプリ内に登録しておくことも可能です。さらに、お薬手帳をデジタル化する機能もあり、薬の管理がより便利になります。全国どこでも、当日または翌日に薬を受け取ることができるため、忙しい人でもスムーズに医療サービスを利用できる点が魅力です。

まとめ

湿疹にステロイド外用薬が効かない場合、自己判断で薬を使い続けるのはやめてください。まずは、なぜ効かないのかを理解することが重要です。使い方や使う頻度を見直したり、他の治療方法が必要になるかもしれません。

 

医師と相談しながら適切なケアをすることで、湿疹を効果的に改善できる可能性が高まります。この記事を参考にして、湿疹に対する正しいアプローチを知り、早めに改善できるようにしましょう。

コメント ステロイド外用薬は、基本的には健常な皮膚には使うべきではありません。多毛などのトラブルだけではなく、皮膚を弱くしてしまう可能性があるからです。かといって、塗布する際に健常な皮膚にステロイド外用薬がついてしまったからと言ってすぐになんらかの影響が出るわけではありません。気がついたタイミングで拭き取るようにすれば問題ありませんし、塗布する部位の周辺の健常な皮膚に一緒に塗ってしまったからといってとくに問題ありません。長期間に渡って強いステロイド外用薬を健康な皮膚に塗り続けるなどをしなければ問題ないでしょう。

監修医コメント

医師
山下 真理子

ステロイド外用薬は、基本的には健常な皮膚には使うべきではありません。多毛などのトラブルだけではなく、皮膚を弱くしてしまう可能性があるからです。かといって、塗布する際に健常な皮膚にステロイド外用薬がついてしまったからと言ってすぐになんらかの影響が出るわけではありません。気がついたタイミングで拭き取るようにすれば問題ありませんし、塗布する部位の周辺の健常な皮膚に一緒に塗ってしまったからといってとくに問題ありません。長期間に渡って強いステロイド外用薬を健康な皮膚に塗り続けるなどをしなければ問題ないでしょう。

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監修医師 山下 真理子
くみこクリニック京都駅前院所属 専門領域分類は美容皮膚科。 京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。
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