【皮膚科医師監修】ニキビとヘルペスの違いは?間違いやすい口元のできものを正しく見分けよう
ニキビとヘルペスは見た目が似ていてもまったく別物です
唇まわりに「できもの」が出ると、ニキビか口唇ヘルペスか迷うかもしれません。どちらも小さな隆起や赤みが出ますが、原因も治療も感染性の有無も異なります。
| ニキビ | 口唇ヘルペス | |
| 原因 | 毛穴の詰まりにアクネ菌が増えて炎症 | 単純ヘルペスウイルス(多くはHSV-1)の再活性化・感染 |
| でき方の前兆 | 皮脂詰まりから徐々に盛り上がる | ピリピリ・チクチク・違和感の後に水ぶくれ |
| 見た目の特徴 | 赤み・腫れ、中心に白い“芯”が見えることが多い | 小さな水ぶくれが集まる→破れてかさぶた |
| できる場所 | 毛穴のある皮膚(唇の外側の皮膚・顔・背中など) | 毛穴がない粘膜にも出る(唇の赤い部分、口の中) |
| 感染するか | 人にはうつらない | 接触・唾液などでうつる可能性あり |
| 経過の目安 | 炎症の程度により数日〜数週間 | 多くは1〜2週間でかさぶた→治癒 |
| 治療 | 外用薬(過酸化ベンゾイル、アダパレン等)、必要に応じて抗菌薬 | 抗ヘルペスウイルス薬(外用・内服) |
| 自己ケアの注意点 | 触らない・潰さない、適切な洗顔と保湿 | 絶対に潰さない、触れたら手洗い・共有物の回避 |
ニキビと口唇ヘルペスの原因の違いは?
それぞれの皮膚トラブルには、根本的な発生メカニズムの違いがあります。見た目が似ていることがありますが、原因はまったく異なります。誤った対処を防ぐためにも、それぞれの発症メカニズムを理解しておきましょう。
ニキビは皮脂詰まりとアクネ菌の炎症が原因
ニキビは毛穴の出口が皮脂や角質で詰まり、そこにアクネ菌などが増えて炎症が起こった状態です。思春期やホルモンの影響、乾燥やこすれ、睡眠不足やストレス、食生活の乱れが関わります。適切なスキンケアと生活リズムの見直しで悪化を防ぎやすく、医療用の外用薬で改善が期待できます。
口唇ヘルペスはウイルス感染が原因で起こる病気
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症です。一度感染すると神経節に潜伏し、疲労・発熱・強い紫外線・ストレス・生理前などで免疫が落ちると再活性化して発症します。水ぶくれ内にはウイルスが多く、キス・コップやタオルの共有などで他人にうつることがあります。
症状の違いから見るニキビとヘルペスの見分け方
どちらか迷ったときは「前兆」「見た目」「触ったときの感覚」に注目すると判断の手がかりになります。それぞれの特徴を知ることで、早期の対応が可能になります。
ニキビは赤みや腫れ、白い芯が特徴的
ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌が増えることで炎症を起こします。はじめは小さなポツポツ(白ニキビ・黒ニキビ)として現れ、悪化すると赤みや腫れを伴い、中心には白い芯のような膿が見えることが多いです。進行すると痛みを感じることもあり、炎症が強い場合はニキビ跡として残ってしまう可能性もあります。
口唇ヘルペスはピリピリ感や水ぶくれがサイン
口唇ヘルペスは、できものが現れる前に「ピリピリ」「チクチク」といった違和感やかゆみが前兆として出ます。その後、小さな水ぶくれが集まってできるのが特徴です。水ぶくれは数日でかさぶたとなり、1〜2週間ほどで治まることが多いですが、ウイルスが原因のため再発を繰り返すことがあります。また、症状が出ている間は他人に感染させる可能性がある点が、ニキビとは大きく異なる特徴です。
できものができる場所にも違いがある
ニキビと口唇ヘルペスでは、発症する部位にもはっきりとした違いがあります。場所に注目することで、見分けやすくなります。
ニキビは毛穴があるところにできる
ニキビは毛穴の詰まりによって発生するため、基本的に毛穴がある部位にしかできません。口元では「唇そのもの」にはできず、口の周りやあごなど皮膚に毛穴がある部分に発生します。皮脂の分泌が盛んなTゾーン(額や鼻周り)やフェイスラインなどにもできやすい傾向があります。
口唇ヘルペスは毛穴がない唇や口の中にも現れる
