蕁麻疹(じんんましん)にはどんなタイプがあるの?蕁麻疹の種類と対策を詳しく解説!
更新日:2025年02月3日
蕁麻疹(じんましん)が起こる仕組み
蕁麻疹の特徴的な症状である膨らんだ皮疹は、どのようにして生じるのでしょうか。この膨らみの正体は、皮膚の内側にある毛細血管が広がり、さらに血管から水分が漏れ出すことで起こります。漏れた水分によって、皮膚がプクっと腫れたように見えるのです。
ヒスタミンがかゆみの原因
この反応に大きく関わるのが「ヒスタミン」という物質です。ヒスタミンは、皮膚の深い部分にある「肥満細胞」と呼ばれる細胞から放出されます。肥満細胞は、何らかの刺激やアレルギー反応を受けたときに活性化され、ヒスタミンを放出する働きを持っています。
ヒスタミンが放出されると、毛細血管が広がりやすくなり、水分が血管から漏れ出てしまうため、蕁麻疹が発生するのです。また、このヒスタミンは皮膚にある神経を刺激して、強いかゆみを引き起こす原因にもなります。
症状が消えていく仕組み
蕁麻疹の原因となる刺激を特定するのは難しいことが多く、多くの場合「原因不明(特発性)」とされることも少なくありません。ただし、肥満細胞からのヒスタミンの放出が終わると、広がっていた血管は元の状態に戻り、漏れ出していた水分も血管内に吸収されます。こうして膨らんでいた皮疹は自然に消えていくのです。
蕁麻疹の皮疹は体内での一連の反応によって現れたり消えたりします。その背後にはヒスタミンをはじめとする身体の複雑な仕組みが関わっていますが、原因が特定できない場合でも適切な対処をすることで症状を和らげることが可能です。
特発性蕁麻疹(とくはつせいじんましん)の種類
蕁麻疹には、原因が明確に特定できない「特発性蕁麻疹」と呼ばれるタイプがあります。実は、日常的に発生する蕁麻疹のほとんどがこの特発性に該当します。特発性蕁麻疹は、症状が続く期間によって「急性蕁麻疹」と「慢性蕁麻疹」の2つに分類されます。
急性蕁麻疹
最初の症状が現れてから6週間以内の蕁麻疹のことです。このタイプは比較的一時的なもので、特に子どもの場合、風邪や上気道感染といった病気に関連して発症しやすい傾向があります。
慢性蕁麻疹
症状が6週間以上続いている状態の蕁麻疹です。このタイプは夕方から夜間にかけて悪化することが多く、原因が特定されない場合がほとんどです。さらに、症状が数か月から数年にわたって続くケースもあるため、治療には時間を要することがあります。
刺激誘発型蕁麻疹(じんましん)の種類
特定の刺激が皮膚に加わることで発生する蕁麻疹です。このタイプは、刺激を受ける頻度や状況によって症状の現れ方が異なります。例えば、ある日には1日に何度も症状が出る場合がある一方で、数日間全く症状が出ないこともあります。
物理性蕁麻疹
物理性蕁麻疹とは、皮膚に加わる特定の物理的刺激が原因で発症する蕁麻疹のことです。このタイプは、刺激の種類によってさらに細かく分類されます。
コリン性蕁麻疹
入浴や運動、精神的な緊張などで体温が上昇し、発汗が引き金となって現れる蕁麻疹です。このタイプの蕁麻疹は、かゆみやピリピリとした軽い痛みを伴い、皮膚に3〜5mm程度の小さな膨疹や赤み(紅斑)が生じるのが特徴です。
症状は通常、数分から2時間以内に自然に治まりますが、再び体温が上がり発汗する状況になると、同じような症状が繰り返し現れることがあります。
アレルギー性蕁麻疹
食物や薬品、植物などに含まれる特定の物質(アレルゲン)に反応して起こる蕁麻疹です。アレルゲンが体内に入ったり、皮膚に触れたりすると、それに対する免疫反応として症状が現れます。通常、原因物質を摂取したり接触したりした後、数分から1〜2時間以内にかゆみや赤み、腫れといった蕁麻疹の症状が出るのが特徴です。
イントレランス
アスピリンや非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)、色素、造影剤、または食品中に含まれるサリチル酸などが原因で発生する蕁麻疹のことです。このタイプの蕁麻疹は、通常のアレルギー反応とは異なり、IgE抗体が関与しないのが特徴です。
血管性浮腫
特殊型の一つで、目や唇などが腫れる症状が特徴です。通常の蕁麻疹は皮膚の浅い部分にある血管が反応して起こりますが、血管性浮腫は皮膚の深い部分にある血管が反応するため、異なる症状が現れます。このため、境界がはっきりした膨疹や赤みが見られず、皮膚がふっくらと腫れたような状態になります。
この腫れは特に顔やまぶたに出やすいですが、手や腕、足などに現れることもあります。また、通常の蕁麻疹と異なり、かゆみを伴わないことがほとんどです。一度症状が出ると消えるまでに2〜3日かかる場合があります。原因には遺伝子のものがあります。
物理性蕁麻疹(じんましん)の種類
皮膚に加わる機械的な刺激や圧力、振動、日光への曝露、水との接触、さらには寒さや暑さといった温度の変化など、さまざまな物理的要因がトリガーとなって引き起こされます。
機械性蕁麻疹
物理性蕁麻疹の中で最も一般的に見られるタイプです。皮膚に加わる摩擦や圧迫といった機械的な刺激によって引き起こされます。たとえば、皮膚を掻いて傷つけたり、下着のゴムで締め付けられたり、重い荷物を持つことで圧力がかかった部分に、ミミズ腫れのような症状が現れます。
寒冷蕁麻疹
「寒さ」や「冷たさ」といった寒冷刺激に反応して発症します。冷たいものに触れた部分だけに症状が現れる「局所性」のタイプと、体全体が冷えたことで全身に症状が広がる「全身性」のタイプに分けられます。
