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乳児のアトピー性皮膚炎は何に注意?アレルギーから守るための対策

監修医師 高藤 円香
更新日:2025年04月8日

この記事を読み終えるのにかかる時間は目安:9分

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乳児の肌は非常に敏感で、わずかな刺激でも赤みやかゆみを引き起こしやすいため注意しないといけません。その中でも、アトピー性皮膚炎は多くの親が悩む皮膚トラブルの一つです。乳児期にアトピーが発症すると、「このまま治るのか」「食べ物が関係しているのか」など、心配になることが多いでしょう。この記事では、乳児のアトピー性皮膚炎の特徴や原因、予防・治療のポイントについて詳しく解説します。正しい知識を身につけ、お子さんの肌を健康に保ちましょう。

乳児期の発達とアレルギーの特徴

乳児期は通常、1歳未満を指しますが、アレルギー疾患においては2歳までを乳児期とします。この時期は、体が未成熟で免疫システムが完全に発達していないため、さまざまなアレルギー疾患が現れやすい時期です。乳児期に多く見られるアレルギー疾患には、「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」があります。

アレルギーとは

体に備わっている「免疫」という仕組みが、細菌やウィルス、寄生虫などの異物から身を守る働きをしています。アレルギーとは、現代の環境や生活習慣の変化により、過剰に反応してしまう状態です。

 

乳児期はアレルギーマーチという現象が始まる時期でもあり、食物が最初に体に入るアレルゲンになります。下痢や嘔吐、腹痛などの消化器系の症状や、湿疹、じんましんなどの皮膚症状が出ることがほとんどです。ただし、この時期は体の抵抗力が弱く、アレルギー以外の原因でもアレルギーに似た症状が現れることがあります。

アレルギーマーチとは

アレルギーマーチとは、アレルギーにかかりやすい子どもが成長する過程で、さまざまなアレルギー疾患を順番に発症していく様子を指します。典型的な特徴として、まず乳児期にアトピー性皮膚炎を発症し、その後、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患が次々に現れることが多いとされています。

経皮感作と経口免疫寛容

皮膚は通常、角質層によって異物を防いでいますが、湿疹などがあると、アレルゲンが皮膚を通過し、免疫細胞と反応してアレルギー反応を引き起こすことがあります。これが「経皮感作」と呼ばれます。

 

一方、「経口免疫寛容」は、無害なアレルゲンに対して過剰な反応を起こさないようにする仕組みです。アレルギーを持つ人は、この仕組みがうまく働いていないことがあります。食物アレルギーは主に腸でアレルゲンが吸収されて起こると考えられていましたが、最近の研究で、皮膚からの感作も食物アレルギーの進行に関与していることがわかっています。

乳児アトピー性皮膚炎

かゆみを伴う湿疹が起こります。いくつかの異なる湿疹が同時に見られることもあります。

できやすい場所

最初に頭や顔に現れ、次第に腕や脚の外側、そして体の他の部分に広がります。

一般的な経過

乳児では2か月以上湿疹が続く場合、アトピー性皮膚炎の可能性があります。離乳食が開始となる3〜5ヶ月の間に多いのですが、1歳頃には8割の患者で改善し顔の湿疹はほとんど消失します。焦らずに向き合いましょう。

乳児にアトピー性皮膚炎が起こる原因

乳児にアトピー性皮膚炎が起こる原因としては、以下のことが考えられます。

皮膚のバリア機能が弱い

赤ちゃんの肌は、大人に比べて薄く乾燥しやすく、外部刺激に敏感です。生まれつき肌がカサカサしやすい赤ちゃんは少なくありません。空気が乾燥する秋から冬にかけて生まれた赤ちゃんは、外的環境により肌が乾燥しやすいため、バリア機能が低下によりアトピー性皮膚炎が発症しやすくなります。

アトピー素因

アトピー性皮膚炎は、生まれつき持っているアトピー素因が基盤となり、後天的にさまざまな刺激因子が作用することによって発症します。遺伝的な要素が関与し、アトピー性皮膚炎以外にも、喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などが家族内に見られることがあります。

食べ物によるアレルギー

乳幼児のように消化・吸収機能が未熟な場合、食べ物を異物として認識してしまうことがあります。この反応が食物アレルギーです。乳児では、食物アレルゲンがアトピー性皮膚炎に関与している場合があることが認められています。

乳児にアトピー性皮膚炎の治療で注意すること

乳児のアトピー性皮膚炎の治療では、焦らないことが大切です。

勝手に治療をやめない

症状が良くなったと自己判断して、治療をやめてしまうことがあります。再びアトピーが悪化してしまうことがあるため、治療は医師の指導に従って続けることが大切です。

食べ物を制限しない

通常、食事制限は必要ありません。無理に食事を制限すると、子どもの成長に影響を与える可能性があることが理由です。食物アレルギーが疑われる場合には、医師に相談しましょう。

生後6か月の湿疹に注意

6か月頃の赤ちゃんに湿疹がある場合、1歳や3歳で食物アレルギーを持つ確率は、湿疹がない赤ちゃんに比べて10倍以上高いことがわかっています。また、1歳の時に湿疹がある場合、3歳になった時に食物アレルギーを持つ確率は1.9倍になるため注意しましょう。