口唇ヘルペスはウイルス感染によるものなので、毛穴の有無に関係なく発症します。そのため、毛穴のない唇そのものや口の中の粘膜にも症状が出るのが特徴です。水ぶくれが唇の縁や粘膜部分にできた場合は、ニキビではなくヘルペスの可能性が高いと考えられます。
ニキビと口唇ヘルペスでは治療薬も全く異なる
原因が異なるため、当然ながら使う薬も違います。間違った薬を使うと、かえって症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
ニキビ治療は外用薬や抗菌薬、場合によっては漢方も
ニキビの治療は、症状の程度によって段階的に行われます。軽度のニキビであれば、毛穴の詰まりを改善する外用薬や角質のターンオーバーを整える薬が用いられます。赤みや膿を伴う炎症が強い場合には、アクネ菌や黄色ブドウ球菌の増殖を抑える抗菌薬(内服や外用)が効果的です。また、体質や症状に合わせて漢方薬が処方されることもあります。
口唇ヘルペスは抗ウイルス薬が基本の治療法
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって起こるため、抗ウイルス薬による治療が基本です。抗ウイルス薬には外用薬(クリームや軟膏)と内服薬があり、症状の重さや再発の頻度に応じて使い分けられます。とくに初期の段階で内服薬を使用すると、ウイルスの増殖を抑えて症状を早く軽快させられます。
市販薬と処方薬の使い分けに注意しよう
口唇ヘルペスには市販薬もありますが、使えるのは「再発の場合」に限られています。初めて症状が出たときは、市販薬ではなく必ず医療機関を受診して診断と処方を受けることが大切です。再発と自己判断して市販薬を使った結果、別の病気だったというケースもあるため注意しましょう。ニキビについても同様に、市販薬で改善しない場合は皮膚科を受診し、適切な治療薬を用いることが推奨されます。
再発しやすい?ニキビとヘルペス、それぞれの予防と注意点
再発を防ぐためには、日常的なケアがとても重要です。どちらも予防の基本は体調管理と肌への配慮です。
ニキビはスキンケアと生活習慣の見直しがカギ
ニキビは皮脂やアクネ菌の影響で繰り返しやすいものの、正しいスキンケアと生活習慣の改善で予防が可能です。洗顔はこすりすぎず優しく行い、乾燥を防ぐために適度な保湿を心がけましょう。また、枕カバーやタオルを清潔に保つなど、肌に触れるものを清潔にすることも大切です。
口唇ヘルペスは免疫力を保つことが最大の予防策
口唇ヘルペスは、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、免疫力が低下したときに再発します。そのため、最大の予防策は免疫力を下げないことです。十分な睡眠や休養、栄養バランスのとれた食事、ストレスをためない生活が重要となります。また、強い紫外線を浴びると再発の引き金になることもあるため、外出時には日焼け対策も役立ちます。
どちらもバランスのよい食事と十分な休養が効果的
ニキビと口唇ヘルペス、どちらの予防にも共通して効果的なのが、規則正しい生活です。ビタミンやミネラルを含んだ食事を心がけ、睡眠不足や過度なストレスを避けることが大切です。体調を整えることは、肌の健康を守るだけでなく、免疫力を維持して感染症の再発を防ぐことにもつながります。
見分けがつかないときはどうする?正しい対応は
見た目が似ているため自己判断が難しい場合も多く、誤った対応をしてしまうと症状が悪化したり、周囲に感染を広げてしまう可能性があります。正しい対応を知っておくことが大切です。
風邪や体調不良後にできたらヘルペスの可能性も
口唇ヘルペスは、免疫力が落ちたタイミングで再発しやすい特徴があります。風邪をひいた後や体調を崩したときに唇やその周りに水ぶくれのようなできものが出た場合は、ヘルペスかもしれません。ニキビは日常的な生活習慣や皮脂の影響で出やすいため、発症のタイミングを振り返ることも見分けのヒントになります。
どちらも触らない・潰さないが基本
共通して「触らない・潰さない」ことが大原則です。ニキビを無理につぶすと炎症が広がって跡が残る原因になりますし、口唇ヘルペスの水ぶくれを破るとウイルスが飛び散り、他人や自分の体の他の部位に感染を広げてしまう危険があります。見分けがつかないときは、むやみに刺激せず、早めに皮膚科や内科を受診するのが安心です。
ニキビやヘルペスだけじゃない!口元にできる他の皮膚トラブルとは?