温熱蕁麻疹
皮膚が体温よりも温かいものや温風に触れることで温度が上昇し、それが刺激となって蕁麻疹が現れます。温熱刺激を受けた部位だけに症状が現れる「局所性温熱蕁麻疹」と、刺激を受けた場所とは関係のない部位に症状が広がる「全身性温熱蕁麻疹」の2つのタイプがあります。
日光蕁麻疹
日光に当たった部分に赤みや大きく盛り上がった発疹、かゆみが現れます。日差しを浴びてから数分以内に症状が出ることが多く、通常は数時間以内に自然に消える傾向があります。
振動蕁麻疹
皮膚に振動が加わることで発症する蕁麻疹です。マッサージ機や振動を伴う機器による刺激が主な原因となります。
水蕁麻疹
水に触れることで発症する非常にまれな蕁麻疹です。世界中でも確認されている症例は100例程度とされ、極めて稀なケースに分類されます。
蕁麻疹(じんましん)の予防方法
蕁麻疹を予防するための方法を紹介します。これらの対処法を組み合わせて生活を見直しながら、必要に応じて医療機関を受診し、専門的な治療を受けることが重要です。
原因を避ける
蕁麻疹の発症には、特定の原因が関与している場合があります。そのため、原因を避けることが最も重要です。
たとえば、食物や薬剤が原因の場合はそれを摂取しないよう注意し、寒冷刺激や摩擦などの物理的な刺激も可能な限り避けるようにしましょう。アレルギーが疑われる場合には、アレルギー検査を受けて原因物質を特定するのも有効です。
環境を整える
症状が続く場合、日常生活の環境を見直すことで改善が期待できる場合があります。たとえば、肌にやさしい着心地の良い衣服を選び、摩擦刺激を減らす工夫をしたり、寒冷刺激を防ぐために脱衣所を暖めたりすることが有効です。また、空気清浄機を導入することで花粉やハウスダストを減らし、環境の改善を図れます。
体調を整える
ストレスは蕁麻疹の悪化要因の一つとされています。趣味やリラックスできる活動を取り入れて、日常のストレスを軽減するよう心がけましょう。また、強い疲労も蕁麻疹を悪化させることがあるため、十分な休息を取ることも重要です。睡眠時間を確保するなど、疲労を感じたときには無理をせず休息を取ってください。
蕁麻疹(じんましん)が出た場合の対策
突然蕁麻疹が現れた場合、適切な対処を行うことで症状を和らげられます。次に紹介する方法を試してみましょう。
掻かない
蕁麻疹が出た部分を掻いたり、こすったりするのは避けましょう。掻き壊しは、炎症を悪化させたり、細菌が増殖したりする原因となる可能性があります。症状を悪化させないためにも、患部にはできるだけ触れないようにしてください。
温めない
体温が上昇すると、悪化する可能性があります。可能であれば入浴を避け、どうしても入浴したい場合は、体温が上がりすぎないように適温のシャワーに留めるようにしましょう。
冷やす
かゆみが強い場合、冷やすことで症状を和らげられることがあります。タオルで包んだ保冷剤や冷たいタオルを使い、患部を優しく冷やしてください。ただし、寒冷刺激が原因で起こる物理性蕁麻疹の場合は、冷却は控えるようにしましょう。
刺激を避ける
運動や入浴などで発汗が増えると、蕁麻疹が悪化することがあります。また、衣類の圧迫や摩擦も刺激となるため、ゆったりとした服装で安静に過ごしましょう。十分な休息をとることで、ストレスを軽減し、症状の改善に役立ちます。
病院を受診する
蕁麻疹は多くの場合、自然に治まりますが、内科的な病気が関係している場合もあります。そのため、原因がはっきりしないまま症状が続く場合には、自己判断を避け、医師に相談することが大切です。専門的な診察を受けることで、適切な治療やケアが可能になります。
蕁麻疹(じんましん)が辛い場合は我慢せず皮膚科を受診しよう
異なる種類の蕁麻疹が同時に起こることもあるため、自己判断で「この蕁麻疹だ」と決めつけるのは危険です。誤った対処や放置によって症状が長引く可能性があるため、適切な治療を受けましょう。
慢性蕁麻疹は、原因が不明で治療に時間がかかることが多いため、症状が長引く場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を開始することが大切です。医師に相談しながら、適切なケアを行うことで、症状を和らげられます。
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まとめ
蕁麻疹は、種類や原因がさまざまで、生活習慣や環境を見直すことで予防が可能な場合もあれば、専門的な治療が必要になることもあります。症状を悪化させないためには、掻いたり温めたりするのを避け、正しい方法で対処しましょう。蕁麻疹が繰り返し起こったり、症状が重くなったりした場合には、皮膚科を受診して適切な治療を受けてください。自身の健康を守るためにも、正しいケアを心がけながら専門医のサポートを受けましょう。
医師
松澤 宗範
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皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療
2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
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