頭皮アトピーがつらい…症状を抑えるための正しいケアとは?


更新日:2025年03月6日

頭皮アトピーとは
頭皮アトピーは、アトピー性皮膚炎の一種で、主に頭皮に現れる皮膚の炎症です。乾燥した肌に起こりやすく、かゆみや湿疹、赤みを伴います。通常のアトピー性皮膚炎とは異なり、髪の毛が生えているため治療やケアが難しいことがあります。
アトピー性皮膚炎の発症しやすい部位
アトピー性皮膚炎は、年齢によって症状が現れやすい部位が変わります。乳児期に発症する場合は、頭や顔に湿疹ができることが多いですが、成長とともにその傾向は変化します。
幼児期から学童期にかけては、顔の湿疹が減る一方で、首やわき、ひじやひざ、手首や足首といった関節の周りは症状が出やすい場所です。そして思春期以降、大人になると、顔や首、胸、背中などの上半身に強く症状が現れることが多くなります。
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎は、体の左右対称に症状が出ます。また、一度症状が落ち着いたように見えても、しばらくすると再び湿疹やかゆみが現れます。症状は大きく「急性病変」と「慢性病変」に分かれ、皮膚が乾燥しやすいのが特徴です。炎症がないときには目立ちにくいですが、症状が出ると乾燥がひどくなります。
急性病変は、発症初期や症状が急に悪化したときに現れる症状です。赤み(紅斑)や小さなブツブツ(丘疹)ができることが多く、場合によっては小さな水ぶくれが生じ、ただれや滲出液が出ることもあります。その後、これがかさぶた(痂皮)になることがあります。
一方、慢性病変は、長期間にわたる掻き壊しによって皮膚が変化した状態です。何度も掻くことで皮膚が厚くなり(苔癬化)、固く盛り上がったかゆみの強い結節(痒疹結節)ができることもあります。
アトピー性皮膚炎が起こる仕組みは
アトピー性皮膚炎は、体質と環境の両方の影響を受けて発症します。「体質的な要因」として、アトピー素因を持っていることや、皮膚のバリア機能が低下していることが原因です。
「環境的な要因」では、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)や、ホコリ・汗・乾燥などの外部刺激が、症状の悪化につながります。
アトピー素因
アトピー素因とは、「アレルギーを起こしやすい体質」のことです。
・本人または家族にアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、ぜんそく、結膜炎などのアレルギー疾患がある場合
・アレルギー反応に関係する「IgE抗体」を作りやすい体質である
ただし、アトピー素因があるからといって必ず症状が出るわけではありません。
皮膚のバリア機能の低下
皮膚には、外部からの刺激や雑菌の侵入を防ぎ、体内の水分を保持する「バリア機能」が備わっています。このバリア機能が弱まっていることが、アトピー性皮膚炎の原因です。
角層にある「角質細胞間脂質」や「天然保湿因子」が十分に存在することで、皮膚の水分が保たれていますが、アトピー性皮膚炎ではこれらが減少し、角層のバランスが崩れてしまいます。その結果、外部の刺激やアレルゲンが皮膚に侵入しやすくなり、炎症が起こりやすくなるのです。
アレルゲンが皮膚から侵入すると、体はそれを排除しようと免疫細胞が反応し、ヒスタミンという物質を放出します。これにより炎症が起こり、強いかゆみを引き起こします。
環境因子
アトピー性皮膚炎は、原因が一つだけでなく、複数の要因が影響する「多因子性」の病気です。環境的な要因としては、アレルゲン(食物、ダニ、ほこり、カビ、花粉、動物の毛やフケなど)や、アレルゲン以外の刺激(汗、衣類の摩擦、乾燥、ひっかき傷、洗剤、化粧品など)が関係します。さらに、寝不足や過労、ストレスなども症状を悪化させることがあります。
頭皮のスキンケアで頭皮アトピーの予防を
頭皮アトピーを予防するためには、日常的なスキンケアが重要です。
シャンプーに注意する
洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥を悪化させる可能性があります。そのため、自分の頭皮や髪質に合ったシャンプーを使うことが大切です。
