【医師監修】テラコートリルをニキビに使っても大丈夫?使用前に知っておきたいこと


更新日:2025年06月10日

テラコートリルとは
テラコートリル軟膏は、炎症や感染を伴う皮膚トラブルに用いられる外用薬で、ドラッグストアなどでも購入できる市販薬のひとつです。特に、化膿を伴う湿疹や皮膚炎など、細菌による炎症を抑えるために使われることが多い薬です。
成分
2つの有効成分が含まれています。
ヒドロコルチゾン
ステロイドの一種で、炎症や赤み、腫れを抑える働きがあります。肌の炎症反応を和らげることで、かゆみや痛みを軽減します。
オキシテトラサイクリン塩酸塩
テトラサイクリン系の抗生物質で、細菌の繁殖を防ぐ抗菌作用があります。膿を伴うような感染症に効果的です。
この2つの成分が一緒に働くことで、「炎症+細菌感染」に対応するのが特徴です。
適応する症状
以下のような症状に対して効果が期待できます。
・化膿を伴う湿疹や皮膚炎(例:進行性指掌角皮症、日光皮膚炎など)
・二次感染を起こした傷や火傷、手術後の創部
・慢性的な膿皮症や深在性皮膚感染症
・感染性の口内炎や舌炎、歯周組織炎などの口腔内トラブル
使用する際は、1日1〜数回、患部に直接塗るか、清潔なガーゼに伸ばして貼付する方法が一般的です。
テラコートリルをニキビに使う場合は赤ニキビに
テラコートリルはすべてのニキビに効果があるわけではありません。有効なのは、炎症を起こした「赤ニキビ」です。抗菌成分と抗炎症成分の働きで、悪化を防ぎつつ、症状をやわらげる効果が期待できます。
ニキビに適応はないがアクネ菌には効果が期待できる
本来、ニキビ専用の薬ではありません。しかし、配合されている「オキシテトラサイクリン塩酸塩」はアクネ菌を抑える効果がある抗菌薬成分で、処方薬であるミノマイシンと同じ系統です。そのため、アクネ菌が原因で炎症を起こしている赤ニキビには一定の効果が期待できます。
ステロイドによって炎症を抑える
テラコートリルには、もうひとつの主成分として「ヒドロコルチゾン」が配合されています。これはステロイドの一種です。炎症を素早く鎮める働きがあり、赤ニキビの腫れや痛みを和らげる効果があります。ステロイドの中では比較的作用が穏やかで、短期間のピンポイント使用であれば安全に使えるとされています。
ニキビが悪化する可能性もある
抗菌薬+ステロイドの組み合わせは万能に見えるかもしれませんが、使い方を間違えると逆効果になるリスクがあります。「効きそうだから」と広く塗り続けるのではなく、症状を見極めて慎重に使用することが大切です。
テラコートリルを使用する際の注意点
市販薬の中では有効性が高い部類のテラコートリルですが、使い方を誤ると効果が得られないだけでなく、副作用につながることもあります。安全に使うために、使用の範囲・部位・期間には注意が必要です。
広範囲または大量の赤ニキビには向いていない
赤ニキビが顔中に広がっていたり、たくさんできているような場合、テラコートリルを全体に使用するのは適していません。塗る範囲が広くなることで長期間の使用が必要になり、副作用のリスクが高まります。また、赤ニキビが次々と生まれている状態では、白ニキビの治療も同時に行わなければ、根本的な改善が期待できません。
初期ニキビやニキビ痕にも向いていない
白ニキビのような初期段階のニキビは、まだアクネ菌が関与していないため、抗菌薬やステロイドは効果を発揮しません。むしろ、ステロイドによって免疫が抑えられることでアクネ菌の繁殖を助けてしまい、赤ニキビを悪化させてしまう可能性があります。また、すでに炎症が治まってニキビ跡になっている部分に使っても、治療効果はありません。
使用する部位に注意
使用する際は、「赤く炎症を起こしたニキビの部分」だけに限定して塗布しましょう。正常な肌や白ニキビの部分には塗らないようにしてください。綿棒などでピンポイントに塗るのがおすすめです。顔全体に塗るなどの使い方は、肌への負担が大きく副作用のリスクが高まります。
長期間は使用しない
テラコートリルの使用期間は1週間程度にとどめるのが基本です。それ以上使い続けると、耐性菌の発生や、ステロイドによる副作用(吹き出物、赤ら顔など)のリスクが上がってしまいます。1週間使っても改善が見られない場合や、むしろ悪化しているように感じた場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科を受診しましょう。
ニキビを治したいときは医療機関で処方される薬がおすすめ
ニキビ治療では、まず炎症を起こした赤ニキビの治療から始め、落ち着いてきた段階で白ニキビや毛穴のつまりを改善する治療へと移行していくのが一般的です。そのため、治療の途中で処方される薬が変わることもあります。
