ストレスでアトピー性皮膚炎は悪化する?ストレスの悪循環に注意しよう!


更新日:2025年03月7日

アトピー性皮膚炎とストレスの関係は
アトピー性皮膚炎とストレスの関係は非常に密接であり、ストレスはアトピー性皮膚炎の悪化要因の一つとされています。以下にそのメカニズムと影響を詳しく説明します。
免疫に影響を与える
ストレスを感じると、体の中で「ノルアドレナリン」というホルモンが出ます。このホルモンは、本来なら炎症を抑えるはずの免疫細胞の働きを弱めてしまいます。肌の炎症がひどくなり、アトピー性皮膚炎のかゆみや赤みが悪化してしまうのです。
さらに、炎症が続くと、肌に死んだ細胞がたまりDAMPという物質を出します。この物質が新たな炎症を引き起こし、さらに症状が悪化します。
皮膚バリア機能の低下
ストレスがたまると血管が収縮するため、血流が悪くなり肌の温度が下がります。この低温が肌に影響を与え、肌のターンオーバーが正常に行われなくなると、セラミドが十分に作られません。
セラミドは肌のバリア機能を支える大切な成分です。肌内部のうるおいを保つ役割をしています。生成が低下すると、肌の保湿能力が落ち乾燥しやすくなり、外部からの刺激に対する抵抗力も弱くなります。
自律神経系の乱れ
ストレスを感じると、血管が収縮して血流が悪くなり、肌に必要な栄養が届きにくくなります。これによって、肌のターンオーバーが乱れ、健康的な肌を保つのが難しくなるのです。これにより、肌が乾燥しやすくなるほか、免疫機能も低下し肌トラブルが起きやすくなります。
女性の場合、ストレスが原因で男性ホルモンが増えることがあり、皮脂の分泌を増やして肌がべたつき、ニキビなどができやすくなることもあります。
悪循環の形成
ストレスや不安が溜まると、かゆみがなくても、ストレスや不安が原因で無意識のうちに肌を掻いてしまうことがあります。アトピー性皮膚炎の方がストレスを感じると、かゆみが強くなり、それを掻いてしまうことで症状が悪化します。これは、肌のバリア機能が破壊され、湿疹や炎症が悪化する原因です。肌を掻くことで毛穴が傷つけられ、さらに症状を悪化させることがあります。
また、掻いてはいけないというストレスが更に悪循環を生みます。
ストレスとストレス因子
ストレスの原因となる外的刺激を「ストレッサー」と呼び、これに対する心身の反応を合わせて「ストレス」と表現することもあります。
物理的ストレッサー
物理的な環境による刺激のことです。例えば、温度の変化(暑さや寒さ)、音、光などが挙げられます。オフィスの騒音やパソコンのディスプレイから発せられる強い光、エアコンの温度設定などもこれに該当し、長時間続くと体や心にストレスを与えることがあります。
化学的ストレッサー
化学物質による刺激のことです。公害物質や金属、アルコール、タバコ、食品添加物などが例として挙げられます。これらの化学物質が目や喉、鼻を刺激したり、室内の酸素が不足することでもストレスを感じるかもしれません。オフィス内での喫煙や、ニオイの強い昼食などが化学的ストレッサーになることもあります。
生物的ストレッサー
身体の免疫反応を引き起こす刺激になります。花粉などのアレルゲンや、ウイルスや細菌が原因となることがほとんどです。これらが体内に入ることで、免疫系が反応し、咳や痰、アレルギー症状を引き起こすことがあります。
心理・社会的ストレッサー
職場での人間関係や社会的なプレッシャー、家庭内での問題などがこれに該当します。日常的に感じるストレスの多くは、心理・社会的ストレッサーに関連していることがほとんどです。人間関係の摩擦や役職・社会的立場のプレッシャーがストレッサーとなることがあります。
ストレスを感じやすい人の特徴
同じストレッサーでも、人によってその反応が異なります。ストレスを感じやすい人の特徴を紹介します。これらに当てはまる場合は、注意しましょう。
物事を急ぎがちな人
せっかちな人は、物事を素早くこなしたいと思う傾向が強く常に忙しく動いています。この性格は、周囲の人にもスピーディーさを求めがちで、人間関係に摩擦が生じやすくなることが特徴です。その結果、親しい友人が作れず、孤独感や焦り、悩みを抱え込むことが多いため、ストレスを感じやすくなります。
負けず嫌いで結果を求める人
負けず嫌いな人は、自己成長に繋がる一方で、他人と自分を比較しすぎてストレスを感じることがあります。同僚が成功した仕事を自分ができなかった場合、悔しさから自分を過剰に責めてしまうかもしれません。これが続くと、自分一人で仕事を抱え込んでしまい、周囲との協力がうまくいかず、ストレスが増大します。
自分の意見を言うのが苦手な人
自己主張が控えめな人は、自分に自信がなく、思いや考えを伝えるのが苦手です。そのため、相手に嫌われることを恐れ、伝えたいことを我慢してしまいます。自分を抑え込んでしまうことで、ストレスを感じやすくなります。
周囲との関係に気を遣う人
周囲に気を遣う人は、他人の顔色をうかがいながら行動することが多く、常に周囲の期待に応えようとします。これが過度になると、気疲れが溜まるかもしれません。自分の意見や感情を抑え込むことが多くなり、結果としてストレスが増します。
まじめで責任感が強い人
真面目な人は、自分で定めた目標を完璧に達成しようと頑張りすぎる傾向があります。これは、ストレスを溜め込みやすく、疲労が蓄積する原因です。また、無理に完璧を求めてしまうため、自分を追い込み結果的にストレスが強くなることがあります。
