陰部の湿疹・かぶれはなぜ起こる？原因や対処方法について詳しく解説

陰部とは、男性の場合は陰嚢や陰茎、女性の場合は腟や外陰などの生殖器周辺です。この部分に小さな発疹ができ、赤みやかゆみが生じる症状を陰部湿疹と呼びます。男性は特に陰嚢に、女性は外陰部に発生しやすいのが特徴です。

陰部に湿疹ができる原因は、さまざまです。単なる湿疹や皮膚の病気だけではなく、性感染症なども考えられます。まずは、どのような原因があるのかをみてみましょう。

脂漏性湿疹は、頭皮や耳の裏、わきの下、股間など、皮脂が多く分泌される部位によく見られる湿疹です。マラセチアという菌が皮膚にある脂を分解すると、その過程でできる物質が皮膚を刺激し、炎症を引き起こします。

マラセチア菌は肌に存在し、通常は問題を起こしません。しかし、紫外線や摩擦、睡眠不足、ストレス、ビタミン不足などの要因が重なった場合、脂漏性湿疹が発症しやすくなります。また、脂っこい食事を好む生活習慣も、発症のリスクを高めることがあります。

アトピー性皮膚炎は、皮膚が赤くなったり、ブツブツができたり、乾燥してカサカサになったりする病気です。強いかゆみがあり、掻くことでさらに悪化します。この病気の特徴は、左右対称に湿疹が出ることです。たとえば、おでこや目の周り、首、手や足の関節の内側などに湿疹が現れます。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します。

アトピー性皮膚炎の方は、皮膚のバリア機能が弱くなっているため、さまざまな刺激で症状が悪化しやすいため注意しましょう。ダニやホコリ、花粉、ペットの毛、化粧品、金属などが原因になることがあります。また、汗や唾液、衣類の摩擦、日焼けなども症状が悪化する原因です。

アトピー性皮膚炎について

接触皮膚炎（かぶれ）は、皮膚が何かに触れて炎症を起こした状態です。赤み、かゆみ、水ぶくれ、腫れなどの症状が現れます。原因は、強い化学物質や洗剤などが皮膚に触れること、特定の物質に対するアレルギー反応などです。

洗剤、石鹸、パンツの素材、下着の染料などに対するアレルギー反応が、陰部の皮膚に湿疹を引き起こすことがあります。また、摩擦や刺激が陰部の皮膚に加わることで湿疹が発生することもあります。

外陰部掻痒症は、外陰部から肛門にかけての強いかゆみや痛みを伴う症状です。外陰部の一部または全体にかゆみや痛みを感じ、かゆみのある部分が赤くなることもあります。運動後や入浴時など体が温まった時や、締め付けの強い下着や履物の摩擦による刺激で、我慢できないほどのかゆみが生じることもあります。外陰皮膚掻痒症は女性にとって非常に不快な症状で、乾燥や感染症、過敏症などが原因です。

閉経後、女性ホルモンが減少することで外陰部の皮膚や粘膜が乾燥し、痒みや不快感が生じます。また、細菌や真菌（カビ）による感染症が重なることもあり、稀に前癌病変が見られることもあるため、定期的なチェックが重要です。

細菌感染による外陰部の痒みが原因の場合、通常の細菌であれば自然に治癒しますが、カンジダという真菌による感染は強い痒みを引き起こします。下着が汚れないようにおりものシートを使用したり、入浴時に膣内を洗浄している場合、外陰部の自然な防御機能を弱め、細菌感染を引き起こしやすくなることがあるため注意しましょう。

性感染症も陰部がかゆくなる原因です。性感染症には、さまざまな種類があり、カンジダやヘルペス、梅毒やクラミジアなどがあります。

性器カンジダ症

カンジダは、女性の感染症の中で頻繁に見られる病気です。口の中や消化管、膣などに普通に存在する菌で、通常は害を及ぼしません。しかし、体内の菌のバランスが崩れると、湿った部分で増殖しやすくなり感染症を引き起こすことがあります。陰部や鼠径部、わきの下、乳房の下、睾丸、口の中などが影響を受けやすい場所です。常在菌による自己感染が多く見られますが、性的接触によっても感染することがあります。