過酸化ベンゾイル
赤ニキビに対して、アクネ菌を殺菌する働きがあり、高い効果が期待できます。さらに、ケミカルピーリングのように角質を剥がす作用もあるため、白ニキビ(面皰)にも有効です。
耐性菌が発生しない薬剤として長期使用も可能ですが、皮膚に刺激を与えることがあるため、最初は保湿剤を先に塗り小さな範囲から使い始めましょう。刺激は1ヶ月ほどで慣れるのが一般的です。顔全体の使用量は1日0.5gが目安で、1ヶ月で1本を使い切るペースになります。
アダパレン
毛穴の入り口の細胞を正常に成長させることで、角化異常を改善し、毛穴詰まりを防ぐ効果があります。これにより白ニキビの新たな発生を予防し、正しいターンオーバーを促します。ニキビができにくい肌を作るには数ヶ月にわたる継続的な使用が望ましく、1ヶ月に1本を使い切るようなペースで塗布しましょう。
副作用としては乾燥やかゆみがあり、塗り始めの2週間ほどで現れやすいですが、多くの場合時間とともに改善します。なお、妊娠中または妊娠の可能性がある場合は使用できません。
過酸化ベンゾイル+アダパレン配合ゲル
過酸化ベンゾイルとアダパレンの両方を配合したもので、個々の薬剤で効果が不十分な場合や、症状が中等度以上(赤ニキビが全顔で12個以上ある場合)に使われます。単剤よりも強力な効果が得られる反面、刺激などの副作用も強くなる傾向があります。そのため、まずは単剤での効果を確認したうえで、この合剤に切り替えるのが一般的です。赤ニキビと白ニキビの両方にアプローチできる点もメリットといえます。
抗菌剤外用
アクネ菌を直接殺菌する目的で使用される外用薬です。代表的なものに、クリンダマイシン(ダラシンT)、ナジフロキサシン(アクアチム)、オゼノキサシン(ゼビアックス)があります。2~3ヶ月の使用が標準的です。
赤ニキビや黄ニキビなどの炎症性ニキビに効果を発揮します。「デュアック配合ゲル」のように、過酸化ベンゾイルと抗菌剤(クリンダマイシン)を組み合わせた製剤も存在し、より強力に炎症を抑えたい場合に用いられます。ただし、漫然と使い続けると耐性菌が生じる可能性があるため、使用期間には注意しましょう。
テラコートリルを塗ってもニキビが治らない場合は皮膚科を受診しよう
テラコートリルは赤ニキビに一定の効果を発揮する市販薬ですが、症状が重い場合や広範囲にわたる場合には十分な効果が得られないことがあります。1週間ほど使用しても改善が見られない、あるいは逆に悪化してしまった場合には、自己判断での治療は避け皮膚科を受診しましょう。専門的な治療を受けることで、より効果的で安全なケアが可能になります。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
仕事や育児などでなかなか通院の時間がとれない方には、オンライン診療という選択肢もあります。自宅にいながら診察を受けられるため、病院に行く手間が省けます。ニキビのような皮膚症状は、画面越しでも医師が状態を確認できるため、オンラインでも対応しやすい診療科の一つです。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどのインターネットに接続できるデバイスを使って、医師の診察を受ける医療サービスです。自宅にいながらビデオ通話を通じて医師と会話し、診察・診断・薬の処方などを受けられます。診察の予約、問診、診断、薬の処方、支払いまで、すべての手続きをオンライン上で完結できるため、忙しい方でも利用しやすいのが特徴です。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をよりスムーズに行うためのサービスです。診察の予約から薬の受け取りまで、すべてのステップをアプリで簡単に完結できます。
お気に入りのクリニックや薬局の登録、専門スタッフによるサポート、お薬手帳のデジタル管理機能なども搭載されています。さらに、全国どこでも当日または翌日に薬が届くため、時間がつくれない方でも便利です。
まとめ
テラコートリルは、赤く炎症を起こしたニキビに対して短期間の使用で効果が期待できますが、すべてのニキビに適しているわけではありません。広い範囲にできたニキビや初期のニキビには不向きで、使い方を誤ると症状が悪化する可能性もあります。ニキビを根本的に治したい場合には、皮膚科での診察を受け肌の状態に合った治療やケアを受けましょう。

医師
山下 真理子

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