その喉の痛み…風邪じゃなく咽頭ヘルペスかも|症状や対処法を紹介
喉の痛み、もしかして咽頭ヘルペス?
ここではまず、ウイルスの基礎知識と、咽頭ヘルペスの主な症状、似た病気との違いを見ていきましょう。
ヘルペスウイルスとは
ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス」への感染で起こります。HSV-1(1型)とHSV-2(2型)があり、従来は1型が口周り、2型が性器に多いと説明されてきました。ただし近年は、1型が性器に、2型が口周りに見つかることも増えており、部位だけでは型を断定できません。どちらも一度感染すると体内に潜伏し、免疫が落ちた時期に再活性化する「再発しやすい」特徴があります。
喉に感染する「咽頭ヘルペス」の症状
咽頭ヘルペスは、口や唇ではなく、のどの粘膜にヘルペス性の炎症が起きる状態です。強い咽頭痛や飲み込むときの鋭い痛み(嚥下痛)が代表的で、高熱を伴うこともあります。首のリンパ節や扁桃が腫れ、のどの奥にただれ(びらん)や白い膿が見えることも珍しくありません。
痛みで食事や水分が取りづらくなり、脱水になりかける方もいます。口唇の水ぶくれが同時に出るとは限らず、見た目の手がかりが少ないため「ただののど風邪」と思い込まれやすい点に注意が必要です。症状は治療の有無や重さで差はありますが、適切な対応をすれば通常は1週間前後で落ち着いていきます。
咽頭炎や扁桃炎とどう違うのか?
のどが痛み、熱が出る…この症状は、ウイルス性咽頭炎や溶連菌による扁桃炎でも起こります。咽頭ヘルペスとの違いは、原因が単純ヘルペスウイルスであることと、のどの粘膜にヘルペス特有のびらんや水疱〜潰瘍様の所見が出やすい点です。ただし診察室でも見た目だけで断定できないことが多く、治療はまったく異なります。自己判断で市販薬に頼るより、医師の視診・問診に加えて必要に応じた検査で原因を絞り込むのが安全です。
喉に起こるヘルペスの感染ルートを知ろう
症状が出ているときはもちろん、見た目に変化がないときでも唾液や皮膚表面に存在していることがあり、気づかないうちに広がるのが厄介な点です。
咽頭ヘルペスはどうやってうつるのか?
最も多いのは、口と口・口と性器の接触による感染です。唇や性器にヘルペスがある相手とキスをしたり、オーラルセックスを行ったりすると、ウイルスが唾液や分泌液を介して咽頭の粘膜に届きます。
口唇の水ぶくれがはっきり出ている時期は感染力が高く、のどの痛みや発熱が強く出やすい一方、見た目に症状がない時期でもウイルスが少量放出されていることがあり、思い当たる接触がなくても感染が成立することがあります。
家庭内では、飲み物の回し飲み、箸やストロー、歯ブラシ、タオルの共用が感染のリスクです。ウイルスは湿った環境で残りやすいため、口元やのどに触れた物が媒介になると考えておきましょう。
うつさない・もらわないために日常で気をつけたいこと
症状があるときは、キスやオーラルセックスなどの粘膜接触を控えるのが基本です。コンドームは感染リスクを下げますが、覆えない部位からもうつる可能性があるため「症状がある時期は性行為そのものを休む」が安全策になります。口元に違和感やピリピリ感といった前兆があるときも、同様に接触は避けましょう。
体調管理も予防の一部です。免疫の土台を整えることが、結果的に「うつさない・もらわない」につながります。
家族・パートナーにうつさない工夫
食器・コップ・ストロー・歯ブラシ・タオルは共用しない、浴室でもタオルや洗面具を分ける、といったシンプルな工夫が有効です。食器や衣類は通常の洗剤で洗えば十分で、過度な隔離は必要ありません。口元に触れたごみ(ティッシュなど)は密閉して捨てるとより安心です。
