アトピー性皮膚炎にサプリは効果がある?肌をサポートする成分と注意点!


更新日:2025年03月7日

サプリメントとは
サプリメントは、健康食品の一種であり、法律上の明確な定義はありません。一般に、健康の維持や増進を目的として利用されます。ビタミンやミネラルなど、特定の成分を濃縮し、錠剤やカプセルなどの形状に加工されたものが一般的です。
アトピー性皮膚炎に効果が期待できるサプリメント
アトピー性皮膚炎の患者にみられる血液検査の特徴として、低タンパク、鉄・亜鉛不足、ビタミンA・B群・C不足、低血糖症、抗酸化力の低下です。そのため、これらの不足を補うサプリメントがおすすめです。
亜鉛
亜鉛は皮膚に多く含まれ、酵素の働きや糖代謝、タンパク合成に関与しています。アトピー性皮膚炎では、炎症の持続と皮膚の剥がれによる亜鉛の消費増加が起こり、健康な人よりも亜鉛の必要量が高まるため、補給が重要です。
亜鉛が不足すると、皮膚の細胞分裂やコラーゲンの合成が滞り、肌の乾燥や傷の治りの遅れにつながり、皮膚炎を引き起こす原因となります。さらに、亜鉛はホルモンの合成にも関与し、不足するとホルモンの分泌が低下し、肌の潤いが失われやすくなります。
亜鉛は体内で作れません。食事やサプリメントで摂取する必要があります。
活性型ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムや骨の代謝だけでなく、免疫機能の調整にも関与しています。細菌やウイルスに対する免疫を高めるとともに、炎症性サイトカインを抑制し、アレルギー症状を和らげる作用があります。
「活性型ビタミンD」は、ビタミンDが体内で変化したものです。カルシウムとリンの吸収を促し、細胞分裂の調整やコラーゲン生成の促進、細胞同士の接着強化にも関与します。不足すると皮膚のターンオーバーが乱れ、肌トラブルを引き起こす可能性があります。
活性型ビタミンDを生成するには、紫外線を浴びないといけません。加齢とともに体内での合成量が減少するため、年齢を重ねるほど不足しがちになります。
プロバイオティクス
プロバイオティクスは、宿主に有益な影響を与える生きた微生物のことです。腸内環境の改善や免疫機能の調整に関与し、体の健康維持に役立ちます。代表的な菌は乳酸菌やビフィズス菌です。その効果は菌株ごとに異なります。
アレルギーを引き起こす要因の一つに、腸内に存在する細菌のバランスがあることがわかってきました。アトピー性皮膚炎の方では、善玉菌が減っていることがわかっています。通常、腸内には善玉菌と悪玉菌がバランス良く存在しているのですが、アレルギーを持つ人では、このバランスが崩れていることが多いのです。
アレルギーを抑えるために重要な免疫細胞としてTregがあります。アレルギーのある方は、このTregが少ないため、免疫反応を抑えきれずにアレルギー症状が発生します。Tregの増加に関与しているのが、腸内の善玉菌である酪酸菌です。酪酸菌が生成する酪酸は、腸内の炎症を抑える効果があり、結果としてTregの増加を助けると言われています。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、魚油に多く含まれる健康に良い脂肪の一種です。体内で抗炎症作用を持つ物質に変わりますが、その具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていません。
最近の研究では、オメガ3脂肪酸から作られる「レゾルビンE1」という物質が、皮膚のアレルギー反応を抑える効果があることがわかってきました。レゾルビンE1は、免疫細胞の一種である樹状細胞の働きを調整し、アレルギー反応を抑える役割を果たしています。
オメガ3脂肪酸は、EPAやDHAとして魚介類に多く含まれており、特に脂肪の多い魚や甲殻類、貝類に豊富です。また、植物性のオメガ3脂肪酸であるALAは、セイヨウアブラナや大豆などの植物油に含まれています。これらの栄養素は、体内で生成できないため、食事やサプリメントで補う必要があります。ただし、サプリメントの健康への利点については、まだ完全に解明されていません。
γ-リノレン酸
γリノレン酸は、カシス種子油や月見草油に含まれる重要な必須脂肪酸の一種です。血圧やLDLコレステロール値、血糖値を下げる効果があり、健康な皮膚の維持にも役立ちます。イギリス、ドイツ、フランスなどでは、アトピー性皮膚炎の症状である「かゆみ」を軽減する効果が確認されており、γリノレン酸が医薬品として使用されています。
