メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月20日
メバロチン錠は診療科を問わず広く使用されるお薬です。今回はメバロチン錠に含まれている成分や効果、副作用などについて解説していきます。
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)とは
メバロチン錠は1989年に高脂血症治療剤として三共株式会社(現:第一三共株式会社)から発売されました。メバロチン錠は日本で初めて発売されたスタチン系薬で、現在もなお広く使用されています。
メバロチンとしては錠剤と細粒が販売されており、錠剤はメバロチン錠5mg、メバロチン錠10mg、細粒はメバロチン細粒0.5%とメバロチン細粒1%のそれぞれ2種類です。細粒は嚥下(飲み込み)が低下した患者に有用です。またジェネリック医薬品も販売されています。
スタチン系薬とは?
日本では現在6種類のスタチン系薬が販売されています。名前にすべて「スタチン」がついていることから、総称をスタチン系薬と呼んでいます。
メバロチン錠の有効成分であるプラバスタチンナトリウムからもわかると思います。スタチン系薬は悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールを主に低下させる働きをもち、動脈硬化を予防する目的で用いられます。
またLDLコレステロールを低下させる強さによって「スタンダードスタチン」と「ストロングスタチン」更にわけられます。メバロチン錠は「スタンダードスタチン」で、LDLコレステロールを低下させる度合いが比較的おだやかな薬剤です。
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)の成分について
ここでは、メバロチン錠の有効成分であるプラバスタチンナトリウムについて解説していきます。
プラバススタチンはLDLコレステロールを主に低下させる作用があります。
コレステロールは肝臓で主に作られます。
この時、肝臓でコレステロールが作られ血液中に放出されるまでには数十もの過程を経る必要があります。
プラバスタチンナトリウムはこの過程で重要な役割を果たしているHMG-CoA還元酵素の働きを妨げることで、肝臓で作られるコレステロールの量が低下する働きがあります。
肝臓でのコレステロールが低下すると、結果的に血液中から肝臓に取り込まれるLDLコレステロールが増え、血液中のLDLコレステロールが減少します。
プラバスタチンナトリウムは他のスタチン系薬と比較して他の薬剤との相互作用が少ないことも特徴です。
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)はどんな症状に効果がある?
メバロチン錠は高脂血症や家族性高コレステロール血症の治療に用いられます。
高脂血症とは?
高脂血症とは血液中の脂質が高い病気と書くように、血液中の脂質濃度が基準値よりも高い状態にあることです。この状態を放置すると動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈性疾患を発症するリスクが高くなります。
血液中には中性脂質やコレステロールなどの脂質が含まれており、これらの脂質は私たちの体にとって重要な役割を果たしていますが、正常の範囲で含まれている必要があります。
基準の量を上回ったり、下回ったりした場合、血液中における脂質のバランスが崩れてしまいます。この血液中の脂質が基準の範囲にない状態を脂質異常症といいます。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007への改訂以降は、高脂血症は脂質異常症と呼ばれるようになりました。
高脂血症は脂質異常症に含まれており、高脂血症は高コレステロール血症、高トリグリセリド血症のどちらかまたは両方の状態のことをいいます。
高コレステロール血症とはLDLコレステロールが基準値よりも高い状態にあることで、高トリグリセリド血症とは中性脂肪(トリグリセリド)が基準値よりも高い状態にあることです。
今回のメバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)の作用はLDLコレステロールを低下させることから、添付文書の効果には高脂血症と記載があります。
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)の用法・用量は?
