ユーザー向け

アトピー性皮膚炎は本当に治る?長引く症状を抑えるためのポイント

監修医師 五藤 良将
更新日:2025年03月6日

更新日:2025年03月6日

アトピー性皮膚炎は本当に治る?長引く症状を抑えるためのポイントのイメージ
https://wpstatic.sokuyaku.jp/media/verified_dZUKLVI1ZQeuWRVmPZkj.png
「アトピー性皮膚炎は本当に治る?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。アトピー性皮膚炎は、完治が難しい病気です。ただし、適切な治療と日々のケアを続けることで症状を軽減し、生活の質を向上させることは十分に可能です。この記事では、アトピー性皮膚炎の症状を抑えるための治療法や予防策、日常生活でできる対策について紹介します。

アトピー性皮膚炎は「完治」する?

アトピー性皮膚炎は完全に治ることは少ないものの、適切な治療とケアによって症状を管理し、生活の質を向上させることが可能です。適切な治療を続けることで、症状をコントロールし、しばらく症状が出ない「寛解」の状態が期待できます。

 

生活環境や習慣によっては再び症状が出ることがあるため、完全に「治った」と言うのは難しいかもしれません。ただし、年齢が上がるにつれて症状が治まる割合が増え、症状が軽い人ほど寛解する可能性が高いことがわかっています。

アトピー性皮膚炎はくり返す病気

アトピー性皮膚炎は症状が一時的に改善しても、皮膚の内部で炎症を引き起こす原因となる細胞や物質が残っているため、再び症状が悪化してしまうことがあります。この隠れた炎症を「かくれ炎症」と呼び、見た目には良くなっているように見えても、実は炎症が続いている状態です。そのため、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことになります。

 

症状が悪化する原因は、外部からの刺激だけではありません。精神的なストレスも大きく関わっています。たとえば、汗や花粉などが皮膚に刺激を与えることもありますが、進学や受験、就職といった人生の大きな変化や環境の変化によっても症状が悪化しやすくなります。こういった時期には、精神的なストレスが影響して、さらに症状が悪化するかもしれません。また、かゆみや湿疹自体が非常に大きな負担となり、これがさらにストレスを引き起こすことがあります。

かゆみと掻破の悪循環

「かゆみ」とは、皮膚や粘膜に何らかの異常があるときに、掻きたくなる不快な感覚のことです。皮膚に異常があると、神経を通じて脊髄から脳にかゆみの信号が送られ、その結果、かゆみを感じます。

 

かゆみの感じ方には個人差があり、時にはムズムズしたり、痛みを伴ったり、チクチクしたり、焼けるような感覚を覚えるかもしれません。これらは、気候や気分、体調などさまざまな要因にも影響されるため、その感じ方や強さは一人ひとり異なります。

 

掻くことで気持ち良さを感じることもあります。アトピー性皮膚炎では、かゆみが非常に強く、引っ掻いても一時的にしかかゆみが収まらないことがほとんどです。むしろ掻き続けることで、皮膚が傷つき、炎症が悪化し、かゆみがさらに強くなることがあります。この現象を「かゆみと掻破の悪循環」と呼びます。アトピー性皮膚炎のかゆみは、この悪循環によってなかなか治まらないことがあるため、注意が必要です。

アトピー性皮膚炎の治療目標は

治療の最終的な目標は、症状が完全になくなるか、あっても軽度で、日常生活に支障をきたさず薬物療法もほとんど必要ない状態を維持することです。もしこの状態に到達できない場合でも、症状が軽度で急激に悪化せず、日常生活に支障をきたさない状態を維持することが目標となります。

 

症状が見えなくなったとしても、皮膚の下に隠れているかもしれません。そのため、自己判断で治療を止めないようにしましょう。

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因

悪化を防ぐためには、さまざま要因に対して適切な対策が必要です。以下に代表的な悪化因子とその対策を説明します。

非特異的な刺激

唾液や汗、衣類との摩擦、髪の毛の接触などの日常生活での軽微な刺激も注意が必要です。これらは、皮膚に触れた際にかゆみを引き起こし症状を悪化させます。

 

