インフルエンザで病院に行かないとどうなる?自然治癒の可能性と受診すべきケース【医師監修】
インフルエンザは自然治癒するのか
若く健康であれば治癒するケースが多い
若くて健康な方であれば、インフルエンザにかかっても絶対ではありませんが治療薬を使わず自然治癒する場合も多いです。
私たちの体に備わっている免疫の力で、ウイルスを退治できます。
ただし、インフルエンザは普通の風邪と違い、急激な高熱や強い全身症状が特徴なうえ、通常の風邪よりも重症化リスクも高いとされます。政府広報などでも「具合が悪ければ、早めに医療機関を受診しましょう」と呼びかけています。
また、インフルエンザは症状が出てから12〜48時間ほど経たないと、検査で正しく「インフルエンザである」という結果が出ないことがあります。
(※PCR検査であればもっと速い段階で検出することも可能です。)
しかし、後で説明するように、中には重症化しやすい方もいるため、自己判断で「ただの風邪」と決めつけず、症状の経過を注意深く見守ることが大切です。
参考元
『政府広報:https://www.gov-online.go.jp/article/200909/entry-8422.html#fourthSection』
インフルエンザは自然治癒が見込めますが、発症後48時間以内にタミフルなどの抗インフルエンザ薬を飲み始めることで期間の短縮が見込めます。
つらくて病院に行けない場合には、コチラの記事で市販検査キットとオンライン診療を併用して処方薬を自宅で受け取る手順を紹介しています。
インフルエンザにもオンライン診療
自然治癒には何日の療養期間が必要か
インフルエンザの可能性がある際に市販薬を使用してよいか
高熱でつらい時、市販の解熱剤に頼りたくなるかもしれません。しかし、インフルエンザの疑いがある場合、薬の成分には細心の注意が必要です。
市販薬でインフルエンザは治らない?
インフルエンザもスマホでオンライン診療⇒
安全性が高い市販の解熱剤(アセトアミノフェン)
避けるべき解熱剤(特に子供)
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これらの成分は、かつて一般的に使用されていた解熱鎮痛薬に含まれていましたが、インフルエンザとの関連で重篤な副作用が疑われ、特に15歳未満では使用禁止または極めて慎重な使用が推奨されています。
成人であっても、脱水や高熱時には胃腸障害や腎機能への影響を引き起こす可能性があるため、使用は控えることが賢明です。
参考元
『インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究(総括研究報告書)』
もし避けるべき解熱剤を服用してしまった場合
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咳止めや総合感冒薬はどう使う?
感染の可能性があれば、すぐに病院に行く必要のある方
インフルエンザの症状が出たとき、「すぐに医療機関を受診すべきか」「自宅で様子を見るか」の判断は、個人の体質や背景によって変わります。
重症化リスクの高い方では、早めの受診が回復への近道になるだけでなく、命にかかわる合併症を防ぐ意味でも非常に重要です。ここでは、注意が必要な方の具体的なケースを紹介します。
重症化リスクのある方などの注意が必要な方
重症化しやすい人たちには共通して、免疫の働きが弱かったり、肺や心臓などの臓器に持病を抱えていたりするという背景があります。
インフルエンザは、通常の風邪とは違って全身症状が強く、ウイルスによる肺炎や二次感染を引き起こすリスクが高いため、これらの方々は「様子を見る」のではなく、「早めに受診」することが強く推奨されます。
65歳以上の高齢者
子供、とくに乳幼児
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インフルエンザは先述した服用を避ける薬を飲まなかったとしても稀にインフルエンザ脳症を引き起こすことがあり、異常行動やけいれんが見られた場合は救急対応を検討しましょう。
妊婦
免疫不全疾患のある方
その他にも持病・基礎疾患がある方
処方薬を最短当日配送できるオンライン診療⇒
インフルエンザで病院に行かない場合に知っておくべき重症化サイン
自宅で療養している場合でも、以下のような「重症化のサイン」が見られたら、自然治癒を待たずに、直ちに医療機関を受診してください。夜間や休日であっても救急外来の受診を検討しましょう。
意識状態の悪化
意識の変化は体からの強いSOSサインです。
普段と様子が違うと感じた場合、本人の自覚がある場合でも、周囲が気づいた場合でも、ただの疲れや熱のせいと放置せず、速やかに受診を検討してください。
意識が朦朧(もうろう)とする
異常行動・錯乱
併発しやすい疾患
インフルエンザは、ウイルス感染だけでなく、さまざまな合併症を引き起こすことがある疾患です。
高齢者、子ども、持病がある方に限らず、健康な成人でも油断は禁物です。以下に主な合併症の部位ごとの例を紹介します。
呼吸器系
耳鼻咽喉科系