唇やその周辺に現れるできものは、ニキビやヘルペスだけとは限りません。他にもさまざまな原因が考えられます。
かゆみや赤みをともなう「湿疹」も口元に出ることがある
湿疹とは皮膚の表面に炎症が起きた状態を指します。赤みやブツブツ、水ぶくれなどが出て、強いかゆみをともなうのが特徴です。口元にできることもあり、ニキビやヘルペスと間違われやすい皮膚トラブルのひとつです。マスクや化粧品、金属などの刺激が原因になることもあれば、体質や乾燥など内側の要因で起こることもあります。
突然あらわれる赤いふくらみは「蕁麻疹」の可能性も
蕁麻疹は、突然かゆみを伴う赤い盛り上がり(膨疹)が現れる皮膚トラブルです。虫刺されに似ていますが、多くは数時間〜1日以内に跡を残さず消えるのが特徴です。基本的には自然に治まります。原因は食べ物や薬、ストレス、感染症、温度差などさまざまですが、はっきり特定できないことも多いです。
ウイルス感染が原因の「イボ」は自然治癒に時間がかかる
いぼは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によってできる小さな皮膚の盛り上がりです。手足や顔に多く見られ、口元にできることもあります。自覚症状はほとんどありませんが、放置すると増えたり広がったりすることがあります。
その中でも最も一般的なのが「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」です。主に手の甲や指、足の裏などに現れ、表面がザラザラした硬い小さな隆起としてみられます。大きさは数ミリ程度から1センチ前後までさまざまで、時に集まってかたまりのようになることもあります。痛みはあまりありませんが、足の裏にできると歩行時に体重がかかり、痛みを伴う場合があります。
尋常性疣贅は自然に治ることもありますが、数か月から数年かかることが多く、特に小児や免疫力が弱っている方では治りにくい傾向があります。
口の端が切れて痛むときは「口角炎」を疑ってみよう
口角炎は口の端に亀裂やただれが起きる病気、口唇炎は唇全体に炎症や乾燥、ひび割れが起きる病気です。乾燥や唇をなめる癖、化粧品の刺激、ビタミン不足などが原因となります。
症状が軽い場合は市販の抗炎症薬やビタミン剤、保湿ケアで改善が期待できます。1週間以上続く、痛みが強い、繰り返すといった場合は皮膚科での治療が必要です。
しこりやただれが長引く場合は「梅毒」の初期症状のことも
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌による感染症で、性行為や粘膜の接触を通じてうつります。感染初期には口唇や口の中にしこりや潰瘍(ただれ)ができることがあり、口元の症状だけを見ると口内炎やヘルペスと間違えやすいのが特徴です。
進行すると全身に発疹が出たり、放置すると心臓や脳に障害を起こすこともあります。早期にペニシリンなどで治療すれば完治可能ですが、治療を受けないと症状が一時的に消えても体内に菌が残り、数年後に重症化するリスクがあります。心当たりがあるときは早めに検査を受けましょう。
ニキビと口唇ヘルペスの違いに迷ったら皮膚科を受診しよう