アミノ酸系やベタイン系のシャンプーは、一般的に頭皮に優しいとされています。洗浄力が穏やかで乾燥を防ぎやすいですが、泡立ちが少ない場合や汚れを十分に落とせずベタつきが残ることもあります。自分の髪や頭皮の状態に合った製品を選ぶことが重要です。
やさしく洗う
髪を洗う際のお湯の温度は、約38〜40度が理想です。熱すぎるお湯は、頭皮の皮脂を必要以上に洗い流し乾燥を引き起こす原因となるため、適切な温度を心がけましょう。また、洗いすぎも注意が必要です。頭皮の大切な皮脂まで洗い流してしまうと、乾燥を招くことになります。洗い方にも気をつけましょう。頭皮をゴシゴシ洗うのではなく、シャンプーを手で泡立てた後、優しく頭皮をマッサージするように洗ってください。
放置せず早く乾かす
髪の毛を乾かさないと、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。タオルで余分な水分をしっかりと拭き取った後、ドライヤーを使用してください。
ドライヤーを使用する際は、時間を短くするよう心がけ、頭皮と髪の根元から乾かし始めましょう。その後毛先を乾かすと、より効率的に時短ができます。
また、頭皮にドライヤーの熱が直接集中しないよう、ドライヤーを20センチほど離してください。少しずつ動かしながら乾かすことで、熱によるダメージを軽減できます。
保湿を忘れない
入浴後は頭皮が特に乾燥しやすいため、しっかりと保湿することが大切です。保湿ローションやオイルを使って、頭皮の乾燥を防ぎましょう。ただし、保湿アイテムを使う際は、適量を守り、付け過ぎに注意してください。
紫外線を避ける
頭皮に長時間紫外線が当たると水分が蒸発して乾燥を引き起こし、髪のダメージや薄毛につながる可能性があります。外出時には、日傘や帽子を使用するなど、紫外線対策をしっかりと行いましょう。
掻きむしらない
掻きむしることは、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる原因となります。掻くことで皮膚が傷つき、フケが多くなったり、炎症や感染をさらに引き起こしたりすることがあります。掻きむしらないように意識しましょう。
バランスの良い食事を摂る
アトピー性皮膚炎の肌の改善にはタンパク質、オメガ3系脂肪酸、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンCなどがおすすめです。
ファーストフードやインスタント食品は便利ですが、栄養バランスが偏っているため、頻繁に摂取するのは避けましょう。また、過食はビタミンB群を大量に消費し、肌の新陳代謝を遅らせる可能性があるため注意してください。
ストレスに注意
ストレスが溜まると、体の免疫機能やホルモンバランスに影響を与え、皮膚の炎症やかゆみが悪化することがあります。リラックスできる時間を作ること、趣味や軽い運動でストレスを発散することが大切です。また、十分な睡眠をとることも、ストレスを軽減し、皮膚の健康を守るためには重要です。
頭皮アトピーの治療法
アトピー性皮膚炎による頭皮のかゆみに対しては、ステロイド外用薬を使用することが一般的です。また、治療と並行して保湿剤を使用し、頭皮の乾燥を防ぐこともかかせません。
保湿剤
保湿剤は肌のバリア機能をサポートし、外部の刺激から肌を守る役割も果たします。保湿を行う前に、軽くタオルドライをすることが大切です。髪が完全に乾いてしまうと、保湿剤が髪の毛に吸収されてしまい、頭皮に届きにくくなるため、適度に水分を拭き取ってから使用しましょう。
次に、髪を分けて頭皮を露出させ、前から後ろに向かって塗ります。後頭部は、髪を手でかき上げてから、横に線を引くように塗布してください。こうすることで、頭皮全体に行き渡りやすくなります。
全体に塗布した後は、指の腹を使ってやさしくなじませるようにマッサージしましょう。爪を立てずに、指の腹で優しく揉み込むことで、刺激を与えずにしっかりと浸透させられます。
ステロイド剤
ステロイド外用薬は炎症を鎮め、かゆみを抑える効果があります。頭皮は他の部位に比べて薬を塗りにくいため、治療にはローションタイプの薬やステロイド成分を含んだシャンプーなどが便利です。塗り薬を塗る際は、容器の先端で直接掻きむしらないようにしましょう。薬は指の腹を使ってやさしく塗り広げるようにしてください。