唾液や汗はすぐに洗い流し、柔らかいガーゼなどで拭き取ってください。また、衣類や髪の毛の刺激を避けるため、肌に優しい素材の衣服を選んだり、髪の毛を短く切ったりする工夫もしてみましょう。

接触アレルギー

外用薬、化粧品、香料、金属などにアレルギーがある場合、悪化する要因になります。皮疹が悪化する場合、接触アレルギーを疑いましょう。原因となる物質を避けることで、症状が改善するか確認してみてください。

アトピー性皮膚炎の方では、発汗が少ない場合が多く、これが皮膚の乾燥や炎症を引き起こす原因となります。発汗自体が症状を悪化させることはなく、発汗後の対策が重要です。発汗後は、シャワーを浴び汗を流しましょう。また、通気性の良い衣類を着用してください。

ストレス

交感神経から分泌されるストレスホルモンが、免疫細胞の一種である抗炎症性マクロファージに作用し、抗炎症機能が低下します。これによって、炎症を抑える役割が弱まり炎症を悪化させます。

 

ストレスがかかった時ほど、自分を責めたりせず、あまり深刻に考え過ぎないようにしてください。少し落ち着いてのんびりして、自分なりの対処法を考えてみるのもいいでしょう。

ハウスダストやダニ

ダニや花粉、ペットの毛などの吸入アレルゲンも症状を悪化させる原因です。アレルゲンに対する対策として、室内の清掃やペットとの接触を避けることが挙げられます。また、花粉が多い時期には、外出後にシャワーを浴びたり、衣服を着替えるなどの対策を講じましょう。

細菌・カビ

悪化因子として、黄色ブドウ球菌やカンジダ、マラセチアなどの細菌やカビ(真菌)が関わることがあります。

食べ物

乳児のアトピー性皮膚炎では、食物アレルギーが関与することがあります。しかし、食物アレルギーが確認されていない場合、無闇に除去食を行うことは推奨されていません。

皮膚バリア機能の回復と維持が大切

薬物療法と同じくらい重要なのがスキンケアです。皮膚に現れる症状に対処するためには、毎日のケアが欠かせません。基本的なスキンケアとして、肌を清潔に保つこと、適切な保湿を行うことです。

保湿をしっかり行う

乾燥はアトピーの悪化を引き起こすため、肌の水分状態を常に意識し乾燥がひどくなった時はすぐに保湿剤を塗るなどの対応が必要です。入浴後は皮膚の脂分が洗い流され、乾燥しやすくなります。そのため、入浴後5分以内に保湿剤を塗るようにしましょう。

 

保湿剤は、こすらずに優しく手のひらで広げ、特に関節やシワ部分には皮膚を伸ばしながら塗ります。目や耳の周りも忘れずに保湿してください。症状がある場合はもちろん、症状がない時でも日常的に保湿を行うことが重要です。

入浴の温度や洗い方にも注意

熱いシャワーやお風呂はかゆみを引き起こすだけでなく、皮脂を過剰に落としてしまいます。これにより、入浴後に皮膚から水分が急速に蒸発してドライスキンとなり、症状が悪化するかもしれません。理想的な温度は38〜40℃で、お風呂に浸かる時間は最大でも10分程度にしましょう。

 

皮脂汚れに加え、汗や菌も皮膚に付着しているため、皮膚を清潔に保つことは重要です。シャンプーや石けんは肌に優しいものを選び、すすぎは十分に行いましょう。洗うときはタオルでゴシゴシこすらず、優しく洗ってください。皮脂が過剰に取り除かれ、傷がつくことで感染症のリスクが高まります。入浴後は、タオルをポンポンと軽く押し当てるようにして体の水分を拭き取りましょう。

