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ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 福岡 蓉佑
更新日:2024年02月20日

更新日:2024年02月20日

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
ビタミンB6と聞けば多くの方が、市販で販売しているビタミン剤やサプリメントを思い浮かべるのではないでしょうか?

しかし、ビタミン6は病院やクリニックなど医療機関で取り扱われる医療用医薬品「ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)」も存在します。

今回は医療用医薬品であるビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)について成分の特徴や効果、副作用、市販薬の有無などについて解説していきます。

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)とは

ビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)は富士製薬工業株式会社が後発医薬品(ジェネリック医薬品)として1969年にビタミンB6錠「フジ」として製造販売承認を受けた医療用医薬品です。

 

その後医療事故を防止する対策として販売名を現在のビタミンB6錠「F」に変更し販売されています。ではビタミンB6錠「F」の有効成分であるピリドキシン塩酸塩にはどんな働きがあるのでしょうか?

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)の成分について

ピリドキシン塩酸塩は別名ビタミンB6と呼ばれています。ピリドキシン塩酸塩はからだの中でリン酸ピリドキサール(ビタミンB6の補酵素型)という物質に変化し、多くのアミノ酸代謝を助ける働きを持ちます。

 

主にタンパク質の代謝を助ける働きがありますが、それ以外にも免疫機能の正常な働きの維持や皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの生理作用もあり、脂質の代謝にも関わりがあります。

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)はどんな症状に効果がある?

ビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)は以下の症状に効果があります。

・ビタミンB6欠乏症の予防および治療
(薬物投与によるものを含む。例えば、イソニアジド)
・ビタミンB6の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等)
・ビタミンB6依存症(ビタミンB6反応性貧血等)

また下記疾患のうちビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・口角炎、口唇炎、舌炎
・急・慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触性皮膚炎
・末梢神経炎
・放射線障害(宿酔)

ではあまり馴染みが少ない接触性皮膚炎や脂漏性湿疹とはどんな病気なのでしょうか?

接触性皮膚炎とは

接触性皮膚炎とは、特定の物質に直接触れることで皮膚に炎症が起こる病気です。
物質によって皮膚の炎症が引き起こされる仕組みは刺激タイプ(刺激性接触皮膚炎)とアレルギータイプ(アレルギー性接触皮膚炎)の2つに分かれています。

 

刺激タイプは接触性皮膚炎の全体の80%を占め皮膚が刺激物質によって直接損傷されることで起こります。症状はかゆみより、痛みを訴えることが多く、代表的な物質に酸、アルカリ、溶剤(マニキュアの除光液のアセトン)、強力な石鹸、植物(ポインセチアやコショウ)、体液(尿や唾液)などがあります。

 

アレルギータイプでは強いかゆみと皮膚炎を生じることが多く、原因になる物質は何千種類もあると言われていますが、代表的な物質に植物(ツタウルシなど)、ゴム(ラテックス)、抗菌薬、保存剤、一部の金属(ニッケル、コバルトなど)があります。

脂漏性湿疹とは

脂漏性湿疹とは頭皮や髪の生え際、耳のうしろ、眉毛、鼻のわき、胸、わきの下、股間部、ひざの裏など皮脂の分泌が盛んな部位にできる湿疹のことです。

 

症状の出る場所では皮膚の赤みがあり、やや黄色味を帯びた湿り気のあるフケ、または乾燥したウロコ状のフケが出るのが特徴です。

 

脂漏性湿疹には「乳児型」といって新生児期から乳児期に見られるタイプと「成人型」といって思春期以降の成人に見られるタイプがあります。

 

乳児型の場合、ほとんどは一時的なもので、正しいスキンケアを行っていればたいてい生後8〜12か月ごろには自然治癒します。

 

一方、成人型の場合は、一度発症するとよくなったり、悪くなったりを繰り返し、慢性的になることが多いです。症状がひどくなると、自然治癒することはほとんどないため、医療機関での適切な治療が必要です。

 

脂漏性湿疹の原因として皮膚に住み着いているマラセチアというカビ(真菌)の一種が脂漏性湿疹の発生に関わっていると言われています。

 

マラセチアは皮脂を栄養にして増殖しますが、マラセチアが増殖すること自体が皮膚の炎症を引き起こすと考えられています。

 

このマラセチアの異常な増殖にビタミンB6やビタミンB2などの代謝がうまくいかない状態が関係していると言われています。

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)の用法・用量は?

ビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)の用法・用量は以下の通りです。

通常、成人は1日10〜100mgを服用します。
なお、年齢、症状により服用量を増やしたり、減らしたりすることがあります。
また極めてまれなケースで、依存症の場合には、より大量を用いる場合もあります。

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)の副作用

ビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)の重大な副作用に横紋筋融解症という症状があります。このような症状があらわれた場合には、すぐに服用を中止して医師、薬剤師にご相談ください。では横紋筋融解症とはどのような症状なのでしょうか?