見た目が似ていても、ニキビは毛穴のトラブル、ヘルペスはウイルス感染と、原因は全く違います。ヘルペスは再発を繰り返す特徴があり、ニキビは生活習慣やホルモンバランスとも関係が深いので、自己判断で市販薬を使うと治療が遠回りになるかもしれません。そんなときは、皮膚科で適切な診断を受けるのが一番の近道です。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「皮膚科に行きたいけれど、平日は時間が取れない…」という方には、オンライン診療という選択肢があります。スマホやパソコンから医師の診察を受けられるので、移動や待ち時間も不要です。通院のハードルがグッと下がります。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットを通じて自宅や職場から医師の診察を受けられる医療サービスのことです。スマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話で診察を受けられるため、来院の手間を省けます。予約から問診、診断、処方箋の発行や支払いまでオンライン上で完結できるのが特徴です。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKUは、オンライン診療から薬の受け取りまでを一括でサポートしてくれるサービスです。予約や診察はもちろん、処方薬の配送手配までアプリでスムーズに進められます。
スタッフによるサポート体制も整っており、かかりつけのクリニックや薬局を登録したり、お薬手帳をデジタルで管理したりできます。全国どこでも、当日または翌日に薬を受け取れるスピード感も魅力です。
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まとめ
ニキビと口唇ヘルペスは見た目が似ていても、成り立ちも治療もまったくの別物です。ニキビは毛穴の詰まりと細菌増殖による炎症、口唇ヘルペスはウイルス感染が原因のため、自己判断で薬を使うと適切でなく、かえって悪化させることがあります。
口元の“できもの”がどちらか迷うときは、触らない・つぶさないを徹底し、早めに皮膚科で診断を受けましょう。正確な診断と適切な治療こそが、症状の早期改善と再発予防への近道です。
口元に赤いできものが現れたとき、「ニキビなのか、ヘルペスなのか」と迷う方は少なくありません。両者は見た目が似ているため自己判断が難しく、誤ったケアは症状の悪化を招くことがあります。
この記事では、ニキビと口唇ヘルペスの違いと見分け方、治療・予防のポイントを解説します。正確な知識を身につけ、適切なタイミングで正しい対処ができるように備えましょう。
ニキビとヘルペスは見た目が似ていてもまったく別物です
唇まわりに「できもの」が出ると、ニキビか口唇ヘルペスか迷うかもしれません。どちらも小さな隆起や赤みが出ますが、原因も治療も感染性の有無も異なります。
| ニキビ | 口唇ヘルペス | |
| 原因 | 毛穴の詰まりにアクネ菌が増えて炎症 | 単純ヘルペスウイルス(多くはHSV-1)の再活性化・感染 |
| でき方の前兆 | 皮脂詰まりから徐々に盛り上がる | ピリピリ・チクチク・違和感の後に水ぶくれ |
| 見た目の特徴 | 赤み・腫れ、中心に白い“芯”が見えることが多い | 小さな水ぶくれが集まる→破れてかさぶた |
| できる場所 | 毛穴のある皮膚(唇の外側の皮膚・顔・背中など) | 毛穴がない粘膜にも出る(唇の赤い部分、口の中) |
| 感染するか | 人にはうつらない | 接触・唾液などでうつる可能性あり |
| 経過の目安 | 炎症の程度により数日〜数週間 | 多くは1〜2週間でかさぶた→治癒 |
| 治療 | 外用薬(過酸化ベンゾイル、アダパレン等)、必要に応じて抗菌薬 | 抗ヘルペスウイルス薬(外用・内服) |
| 自己ケアの注意点 | 触らない・潰さない、適切な洗顔と保湿 | 絶対に潰さない、触れたら手洗い・共有物の回避 |
ニキビと口唇ヘルペスの原因の違いは?