症状はさまざまで主な症状は、性器周辺の痒みや発疹、白っぽいおりものなどです。また、排尿時や性交時に痛みを感じることもあります。免疫力が低下する高齢者や病気の人、糖尿病患者、高温多湿の環境にいる人、副腎皮質ホルモン剤を使用している人などは注意しないといけません。また、膣カンジダ症は妊娠中や生理用ナプキンを長時間使用することで発生することもあります。

性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる性感染症です。性器から肛門、太ももにかけてかゆみや水疱、疼痛が現れます。一度ヘルペスウイルスに感染すると、体内から完全に取り除くことはできません。

ウイルスは神経に潜伏し、特に腰の神経節に隠れます。風邪や疲労、アルコールの摂取などの刺激によってウイルスが再活性化し、再び症状が現れることがあります。そのため、感染した人は再発を繰り返すことがほとんどです。初めての感染は主に性行為によって起こりますが、性器同士の接触がなくても、唾液などを介してパートナーに感染することもあります。

陰部湿疹は、汗や皮脂、尿、汚れなどが皮膚に付着することで引き起こされることがあります。また、洗いすぎやこすりすぎ、乾燥、衣服との摩擦も原因となります。これを防ぐためには、適切な入浴や洗浄が重要です。

汗や皮脂、汚れ、尿などが皮膚に付いたままになると、湿疹ができやすくなります。そのため、普段から清潔にしておきましょう。ただし、洗いすぎも良くありません。

お風呂に入るときは、皮脂を過剰に洗い流してしまう強力なボディーソープや硬いナイロンタオルでゴシゴシ洗うのは避けてください。低刺激性の石けんをよく泡立ててを使って、優しく洗うのがおすすめです。

汗をかくと、湿疹が悪化したり、かゆみが強くなるかもしれません。カンジダ症の原因となるカビは、高温多湿な環境で増殖しやすいのが特徴です。そのため、通気性の良い、ゆったりとした服装を選んでください。また、下着も刺激が少なく、通気性の良い素材や形を選びましょう。

免疫力が低下すると悪化すると、症状が悪化します。免疫力を維持するためには、生活習慣を見直し、規則正しい生活を送りましょう。十分な睡眠をとり、適度にストレスを解消し、ビタミンを積極的に摂取することが大切です。アルコールや喫煙は症状を悪化させる可能性があるため、できるだけ控えてください。

陰部湿疹の原因はさまざまなため、まずは正確な診断が重要です。一般的な治療法としては、ステロイド剤の外用薬を使います。ただし、陰部の皮膚は薄くてデリケートなため、長期間の使用は避けましょう。かゆみがひどい場合は、内服用の抗ヒスタミン剤を使うことがあります。また、感染症が原因の場合は、その種類に応じて抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質などを用います。

デリケートゾーンのトラブルは、自己判断で市販薬を使った場合、症状が悪化することがあります。まずは専門家に相談してください。医師に見せるのは恥ずかしいかもしれませんが、陰部は放置すると悪化しやすい部位です。正しい診断を早めに受けることが大切です。

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陰部の湿疹やかぶれは、さまざまな原因で発生します。たとえば、脂漏性湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、外陰皮膚掻痒症、性感染症などが挙げられます。原因をしっかり理解して正しい対処をすることで、症状が悪化するのを防ぎ早く治すことが可能です。

陰部はデリケートな部分なため、診察を受けるのは躊躇ってしまいます。ただし、デリケートな部分だからこそ、自分で判断せず専門の医師に診てもらうことが大切です。日常生活で普段からケアを心がけましょう。