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ステロイドは怖い?アトピー性皮膚炎の治療で正しい使い方とは

監修医師 五藤 良将
更新日:2025年03月7日

更新日:2025年03月7日

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ステロイドはアトピー性皮膚炎の治療では、基本となる薬です。誤った情報を信じ、「副作用が怖い」と不安に思う方も少なくありません。正しい使い方を理解すれば、安全に症状をコントロールできます。この記事では、ステロイドの働きや適切な使い方、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

ステロイドはアトピー治療の基本薬

ステロイド軟膏は湿疹治療の中心的な薬剤であり、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも「アトピー性皮膚炎治療の基本」と位置づけられています。

ステロイド外用薬の役割

ステロイドはもともと副腎で作られるホルモンで、炎症を抑える働きを持っています。これを人工的に合成したのがステロイド薬です。ステロイド外用薬を塗ることで、炎症を引き起こす細胞の活性化を抑え皮膚の炎症を効果的に鎮め、かゆみを引き起こす神経の興奮も抑えられるため、かゆみが急速に軽減します。

ステロイド外用薬の種類と強さ

ステロイド外用薬には、軟膏・クリーム・ローションの3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

 

軟膏は粘度が高く、肌をしっかり保護しながら保湿力も高いですが、ベタつきやすい点がデメリットです。ローションはサラッとして伸びがよく、広範囲に塗りやすい反面、薬剤が落ちやすい傾向があります。クリームは軟膏とローションの中間的な性質を持ち、適度な保湿力と伸びの良さを兼ね備えています。

 

ステロイドの強さ

作用の強さによって5つのグループに分類されます。炎症の程度や部位、年齢に応じて適切なランクの薬を使用しましょう。

 

I群(ストロンゲスト)

最も強力なステロイドで、炎症が強い場合に使用

 

II群(ベリーストロング)

強力なステロイドで、高い抗炎症作用がある

 

III群(ストロング)

中程度の強さのステロイドで、顔以外の比較的広い範囲に使用

 

IV群(マイルド/ミディアム)

比較的弱いステロイドで、顔や首、乳幼児の皮膚に使用

 

V群(ウィーク)

最も弱いステロイドで、軽度の炎症や敏感な部位に使用

ステロイドは怖い薬?誤った情報とは

誤った情報が広まったことで、「ステロイドは怖い薬」という印象を持ってしまう方がいます。

ステロイド外用剤は皮膚が黒くなる原因になる

実際に色素沈着が起こるのは炎症の繰り返しによるメラニン増加が原因であり、ステロイド自体が直接的に黒ずみを引き起こすわけではないのです。

ステロイド外用剤は骨を弱くする

ステロイドを内服や注射で大量かつ長期間使用すると、副作用として骨がもろくなる可能性があります。しかし、ステロイドの塗り薬は皮膚の炎症を局所的に抑える働きをするため、適切に使用すれば骨がもろくなる心配はありません。

ステロイド外用剤は一度使うとやめられなくなる

ステロイドホルモンには依存性や体内に蓄積する性質はありません。科学的にもそのようなことは起こらないため、正しく使用すれば心配しなくて大丈夫です。

ステロイド外用薬の正しい塗り方は

「薬の種類」、「薬を塗る部位」、「使う量」、「使う期間」を適切に守ることが重要です。

自分に合った強さを使う

首や顔、陰部など皮膚が薄い部位では吸収率が高いため、強いステロイドを使用すると副作用が出やすくなります。手や足のように皮膚が厚い部分は吸収率が低いため、弱いステロイドでは十分な効果が得られません。

 

市販薬を使う場合は、大人には「ストロング」、幼児から小学生には「マイルド」、2歳未満の赤ちゃんには「ウィーク」を使用するのが一般的です。

適量を守る

塗っても症状が良くならない原因の多くは、使用している量が不足していることがほとんどです。適量よりも少なく塗ってしまうと、十分な効果が得られません。

 

適量の目安として、口径5mmのチューブから大人の人差し指の第一関節の長さに押し出した量です。これで、大人の手のひら2枚分の範囲に塗れます。実際の患部の広さに合わせて適量を調整してください。指先で軽く置くように塗り、しわの方向に沿って優しく伸ばすことが大切です。強く擦り込む必要はなく、肌に負担をかけないように丁寧に塗り広げましょう。

期間を守る

赤みが取れたからといって完全に回復していないうちに治療を中断すると、再発しやすくなるため避けましょう。また、健康な皮膚に予防目的で漫然と使うと、副作用のリスクが高まるため、塗らないようにしてください。

 

