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ゲンタシン軟膏とゲンタマイシンの違いは?ジェネリック?成分や効果、副作用について詳しく解説!

監修薬剤師 大越 有紀
更新日:2024年02月27日

更新日:2024年02月27日

ゲンタシン軟膏とゲンタマイシンの違いは?ジェネリック?成分や効果、副作用について詳しく解説!のイメージ
皆さん、一度は使ったことがあるのでないでしょうか。いろいろな菌に効いてくれるので、様々な症状で処方される機会が多い薬です。

例えば、切り傷やすり傷、軽い火傷など。よく皮膚科などで処方されるゲンタシン軟膏について、どのような薬なのか、成分、どんな症状に効果的か、用法・用量、副作用、使用に際しての注意点を詳しく解説したいと思います。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)とは

ゲンタシン軟膏は1970年6月に市販されて以来、ブドウ球菌、緑膿菌、変形菌等による各種皮膚感染症に対し、広く使用されている外皮用剤です。
2017年12月8日にMSD株式会社から高田製薬株式会社に国内製造販売承認を承継されました。

剤形違いでクリームと注射剤も存在

白色〜微黄色の半透明のゲンタシン軟膏の他、よりなめらかな半固体の形状で白色のゲンタシンクリームも販売されています。いずれもチューブの大きさは1本10gのみとなります。

また、主として重篤なグラム陰性桿菌感染症及びブドウ球菌感染症に対し、筋注または点滴静注により使用されているゲンタマイシン硫酸塩の注射液(ゲンタシン注 40、同 60、同 10)もあります。

ゲンタシン軟膏にジェネリックはあるのか

ゲンタシン軟膏のジェネリック医薬品は、3製品4社より販売されています。(2021年10月28日現在)

ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%「イワキ」(岩城製薬)
ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%「タイヨー」(武田薬品)
ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%「F」(富士製薬工業/コーア製薬)

そして、ジェネリック医薬品にしかない剤形として、点眼薬があります。

ゲンタマイシン硫酸塩点眼液0.3%「ニットー」(日東メディック)
ゲンタマイシン点眼液0.3%「日点」(日本点眼薬研究所)

また、ステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)とゲンタマイシンの合剤も販売されています。皮膚のかゆみや火傷などで使用することのあるリンデロン-VG軟膏0.12%(塩野義製薬)などがあります。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)について

先発医薬品(ゲンタシン軟膏)の販売特許が切れた後、同じ有効成分を主成分としている医薬品のことです。

 

先発医薬品において有効成分自体の有効性・安全性がすでに確認されているので、同じ有効成分の後発医薬品では有効成分の有効性・安全性に関する臨床試験を行う必要がありません。

 

承認審査において厳格に審査され、先発医薬品との同一性が確認された後、厚生労働大臣が承認します。先発医薬品より試験が少ない分、医薬品を安く提供することができます。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)の成分について

ゲンタシン軟膏0.1%1g中に、有効成分のゲンタマイシン硫酸塩1mg(力価)含有しています。

ゲンタシン軟膏の有効成分であるゲンタマイシン硫酸塩は、幅広い抗菌スペクトル※を有し、ブドウ球菌及び各種グラム陰性桿菌に対し殺菌的に作用する。

 

化膿性皮膚疾患の原因菌は主として黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌であるが、これらの細菌に対しゲンタマイシン硫酸塩は、試験管内において低濃度でその発育を阻止し、臨床的にも高い有効性が認められている。

 

ゲンタシン軟膏の薬理学的特徴として、抗菌活性はアミノグリコシド系抗菌剤中最も優れているもののひとつで、抗菌スペクトルはグラム陽性・陰性菌にわたる広域に及び、その作用は殺菌的です。
ゲンタシン軟膏を含むアミノグリコシド系抗生物質の抗菌作用以外の主な薬理作用は神経筋遮断作用があります。

 

※抗菌スペクトル…抗菌剤が増殖阻止作用を示す感受性微生物の示す範囲のこと。
ゲンタシン軟膏のように、グラム陰性菌、グラム陽性菌などの多くの細菌に抗菌効果を示す抗菌剤は、抗菌スペクトルが広いとされます。

 

※グラム陽性(陰性)菌…グラム染色法(化学処理)により、細菌は大きく2種類に大別されます。青紫色に染まるものをグラム陽性菌、赤色をグラム陰性菌といいます。

 

違う色で染まるのは、それぞれの細胞壁の構造が異なるためです。それらの菌の種類によって、生じる感染症の種類も異なり、また効果的な抗菌薬の種類も異なります。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)はどんな症状に効果がある?