赤ちゃんは免疫が未熟なため、親に口唇や咽頭のヘルペス症状がある間は、キスや頬ずりを控え、抱っこの前に手洗いを徹底してください。パートナーと感染を繰り返す「ピンポン感染」が心配なときは、二人同時に診察を受けて経過を合わせると、再発時期の把握や予防策のすり合わせがしやすくなります。
咽頭ヘルペスかも?病院での診断方法は
細菌性扁桃炎とヘルペスでは治療薬がまったく異なるため、自己判断の市販薬任せは避け、医療機関で原因を特定することが重要です。
まずは医師の視診と問診で症状をチェック
診察では、咽頭の粘膜にヘルペス特有のびらんや水疱・潰瘍がないか、扁桃の腫れや白苔、首のリンパ節の腫れ、脱水のサインを丁寧に確認します。発症のきっかけや経過、発熱の程度、口唇・性器にヘルペス既往があるか、キスやオーラルセックス、飲み物やタオルの共用といった接触歴の有無も重要な手掛かりです。
ウイルスの存在を調べる抗原検査とは
抗原検査は、咽頭のぬぐい液や病変部から採った検体に単純ヘルペスウイルスが存在するかを直接確かめる方法です。発症直後から数日の、病変が新しい時期ほど検出されやすく、院内の迅速キットを用いると短時間で結果が分かることもあります。市販の自己検査キットは精度や対象部位に限界があり、咽頭ヘルペス向けの製品は少ないため、医療機関での実施が安心です。
過去の感染歴もわかる抗体検査
抗体検査は血液を用いHSVに対する抗体の有無を調べて「これまでに感染したことがあるか」を推測します。再発時には抗体価が大きく変動しないことも多く、今回ののどの症状がヘルペス由来かどうかを単独で断定する検査ではありません。また、類似ウイルスとの反応で判定が難しくなる場合もあるため、視診・問診や抗原検査の結果と総合して解釈します。
咽頭ヘルペスの治し方は
「自然に治るのを待つ」より、適切な薬で短期に抑える方が、症状のつらさや周囲への感染リスクを減らせます。原因となる単純ヘルペスウイルスの増殖を抑える治療が中心です。のどの強い痛みや嚥下痛で水分・食事が取りにくくなることがあるため、早めに診断し、適切な薬を使うことで症状を軽くし、治るまでの期間を短くできます。
自然に治る?放置した場合のリスク
ヘルペスの症状は自然に軽快することもあります。軽い経過ならおおむね1〜2週間ほどで落ち着くケースもあります。ただし、飲食困難による脱水や体力低下、二次感染のリスクもあるため、自己判断で放置するのはおすすめできません。症状が出たら早期受診が基本です。
治療の基本は抗ウイルス薬の投与
治療の柱は抗ヘルペスウイルス薬です。ウイルスの増殖を抑え、痛みや発熱の期間を短縮します。嚥下がつらい場合は顆粒剤や医師の判断で注射・点滴が選ばれることもあります。市販薬の多くは口唇ヘルペス向けの外用薬で、のどの粘膜に直接届かないため、咽頭ヘルペスは医療機関で処方薬による治療が必要です。
飲み薬と点滴、塗り薬の違いは?
患部がのどの奥にあるため外用薬の出番は限られ、基本は飲み薬になります。点滴は重症例や高熱・脱水、免疫不全がある場合などに用いられ、体内濃度を素早く確保できるのが利点です。塗り薬は主に唇や皮膚表面の病変に使うもので、咽頭の奥の病変には適しません。外用は補助的と考え、のどの症状には内服(場合により点滴)を中心に組み立てます。
治療にかかる期間の目安
抗ウイルス薬の内服は通常5〜10日間が目安です。適切に治療すれば、強い痛みや発熱は数日で和らぎ、1週間前後で日常生活に戻れることが多くなります。症状の重さや開始時期、体力状態によって前後するため、医師の指示どおりに内服し、必要に応じて再診で調整します。
薬を途中でやめるとどうなる?