γリノレン酸は、皮膚の水分を保つのに重要な成分です。不足すると、皮膚が乾燥しやすくなり、トラブルが起こりやすくなります。特定の食品に含まれているため、日常の食事だけで十分に摂取するのは難しいかもしれません。十分な量摂取するためには、サプリメントを利用するのも一つの手段です。
ビタミンE
ビタミンEは、細胞膜の脂肪が酸化するのを防ぎ、皮膚のバリア機能を保護する成分です。アトピー性皮膚炎ではバリア機能が低下し、外部刺激を受けやすくなりますが、ビタミンEが酸化ストレスを抑え、皮膚を保護すると考えられています。また、ビタミンEは免疫系に作用し、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体の濃度を低下させることが報告されています。
皮膚の脂肪の酸化を抑える作用もビタミンEの役割です。アトピー性皮膚炎の方は、皮膚のセラミドや脂肪酸、コレステロールが減少していますが、ビタミンEはこれらの脂質を酸化から守り、皮膚のバリア機能の維持を助けているとされています。
ビタミンEは体内で自然に作り出せません。食事やサプリメントで摂取する必要があります。
アトピー性皮膚炎の方はサプリでも注意が必要
サプリメントは、手軽に健康をサポートする商品として人気があります。しかし、これらの表示や広告には、消費者が気づきにくい問題がいくつもあります。
たとえば基準の表示が古い場合、現在の基準とは異なるため、表示通りに摂取しても適切な量とは限りません。また、成分表の情報が矛盾しているものもあり、信頼性に欠ける商品も存在します。用量の書き方があいまいな製品では「1日1〜2回、1さじずつ」といった表記では、正確な摂取量が分かりません。
一部の製品では品質が保証されておらず、安全性や効果が不確かなまま販売されているものがあります。アトピー性皮膚炎の方が、効果や安全性が不明なサプリメントを摂取すると、症状が悪化することも考えられます。また、サプリメントには、アレルギーを引き起こす可能性のある成分が含まれていることもあるため、成分表をよく確認することが必要です。
過剰摂取による影響
サプリメントには、必要な栄養素を補うための成分が含まれていますが、とり過ぎると健康に悪影響を及ぼすものもあります。複数のサプリメントを併用すると、知らないうちに特定の栄養素を過剰に摂取してしまうかもしれません。
トレーニング後のたんぱく質補給やビタミン・ミネラル不足を補う目的で、複数のサプリメントを摂取している場合、それぞれの製品にカルシウムが含まれていることがあります。これに日々の食事からのカルシウム摂取量を加えると、知らないうちに耐容上限量(健康に悪影響を及ぼす可能性のある上限値)に達してしまうことがあります。
サプリメントを併用する際は、含まれている栄養素の種類や量を確認し、過剰摂取にならないよう注意しましょう。ビタミンやミネラルは、体に必要な成分ですが、摂りすぎると逆に健康被害を引き起こすこともあります。
薬との組み合わせによる影響
薬の飲み合わせに注意が必要なのと同じように、サプリメントと薬を同時に摂取する際も気をつけなければなりません。サプリメントと薬を同時に摂取すると、それぞれの成分が影響し合い、薬の効果が変わることがあります。単純に「足し算」のように作用するわけではなく、効果が強くなりすぎたり、逆に弱まったりすることがあるのです。
妊娠中や授乳中の女性、病気で治療中の人は注意しましょう。治療とは無関係に思えるサプリメントでも、薬の作用に影響を与える成分が含まれていることがあります。例えば、クレアチンを摂取している場合、腎臓に負担をかける薬と組み合わせることで、腎機能への悪影響が強まり、腎障害が悪化する可能性が指摘されています。
医療用サプリメントとは
医療用サプリメントは、医師の診察に基づいて処方されるサプリメントで、別名「メディカルサプリメント」です。患者に対する医療的な支援を目的としており、市販のサプリメントとは異なり医薬品の基準が適用されています。市販のサプリメントよりも多くの栄養素が含まれているため、基本的には医師の診察を受けた上で処方されます。
市販のサプリメントを購入するよりも手順が少し増えますが、その分、個別のニーズに応じたサポートを受けることが可能です。個々の健康状態や目的に合ったサプリメントを選べるため、より効果的な栄養補助が期待できます。
医療用サプリメントと一般用サプリメントとの違いは
サプリメントは、健康をサポートするために広く利用されていますが、医療用サプリメントと市販のサプリメントには大きな違いがあります。医療用サプリメントは、医学的な目的で使用されるため、成分含有量や製造工程、消化吸収の工夫が市販品と異なります。