乳児のアトピー性皮膚炎を予防するには

乳児のアトピー性皮膚炎への予防方法を紹介します。

顔やからだを洗って清潔を保つ

汚れたまま保湿剤を塗ると、肌への負担が増し、湿疹を悪化させる原因になります。肌には雑菌や汗、アレルゲンなどが付着しているため、石けんなどの洗浄料を使って洗いましょう。その際、防腐剤や鉱物油を多く含まない低刺激のものを選ぶと、肌への負担を軽減できます。

 

タオルやスポンジは避け、手を使ってすみずみまで丁寧に洗いましょう。耳のまわりや関節の内側など、確認しながら優しく洗います。顔も泡で洗い、食べかすやよだれを取り除きましょう。洗浄成分が肌に残らないよう、十分にすすぎ、タオルで押さえるように水分をふき取ってください。

新生児からの保湿でリスク3割以上減少

臨床研究では、生後1週間以内の新生児期から保湿剤を塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上減少することがわかりました。目安としては、離乳食が始まる前の生後半年までが適切なタイミングとされています。食物アレルゲンによる経皮感作を防ぎ、アレルギー発症リスクを減らす可能性が高いことが理由です。

 

生後半年まで保湿ケアを行っても、その後にアトピー性皮膚炎を発症することはありますが、保湿ケアをしなかった赤ちゃんに比べて症状が重症化しにくい傾向があります。

 

参考元『世界初・アレルギー疾患の発症予防法を発見 | 国立成育医療研究センター

 

ゴシゴシこすらず、肌を薄い膜で覆うようにやさしく広げることで、均一に保湿できます。べたつきが少し残るくらいが適量の目安です。肌着に油分が付着することもありますが、量を減らすと保湿効果が低下するため、乾燥状態が落ち着くまでは適量を塗り続けましょう。スキンケアは朝と夜の1日2回行うのが基本です。

衣服に注意する

赤ちゃんの肌に触れるものは、清潔で優しいものを選ぶことが大切です。寝具や衣類はこまめに取り替え、常に清潔を保つよう心がけましょう。また、肌に優しい素材を選ぶことが重要です。オーガニックコットン素材など、肌触りが良く、汗を吸水しやすいものがおすすめです。

環境を整える

最初は食物がアレルゲンとして現れ、次第にダニやハウスダストなどの環境因子に変わるとされています。部屋を清潔に保つためには、こまめに掃除機をかけましょう。また、空気清浄機を活用することも効果的です。

掻きむしらないように工夫する

掻きむしることでバリア機能の低下やかゆみの増強、感染のリスクがあります。赤ちゃんの爪を短く切ることや、ミトンを手にはめるなどの対策をしましょう。ママやパパの爪にも注意してください。

プロアクティブ治療

プロアクティブ療法は、再発を繰り返す皮膚の状態に対する治療法です。抗炎症外用薬を使用して皮膚の状態を速やかに改善します。その後、保湿剤によるスキンケアとともに、抗炎症外用薬を定期的に(例えば週2回)塗布し、良好な皮膚状態を維持することを目指します。

乳児のアトピー性皮膚炎は不安を抱え込まず専門医に相談しよう

乳児湿疹は、生後2週頃から数か月までの乳児に見られる湿疹や皮膚炎の総称です。乳児のアトピー性皮膚炎は見分けが付きにくく、どうすればいいのか分からず不安かもしれません。迷った場合は、専門医に相談しましょう。原因や対処法が分かることで、安心感を得られます。

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まとめ

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、肌のバリア機能が未熟であることや、アレルギー体質など、さまざまな理由が背景にあります。ただし、適切なスキンケアや環境改善を行うことで、発症リスクを低減したり症状を和らげたりすることが可能です。乳児湿疹は判断が難しいため「アトピーかな?」と思ったら、自己判断せず、早めに専門医に相談してください。正しいケアと治療で赤ちゃんの肌を守り、笑顔が増える毎日を目指しましょう。

コメント 乳児アトピー性皮膚炎は乳児期には最もよくみられる皮膚疾患のひとつです。小児科や皮膚科どちらも診てもらえると思いますが、小児の皮膚科の困り事に関してはそれぞれのクリニックで得意不得意があると思うので一概にどちらが良いとはいいにくいです。ただし、子どもや赤ちゃんの皮膚はターンオーバーが早く治るのも早いです。思った以上に治りがよくない場合にはその治療で良いか、別のクリニックを受診されることも検討されてみてくださいね。

監修医コメント

医師
高藤 円香

乳児アトピー性皮膚炎は乳児期には最もよくみられる皮膚疾患のひとつです。小児科や皮膚科どちらも診てもらえると思いますが、小児の皮膚科の困り事に関してはそれぞれのクリニックで得意不得意があると思うので一概にどちらが良いとはいいにくいです。ただし、子どもや赤ちゃんの皮膚はターンオーバーが早く治るのも早いです。思った以上に治りがよくない場合にはその治療で良いか、別のクリニックを受診されることも検討されてみてくださいね。

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監修医師 高藤 円香
経歴は防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科 保有免許・資格は皮膚科専門医
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