悪化の原因となるものを取り除こう

原因をできる限り取り除き生活環境を整えることで、症状の悪化を防ぎやすくなります。

環境を整える

症状を悪化させないためには、日常生活の環境を整えることが重要です。こまめに掃除をして、室内の換気やカビ対策も行いましょう。

 

花粉症の季節以外では部屋を換気してください。布団や寝具は太陽光で干し、掃除機でホコリを取ることを心がけましょう。また、エアコンのフィルターを定期的に水洗いし、家具の隙間を開けてホコリがたまりにくくすることも効果的です。床はフローリングにすると、ダニの増殖を防げます。

刺激になるものを避ける

チクチクしたりゴワゴワする肌着や衣類(化学繊維やジーンズなど)は避け、自然素材の服を選ぶことが大切です。また、ゴムなどの締め付けがかゆみの原因になることもあるため、直接皮膚に触れる肌着や靴下は、肌触りが良く締め付けが少ないものを選んでください。

 

皮膚が傷つかないように爪は短く切り、寝ている間には手や爪で直接かかないように、長袖や長ズボンを着るなどの工夫をしましょう。また、日焼けは症状を悪化させることがあるため、帽子をかぶり、日焼け止めを使用して長時間の直射日光を避けるようにしてください。

ストレスをためない

アトピー性皮膚炎は、症状の悪化だけでなく、見た目や生活の制限がストレスになることもあります。アレルゲンの除去は大切ですが、生活を過度に制限することが、さらにイライラや不安を引き起こす原因になることもあります。重要なのは、アトピー性皮膚炎とどう向き合うかという意識です。

 

栄養バランスの取れた食事、規則正しい生活、ストレス発散法を見つけることが大切です。心身の健康を心がけ、自律神経や免疫機能のバランスを整えることが、症状のコントロールにつながります。

医療機関で正しい治療を受ける

治療を進めアトピー性皮膚炎の治療には、塗り薬を使用する「外用療法」と、飲み薬や注射、紫外線治療などを行う「全身療法」があります。

外用薬

炎症やかゆみを抑えるために使用する塗り薬には、ステロイド外用薬や非ステロイド系抗炎症外用薬が用いられます。ステロイド外用薬のほか、免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏、JAK阻害薬のデルゴシチニブ軟膏、PDE4阻害薬のジファミラスト軟膏が主な薬剤です。

内服薬

治療は外用薬が基本です。補助として抗アレルギー剤、経口ステロイド剤、漢方薬を使用することがあります。また、重症のアトピー性皮膚炎では、免疫抑制薬やJAK阻害薬も選択肢になります。

その他の治療

外用薬では十分な効果が得られない場合、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ場合に、生物学的製剤を注射する方法もあります。他の治療で効果がない場合や、副作用が生じる場合に、紫外線療法が行われることがあります。

自己判断で治療をやめない

治ったと判断したり、効果がないと思い込んだりせず、医師の指示に従って治療を継続しましょう。治療をあきらめずに、疑問がある場合は医師に相談してください。

アトピー性皮膚炎は改善できる!放置せず皮膚科を受診しよう

インターネットで調べると、医学的に証明されていない治療法が多く見つかります。自己判断で不確かな治療法を試すことは、症状を悪化させる可能性があるため、医師と相談しながら正しい治療を受けてください。

 

アトピー性皮膚炎は適切な治療を受けることで、改善可能です。適切な治療を行うことで、症状をコントロールし、生活の質を向上させられます。症状が長引いた場合、再発した場合には不安になるかもしれません。そんな場合は、我慢せず医師に気持ちを伝えましょう。

忙しくて受診できない場合にはオンライン診療がおすすめ

アトピー性皮膚炎は慢性疾患のため、継続的な治療が必要です。仕事や育児で忙しく、病院へ行く時間が取れない場合、オンライン診療がよいかもしれません。活用することで、継続的な治療を無理なく続けられます。