成分含有量
医療用サプリメントは、症状の改善や病気の予防を目的とするため、非常に高い濃度で栄養素が配合されています。これに対して、市販のサプリメントは日常的な栄養補助を目的としているため、成分の含有量は少なめです。
添加物の使用についても注意しましょう。医療用サプリメントは、健康を最優先に考えて、可能な限り安全で無害な添加物が選ばれています。しかし、市販のサプリメントには、低価格を実現するために、甘味料や保存料などの添加物が多く使われることがあります。
製造工程
医療用サプリメントは「GMP規格」と呼ばれる厳しい基準に基づいて作られています。これは医薬品と同様に、高い安全性と品質管理が求められる製造規格です。
一方で、市販のサプリメントは食品扱いになります。製造工程には規定が少なく、製品の検査が行われることも少ないため、品質にばらつきがある場合があります。
消化吸収
医療用サプリメントは、体内での吸収率を高めるために特別な工夫がされています。例えば、脂溶性の栄養素はミセル化されており、これにより消化がスムーズに進み、体に効率的に吸収されます。市販品にはこうした工夫が少ないことがあり、栄養素が十分に吸収されない場合もあります。
アトピー性皮膚炎のケアにサプリを取り入れるなら医師に相談しよう
アトピー性皮膚炎の方がサプリメントを摂取すると、症状が悪化するかもしれません。栄養素の過剰摂取や相互作用、薬の併用により健康被害を引き起こすリスクもあります。自己判断で摂取するのではなく、使用するサプリメントが自分の体に合っているか、医師に相談しましょう。また、医師から医療用サプリの処方を受けることで、より適切な治療を受けられます。
忙しくて受診できない場合にはオンライン診療がおすすめ
慢性的な症状を持つ方にとって、定期的な診察が重要です。しかし、通院が難しい場合があるかもしれません。そんな時は、オンライン診療を利用することで、専門医の診察を受けられ、適切な治療を継続することが可能です。移動時間や待ち時間を削減できるので、忙しい方は活用しましょう。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットを介してスマートフォン、タブレット、パソコンなどを使用し、自宅から医師の診察を受けられる医療サービスです。ビデオチャットを利用することで、医師と直接相談ができます。診察の予約から問診、診断、薬の処方箋の発行、支払いまでをすべてオンラインで完結できます。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をアプリで簡単に利用できるサービスです。診察の予約、オンライン診療、処方箋の発行、決済、薬の受け取りまでをアプリで完結できるのが最大の特徴です。
専門スタッフによるサポート、お気に入りのクリニックや薬局を登録できる機能やお薬手帳のデジタル管理機能もあり、継続的な治療がしやすくなっています。当日または翌日に処方薬を受け取ることが可能です。
まとめ
アトピー性皮膚炎の方にとって、サプリメントはスキンケアや生活習慣の改善をサポートする手段の一つです。亜鉛、ビタミンD、オメガ3脂肪酸などは、肌の健康維持に役立つ可能性があります。しかし、過剰摂取による副作用や薬との相互作用には注意が必要です。特に医療用サプリメントは一般のものとは異なるため、使用する際は必ず医師に相談しましょう。

医師
五藤 良将

この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
- 当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
- 当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
- 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
- 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。


SOKUYAKUの使い方
-
STEP1
診療予約
-
STEP2
オンライン問診
-
STEP3
オンライン診療
-
STEP4
オンライン服薬指導
-
STEP5
おくすり配達
※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。