脳に関する重篤な病態
その他
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自宅療養中でも、これらのサインを感じたら「様子見」ではなく、すぐに医師の判断を仰ぐことが大切です。
まとめとして【すぐに病院へ行くべきサイン】は以下になります。
– 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
– 異常な言動や行動(急に走り出す、意味不明なことを言うなど)
– 呼吸が苦しい、息が荒い
– 水分が取れず、尿が出ない
– けいれんが起きた
– 5日以上高熱が続く
病院に行くメリット
「病院に行くかどうか迷っているうちに治るかも…」と思う方も少なくありませんが、インフルエンザでは早期受診によって得られる医学的メリットがあります。正しい診断と早期治療介入により、症状の期間を短縮し、重症化を防ぐことが期待できます。
時間がないときの味方『オンライン診療』
より早く治ることが見込める
さきほども記載しましたとおり、インフルエンザは発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬を使うことで、発熱期間が約1〜2日程度短縮されることがあるという報告があります。
薬には複数の種類(オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルなど)があり、患者の年齢や症状、妊娠の有無、持病などに応じて適切なものを選択します。
また、抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑え、周囲への感染リスクを下げる効果も期待ができ、家族や職場・学校などでの感染拡大を防ぐ意味でも、受診による早期治療は有効です。
まとめ|インフルエンザで病院に行かないとどうなるのか
インフルエンザにかかったとき、「自然に治るのか」「病院に行くべきか」の判断は、症状の重さと本人の背景リスクによって変わります。
原則は症状が軽微な場合は自然治癒が見込める
若くて健康な人であれば、インフルエンザは薬を使わずとも、数日で回復することも少なくありません。
ただし、発熱が収まったあともウイルスを排出し続ける期間があるため、周囲への感染リスクには十分に注意が必要です。学校や職場には、「発症から5日経過」かつ「解熱後2日以上(幼児は3日としている園も)」を目安に復帰しましょう。
症状が重い・重症化リスクのある方はすぐに医療機関へ
65歳以上の高齢者、乳幼児、妊婦、免疫が低下している方、基礎疾患がある方などは、自然治癒に頼るのではなく、早期の受診が推奨されます。
抗インフルエンザ薬の効果を最大限得るためにも、発症から48時間以内に医療機関で診断を受けることが大切です。
症状緩和のための市販薬服用には注意が必要
インフルエンザ時に使える市販薬の解熱剤としては、アセトアミノフェン(カロナールと同成分)が推奨されます。
一方で、ジクロフェナクナトリウム・メフェナム酸・アスピリンなどの成分は、インフルエンザ罹患時には注意が必要とされています。特に小児では原則使用を避けるべきとされており、成人でも医師・薬剤師への相談が推奨されます。
病院に行けないときにはオンライン診療の活用も
高熱で移動が難しい、子どもから目が離せない、一人暮らしで不安…といったときは、オンライン診療を活用しましょう。
たとえば「SOKUYAKU(ソクヤク)」のようなオンライン医療サービスでは、市販検査キットとオンライン診療で抗インフルエンザ薬の処方を受けられるケースがあります。また、SOKUYAKUでは検査キットの自宅配送も可能であり、処方薬も最短で当日配送が可能です。
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※当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
※参考情報
https://www.kenei-pharm.com/tepika/column/disinfection/column48/
https://uchikara-clinic.com/media/over-the-counterflumedicine/#i
https://www.mhlw.go.jp/stf/index2024.html
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/influenza/010/index.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
急な高熱、関節の痛み、全身のだるさ。「インフルエンザかも?」と思っても、病院に行くか迷うことがあります。
症状がすぐに治った場合や、忙しくて時間がない場合、「家で寝ていれば治るのでは」と考えてしまいますよね。
この記事では、インフルエンザにかかったかもしれない時、病院に行かないとどうなるのか、自然治癒が可能なのか、そして安全な市販薬の選び方や病院へ行くべき方や症状について、わかりやすく解説します。
