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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は自然治癒する?

監修医師 木村眞樹子
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は自然治癒する?のイメージ
新型コロナウイルスを発症すると、自然に症状が良くなることはないのでしょうか?入院治療をしなければならないのでしょうか?この記事では、どのような人が自然治癒するのか、重症化してしまう人の特徴を解説していきます。

新型コロナウイルスは8割が自然治癒する

新型コロナウイルスに感染すると、「重症化する」「人工呼吸器やECMOが必要になる」というニュース報道を聞き、不安に思われる方も多いでしょう。

実は、新型コロナウイルスに感染した8割の患者が、自然治癒する(自然によくなる)ことがわかってきました。ここでは、新型コロナウイルスの自然治癒について、厚生労働省の報告をもとに解説していきます。

8割の患者が発症から1週間程度で回復する

厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版」

には、,「新型コロナウイルスを発症した人の8割が1週間程度で回復する」と書かれています。

 

発症から1週間程度で自然治癒する患者は、コロナの重症度分類では「軽症」に分類されます。軽症の特徴は以下のとおりです。

・発熱、頭痛、倦怠感などの症状がある
・呼吸症状はないか、咳のみで呼吸困難がない
・CT検査で肺炎の所見がない
・血液中の酸素飽和度がSPO2≧96%

このような状態の患者のほとんどが、酸素投与などの治療を受けずに、自然治癒しているのです。

PCR陽性の無症状者も多い

最近の研究では、新型コロナウイルスを保有していても、30%が無症状であるとこと推測されています。そのため、症状がないため新型コロナウイルスを保有していることに気付かない患者さんも少なくありません。

 

さらに「PCR陽性=新型コロナウイルスに感染している」と判断されても、咳・発熱・倦怠感・味覚障害などの自覚症状がなく、いわゆる無症状感染の患者さんもいることがわかっています。
このような患者さんの多くは、重症化することはなく、自然治癒しているのです。

重症化の分岐点に注意!

有症状の患者さんの8割は酸素投与を必要とせず、10日以内に自然治癒しています。けれども、一部の患者さんでは酸素投与が必要となり、なかには、重症化して集中治療が必要になることを忘れてはいけません。

 

新型コロナウイルスにかかって、重症化する患者さんとそうでない患者さんのどちらも、感染初期に現れる自覚症状には差がありません。
しかし、重症化する患者さんは発症から7~10日の時点から、咳や呼吸状態が悪化することがわかってきました。

 

この症状が回復するか、悪化するかの分かれ道を「重症化の分岐点」とよんでいます。
この7~10日目に症状が悪化しなければ、新型コロナウイルス感染は自然によくなっていくともいえるのです。

デルタ株は自然治癒しにくい?

デルタ株は従来株よりも、自然治癒しにくいタイプの新型コロナウイルスです。
2021年夏に世界中で流行したデルタ株。わずか数か月で世界中に広がり、WHOも注意すべき変異株として警鐘を鳴らしています。

 

デルタ株は感染力が高く、従来株よりも早い日数で症状があらわれるだけでなく、重症化しやすい変異株です。

 

カナダのグループの研究では、従来の新型コロナウイルスとデルタ株のリスクを比較しています。
・入院リスク 2.2倍
・ICU入室リスク 3.87倍
・死亡リスク 2.37倍

この結果からもわかるように、デルタ株は入院や死亡リスクが高く、自然治癒しにくいと考えられているのです。

新型コロナウイルスが自然治癒しにくい人・重症化しやすい人とは

新型コロナウイルス感染症と診断された人の中で、自然治癒しにくい人・重症化しやすい人がいることが明らかになってきました。

 

ここでは新型コロナウイルスに関連した研究報告や、厚生労働省の指針をもとに新型コロナウイルスが自然治癒しにくい人・重症化しやすい人について解説していきます。

ワクチン未接種者

2021年3月より接種が開始された、コロナワクチン。日本でも高齢者を中心に接種者は増加しています。

 

コロナワクチンは、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果と、重症化を予防する効果が期待されています。

 

アメリカ疾病対策センターの報告では、新型コロナウイルスのワクチンを接種していない患者さんは接種完了者よりも6倍感染しやすく、感染すると死亡リスクが11倍高くなるとのデータを公表しています。

 

2021年8月の第5波では、新型コロナウイルスの陽性者の8割がワクチン未接種者であったという報告が各都道府県からなされています。

 

島根県ではワクチン接種回数ごとの中等症・重症者の割合も公表しています。

接種回数 中等症・重症者の割合
未接種 33.5%
1回もしくは2回接種(2週間未満) 36%
2回接種(2週間以内) 14.0%
2回接種(2週間以上) 0%

このように、ワクチン接種が完了していない患者さんは、重症化する割合が高くなっています。ワクチン未接種は重症化しやすい人の割合が高いため、新型コロナウイルスを発症すると自然治癒しにくいのです。

高齢者

年齢が高くなるにつれ、重症化率と死亡率が高くなる傾向が明らかとなっています。

それぞれの割合は以下になります。

 