メバロチン錠は通常、成人に用いられ、有効成分のプラバスタチンナトリウムとして、1日10mgを1回または2回に分け服用します。年齢・症状に応じて増減されることもあり、重症の場合は1日 20mgまで増量される場合もあります。
以下は用法・用量に関しての補足です。
・1日1回と1日2回での効果に違いは認められていません。
・食事の影響は少ないですので食事に関係なく服用できます。
・1日1回で服用する場合は一般的には夕食後に服用すること添付文書にと記載されています。
用法・用量に関して処方した医師の指示に従って服用しましょう。ただし、変更が可能な場合もありますので、お困りの場合は医師または薬剤師に相談しましょう。
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)の副作用
メバロチン錠には、発疹、胃部不快感、AST上昇、ALT上昇ほか副作用の報告があります。また、以下に挙げる重大な副作用の報告もあります。
重大な副作用が現れることはごくまれですが、現れた場合はなるべく早く気づく必要があります。
メバロチン錠を服用開始後、体調の変化が現れた出た場合はすぐに医師、または薬剤師に相談しましょう。
重篤な副作用にはそれぞれ代表的な初期症状がありますのでご確認ください。
・横紋筋融解症
初期症状:筋肉痛、脱力感、赤褐色尿など
・肝機能障害
初期症状:全身倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)など
・血小板減少
初期症状:あおあざができやすい、出血しやすい(鼻血、歯ぐきの出血)など
・間質性肺炎
初期症状:息切れがする、息苦しくなる、発熱、空咳がでるなど
・ミオパチー/免疫介在性壊死性ミオパチー
初期症状:筋肉痛、階段を昇ることが難しいなど
・末梢神経障害
初期症状:手や足がぴりぴりとしびれる、手足の感覚がなくなる、物がつかみづらいなど
・過敏症状(ループス様症候群/血管炎など)
ループス様症候群
初期症状:発熱、倦怠感、関節痛など
血管炎
初期症状:倦怠感、発熱、体重減少など
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)に関する注意点
メバロチン錠は服用するにあたって注意が必要な方(特定の背景がある患者)、また、一緒に服用する場合に注意が必要な薬剤があります。
以下に該当する場合は医師または薬剤師に相談しましょう。
服用するにあたって注意が必要な方(特定の背景がある患者)
メバロチン錠の服用に注意が必要な方がいます。
特に、妊婦、授乳婦への投与は禁忌とされており服用できません。
また、メバロチン錠を過去に服用して過敏症がある方も服用できません。
・甲状腺機能低下症の患者
・遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者
・薬剤性の筋障害の既往歴のある患者
・アルコール中毒の患者
・腎機能検査値異常のある患者
・腎機能障害又はその既往歴のある患者
・重篤な肝機能障害又はその既往歴のある患者
・妊婦、妊娠している可能性のある女性
・授乳婦
・小児等
・高齢者
服用に注意が必要な薬剤
以下に該当するお薬を服用している場合はメバロチン錠との併用に注意が必要です。医師の指示で併用する場合もありますが、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症が現れる可能性があります。
特にもともと腎機能に異常が認められている方では前述のような副作用の発現が心配されます。
・フィブラート系薬
ベザトールSR錠100mg/200mg(ベザフィブラート)
トライコア錠53.3mg/80mg(フェノフィブラート)
リピディル錠53.3mg/80mg(フェノフィブラート)
パルモディア錠0.1mg(ペマフィブラート)
・免疫抑制剤
サンデュミュンカプセル25mg/50mg(シクロスポリン)
サンデュミュン内溶液10%(シクロスポリン)
ネオーラルカプセル10mg/25mg/50mg(シクロスポリン)
ネオーラル内溶液10%(シクロスポリン)
メバロチン錠(プラバスタチンナトリウム)と同じ成分の市販薬はある?
プラバスタチンナトリウムを有効成分とする市販薬はありません。メバロチン錠は医療用医薬品であり医師の処方に基づくお薬です。ここまでメバロチン錠について解説してきました。
高脂血症を含む脂質異常症は自覚症状がありません。症状のないまま、脂質異常症を放置すると動脈硬化は進行し、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化症をまねく原因となります。
脂質異常症の予防や治療の基本は食生活などの生活習慣を改善することです。生活習慣の改善に加えてメバロチン錠による薬物治療が必要と判断された場合は継続して服用する必要があります。
自己判断で中止せず、医師の指示に従い服用を継続させましょう。
参考資料
メバロチン錠5/メバロチン錠10/メバロチン細粒0.5%/メバロチン細粒1%
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2189010C1032_2_14/
脂質異常症(基本) | e-ヘルスネット(厚生労働省)
重篤副作用疾患別対応マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/topics/tp061122-1.html
革新的な医薬の探索開発過程の事例研究:メバロチン(JST-N-CASE06)
https://econpapers.repec.org/paper/hitiirwps/15-06.htm
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Webディレクター / 薬剤師
今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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