インフルエンザは自然治癒するのか
若く健康であれば治癒するケースが多い
若くて健康な方であれば、インフルエンザにかかっても絶対ではありませんが治療薬を使わず自然治癒する場合も多いです。
私たちの体に備わっている免疫の力で、ウイルスを退治できます。
ただし、インフルエンザは普通の風邪と違い、急激な高熱や強い全身症状が特徴なうえ、通常の風邪よりも重症化リスクも高いとされます。政府広報などでも「具合が悪ければ、早めに医療機関を受診しましょう」と呼びかけています。
また、インフルエンザは症状が出てから12〜48時間ほど経たないと、検査で正しく「インフルエンザである」という結果が出ないことがあります。
(※PCR検査であればもっと速い段階で検出することも可能です。)
しかし、後で説明するように、中には重症化しやすい方もいるため、自己判断で「ただの風邪」と決めつけず、症状の経過を注意深く見守ることが大切です。
参考元
『政府広報:https://www.gov-online.go.jp/article/200909/entry-8422.html#fourthSection』
インフルエンザは自然治癒が見込めますが、発症後48時間以内にタミフルなどの抗インフルエンザ薬を飲み始めることで期間の短縮が見込めます。
つらくて病院に行けない場合には、コチラの記事で市販検査キットとオンライン診療を併用して処方薬を自宅で受け取る手順を紹介しています。
自然治癒には何日の療養期間が必要か
インフルエンザ治療薬(抗ウイルス薬)を使用しない場合、典型的な経過としては、まず急な高熱が3〜4日ほど続きます。
その後、徐々に熱が下がり、咳やだるさなどの症状が回復するまでには、全体で1週間ほどかかるとされています。
ただし、熱が下がった後も、ウイルスは体から排出され続けています。他人に移してしまう可能性があるため、学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児では3日とする園も)を経過するまで」は出席停止と定められています。社会人の方も、これに準じた期間、自宅療養するのが一般的です。
インフルエンザの可能性がある際に市販薬を使用してよいか
高熱でつらい時、市販の解熱剤に頼りたくなるかもしれません。しかし、インフルエンザの疑いがある場合、薬の成分には細心の注意が必要です。
市販薬でインフルエンザは治らない?
知っておくべき最も重要なことは、市販薬ではインフルエンザウイルスそのものを退治できないという点です。
インフルエンザウイルスが増えるのを直接抑える「抗インフルエンザウイルス薬」は、医師の処方が必要な医療用医薬品であり、市販はされていません。
市販薬の役割は、あくまで発熱、痛み、咳、鼻水などのつらい症状を一時的に和らげる「対症療法」です。根本的な治療ではないことを理解しておきましょう。
抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に服用することが最も重要です。外来で待つことがつらい・通院する体力もない場合、オンライン診療も検討してみるとよいでしょう。
安全性が高い市販の解熱剤(アセトアミノフェン)
病院に行っていないなか高熱や関節痛でつらい場合、市販薬の解熱鎮痛剤の使用は可能です。
市販薬の成分で安全性が高いとされる成分は「アセトアミノフェン」です。
アセトアミノフェン(市販薬の例:タイレノールA、カロナールAなど)は、インフルエンザの際に使用しても重篤な副作用のリスクが低いとされ、日本小児科学会も子供にも使用できる成分として位置づけられています。
ただし、アセトアミノフェンであっても、過剰摂取は肝障害を引き起こす可能性があるため、用法・用量は必ず守ってください。
避けるべき解熱剤(特に子供)
過去の研究で、インフルエンザ脳炎・脳症(インフルエンザによって引き起こされる重篤な脳の病気)を発症した方が特定の解熱剤を使用していた場合、死亡率が高かったことを示唆する報告もあり、念のため、インフルエンザ罹患中の子供には以下の成分を含む解熱鎮痛薬の使用は避けたほうがよいとされています。
アスピリン(アセチルサリチル酸)
ジクロフェナクナトリウム
メフェナム酸
これらの成分は、かつて一般的に使用されていた解熱鎮痛薬に含まれていましたが、インフルエンザとの関連で重篤な副作用が疑われ、特に15歳未満では使用禁止または極めて慎重な使用が推奨されています。
成人であっても、脱水や高熱時には胃腸障害や腎機能への影響を引き起こす可能性があるため、使用は控えることが賢明です。
もし避けるべき解熱剤を服用してしまった場合
大人で一度飲んでしまっただけなら慌てず追加内服をやめ、以後はアセトアミノフェンに切り替えて経過を見てください。
子どもが上記のような成分を含む市販薬を服用したあとで、以下のような症状が現れた場合、ただちに医療機関へ相談、もしくは救急車を呼んでください。
強い眠気や意識の混濁
けいれんや異常行動
嘔吐の持続
激しい頭痛
呼びかけに応じない
咳止めや総合感冒薬はどう使う?