全年齢平均 50歳代以下 60歳代以上

重症化する人の割合
約1.6% 0.3% 8.5%

死亡する人の割合
約1.0% 0.06% 5.7%

 

若い年齢の人と比較すると、高齢者はとても重症化しやすいのです。

基礎疾患がある人

基礎疾患がある人が新型コロナウイルス感染症を発症すると、重症化しやすいことがわかっています。

重症化しやすい、死亡率が上がる「新型コロナウイルス感染症のリスク因子」は以下があります。

 

・ 重症化しやすい因子
・ 脂質異常症、
・ 肥満
・ 肝疾患
・ 慢性腎臓病
・ 高血圧
・ 糖尿病
・ 喫煙
・ 固定臓器移植後の免疫不全
・ 65歳以上の高齢者
・ 悪性腫瘍
・ 慢性閉塞性肺疾患

死亡率が上がる因子
・ 脳血管障害
・ 慢性肺疾患
・ 心疾患
・ 慢性腎臓病

 

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症診療ガイドラインによると、60歳以上で基礎疾患のない患者さんの死亡率は3.9%ですが、60歳以上で基礎疾患のある患者さんの死亡率は12.8%と3倍以上高くなっています。

 

さらに、基礎疾患がある高齢者の死亡率は21.8%となり、基礎疾患のない患者さんの5.58倍の高い値になっているのです。

新型コロナウイルスを自然治癒させる秘訣

新型コロナウイルスを発症した場合に、「○○をすれば、自然治癒する」という方法はありません。
新型コロナウイルスを発症した患者さんの治療薬の開発が世界中ですすんでいますが、市販で購入することはできません。

 

現在承認されている治療薬・治療方法は、病院で医師の管理のもとに、副作用に注意しながら行う必要があるためです。

新型コロナウイルスに風邪薬は効くの?

さらに、新型コロナウイルスは「ウイルス感染」で発症する病気です。ウイルス感染症を治療する特効薬はないとされていて、軽症の患者には対症療法が中心となっています。

 

対症療法とは、ウイルスを排除するのではなく、咳や喉の痛み、発熱などの症状をやわらげる治療方法のことです。

 

市販の風邪薬には、咳止めや発熱、喉の痛みをやわらげる効果が期待できるものも多いため、新型コロナウイルスの対症療法には効果が期待できます。

症状にあわせた市販薬でコロナを乗り切る

新型コロナウイルス発症後は、熱や咳、倦怠感などの症状があらわれます。できるだけ体力を消耗せず、自分の免疫力でコロナを乗り切っていく必要があります。

 

対症療法として、症状にあわせた市販薬をつかっていくための、ポイントをご紹介します。

 

咳が続くと、体力を消耗してしまう人も多く、夜間に咳が続くと眠れないこともあるでしょう。新型コロナウイルス発症後に使用できない市販薬はありません。症状に応じてL-カルボシステインが含まれる去痰薬や漢方薬、トローチを使用してみましょう。

 

新型コロナウイルス発症後の発熱のときに使用する解熱剤には注意が必要です。
市販薬の解熱剤をえらぶときには、「アセトアミノフェン」の含まれている解熱剤を使用しましょう。
そのほかの商品は、使用してはいけません。
具体的な商品名としては「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」です。
これらの解熱剤を使用すると「新型コロナウイルス感染症が悪化する可能性がある」と報告されています。
新型コロナウイルスを重症化させないように、解熱剤選びには注意したいですね。

市販薬の内服で気を付けること

 

解熱剤や市販のかぜ薬の中には、「アセトアミノフェン」とほかの解熱剤を組み合わせたものも多く発売されています。新型コロナウイルスを悪化させず、自分の症状をやわらげるために、どのような薬を選んだらいいか悩む場合には、ぜひ薬剤師にご相談ください。

まとめ

今回は新型コロナウイルスの自然治癒について解説しました。
自然治癒しやすい人がほとんどですが、年齢や持病などがあるために重症化しやすい人がいることもおわかりいただけたでしょう。

 

新型コロナウイルス発症者の多くが、無症状もしくは症状が軽く、自然に治っていきます。しかし、症状が悪化するときや、市販薬を使っても症状がつらい、長く続くときにはかかりつけ医や発熱外来に相談し適切な治療を受けましょう。

参考資料

厚生労働省(2021年10月版) 新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識
日本で接種が進められている新型コロナワクチンにはどのような効果(発症予防、持続期間)がありますか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
新型コロナウイルス感染症を疑う症状がある場合の自宅での過ごし方は?〜市販薬の解熱剤の注意点や同居者の感染対策とは〜 | メディカルノート (medicalnote.jp)
新型コロナとかぜってどう違う?かぜ薬を服用するときの注意点とは | かぜのこと | ベンザブロック (benza.jp)

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監修医師 木村眞樹子
現役医師、産業医 10年以上大学病院で臨床に従事、産業医として企業の健康経営にも携わる 2019年より医療ライターとしても活動している
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