症状が軽くなっても独断で中止すると、ぶり返しや再発の誘因になります。処方どおりの回数・日数を守り、再燃や副作用が気になる場合は自己判断せず医師に連絡してください。ヘルペス自体を“完全に体から消す”薬は現時点でなく、上手にコントロールする病気と捉えるのが現実的です。
「もう繰り返したくない!」喉にできるヘルペスの再発予防
再発の主なスイッチは、免疫の一時的な低下です。特別なサプリや極端な健康法より、毎日の生活を整えることが、最も確かな“予防薬”になります。再発を頻繁に繰り返す場合は、医師と相談して抗ウイルス薬の再発抑制療法や、前兆時の早期内服についても検討するとよいでしょう。
適度な運動が大切
からだを動かす習慣は、粘膜のバリア機能や唾液中の免疫物質の働きを後押しし、ウイルスに負けにくい状態づくりに役立ちます。ポイントは“適度”であることです。激しすぎる運動は一時的に免疫が下がる状態を招きやすく、かえって再発の引き金になります。会話ができる程度の有酸素運動を、継続できる強度で取り入れましょう。
休養と睡眠をしっかり取ろう
睡眠不足や精神的ストレスは、再発の強力な引き金です。就寝と起床の時刻をなるべく一定にし、寝る前のスマホやカフェイン、遅い時間の飲酒を控えるだけでも、眠りの質は上がります。忙しい時期ほど“休む技術”をスケジュールに組み込みましょう。
日中は無理のない活動で体温と代謝を高め、夜は照明を落としてゆっくり過ごすという“活動と休養のリズム”を取り戻しましょう。精神的なストレスも再発の誘因になりやすいため、心を緩める時間を毎日に少しずつ組み込んでください
バランスの取れた食事も欠かせない
粘膜や免疫細胞は、材料が不足すると働きが落ちます。主食に加え、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質を毎食しっかり取り入れると、からだの修復力が保たれます。緑黄色野菜や果物に多いビタミンA・C、ナッツや魚介に含まれるビタミンEもおすすめです。粘膜を守り、酸化ストレスから細胞を守る助けになります。
味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品、海藻やきのこ、野菜に多い食物繊維は腸内環境を整え、免疫の司令塔が集まる腸のコンディションを支えます。アルコールや極端な糖質制限などは体温・自律神経を乱しがちで、結果的に免疫を弱めます。規則正しい食事と適度な体温維持も意識してみてください。
喉の痛みが続くときはヘルペスも疑って医療機関を受診しよう
のどの強い痛みが数日たっても引かない、飲み込むたびにしみる、高熱や首の腫れがある…そんなとき、咽頭炎や扁桃炎の他に「咽頭ヘルペス」の可能性も考えてみましょう。自己判断で市販薬に頼るだけでは、症状が悪化したり長引いたりすることもあります。原因が違えば治療も変わるため、早めに医療機関で診断を受けることが大切です。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
仕事や育児で外来の時間が取りづらい場合、オンライン診療を活用すると良いかもしれません。オンライン診療なら自宅にいながら医師の診察が受けられるため、通院にかかる時間や労力を大幅に減らせられます。対面での診察が難しいとき、まずはオンラインで医師の意見を聞けることが大きな安心につながるでしょう。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットにつながるスマートフォンやタブレット、パソコンを使い、自宅などからビデオ通話で医師の診察を受けられる医療サービスです。予約から問診、診断、処方箋の発行、支払いまでをオンラインで完結できます。そのため、移動や待ち時間の負担を抑えられるのがメリットです。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をアプリ上でスムーズに利用できるサービスです。予約から診察、会計、薬の受け取りまでの一連の流れをアプリ内で管理でき、かかりつけのクリニックや薬局をお気に入り登録しておくと次回以降の手続きが簡単になります。専任スタッフのサポートやデジタルお薬手帳の機能が用意されており、全国どこでも当日または翌日にお薬を受け取ることが可能です。
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まとめ
咽頭ヘルペスは、風邪や一般的な咽頭炎と見分けがつきにくいかもしれません。原因はウイルスのため、回復には抗ウイルス薬による治療が大切です。のどの痛みがなかなか引かない、水ぶくれのような所見がある、発熱が続く…こうした症状が気になるときは、医療機関で正確な診断と適切な治療を受けましょう。あわせて、十分な休養とバランスのよい食事を心がけ、免疫状態を保つことが再発予防への第一歩になります。
「喉が痛い=風邪」と思い込んでいませんか?