アトピー性皮膚炎でストレスになる要素
アトピー性皮膚炎は、肉体的な症状だけでなく、精神的にもストレスを引き起こす要素が多くあります。
かゆみによるストレス
かゆみは仕事や勉強の集中力を低下させます。夜間にかゆみがひどくなると、睡眠の質が悪化し、疲れが蓄積します。
見た目によるストレス
皮膚の赤みや湿疹が目立つと、人々の視線が気になります。「不潔」「感染するのでは」と誤解されることもあり、精神的な負担になるかもしれません。また、症状がある部位を隠すために、服装や髪型の選択肢が限られてしまうこともあります。
生活の制限によるストレス
運動や発汗が症状を悪化させるため、活動を制限することがあります。また、衣類や化粧品が限られた場合、自由におしゃれを楽しめません。アレルゲンが含まれる食品を避けないといけない場合、外食がストレスになることもあります。
周囲の理解が得られないストレス
周囲の人々から心無い言葉をかけられることがあります。医師や家族に症状を軽く見られたり、学校や職場での配慮が不足していると、さらにストレスが蓄積します。
治療に関するストレス
薬を使ってもすぐに改善しないことへの焦りや、治療が長引くことへの不安が生じます。また、ステロイドや免疫抑制剤の副作用に対する心配も、治療を続けるうえでのストレスの一因です。さらに、長期間にわたる治療費の負担も精神的な圧力となることがあります。
ストレスを解消する方法
ストレスを解消する方法をいくつか紹介します。自分に合った方法を見つけ、リフレッシュする時間を大切にしましょう。
しっかり休息を取る
仕事ややらなければならないことを一度置いておき、健康を最優先に考えてください。健康が回復すれば、仕事や生活もスムーズに進みます。何もせずにゆっくりと休む時間を作りましょう。
気分転換のために外に出る
好きな趣味やスポーツ、散歩、ショッピングなどでリフレッシュできます。面倒に感じるかもしれませんが、休みの日には一度外の自然に触れてみましょう。
深呼吸で自律神経を整える
不安や緊張を感じたときは、深呼吸をしてみましょう。数回繰り返すことでリラックスでき、神経のバランスを整えられます。
自宅で趣味を楽しむ
好きな音楽を聴いたり、TVゲームをしたり、電話で友人と話したり、本を読んだり、ペットと遊ぶなど、心が落ち着く活動に没頭しましょう。無理に力を入れず、楽しむことを最優先にしてください。
ポジティブな思考を持つ
起こる出来事を肯定的に解釈することで、心の平穏を保てます。ストレスの源を冷静に分析し、前向きな気持ちで取り組んでみましょう。
ストレスの要因に早めに対応する
やるべきことを先延ばしにせず、できることはすぐに実行に移しましょう。もし難しい場合は、誰かに相談して意見をもらうことも有効です。
友人や家族に相談する
自分の気持ちを話すことで、心が軽くなり、理解を得ることで安心感を得られます。ストレスを一人で抱え込むことは避け、誰かに話すことで気持ちを楽にしましょう。
ストレスを減らすにはアトピー性皮膚炎の治療も大切
アトピー性皮膚炎の治療も重要です。症状が改善されることで、ストレスの原因となるかゆみや炎症が軽減し、心身の負担を減らせます。
スキンケアを行う
保湿を心がけ、乾燥を防ぐことで肌のバリア機能が回復しかゆみや炎症が和らぎます。刺激の少ないスキンケア用品を使用し、肌を優しくケアすることが大切です。
生活習慣を見直す
十分な睡眠をとることで免疫機能が改善し、ストレスにも強くなります。バランスの取れた食事を心がけ、アレルゲンを避けることが症状の軽減につながります。
病院で治療を受ける
薬物療法や専門的なアドバイスを受けながら、自己管理を行い心身の健康を保ちましょう。
かゆくて辛い場合は我慢せず皮膚科を受診しよう
アトピー性皮膚炎のかゆみは非常に強く、日常生活に支障をきたすことがあります。我慢せず、専門医に相談しましょう。
忙しくて受診できない場合にはオンライン診療がおすすめ
忙しくて病院を受診する時間がつくれない場合には、オンライン診療を活用しましょう。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットを通じて、自宅で医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォン、タブレット、パソコンを利用して、ビデオチャットで医師と直接会話し診察を行います。診察の予約から始まり、問診や診断、さらに薬の処方箋発行や支払いまで、すべてオンラインで完結できるため、時間や場所にとらわれず便利に医療を受けることが可能です。・
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まとめ
ストレスは免疫機能や自律神経、皮膚のバリア機能に影響を与え、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因となります。また、かゆみや外見に関する悩み、治療への不安など、アトピーそのものがストレスとなることもあります。適切に休息をとる、趣味を楽しむ、家族や友人に話を聞いてもらうなど、ストレスをうまく発散するようにしましょう。かゆみが辛くなったり、症状が悪化した場合は、我慢せず皮膚科の受診を検討してください。

医師
高藤 円香

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