【医師監修】ヒルドイドはニキビに効く?効果・使い方・注意点を徹底解説!


更新日:2025年06月12日

ヒルドイドとは?
ヒルドイドは、乾燥肌や皮膚のトラブルに対して処方される、保湿作用を持つ外用薬です。乾燥が強い季節だけでなく、年間を通して肌トラブルを抱える多くの方に処方されています。1949年にドイツで誕生し、日本では1954年から使われ続けている、長い歴史を持つ医療用医薬品です。
保湿力の高さが特徴で、肌の水分をしっかりと保つことで、バリア機能をサポートし、炎症を起こしにくい健やかな肌環境を整える役割があります。
主成分「ヘパリン類似物質」の3つの働き
ヒルドイドの中心的な有効成分である「ヘパリン類似物質」には、皮膚に対して次の3つの働きが期待できます。
水分保持作用
肌表面にうるおいを与えるだけでなく、内部の水分を逃さないように守る働きもあり、乾燥による肌荒れやかゆみの予防に効果的です。
抗炎症作用
軽度の炎症を鎮めるサポートをしてくれます。たとえば、しもやけや軽い肌荒れの際にも、この作用が役立ちます。
血行促進作用
血流を改善することで、新陳代謝が高まり、肌の回復がスムーズに進みやすくなります。
ヒルドイドの剤型(クリーム・ローションなど)と選び方
ヒルドイドには、クリーム、ソフト軟膏、ローション、フォームといったさまざまな形状があり、特徴に応じて使い分けることが大切です。
クリームやソフト軟膏は油分が多く、しっかりと肌に密着してうるおいを逃しません。冬場や乾燥がひどい場合に適しています。
べたつきが気になる場合は、ローションやフォームなど油分が少ないタイプを選ぶと快適です。夏場や顔用として使うには、さっぱりしたテクスチャーのローションが向いています。
市販薬と処方薬の違い
ヒルドイドと同じ「ヘパリン類似物質」が配合された製品は、市販薬としても販売されていますが、処方薬とは内容が異なる点に注意が必要です。
処方薬のヒルドイドは医師が個々の肌状態に応じて選んだ医薬品で、成分の濃度や添加物が厳格に管理されています。一方、市販薬は医師の処方なしで購入できますが、製品によっては添加物が多かったり、ヘパリン類似物質の濃度が低めに設定されているものもあります。
また、処方薬は「治療を目的とした医薬品」であるのに対し、市販品の多くは「予防や保湿を目的としたスキンケア用品」です。肌トラブルがある場合には、市販薬に頼る前に皮膚科を受診するのが望ましいでしょう。
ヒルドイドはニキビに効果があるのか?
ヒルドイドはもともとニキビ治療薬として開発されたものではありません。しかし、保湿や炎症のケアといった作用から、ニキビの症状や肌環境を整える目的で処方されるケースもあります。
保湿による皮脂分泌の抑制
乾燥した肌は、水分を補おうとして過剰に皮脂を分泌しやすくなります。この皮脂の過剰分泌が、毛穴の詰まりやニキビの原因になることも少なくありません。
ヒルドイドは皮膚の水分保持力を高めることで、乾燥による皮脂の過剰分泌を抑えるのに役立ちます。つまり、間接的にニキビの予防に効果があると考えられるのです。
抗炎症作用によるニキビ跡の赤み改善
ニキビが治った後に残る赤みや炎症跡に悩む方は多いですが、ヒルドイドに含まれるヘパリン類似物質の抗炎症作用により、炎症後の赤みが軽減されることが期待されます。また、炎症が長引くと血行が滞り、肌の再生が遅れることがありますが、ヒルドイドはその点でも肌の回復をサポートします。
血行促進による肌のターンオーバー改善
ヒルドイドの血行促進作用は、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を助ける効果があります。肌のターンオーバーが整うと、古い角質が剥がれ落ち、新しい肌が生まれ変わりやすくなり、ニキビ跡の色素沈着やくすみの改善も期待できます。ただし、効果には個人差があり、すべての人に明確な改善が見られるわけではありません。
「治療薬」ではなく「補助的な保湿剤」