咳や鼻水の症状がつらい場合、市販の総合感冒薬(風邪薬)や咳止め薬を使うことはできますが、注意点が2つあります。
総合感冒薬の多くには解熱鎮痛成分が含まれています。
1.アセトアミノフェン単体の薬と、アセトアミノフェン入りの総合感冒薬を一緒に飲むと、成分が重複して過剰摂取になる危険があります。必ず成分表示を確認してください。
2.子供に総合感冒薬を使う場合も、含まれている解熱鎮痛成分がアセトアミノフェンであることを確認しましょう。
感染の可能性があれば、すぐに病院に行く必要のある方
インフルエンザの症状が出たとき、「すぐに医療機関を受診すべきか」「自宅で様子を見るか」の判断は、個人の体質や背景によって変わります。
重症化リスクの高い方では、早めの受診が回復への近道になるだけでなく、命にかかわる合併症を防ぐ意味でも非常に重要です。ここでは、注意が必要な方の具体的なケースを紹介します。
重症化リスクのある方などの注意が必要な方
重症化しやすい人たちには共通して、免疫の働きが弱かったり、肺や心臓などの臓器に持病を抱えていたりするという背景があります。
インフルエンザは、通常の風邪とは違って全身症状が強く、ウイルスによる肺炎や二次感染を引き起こすリスクが高いため、これらの方々は「様子を見る」のではなく、「早めに受診」することが強く推奨されます。
65歳以上の高齢者
高齢者は、加齢によって免疫機能が低下していることに加え、呼吸器や循環器系の疾患を抱えていることが多く、インフルエンザによって肺炎や心不全などの合併症を引き起こすリスクが高いです。
症状が典型的に出ないケースもあり、「熱がないのにぐったりしている」「食事や水分が摂れない」といった場合には早めの受診が重要になります。
子供、とくに乳幼児
乳幼児は体温調節機能や免疫機能が未熟であり、わずかな感染でも全身状態が急速に悪化することがあります。
以下のケースには充分注意してください。
高熱と同時にぐったりしている
ミルクや水分を飲めない
泣き声が弱い
反応が鈍い
インフルエンザは先述した服用を避ける薬を飲まなかったとしても稀にインフルエンザ脳症を引き起こすことがあり、異常行動やけいれんが見られた場合は救急対応を検討しましょう。
妊婦
妊娠中は体の免疫機能が一時的に低下しており、呼吸器系にも負担がかかりやすくなっています。
そのため、インフルエンザにかかると肺炎や呼吸困難などの重症化リスクが高くなり、胎児にも影響を及ぼす可能性があります。
免疫不全疾患のある方
がん治療中、臓器移植後、HIV感染症、免疫抑制剤やステロイドを長期間使用している方はウイルスと戦う力が弱く、症状が急速に進行したり重症化しやすい傾向があります。
通常のインフルエンザであれば軽く済むはずの経過でも、肺炎や敗血症など命に関わる状態に至ることがあるため、感染が疑われたら即受診が基本です。
その他にも持病・基礎疾患がある方
〇慢性呼吸器疾患(喘息・COPDなど)
気道の炎症が悪化し、呼吸困難を引き起こす恐れがあります。
〇心疾患(心不全・不整脈など)
ウイルス性炎症や発熱によって心臓への負担が増します。
〇糖尿病
免疫機能が低下しており、細菌の二次感染が起こりやすくなります。
〇腎疾患・肝疾患
代謝能力や解毒作用が弱まっており、薬の影響を受けやすいです。
〇重度の肥満
呼吸機能や免疫反応に影響しやすく、合併症のリスクが上がります。
〇神経筋疾患(てんかん・脳性麻痺など)
呼吸機能が低下しやすく、呼吸器感染への対応が遅れる恐れがあります。
こうした方は「発熱が出た段階」で受診を検討し、抗ウイルス薬の早期投与など、適切な処置を受けることで重症化を防げる可能性が高まります。
インフルエンザで病院に行かない場合に知っておくべき重症化サイン
自宅で療養している場合でも、以下のような「重症化のサイン」が見られたら、自然治癒を待たずに、直ちに医療機関を受診してください。夜間や休日であっても救急外来の受診を検討しましょう。
意識状態の悪化
意識の変化は体からの強いSOSサインです。
普段と様子が違うと感じた場合、本人の自覚がある場合でも、周囲が気づいた場合でも、ただの疲れや熱のせいと放置せず、速やかに受診を検討してください。
意識が朦朧(もうろう)とする