喉の痛み、実は「咽頭ヘルペス」が原因かもしれません。咽頭ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが喉に感染して起こる病気で、強い喉の痛みや発熱、口内にできる小さな水ぶくれ(水疱)などが特徴です。風邪や一般的な咽頭炎と症状がよく似ているため、自己判断だけでは見分けにくいこともあります。
この記事では、咽頭ヘルペスの原因や症状、感染経路、治療法、さらに再発を防ぐ生活習慣のポイントまでを、医師監修のもと分かりやすく解説します。
喉の痛み、もしかして咽頭ヘルペス?
ここではまず、ウイルスの基礎知識と、咽頭ヘルペスの主な症状、似た病気との違いを見ていきましょう。
ヘルペスウイルスとは
ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス」への感染で起こります。HSV-1(1型)とHSV-2(2型)があり、従来は1型が口周り、2型が性器に多いと説明されてきました。ただし近年は、1型が性器に、2型が口周りに見つかることも増えており、部位だけでは型を断定できません。どちらも一度感染すると体内に潜伏し、免疫が落ちた時期に再活性化する「再発しやすい」特徴があります。
喉に感染する「咽頭ヘルペス」の症状
咽頭ヘルペスは、口や唇ではなく、のどの粘膜にヘルペス性の炎症が起きる状態です。強い咽頭痛や飲み込むときの鋭い痛み(嚥下痛)が代表的で、高熱を伴うこともあります。首のリンパ節や扁桃が腫れ、のどの奥にただれ(びらん)や白い膿が見えることも珍しくありません。
痛みで食事や水分が取りづらくなり、脱水になりかける方もいます。口唇の水ぶくれが同時に出るとは限らず、見た目の手がかりが少ないため「ただののど風邪」と思い込まれやすい点に注意が必要です。症状は治療の有無や重さで差はありますが、適切な対応をすれば通常は1週間前後で落ち着いていきます。
咽頭炎や扁桃炎とどう違うのか?
のどが痛み、熱が出る…この症状は、ウイルス性咽頭炎や溶連菌による扁桃炎でも起こります。咽頭ヘルペスとの違いは、原因が単純ヘルペスウイルスであることと、のどの粘膜にヘルペス特有のびらんや水疱〜潰瘍様の所見が出やすい点です。ただし診察室でも見た目だけで断定できないことが多く、治療はまったく異なります。自己判断で市販薬に頼るより、医師の視診・問診に加えて必要に応じた検査で原因を絞り込むのが安全です。
喉に起こるヘルペスの感染ルートを知ろう
症状が出ているときはもちろん、見た目に変化がないときでも唾液や皮膚表面に存在していることがあり、気づかないうちに広がるのが厄介な点です。
咽頭ヘルペスはどうやってうつるのか?
最も多いのは、口と口・口と性器の接触による感染です。唇や性器にヘルペスがある相手とキスをしたり、オーラルセックスを行ったりすると、ウイルスが唾液や分泌液を介して咽頭の粘膜に届きます。
口唇の水ぶくれがはっきり出ている時期は感染力が高く、のどの痛みや発熱が強く出やすい一方、見た目に症状がない時期でもウイルスが少量放出されていることがあり、思い当たる接触がなくても感染が成立することがあります。
家庭内では、飲み物の回し飲み、箸やストロー、歯ブラシ、タオルの共用が感染のリスクです。ウイルスは湿った環境で残りやすいため、口元やのどに触れた物が媒介になると考えておきましょう。
うつさない・もらわないために日常で気をつけたいこと
症状があるときは、キスやオーラルセックスなどの粘膜接触を控えるのが基本です。コンドームは感染リスクを下げますが、覆えない部位からもうつる可能性があるため「症状がある時期は性行為そのものを休む」が安全策になります。口元に違和感やピリピリ感といった前兆があるときも、同様に接触は避けましょう。
体調管理も予防の一部です。免疫の土台を整えることが、結果的に「うつさない・もらわない」につながります。
家族・パートナーにうつさない工夫