重要なのは、ヒルドイドはあくまで保湿剤であり、ニキビ治療薬ではないという点です。毛穴の詰まりを改善したり、アクネ菌を殺菌するような効果はありません。
そのため、ニキビが重度である場合や、炎症が強い場合には、皮膚科での治療が必要です。ヒルドイドはあくまで保湿ケアとしての補助的な役割を果たすものと考えましょう。
ヒルドイドをニキビに使うときの注意点
ニキビ肌にヒルドイドを使うことは一定のメリットがありますが、使用時には注意点もあります。
出血性疾患や傷のある肌には使用NG
ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質は、血液をサラサラにする働きがあります。そのため、出血性疾患を持つ方や、傷口がある部位への使用は避けてください。また、炎症が強く出血を伴っているニキビにも使用しないようにしましょう。血行促進作用によって、かえって悪化するリスクがあります。
副作用として赤み・かゆみ・紫斑のリスク
ヒルドイドは比較的安全性が高いとされる薬ですが、1%程度の確率で赤みやかゆみなどの副作用が起こる可能性があります。まれに「紫斑」と呼ばれる内出血によるあざのような症状が出ることも報告されています。
これらの症状が現れた場合は、ただちに使用を中止し、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。自己判断で使用を続けるのは避けてください。
ヒルドイドの正しい使い方と塗り方
ヒルドイドは、保湿や肌の修復をサポートする外用薬ですが、その効果を最大限に引き出すには、正しい使い方を理解しておくことが大切です。使用頻度や使用量、塗るタイミングや順番によって、肌への作用は大きく変わります。
使用の頻度
ヒルドイドは、基本的に1日1〜数回の使用が推奨されていますが、実際の塗布回数は、肌の状態や使用目的によって異なります。乾燥が強い部分や、肌トラブルのある部位では、医師からの指示に従って1日2回以上使用することもあります。
保湿を重視する場合は、入浴後の5分以内に塗布するのが最も効果的です。皮膚がまだ湿っている状態で塗ることで、水分の蒸発を防ぎ、うるおいをしっかり閉じ込めます。
使用量の目安
ヒルドイドの使用量は「1FTU(フィンガーチップユニット)」という単位を目安にします。これは、大人の人差し指の先から第一関節までチューブから絞り出した量(約0.5g)を指し、手のひら2枚分の広さに塗布できる量に相当します。
・顔や首は約2.5FTU
・片腕は3FTU
・片脚全体は6FTU
ローションタイプは1円玉大、フォームタイプはキャップの半量(キャップ1杯で2FTU)を目安にすると使いやすいでしょう。どの剤型を使う場合も、塗布後に肌がしっとりし、軽く光るくらいの量が適量です。
塗り方
ヒルドイドは、手で直接塗布するのが基本です。必要量を清潔な手に取り、優しく伸ばすように塗布しましょう。肌を強くこすったり、何度も塗り重ねる必要はありません。ガーゼなどを使って患部に塗る方法もありますが、基本的には指でやさしく塗る方が均一に広げやすくなります。
他の薬との併用方法
ヒルドイドは、ほかの外用薬と併用して使うことが可能です。ただし、塗る順番やタイミングには注意が必要です。たとえば、ニキビ薬と併用する場合は、ヒルドイドを先に塗布し、数分置いてからニキビ薬を使用するのが基本です。
また、アトピーや湿疹でステロイド外用薬と併用する際も、ヒルドイドを先に塗って保湿し、その上にステロイド剤を重ねることで、ステロイドの必要な部位にだけ作用させやすくなります。
いずれの場合も、医師や薬剤師の指示に従うことが最も安全かつ効果的です。薬の種類によっては、併用のタイミングや優先順位が変わることもあるため、自己判断での使用は避けましょう。
ヒルドイド以外のニキビ対策も併用しよう
ヒルドイドは保湿や炎症ケアに役立つ薬ですが、ニキビそのものを治す薬ではありません。ニキビを効果的に防ぎ、繰り返さない肌を目指すには、スキンケアや生活習慣の見直し、必要に応じて医療機関での治療も取り入れることが重要です。