「ぼーっとする」「うとうとして話がかみ合わない」といった自覚がある場合や、家族から見て呼びかけに対する反応が鈍い、いつもの受け答えができないといった様子が見られる場合には、注意が必要です。高熱による脱水や、脳の合併症の可能性もあるため、すぐに医師の判断を仰ぐことが安全です。
異常行動・錯乱
急に走り出す、意味のわからない言動を繰り返す、窓を開けて飛び出そうとするなどの異常行動が見られた場合は、インフルエンザ脳症の初期症状の可能性があります。
特に小児や未成年に多く、発熱から48時間以内に起こりやすい傾向があるため、早急な医療介入が必要です。症状が一時的でも必ず医師に伝えましょう。
併発しやすい疾患
インフルエンザは、ウイルス感染だけでなく、さまざまな合併症を引き起こすことがある疾患です。
高齢者、子ども、持病がある方に限らず、健康な成人でも油断は禁物です。以下に主な合併症の部位ごとの例を紹介します。
呼吸器系
インフルエンザによって気道や肺がダメージを受け、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。
咳が長引く、息苦しさがある、呼吸が浅く速い、胸の痛みを訴えるといった場合は、早めに医療機関でレントゲンや血液検査を受ける必要があります。高齢者では、肺炎が重症化しやすく、入院が必要になることもあります。
耳鼻咽喉科系
高熱が続いたあと、耳の痛み(中耳炎)や副鼻腔の圧迫感・黄色い膿のような鼻水(副鼻腔炎)が現れることがあります。
これらは細菌による二次感染が原因で、抗生物質が必要となるケースもあります。放置すると耳の聴力や鼻の通気に影響が出るため、違和感がある場合は耳鼻科への受診を検討しましょう。
脳に関する重篤な病態
インフルエンザ脳症やライ症候群など、中枢神経に関わる重篤な合併症も存在します。小児では、発熱後にけいれん、意識障害、異常な発言や行動が見られる場合は要注意です。ライ症候群はアスピリンなどの誤使用とも関係があるため、特に注意深い観察が必要です。
インフルエンザ脳症
主に乳幼児(特に0〜5歳)に発症します。意識障害、けいれん、異常行動が急速に現れ、致命率が非常に高い病気です。1999年の厚生省研究班の報告では、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸を使用した患者群で、使用しなかった群やアセトアミノフェンを使用した群に比べて死亡率が有意に高いという結果が示されました。
参考元
『インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究(総括研究報告書)』
ライ症候群
インフルエンザやみずぼうそうにかかった子供が、アスピリン(サリチル酸系薬剤)を服用することで発生リスクが著しく高まるとされている病気です。激しい嘔吐と意識障害が特徴で、脳の腫れと同時に重い肝障害(肝臓のミトコンドリア障害)を引き起こします。アスピリン使用の回避が徹底されてから、現在では非常にまれな病気となっています。
参考元
『医薬品等安全性情報 No.151』
その他
以下のような症状も、インフルエンザの合併症または重症化のサインです。
心筋炎・心膜炎:動悸や胸の痛み、息切れが突然現れる
脱水症状:水分が摂れず、尿が出ない、唇が乾いている
腎障害:むくみや尿の異常
けいれん・高熱持続(特に5日以上):通常の範囲を超えており、他の病気の可能性も
自宅療養中でも、これらのサインを感じたら「様子見」ではなく、すぐに医師の判断を仰ぐことが大切です。
まとめとして【すぐに病院へ行くべきサイン】は以下になります。
– 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
– 異常な言動や行動(急に走り出す、意味不明なことを言うなど)
– 呼吸が苦しい、息が荒い
– 水分が取れず、尿が出ない
– けいれんが起きた
– 5日以上高熱が続く
病院に行くメリット
「病院に行くかどうか迷っているうちに治るかも…」と思う方も少なくありませんが、インフルエンザでは早期受診によって得られる医学的メリットがあります。正しい診断と早期治療介入により、症状の期間を短縮し、重症化を防ぐことが期待できます。
より早く治ることが見込める