ゲンタシン軟膏に効果のある細菌また適応症は以下の通りです。

 

【適応菌種】
ゲンタマイシンに感受性のある以下の細菌
グラム陽性菌:ブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、
グラム陰性菌:緑膿菌、大腸菌、エンテロバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属
(ゲンタシン軟膏 添付文書参照)

 

【適応症】
表在性皮膚感染症、慢性膿皮症、びらん・潰瘍の二次感染
(ゲンタシン軟膏 添付文書抜粋)

表在性皮膚感染症とは

細菌による皮膚感染症は病巣の深さによって、表在性皮膚感染症と深在性皮膚感染症に分けられます。
それぞれの主な症状は次のようなものです。
1.表在性皮膚感染症:伝染性膿痂疹や毛包炎
2.深在性皮膚感染症:蜂窩織炎、丹毒、せつ、よう、化膿性爪囲炎

ゲンタシン軟膏の適応である1.表在性皮膚感染症の中の伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)とは、いわゆる「とびひ」のことです。
乳幼児に多く見られ、虫刺され・湿疹などで引っ掻いてできた傷や転んでできた擦り傷などに、ヒトの表皮に細菌が感染する病気です。

主な原因菌は、黄色ブドウ球菌とA群溶血性連鎖球菌です。

 

伝染性膿痂疹には、
・水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん):夏場に多く、黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって破れやすい水ぶくれを生じ、びらんになる病気
・痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん):主にA群溶血性連鎖球菌が原因で、季節に関係なくみられ、膿が固まったような厚いかさぶたがみられるのが特徴の病気の2種類があります。

 

一方、毛包炎は、毛穴の奥の毛根を包んでいる部分(毛包、毛嚢)に起こる炎症です。毛包部にできた小さなキズから細菌が感染することによって起こります。赤みを帯びた発疹(丘疹)や周囲が赤く膿をもった発疹(膿疱)がみられます。

慢性膿皮症とは

慢性膿皮症(別名 化膿性汗腺炎)は、痛みや赤い腫れを伴うおできが繰り返しできる皮膚性の疾患です。乳房の下や臀部(お尻)、足のつけ根、腋窩(わきの下)などにできやすく、20~40歳代を中心に発症します。

 

慢性膿皮症は放置すると膿がたまり、さらに症状が進行すると皮膚の下で膿がつながってしまう場合もあります。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)の用法・用量は?

“用法・用量:1日1〜数回患部に塗布あるいはガーゼなどにのばしたものを患部に貼付” (添付文書 用法・用量より抜粋)

用法・用量に関連する使用上の注意

耐性菌※の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、必要な最小限の期間の投与にとどめてください。改善が見られないのに漫然と使用し続けないよう、効果が見られない、逆にひどくなるなどの症状があれば処方医の受診を再度受けるようにしましょう。

 

※耐性菌…細菌が1つ以上の抗菌薬に対して感受性がない、つまりその抗菌薬が効かないことを意味します。
感染した細菌の一部は既に特定の抗菌薬に耐性を持っていることがあります。その抗菌薬を使用すると、耐性菌が中心となって体内で増殖し、症状が悪化する可能性があります。

また、同じ種類の抗菌薬の何度も使用する、抗菌薬の長期使用により、細菌が徐々に耐性を持つようになります。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)の副作用

以下のような症状が現れた場合には投与を中止してください。
・過敏症:(0.1%未満)発疹等

以下のような症状が現れる可能性があるので、長期連用を避けてください。
・その他:(頻度不明)腎障害※、難聴
※腎障害は、具体的に尿量が少なくなる、ほとんど尿が出ない、発疹、むくみ、体がだるいなどの症状
いずれもアミノグリコシド系抗菌薬の副作用として有名です。しかしながら、外用薬のため腎障害は特に可能性としてはかなり低いものと思われますが、アレルギー体質の方などは念のため注意しましょう。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)はニキビや肌荒れにも使っていいの?