スキンケア
ニキビ肌の基本は、肌をやさしく清潔に保ち、しっかり保湿することです。洗顔は泡をしっかり立て、手でこすらずに泡で洗うイメージで行いましょう。お湯の温度は34〜38℃程度のぬるま湯が理想です。熱すぎるお湯は乾燥を招き、かえって皮脂分泌が増えてしまうことがあります。洗顔後は、できるだけ早く保湿ケアをしましょう。
生活習慣の見直し
肌のコンディションは、睡眠・ストレス・食生活など日々の習慣にも大きく左右されます。とくに「良質な睡眠」は成長ホルモンの分泌を促し、肌の修復やターンオーバーに欠かせません。入眠後3時間に深く眠ることが重要とされており、夜更かしが続くとニキビが悪化しやすくなります。
また、ストレスがたまるとホルモンバランスが崩れ、皮脂の過剰分泌に直結します。入浴やアロマ、軽い運動などで気分転換を意識しましょう。食事では、ビタミン類やたんぱく質、ミネラルを意識的に摂ると肌の代謝を整える助けになります。油ものを完全に避ける必要はありませんが、過剰摂取は控えるのがベターです。
皮膚科で処方される塗り薬
市販薬やスキンケアで効果を感じられないときは、皮膚科での治療が有効です。外用薬としてはアクネ菌を抑える抗生物質、毛穴の詰まりを改善するピーリング作用のある薬などが処方されます。ヒルドイドのような保湿剤も、これらの治療薬の副作用(乾燥など)を軽減する目的で処方されることがあります。
ヒルドイドはニキビの保湿ケアに有効!ただし自己判断せず、医師に相談しよう
ヒルドイドは、保湿力の高さと抗炎症作用が特徴の医療用外用薬で、乾燥や軽い皮膚炎の治療に広く使われています。ただし、ヒルドイドは本来ニキビ治療薬ではないため、自己判断で使うのは避けましょう。皮脂の多い部位や、炎症が強い赤ニキビには向かない場合もあり、誤った使い方をすると悪化の原因になることもあります。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
仕事や家事、育児などで時間が取れず、皮膚科に通うのが難しいという方には、オンライン診療の活用がおすすめです。通院が難しいからといって自己判断で市販薬に頼りすぎる前に、専門医の診療をオンラインで受けてみませんか?
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどのデバイスを使って、通院せずに医師の診察が受けられる医療サービスです。自宅にいながらビデオ通話で医師と会話ができ、問診から診断、処方箋の発行、支払いまですべてをオンライン上で完結できます。忙しくて時間がとれない方や、近くに医療機関がない方でも、スムーズに受診できるのが特徴です。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療の予約から薬の受け取りまでをアプリひとつで完結できるサービスです。使い方はシンプルで、好きなクリニックや薬局を選んで診察を受けるだけで、薬は自宅に当日または翌日に配送されます。
お薬手帳のデジタル管理や、スタッフによるサポート体制も整っており、オンライン診療を初めて利用する方でも安心して使えるのが特徴です。通院の手間を省きながら、医師の診療をしっかり受けたい方にとって、実用性の高いサービスと言えるでしょう。
まとめ
ヒルドイドはニキビを直接治す薬ではありませんが、保湿作用や炎症を和らげる効果、肌の修復を助ける働きによって、ニキビケアの一環として役立つことがあります。ただし、誤った使い方をすると症状を悪化させるおそれもあるため、使用前には正しい知識と注意点を確認しておくことが大切です。ニキビが改善しない場合やヒルドイドの使い方に迷ったときは、できるだけ早めに皮膚科を受診しましょう。

医師
五藤 良将

この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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