【医師監修】ヘルペスがかゆいのはなぜ？我慢できないときの正しい対処法

ヘルペスがかゆいのはなぜ？体の中で起きていること

口唇ヘルペスのかゆみは、「ウイルスそのものの刺激」と「皮膚が炎症を起こして治ろうとする反応」が重なって生じます。

かゆみの正体「ヒスタミン」と皮膚の炎症反応

皮膚がウイルスに反応すると、肥満細胞（マスト細胞）からヒスタミンなどの物質が放出され、かゆみ神経が刺激されます。これが「掻きたい！」という衝動の正体です。さらに掻いてしまう刺激自体がヒスタミンの放出を助長するため、かゆみのループに陥りやすくなります。

治りかけのときもかゆみが起こる

水ぶくれが乾いて皮膚が再生する時期は、表皮が張り替わる過程でつっぱり感やムズムズ感が出やすくなります。修復のサインでもありますが、ここで掻き壊すと治りが遅れ、痕が残る原因になります。

再発するとかゆみが強くなりやすいワケ

ヘルペスウイルスは神経の中に潜伏し、疲れ・寝不足・ストレス・日焼け・月経前などで免疫が落ちると再活性化します。再発時は「ピリピリする前兆」にすぐ炎症反応が始まるため、短時間でかゆみや赤みが立ち上がりやすいのが特徴です。

かゆみ悪化を防ぐための毎日のケア

ヘルペスのかゆみを和らげるには、日常生活での基本的なケアが大切です。

患部を清潔に保つ

泡立てた石けんを使い、指の腹でやさしく洗ってぬるま湯で流しましょう。タオルでこすらず、清潔なペーパーや柔らかいタオルで軽く押さえてください。触れた手はその都度洗うと、別の部位や家族への感染予防になります。

保湿で皮膚を守る

乾燥はかゆみを強め、かさぶた割れの原因にもなります。ワセリンなど刺激の少ない保湿剤を薄く重ね、皮膚の水分を逃がさないようにしましょう。

紫外線・摩擦・乾燥を避ける

紫外線は再発の大きな原因です。外出時は日焼け止めやリップクリームを活用し、マスクやタオルでこすれないよう注意します。乾燥しやすい季節には加湿も有効です。

ヘルペスのかゆみに効く治療法

かゆみを抑えるだけでは根本的な解決になりません。ヘルペスはウイルス感染症のため、抗ウイルス薬による治療が基本です。

ウイルスの増殖をブロック

抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑えることで症状を軽くし、治癒を早めます。早期に使用するほど効果が高いのが特徴です。

再発を繰り返す人への治療法

年に何度も再発を繰り返す人には、医師の判断で長期的に内服薬を用いる「抑制療法」が選ばれることがあります。これは再発の頻度を減らす効果が期待できます。

再発時に使える市販薬と注意点

口唇ヘルペスの再発には、薬局で購入できる外用抗ウイルス薬が使えます。ただし「過去に医師から口唇ヘルペスと診断されたことがある場合」に限られます。前兆を感じたらすぐに塗り始めるのがポイントです。

ただし、初めての症状・範囲が広い・5日使っても改善しない・目の違和感があるなどのときは自己判断をやめ、速やかに受診してください。

かゆみがあるときに絶対やってはいけないこと

かゆみが強いとつい掻いたり触ったりしたくなりますが、これらは症状を悪化させ、感染を広げる原因になります。

掻く・触るはNG！悪化と感染のリスク

掻くと皮膚に微小な傷が増え、ヒスタミンがさらに出てかゆみが悪化します。指先の菌で二次感染を起こすこともあるため、どうしても触れた時はすぐに手洗いを。寝ている間の掻き壊しが心配なら、就寝前の保湿と短く整えた爪で備えましょう。

水ぶくれをつぶす危険性

水ぶくれの中にはウイルスが多く含まれます。意図的に破ると周囲に広がりやすく、痕の原因にもなります。洗顔や食事のときはこすらず、にじんだ滲出液は清潔なガーゼでやさしく押さえるだけに留めましょう。

家族やパートナーにうつさないための注意点

発症中はタオルや食器を共有しないこと、キスや性行為を控えることが大切です。患部に触れた手は必ず石けんで洗い、清潔を心がけましょう。

「かゆい」をくり返さないためにできる予防策

再発を防ぐには、免疫力を落とさないことが何より大切です。日常の生活習慣を整えることが、かゆみの予防にもつながります。

睡眠・栄養・ストレスで免疫力をキープ

十分な睡眠と、たんぱく質・野菜・果物を含むバランスのよい食事を意識しましょう。忙しい時期や月経前は無理のない予定に調整し、軽い運動や入浴で血流を整えるのも有効です。再発の「自分なりのきっかけ」をメモしておくと、次回の予防計画に役立ちます。

季節ごとの紫外線対策

夏だけでなく、冬や高地・雪面でも紫外線は強くなります。屋外活動では帽子や日傘、UVリップを習慣化し、長時間の直射日光は避けてください。日焼け後の乾燥は再発の引き金になりやすいため、帰宅後の保湿も忘れないようにしましょう。

ヘルペスのかゆみが辛いときは我慢せず皮膚科を受診しよう

ヘルペスのかゆみは自然に治ることもありますが、放置すると悪化や再発の原因になります。強いかゆみや繰り返す発症で悩んでいる方は、早めに皮膚科を受診しましょう。

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まとめ

ヘルペスのかゆみは、皮膚の炎症や治りかけの再生過程で生じる生体反応ですが、掻いたり頻繁に触れたりすると悪化や周囲への感染につながります。

清潔と保湿を心がけ、紫外線や摩擦を避けつつ、必要に応じて抗ウイルス薬やかゆみを抑える治療を併用しましょう。かゆみが強い・再発をくり返す場合は、我慢せず皮膚科を受診して、適切な治療と再発予防に取り組むことが大切です。