広く様々な局所感染症に使用されるゲンタシン軟膏ですが、具体的にはどのような症状に使用されるのでしょうか。先ほど述べたように、抗生物質といわれる薬は患者様の症状と原因となっている細菌によって使い分けられています。

 

本来であれば、抗生物質を用いた治療を行う場合、検査によって原因菌を特定した上で効果的な医薬品を使用すべきです。

 

しかしこれはあくまで、理想論であり、実際は検査費用や診療時間の側面から考えても現実的ではありません。

 

そのため、広く様々な原因菌に対して効果を示す成分を含有した抗生物質をまずは試し、症状が改善しない、もしくは悪化してしまった場合に原因菌を特定して再度適切な医薬品の選択を行うといった流れで治療が行われている場合が多いのです。

 

また近年ヒルドイドを中心に、医薬品の美容目的での使用が問題視されています。ゲンタシン軟膏もニキビ・肌荒れといった症状への効果が注目されていますが、皮膚科でニキビ・肌荒れの症状にゲンタシン軟膏が使用されることはあまりありません。

 

抗生物質が含有されているため、ニキビの原因菌であるアクネ菌や皮膚のバランスが崩れた際に悪影響を与える黄色ブドウ球菌などの細菌に対して殺菌的に作用するので薬剤の使用によって症状が改善する可能性はありますが、ニキビの治療薬として一般的ではありませんので、実際の臨床では症状・状態によってあくまで補助療法として使用されています。

 

またそばかすやくすみのような肌荒れ症状には効果がありません。それどころか肌があれてバリア機能が低下している部分に医薬品を使用することで薬の副作用リスクが高まり症状が悪化してしまう可能性がありますので注意してください。

 

▼関連記事
最近ではゲンタシン軟膏がニキビにも効くと話題になっており、気になる方は、別記事「ゲンタシン軟膏はニキビや肌荒れに効果的?成分や効果から副作用や購入場所まで詳しく解説!」で解説していますので、そちらも合わせて参考にしてください。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)に関する注意点

ゲンタシン軟膏を使用できない人

以下の薬に対し過敏症の既往歴のある人は、ゲンタシン軟膏を使用できません。
・ゲンタマイシン硫酸塩
・他のアミノグリコシド系抗生物質
・バシトラシン(商品名:バラマイシン軟膏[バシトラミン+フラジオマイシン硫酸塩])

飲み込んでしまった場合の対処法

経口投与(口から飲み込むこと)した場合の安全性を確認するデータはありません。経過を観察し、異常があれば医療機関を受診してください。

 

また、ゲンタマイシン硫酸塩は消化管から吸収されない性質があります。添加物で用いられているワセリン、流動パラフィンは緩下剤(便秘薬)などにも使われる成分のため、軟便になる可能性は否定できません。

眼科用に使用できない理由

ゲンタシン軟膏は眼科用としては使用できません。その理由は以下の通りです。
・無菌製剤ではありません。
・眼科用としての臨床データがなく、眼軟膏としての承認を受けていないためです。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)と同じ成分の市販薬はある?

ゲンタマイシン硫酸塩を含む市販薬は2021年10月28日現在、存在しません。ただ、他の成分では2種類の抗菌剤を混合した市販薬やステロイド+抗菌剤の市販薬もあります。

 

数多く売られているので、薬局・ドラッグストアで行った際はどのような薬を取り扱っているか確認してみましょう。

ゲンタシン軟膏(ゲンタマイシン硫酸塩)を購入するにはどうしたらいい?

ゲンタシン軟膏は「医療用医薬品」に指定されているため、処方箋なしでドラッグストアなどで購入することはできません。

 

ゲンタシン軟膏を購入するには、医師の診察を受けて処方箋を発行してもらう必要があります。

 

しかし、薬をもらうためだけに病院に行くのは面倒と感じる方もいるのではないでしょうか。

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監修薬剤師 大越 有紀
調剤併設ドラッグストアや調剤薬局にて15年以上保険薬剤師として勤務。 患者様の心に寄り添う投薬を心掛けています。 また、医療・薬や育児に関する記事を中心に執筆しています。 恐竜大好きわんぱく男の子を育てる未婚のシングルマザーで育児奮闘中。
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