さきほども記載しましたとおり、インフルエンザは発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬を使うことで、発熱期間が約1〜2日程度短縮されることがあるという報告があります。
薬には複数の種類(オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルなど)があり、患者の年齢や症状、妊娠の有無、持病などに応じて適切なものを選択します。
また、抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑え、周囲への感染リスクを下げる効果も期待ができ、家族や職場・学校などでの感染拡大を防ぐ意味でも、受診による早期治療は有効です。
まとめ|インフルエンザで病院に行かないとどうなるのか
インフルエンザにかかったとき、「自然に治るのか」「病院に行くべきか」の判断は、症状の重さと本人の背景リスクによって変わります。
原則は症状が軽微な場合は自然治癒が見込める
若くて健康な人であれば、インフルエンザは薬を使わずとも、数日で回復することも少なくありません。
ただし、発熱が収まったあともウイルスを排出し続ける期間があるため、周囲への感染リスクには十分に注意が必要です。学校や職場には、「発症から5日経過」かつ「解熱後2日以上(幼児は3日としている園も)」を目安に復帰しましょう。
症状が重い・重症化リスクのある方はすぐに医療機関へ
65歳以上の高齢者、乳幼児、妊婦、免疫が低下している方、基礎疾患がある方などは、自然治癒に頼るのではなく、早期の受診が推奨されます。
抗インフルエンザ薬の効果を最大限得るためにも、発症から48時間以内に医療機関で診断を受けることが大切です。
症状緩和のための市販薬服用には注意が必要
インフルエンザ時に使える市販薬の解熱剤としては、アセトアミノフェン(カロナールと同成分)が推奨されます。
一方で、ジクロフェナクナトリウム・メフェナム酸・アスピリンなどの成分は、インフルエンザ罹患時には注意が必要とされています。特に小児では原則使用を避けるべきとされており、成人でも医師・薬剤師への相談が推奨されます。
病院に行けないときにはオンライン診療の活用も
高熱で移動が難しい、子どもから目が離せない、一人暮らしで不安…といったときは、オンライン診療を活用しましょう。
たとえば「SOKUYAKU(ソクヤク)」のようなオンライン医療サービスでは、市販検査キットとオンライン診療で抗インフルエンザ薬の処方を受けられるケースがあります。また、SOKUYAKUでは検査キットの自宅配送も可能であり、処方薬も最短で当日配送が可能です。
※当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
※参考情報
https://www.kenei-pharm.com/tepika/column/disinfection/column48/
https://uchikara-clinic.com/media/over-the-counterflumedicine/#i
https://www.mhlw.go.jp/stf/index2024.html
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/influenza/010/index.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
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当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.
当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.
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3.
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4.
前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。




















