食器・コップ・ストロー・歯ブラシ・タオルは共用しない、浴室でもタオルや洗面具を分ける、といったシンプルな工夫が有効です。食器や衣類は通常の洗剤で洗えば十分で、過度な隔離は必要ありません。口元に触れたごみ(ティッシュなど)は密閉して捨てるとより安心です。
赤ちゃんは免疫が未熟なため、親に口唇や咽頭のヘルペス症状がある間は、キスや頬ずりを控え、抱っこの前に手洗いを徹底してください。パートナーと感染を繰り返す「ピンポン感染」が心配なときは、二人同時に診察を受けて経過を合わせると、再発時期の把握や予防策のすり合わせがしやすくなります。
咽頭ヘルペスかも?病院での診断方法は
細菌性扁桃炎とヘルペスでは治療薬がまったく異なるため、自己判断の市販薬任せは避け、医療機関で原因を特定することが重要です。
まずは医師の視診と問診で症状をチェック
診察では、咽頭の粘膜にヘルペス特有のびらんや水疱・潰瘍がないか、扁桃の腫れや白苔、首のリンパ節の腫れ、脱水のサインを丁寧に確認します。発症のきっかけや経過、発熱の程度、口唇・性器にヘルペス既往があるか、キスやオーラルセックス、飲み物やタオルの共用といった接触歴の有無も重要な手掛かりです。
ウイルスの存在を調べる抗原検査とは
抗原検査は、咽頭のぬぐい液や病変部から採った検体に単純ヘルペスウイルスが存在するかを直接確かめる方法です。発症直後から数日の、病変が新しい時期ほど検出されやすく、院内の迅速キットを用いると短時間で結果が分かることもあります。市販の自己検査キットは精度や対象部位に限界があり、咽頭ヘルペス向けの製品は少ないため、医療機関での実施が安心です。
過去の感染歴もわかる抗体検査
抗体検査は血液を用いHSVに対する抗体の有無を調べて「これまでに感染したことがあるか」を推測します。再発時には抗体価が大きく変動しないことも多く、今回ののどの症状がヘルペス由来かどうかを単独で断定する検査ではありません。また、類似ウイルスとの反応で判定が難しくなる場合もあるため、視診・問診や抗原検査の結果と総合して解釈します。
咽頭ヘルペスの治し方は
「自然に治るのを待つ」より、適切な薬で短期に抑える方が、症状のつらさや周囲への感染リスクを減らせます。原因となる単純ヘルペスウイルスの増殖を抑える治療が中心です。のどの強い痛みや嚥下痛で水分・食事が取りにくくなることがあるため、早めに診断し、適切な薬を使うことで症状を軽くし、治るまでの期間を短くできます。
自然に治る?放置した場合のリスク
ヘルペスの症状は自然に軽快することもあります。軽い経過ならおおむね1〜2週間ほどで落ち着くケースもあります。ただし、飲食困難による脱水や体力低下、二次感染のリスクもあるため、自己判断で放置するのはおすすめできません。症状が出たら早期受診が基本です。
治療の基本は抗ウイルス薬の投与
治療の柱は抗ヘルペスウイルス薬です。ウイルスの増殖を抑え、痛みや発熱の期間を短縮します。嚥下がつらい場合は顆粒剤や医師の判断で注射・点滴が選ばれることもあります。市販薬の多くは口唇ヘルペス向けの外用薬で、のどの粘膜に直接届かないため、咽頭ヘルペスは医療機関で処方薬による治療が必要です。
飲み薬と点滴、塗り薬の違いは?
患部がのどの奥にあるため外用薬の出番は限られ、基本は飲み薬になります。点滴は重症例や高熱・脱水、免疫不全がある場合などに用いられ、体内濃度を素早く確保できるのが利点です。塗り薬は主に唇や皮膚表面の病変に使うもので、咽頭の奥の病変には適しません。外用は補助的と考え、のどの症状には内服(場合により点滴)を中心に組み立てます。
治療にかかる期間の目安
抗ウイルス薬の内服は通常5〜10日間が目安です。適切に治療すれば、強い痛みや発熱は数日で和らぎ、1週間前後で日常生活に戻れることが多くなります。症状の重さや開始時期、体力状態によって前後するため、医師の指示どおりに内服し、必要に応じて再診で調整します。
薬を途中でやめるとどうなる?