頭がかゆくなる頭皮アトピーと似た病気
頭皮のかゆみを引き起こす病気は、アトピー性皮膚炎に似た症状を持つものがいくつかあります。代表的なものを紹介します。
接触皮膚炎
皮膚に何らかの刺激物質や特定の物質が触れることで起こる皮膚炎のことです。かぶれとも呼ばれ、かゆみやヒリヒリした痛み、赤く腫れた皮膚、ジュクジュクした水ぶくれ、ただれ、ブツブツなど、さまざまな症状が現れます。原因には「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」の2種類があります。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、頭や生え際、顔面など、皮脂の分泌が多い部位に現れる湿疹の一種です。患部は赤みを帯び、やや黄色っぽい湿ったフケや乾燥したうろこ状のフケが見られます。この皮膚炎は、皮膚に常在している「マラセチア」というカビ(真菌)の一種が関与していると考えられています。
ひどくなると、フケが固まってかさぶたのようになることもありますが、通常は痛みを伴わず、かゆみもほとんどありません。ただし、軽いかゆみを感じることもあります。思春期以降に発症したものは、一度発症すると、症状が良くなったり悪化したりを繰り返しながら、慢性的に続くことが多いです。
皮脂欠乏性皮膚炎
皮脂欠乏性皮膚炎は、頭皮が乾燥し、バリア機能が低下することによってかゆみが生じ、掻くことで炎症を引き起こします。過度なシャンプーの使用や不適切なヘアケア習慣が原因で、頭皮の皮脂が失われることによって発症することが多いです。特に秋から冬にかけての乾燥する時期には、症状が悪化しやすくなります。また、洗浄力が強いシャンプーの使用も頭皮の乾燥を助長するため原因の一つとなります。
頭のかゆみは放置せずに皮膚科を受診しよう
頭のかゆみは、乾燥や皮膚炎、アレルギー反応など、さまざまな原因で発生します。放置すると、かゆみが悪化して炎症や感染症を引き起こすこともあります。
アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎などが原因である場合、適切な治療が必要です。かゆみが続いたり、症状がひどくなる前に、皮膚科を受診して専門的な診断を受けましょう。
症状がつらくて受診できない場合にはオンライン診療がおすすめ
頭のかゆみや皮膚の症状がつらくて病院に行けない場合、オンライン診療を利用するのも一つの方法です。時間や場所に縛られることなく、適切なアドバイスや治療を受けられます。症状がひどくて外出が難しい場合には、オンライン診療を検討してみましょう。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネット接続が可能なデバイス(スマートフォン、タブレット、パソコン)を使用して、自宅にいながら医師の診察を受けられるサービスです。ビデオチャットを通じて、医師と直接会話をしながら診察を受けられます。予約から問診、診断、薬の処方箋発行、支払いまで、すべてオンラインで完結するため便利で効率的です。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKUは、オンライン診療を簡単に行えるサービスです。予約からお薬の受け取りまで、すべてのステップをアプリでスムーズに行えます。専門スタッフによるサポートを受けられ、またお気に入りのクリニックや薬局を登録して、お薬手帳をデジタル化することも可能です。さらに、全国どこでも当日または翌日にお薬を受け取れます。
まとめ
頭皮のアトピー性皮膚炎は、適切なケアと治療を行うことで改善が期待できます。低刺激のシャンプーを使用し、やさしく洗うこと、しっかりと保湿すること、紫外線を避けることが重要な対策です。もしかゆみが続く場合は、自己判断で放置せずに皮膚科を受診してください。頭皮の健康を守るために、日々のケアを見直し、無理なく続けられる方法を取り入れていきましょう。

医師
五藤 良将

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