それぞれの皮膚トラブルには、根本的な発生メカニズムの違いがあります。見た目が似ていることがありますが、原因はまったく異なります。誤った対処を防ぐためにも、それぞれの発症メカニズムを理解しておきましょう。
ニキビは皮脂詰まりとアクネ菌の炎症が原因
ニキビは毛穴の出口が皮脂や角質で詰まり、そこにアクネ菌などが増えて炎症が起こった状態です。思春期やホルモンの影響、乾燥やこすれ、睡眠不足やストレス、食生活の乱れが関わります。適切なスキンケアと生活リズムの見直しで悪化を防ぎやすく、医療用の外用薬で改善が期待できます。
口唇ヘルペスはウイルス感染が原因で起こる病気
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症です。一度感染すると神経節に潜伏し、疲労・発熱・強い紫外線・ストレス・生理前などで免疫が落ちると再活性化して発症します。水ぶくれ内にはウイルスが多く、キス・コップやタオルの共有などで他人にうつることがあります。
症状の違いから見るニキビとヘルペスの見分け方
どちらか迷ったときは「前兆」「見た目」「触ったときの感覚」に注目すると判断の手がかりになります。それぞれの特徴を知ることで、早期の対応が可能になります。
ニキビは赤みや腫れ、白い芯が特徴的
ニキビは毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌が増えることで炎症を起こします。はじめは小さなポツポツ(白ニキビ・黒ニキビ)として現れ、悪化すると赤みや腫れを伴い、中心には白い芯のような膿が見えることが多いです。進行すると痛みを感じることもあり、炎症が強い場合はニキビ跡として残ってしまう可能性もあります。
口唇ヘルペスはピリピリ感や水ぶくれがサイン
口唇ヘルペスは、できものが現れる前に「ピリピリ」「チクチク」といった違和感やかゆみが前兆として出ます。その後、小さな水ぶくれが集まってできるのが特徴です。水ぶくれは数日でかさぶたとなり、1〜2週間ほどで治まることが多いですが、ウイルスが原因のため再発を繰り返すことがあります。また、症状が出ている間は他人に感染させる可能性がある点が、ニキビとは大きく異なる特徴です。
できものができる場所にも違いがある
ニキビと口唇ヘルペスでは、発症する部位にもはっきりとした違いがあります。場所に注目することで、見分けやすくなります。
ニキビは毛穴があるところにできる
ニキビは毛穴の詰まりによって発生するため、基本的に毛穴がある部位にしかできません。口元では「唇そのもの」にはできず、口の周りやあごなど皮膚に毛穴がある部分に発生します。皮脂の分泌が盛んなTゾーン(額や鼻周り)やフェイスラインなどにもできやすい傾向があります。
口唇ヘルペスは毛穴がない唇や口の中にも現れる
口唇ヘルペスはウイルス感染によるものなので、毛穴の有無に関係なく発症します。そのため、毛穴のない唇そのものや口の中の粘膜にも症状が出るのが特徴です。水ぶくれが唇の縁や粘膜部分にできた場合は、ニキビではなくヘルペスの可能性が高いと考えられます。
ニキビと口唇ヘルペスでは治療薬も全く異なる
ニキビ治療は外用薬や抗菌薬、場合によっては漢方も
ニキビの治療は、症状の程度によって段階的に行われます。軽度のニキビであれば、毛穴の詰まりを改善する外用薬や角質のターンオーバーを整える薬が用いられます。赤みや膿を伴う炎症が強い場合には、アクネ菌や黄色ブドウ球菌の増殖を抑える抗菌薬(内服や外用)が効果的です。また、体質や症状に合わせて漢方薬が処方されることもあります。