横紋筋融解症とは

そもそも横紋筋とはからだを動かす「骨格筋」と心臓を動かす「心筋」のことを言います。横紋筋融解症は特に骨格筋に見られ、骨格筋を構成する筋細胞が融解・壊死することで、筋肉痛や脱力などの症状が起こります。

 

そのままの状態を放置していくと歩くことや起き上がることが困難になり、腎不全などを合併し、回復に長期間かかることがあります。

 

横紋筋融解症を発症する原因は直接的なものと間接的なものに分かれ、直接的な原因は災害などによって長時間、手や足が圧迫された場合などに発症します。

 

一方間接的な原因としては過度のアルコール摂取や過度の運動、熱中症などがあります。熱中症の場合、高温下で体温調節機能が破綻し、からだの深部体温が40℃を越えると筋細胞が変性することで横紋筋融解症が発生します。

 

また今回ご紹介したビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)のようにお薬によって引き起こされることもあります。

 

一部の高脂血症治療薬(スタチン系薬剤)や抗生物質(ニューキノロン系)による横紋筋融解症がよく知られていますが、その他にも抗精神病薬や麻酔薬などさまざまなお薬の副作用として発症することも報告されています。

 

横紋筋融解症の症状として、筋肉痛、筋力低下、脱力、麻痺、ミオグロビン尿があります。「手足がしびれる」「手足に力が入らない」「全身がだるい」「尿の色が赤い」などの症状が見られた場合はすぐに服用を中止して医師に相談しましょう。

 

また横紋筋融解症以外にもそれぞれの領域ごとに起こりうるその他の副作用を下記に示します。

【皮膚】
<頻度不明>
光線過敏症

【消化器】
<頻度不明>
下痢、嘔吐

【肝臓】
<頻度不明>
肝機能異常

【大量・長期投与】
<頻度不明>
手足のしびれ、知覚異常等の末梢神経障害

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)に関する注意点

ビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)は以下のお薬を服用中の方は注意が必要です。

レボドパ

レボドパはパーキンソン病・パーキンソン症候群で起こる振戦や日常生活動作障害の治療および予防で処方されるお薬です。

 

ビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)とレボドパを一緒に服用してしまうとレボドパの効き目が弱くなってしまうことがあります。そのため、パーキンソン病・パーキンソン症候群でレボドパを服用中の方は必ず主治医に相談しましょう。

 

またお子様が服用する際にも注意が必要です。

新生児や乳幼児が大量にビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)を服用した場合、横紋筋融解症、下痢、嘔吐、肝機能異常などの副作用があらわれることがあるので、お子様が服用する際にも必ず医師に相談しましょう。

保護者の方はお子様が服用した後の体調変化に気をつけるようにしましょう。

ビタミンB6錠(ピリドキシン塩酸塩)と同じ成分の市販薬はある?

これまでお話ししてきた内容は、医療用医薬品のビタミンB6錠「F」(ピリドキシン塩酸塩)でしたが、市販薬にもピリドキシン塩酸塩と同じ成分の市販薬はあるのでしょうか?

 

市販薬にもピリドキシン塩酸塩を配合した商品は存在します。商品は総合ビタミン剤や口内炎・肌あれ治療薬、ドリンク剤などが存在します。ここではピリドキシン塩酸塩を配合した代表的な商品を以下に記載します。

 

以下がピリドキシン塩酸塩を配合した市販薬の一例です。

・アリナミンEXプラス(ビタミン剤)
・キューピーコーワゴールドα(ビタミン剤)
・チョコラBBプラス(口内炎・肌あれ治療薬)
・リポビタンD(ドリンク剤)
・アリナミンV(ドリンク剤)

参考文献
ビタミンB6錠/添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670109_3134002F1057_1_03
ビタミンB6錠/医薬品インタビューフォーム
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量/健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
接触性皮膚炎-17.皮膚の病気-MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/17-皮膚の病気/かゆみと皮膚炎/接触皮膚炎
脂漏性皮膚炎の症状・治療法【症例画像】/田辺三菱製薬/ヒフノコトサイト
https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/757
実は身近な横紋筋融解症/東邦大学医療センター大森病院臨床検査部
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/kensa/column/column20170727.html
アリナミンEXプラスの製品特徴、効能/アリナミン
https://alinamin.jp/lineup/alinaminexplus.html
疲れたとき、肌あれ、口内炎にチョコラBBプラス/チョコラドットコム
https://www.chocola.com/product/bb.php
リポビタンD/製品詳細/大正製薬製品カタログ
https://www.catalog-taisho.com/00347.php
アリナミンVの製品特徴、効能/アリナミン
https://alinamin.jp/lineup/alinaminv.html

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監修薬剤師 福岡 蓉佑
ドラッグストア薬剤師を4年間経験した後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
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