市販薬を使う場合は1週間を目安にし、症状が改善しない、または悪化している場合は、医療機関を受診しましょう。

ステロイド外用薬で注意すること

長期使用や強いステロイドの使用により、局所性副作用が起こることがあります。また、自己判断で勝手に中止しないことも大切です。

長期間使用する場合

長期間使用したり、皮膚の薄い部位に強いステロイドを塗り続けたりすると、局所性の副作用が現れることがあります。代表的な副作用として、皮膚が薄くなる、血管が浮き出る、ニキビができやすくなる、感染症の悪化などが報告されています。ただし、適切に使用すればこれらの副作用はほとんど起こりません。

急にやめることのリスク

ステロイド外用剤を長期間使用した後、急に塗るのをやめたり、使用量を大幅に減らすと、皮膚が赤く腫れたり、滲出液が出ることがあります。これは「リバウンド現象」と言われることもありますが、実際には不適切な治療中断による疾患の急激な悪化です。

 

十分に改善していない状態で自己判断で中止すると、症状が再び強く出ることがあります。医師の指導のもとで、徐々にステロイドの使用量を減らしていくことが重要です。

ステロイドに頼るのではなく、スキンケアと併用することが大切

アトピー性皮膚炎の治療は、乾燥を防ぎ皮膚のバリア機能を正常に保つためのスキンケアが重要とされています。基本となるのは、皮膚を清潔に保つことと、保湿を行い皮膚のうるおいを維持することです。

 

ステロイド外用剤と保湿剤が複数処方されている場合は、医師から説明された順番を守って塗ってください。特に説明がなかった場合は、塗る面積の広い保湿剤から先に塗り、後からステロイド外用剤を湿疹等の患部にだけ塗るようにしましょう。逆にしてしまうと、ステロイドが塗る必要のない部分まで広がり、正常な皮膚に副作用が起きる可能性があります。

再発や重症化を減らすプロアクティブ療法とは

プロアクティブ療法とは、皮膚炎が軽快した後もステロイド外用剤などの使用を続けることで、炎症の再発や悪化を防ぐ方法です。これにより、症状の安定が長期間維持され、ぶり返しの頻度や重症化を抑えることが期待できます。

 

プロアクティブには「先を見越した」「予防的な」という意味があります。炎症があったすべての部位に引き続き塗ることが鉄則で、使用量はフィンガーチップユニットの1/2量か1/3量で全身に塗る場合は1回10g〜7g程度が目安です。事前に保湿剤を塗ることで、少ない量でも全身にのばしやすくなります。治療の進行に応じて、隔日外用、週2回外用、週1回外用と徐々に減らしていきます。

ステロイドは正しく使えば怖くない!専門医に相談しよう

ステロイド外用剤は、適切に使用すれば安全で効果的な治療薬です。副作用を恐れて自己判断で避けたり、不適切な使い方をすると、かえって症状が長引いたり悪化することがあります。炎症をしっかり抑えるためには、適切な強さの薬を、指示された量と期間で使用することが大切です。

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オンライン診療とは

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まとめ

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の治療において基本となる薬です。正しく使用すれば副作用のリスクを抑えながら、効果的に症状を改善できます。スキンケアと併用しながら、適切な強さ・量・期間を守り急に使用を中止しないことが大切です。症状が落ち着いた後は、再発や重症化を防ぐ「プロアクティブ療法」もあります。ステロイドに不安を感じる場合は、自己判断せず専門医に相談してください。誤った情報に惑わされず、症状の改善を目指しましょう。

コメント ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために極めて有効な治療法です。適切な強さと用量で使用することで、炎症の悪化を防ぎ、皮膚の健康を維持できます。「ステロイドは怖い」との誤解がありますが、医師の指導のもとで正しく使えば、安全で効果的です。特にプロアクティブ療法を取り入れることで、再発を防ぎ、症状の安定を図ることができます。自己判断での中止や過度な使用は避け、専門医の指示に従うことが重要です。

監修医コメント

医師
五藤 良将

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために極めて有効な治療法です。適切な強さと用量で使用することで、炎症の悪化を防ぎ、皮膚の健康を維持できます。「ステロイドは怖い」との誤解がありますが、医師の指導のもとで正しく使えば、安全で効果的です。特にプロアクティブ療法を取り入れることで、再発を防ぎ、症状の安定を図ることができます。自己判断での中止や過度な使用は避け、専門医の指示に従うことが重要です。

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監修医師 五藤 良将
経歴:千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。 免許・資格:医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員 所属:医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長 医療法人社団五良会 理事長
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