口唇ヘルペスは抗ウイルス薬が基本の治療法
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって起こるため、抗ウイルス薬による治療が基本です。抗ウイルス薬には外用薬(クリームや軟膏)と内服薬があり、症状の重さや再発の頻度に応じて使い分けられます。とくに初期の段階で内服薬を使用すると、ウイルスの増殖を抑えて症状を早く軽快させられます。
市販薬と処方薬の使い分けに注意しよう
口唇ヘルペスには市販薬もありますが、使えるのは「再発の場合」に限られています。初めて症状が出たときは、市販薬ではなく必ず医療機関を受診して診断と処方を受けることが大切です。再発と自己判断して市販薬を使った結果、別の病気だったというケースもあるため注意しましょう。ニキビについても同様に、市販薬で改善しない場合は皮膚科を受診し、適切な治療薬を用いることが推奨されます。
再発しやすい?ニキビとヘルペス、それぞれの予防と注意点
ニキビはスキンケアと生活習慣の見直しがカギ
ニキビは皮脂やアクネ菌の影響で繰り返しやすいものの、正しいスキンケアと生活習慣の改善で予防が可能です。洗顔はこすりすぎず優しく行い、乾燥を防ぐために適度な保湿を心がけましょう。また、枕カバーやタオルを清潔に保つなど、肌に触れるものを清潔にすることも大切です。
口唇ヘルペスは免疫力を保つことが最大の予防策
口唇ヘルペスは、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、免疫力が低下したときに再発します。そのため、最大の予防策は免疫力を下げないことです。十分な睡眠や休養、栄養バランスのとれた食事、ストレスをためない生活が重要となります。また、強い紫外線を浴びると再発の引き金になることもあるため、外出時には日焼け対策も役立ちます。
どちらもバランスのよい食事と十分な休養が効果的
ニキビと口唇ヘルペス、どちらの予防にも共通して効果的なのが、規則正しい生活です。ビタミンやミネラルを含んだ食事を心がけ、睡眠不足や過度なストレスを避けることが大切です。体調を整えることは、肌の健康を守るだけでなく、免疫力を維持して感染症の再発を防ぐことにもつながります。
見分けがつかないときはどうする?正しい対応は
見た目が似ているため自己判断が難しい場合も多く、誤った対応をしてしまうと症状が悪化したり、周囲に感染を広げてしまう可能性があります。正しい対応を知っておくことが大切です。
風邪や体調不良後にできたらヘルペスの可能性も
口唇ヘルペスは、免疫力が落ちたタイミングで再発しやすい特徴があります。風邪をひいた後や体調を崩したときに唇やその周りに水ぶくれのようなできものが出た場合は、ヘルペスかもしれません。ニキビは日常的な生活習慣や皮脂の影響で出やすいため、発症のタイミングを振り返ることも見分けのヒントになります。
どちらも触らない・潰さないが基本
共通して「触らない・潰さない」ことが大原則です。ニキビを無理につぶすと炎症が広がって跡が残る原因になりますし、口唇ヘルペスの水ぶくれを破るとウイルスが飛び散り、他人や自分の体の他の部位に感染を広げてしまう危険があります。見分けがつかないときは、むやみに刺激せず、早めに皮膚科や内科を受診するのが安心です。
ニキビやヘルペスだけじゃない!口元にできる他の皮膚トラブルとは?