オンライン診療とは

オンライン診療について

 

オンライン診療とは、インターネットを利用して自宅などから医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォンやパソコンを使い、ビデオ通話を通じて医師と直接話しながら診察を受けられます。予約から診察、薬の処方や支払いまでオンラインで完結できるため、通院の負担を減らすことが可能です。

SOKUYAKUとは

SOKUYAKUは、オンライン診療と処方薬の受け取りをスムーズに行えるサービスです。専用のアプリを通じて、診察の予約から受診、処方までの手続きを簡単に行えます。オンライン診療後、処方された薬は全国どこでも当日または翌日に受け取ることが可能です。

 

また、専門スタッフによるサポートや、お気に入りのクリニックや薬局の登録機能、お薬手帳のデジタル管理など、利便性を高める機能も充実しています。病院へ行く時間が取れない場合でも、SOKUYAKUを活用すれば、スムーズに診察を受け、必要な薬を受け取れます。

まとめ

アトピー性皮膚炎は完治が難しいものの、適切な治療とスキンケアを続けることで症状を管理できます。悪化させないためには、スキンケアや生活環境の見直し、ストレスの軽減がかかせません。自己判断で治療を中断せず、医師と相談しながら継続することが大切です。症状が長引く場合は、早めに皮膚科を受診し専門的なアドバイスを受けましょう。

コメント アトピー性皮膚炎は慢性的な疾患であり、治療の目的は「完治」ではなく、症状のコントロールと生活の質(QOL)の向上です。外用療法(ステロイド・免疫抑制剤・保湿剤)を基本としつつ、全身療法(抗アレルギー薬・生物学的製剤)や生活習慣の見直しを組み合わせることが重要です。特に、皮膚バリア機能を保つための適切なスキンケアが不可欠であり、入浴後の迅速な保湿や刺激を避ける衣服選びが推奨されます。また、ストレスは症状を悪化させる要因となるため、心身の健康を意識しながら継続的な治療を行うことが大切です。自己判断で治療を中断せず、医師と相談しながら適切なケアを継続しましょう。

監修医コメント

医師
五藤 良将

アトピー性皮膚炎は慢性的な疾患であり、治療の目的は「完治」ではなく、症状のコントロールと生活の質(QOL)の向上です。外用療法(ステロイド・免疫抑制剤・保湿剤)を基本としつつ、全身療法(抗アレルギー薬・生物学的製剤)や生活習慣の見直しを組み合わせることが重要です。特に、皮膚バリア機能を保つための適切なスキンケアが不可欠であり、入浴後の迅速な保湿や刺激を避ける衣服選びが推奨されます。また、ストレスは症状を悪化させる要因となるため、心身の健康を意識しながら継続的な治療を行うことが大切です。自己判断で治療を中断せず、医師と相談しながら適切なケアを継続しましょう。

この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。

当コラムの掲載記事に関するご注意点

  • 当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
  • 当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
  • 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
  • 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
アトピー性皮膚炎は本当に治る?長引く症状を抑えるためのポイントのイメージ
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。
監修医師 五藤 良将
経歴:千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。 免許・資格:医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、日本美容内科学会評議員 所属:医療法人社団五良会 竹内内科小児科医院 院長 医療法人社団五良会 理事長
オンライン診療アプリ
SOKUYAKUの使い方
  • STEP1

    診療予約

    SOKUYAKUの使い方STEP1
  • STEP2

    オンライン問診

    SOKUYAKUの使い方STEP2
  • STEP3

    オンライン診療

    SOKUYAKUの使い方STEP3 SOKUYAKUの使い方STEP3
  • STEP4

    オンライン服薬指導

    SOKUYAKUの使い方STEP4 SOKUYAKUの使い方STEP4
  • STEP5

    おくすり配達

    SOKUYAKUの使い方STEP5

    ※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。

SOKUYAKUメディカルコラム