症状が軽くなっても独断で中止すると、ぶり返しや再発の誘因になります。処方どおりの回数・日数を守り、再燃や副作用が気になる場合は自己判断せず医師に連絡してください。ヘルペス自体を“完全に体から消す”薬は現時点でなく、上手にコントロールする病気と捉えるのが現実的です。
「もう繰り返したくない!」喉にできるヘルペスの再発予防
再発の主なスイッチは、免疫の一時的な低下です。特別なサプリや極端な健康法より、毎日の生活を整えることが、最も確かな“予防薬”になります。再発を頻繁に繰り返す場合は、医師と相談して抗ウイルス薬の再発抑制療法や、前兆時の早期内服についても検討するとよいでしょう。
適度な運動が大切
からだを動かす習慣は、粘膜のバリア機能や唾液中の免疫物質の働きを後押しし、ウイルスに負けにくい状態づくりに役立ちます。ポイントは“適度”であることです。激しすぎる運動は一時的に免疫が下がる状態を招きやすく、かえって再発の引き金になります。会話ができる程度の有酸素運動を、継続できる強度で取り入れましょう。
休養と睡眠をしっかり取ろう
睡眠不足や精神的ストレスは、再発の強力な引き金です。就寝と起床の時刻をなるべく一定にし、寝る前のスマホやカフェイン、遅い時間の飲酒を控えるだけでも、眠りの質は上がります。忙しい時期ほど“休む技術”をスケジュールに組み込みましょう。
日中は無理のない活動で体温と代謝を高め、夜は照明を落としてゆっくり過ごすという“活動と休養のリズム”を取り戻しましょう。精神的なストレスも再発の誘因になりやすいため、心を緩める時間を毎日に少しずつ組み込んでください
バランスの取れた食事も欠かせない
粘膜や免疫細胞は、材料が不足すると働きが落ちます。主食に加え、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質を毎食しっかり取り入れると、からだの修復力が保たれます。緑黄色野菜や果物に多いビタミンA・C、ナッツや魚介に含まれるビタミンEもおすすめです。粘膜を守り、酸化ストレスから細胞を守る助けになります。
味噌や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品、海藻やきのこ、野菜に多い食物繊維は腸内環境を整え、免疫の司令塔が集まる腸のコンディションを支えます。アルコールや極端な糖質制限などは体温・自律神経を乱しがちで、結果的に免疫を弱めます。規則正しい食事と適度な体温維持も意識してみてください。
喉の痛みが続くときはヘルペスも疑って医療機関を受診しよう
のどの強い痛みが数日たっても引かない、飲み込むたびにしみる、高熱や首の腫れがある…そんなとき、咽頭炎や扁桃炎の他に「咽頭ヘルペス」の可能性も考えてみましょう。自己判断で市販薬に頼るだけでは、症状が悪化したり長引いたりすることもあります。原因が違えば治療も変わるため、早めに医療機関で診断を受けることが大切です。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
仕事や育児で外来の時間が取りづらい場合、オンライン診療を活用すると良いかもしれません。オンライン診療なら自宅にいながら医師の診察が受けられるため、通院にかかる時間や労力を大幅に減らせられます。対面での診察が難しいとき、まずはオンラインで医師の意見を聞けることが大きな安心につながるでしょう。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットにつながるスマートフォンやタブレット、パソコンを使い、自宅などからビデオ通話で医師の診察を受けられる医療サービスです。予約から問診、診断、処方箋の発行、支払いまでをオンラインで完結できます。そのため、移動や待ち時間の負担を抑えられるのがメリットです。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をアプリ上でスムーズに利用できるサービスです。予約から診察、会計、薬の受け取りまでの一連の流れをアプリ内で管理でき、かかりつけのクリニックや薬局をお気に入り登録しておくと次回以降の手続きが簡単になります。専任スタッフのサポートやデジタルお薬手帳の機能が用意されており、全国どこでも当日または翌日にお薬を受け取ることが可能です。
まとめ
咽頭ヘルペスは、風邪や一般的な咽頭炎と見分けがつきにくいかもしれません。原因はウイルスのため、回復には抗ウイルス薬による治療が大切です。のどの痛みがなかなか引かない、水ぶくれのような所見がある、発熱が続く…こうした症状が気になるときは、医療機関で正確な診断と適切な治療を受けましょう。あわせて、十分な休養とバランスのよい食事を心がけ、免疫状態を保つことが再発予防への第一歩になります。
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1.
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皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療
2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業


















