唇やその周辺に現れるできものは、ニキビやヘルペスだけとは限りません。他にもさまざまな原因が考えられます。
かゆみや赤みをともなう「湿疹」も口元に出ることがある
湿疹とは皮膚の表面に炎症が起きた状態を指します。赤みやブツブツ、水ぶくれなどが出て、強いかゆみをともなうのが特徴です。口元にできることもあり、ニキビやヘルペスと間違われやすい皮膚トラブルのひとつです。マスクや化粧品、金属などの刺激が原因になることもあれば、体質や乾燥など内側の要因で起こることもあります。
突然あらわれる赤いふくらみは「蕁麻疹」の可能性も
蕁麻疹は、突然かゆみを伴う赤い盛り上がり(膨疹)が現れる皮膚トラブルです。虫刺されに似ていますが、多くは数時間〜1日以内に跡を残さず消えるのが特徴です。基本的には自然に治まります。原因は食べ物や薬、ストレス、感染症、温度差などさまざまですが、はっきり特定できないことも多いです。
ウイルス感染が原因の「イボ」は自然治癒に時間がかかる
いぼは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によってできる小さな皮膚の盛り上がりです。手足や顔に多く見られ、口元にできることもあります。自覚症状はほとんどありませんが、放置すると増えたり広がったりすることがあります。
その中でも最も一般的なのが「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」です。主に手の甲や指、足の裏などに現れ、表面がザラザラした硬い小さな隆起としてみられます。大きさは数ミリ程度から1センチ前後までさまざまで、時に集まってかたまりのようになることもあります。痛みはあまりありませんが、足の裏にできると歩行時に体重がかかり、痛みを伴う場合があります。
尋常性疣贅は自然に治ることもありますが、数か月から数年かかることが多く、特に小児や免疫力が弱っている方では治りにくい傾向があります。
口の端が切れて痛むときは「口角炎」を疑ってみよう
口角炎は口の端に亀裂やただれが起きる病気、口唇炎は唇全体に炎症や乾燥、ひび割れが起きる病気です。乾燥や唇をなめる癖、化粧品の刺激、ビタミン不足などが原因となります。
症状が軽い場合は市販の抗炎症薬やビタミン剤、保湿ケアで改善が期待できます。1週間以上続く、痛みが強い、繰り返すといった場合は皮膚科での治療が必要です。
しこりやただれが長引く場合は「梅毒」の初期症状のことも
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌による感染症で、性行為や粘膜の接触を通じてうつります。感染初期には口唇や口の中にしこりや潰瘍(ただれ)ができることがあり、口元の症状だけを見ると口内炎やヘルペスと間違えやすいのが特徴です。
進行すると全身に発疹が出たり、放置すると心臓や脳に障害を起こすこともあります。早期にペニシリンなどで治療すれば完治可能ですが、治療を受けないと症状が一時的に消えても体内に菌が残り、数年後に重症化するリスクがあります。心当たりがあるときは早めに検査を受けましょう。
ニキビと口唇ヘルペスの違いに迷ったら皮膚科を受診しよう
見た目が似ていても、ニキビは毛穴のトラブル、ヘルペスはウイルス感染と、原因は全く違います。ヘルペスは再発を繰り返す特徴があり、ニキビは生活習慣やホルモンバランスとも関係が深いので、自己判断で市販薬を使うと治療が遠回りになるかもしれません。そんなときは、皮膚科で適切な診断を受けるのが一番の近道です。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「皮膚科に行きたいけれど、平日は時間が取れない…」という方には、オンライン診療という選択肢があります。スマホやパソコンから医師の診察を受けられるので、移動や待ち時間も不要です。通院のハードルがグッと下がります。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットを通じて自宅や職場から医師の診察を受けられる医療サービスのことです。スマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話で診察を受けられるため、来院の手間を省けます。予約から問診、診断、処方箋の発行や支払いまでオンライン上で完結できるのが特徴です。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKUは、オンライン診療から薬の受け取りまでを一括でサポートしてくれるサービスです。予約や診察はもちろん、処方薬の配送手配までアプリでスムーズに進められます。
スタッフによるサポート体制も整っており、かかりつけのクリニックや薬局を登録したり、お薬手帳をデジタルで管理したりできます。全国どこでも、当日または翌日に薬を受け取れるスピード感も魅力です。
まとめ
ニキビと口唇ヘルペスは見た目が似ていても、成り立ちも治療もまったくの別物です。ニキビは毛穴の詰まりと細菌増殖による炎症、口唇ヘルペスはウイルス感染が原因のため、自己判断で薬を使うと適切でなく、かえって悪化させることがあります。
口元の“できもの”がどちらか迷うときは、触らない・つぶさないを徹底し、早めに皮膚科で診断を受けましょう。正確な診断と適切な治療こそが、症状の早期改善と再発予防への近道です。
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1.
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