【皮膚科医師監修】ヘルペスはどこからうつる?1型と2型の違い、予防方法を紹介!
ヘルペスはうつる病気なのか?
「ヘルペス」と聞くと、多くの方が「うつる病気なの?」と不安になるかもしれません。実際に、ヘルペスは人から人へとうつる感染症です。ただし、どのように感染するのか、どんな種類のヘルペスがあるのかを正しく理解していれば、過度に心配する必要はありません。
ヘルペスウイルスの種類
ヘルペスと呼ばれるウイルスには、8種類の「ヒトヘルペスウイルス」が存在します。その中でもよく知られているのが「単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)」と「単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)」です。HSV-1は主に顔や唇など上半身に、HSV-2は主に性器など下半身に症状を引き起こします。
また、ヘルペスウイルスの中には、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」、乳幼児の発熱を引き起こす「ヒトヘルペスウイルス6型・7型」なども存在します。
ヘルペスウイルスの感染力は
単純ヘルペスウイルスは非常に感染力の強いウイルスです。症状が出ているときには、水ぶくれやただれの中に大量のウイルスが存在しており、この状態で接触すると、他人に感染を広げるリスクが高くなります。
また、症状がない時でも感染力を持っているという点に注意しないといけません。ウイルスを持っている方が自覚症状がない場合でも、唾液や皮膚表面から他人へ感染させてしまうことがあるのです。
感染のしくみ
単純ヘルペスウイルスは、皮膚や粘膜を通じて体内に侵入し、神経に潜伏するウイルスです。感染は、ウイルスが付着した手や物、あるいは体液との直接的な接触を通じて起こります。
一度感染するとウイルスは神経節に潜んで活動を休止しますが、ストレスや疲労、免疫力の低下などをきっかけに再活性化し、再発を繰り返すことが特徴です。HSV-1とHSV-2は感染経路や発症部位に違いがありますが、感染の基本的なしくみは共通しています。
単純ヘルペスウイルスの抗体保有率は
ほとんどの方が思春期までにHSV-1に感染し、抗体を持っているとされていました。HSV-1抗体保有率は約50〜70%程度です。しかし、近年は衛生環境の向上や家族構成の変化により、幼少期に感染する機会が減少しています。そのため、大人になってから初めて感染する人が増えており、抗体を持たない成人の割合も上昇傾向にあります。
成人のHSV-2の抗体保有率は5〜10%と比較的低めですが、性行為を通じての感染が多いため注意が必要です。
単純ヘルペス1型(HSV-1)とは
上半身を中心に症状が現れるヘルペスウイルスで、多くの方が幼少期から思春期にかけて感染しています。日本人の約半数がすでに感染しており、無症状のまま体内にウイルスを持っているケースも少なくありません。
上半身に現れるヘルペスの原因になる
主に顔や口の周辺に感染し、「口唇ヘルペス」と呼ばれる症状を引き起こします。ウイルスは三叉神経節という神経の根元に潜伏し、免疫が弱ったときに活性化して再発します。口唇ヘルペスの他にも、角膜炎、歯肉口内炎、咽頭炎、さらには重症例では脳炎の原因になるため注意しましょう。
近年では、HSV-1が性器にも感染するケースが増えており、オーラルセックスを通じて性器ヘルペスの原因となることもあります。
単純ヘルペス1型の症状
初感染は、多くの場合幼少期に起こり、症状がほとんど出ないか、出ても軽度で気づかないことがほとんどです。成人になって初めて感染した場合は、強い症状が出ることがあります。感染部位が赤く腫れ、小さな水ぶくれが多数でき、発熱やだるさ、リンパ節の腫れなどの全身症状を伴うこともあります。回復には2〜4週間程度必要です。
再発する場合は、口唇にピリピリ、チクチクといった前兆症状が現れた後、小さな水ぶくれができ、やがてかさぶたとなって1週間ほどで自然に治癒します。多くのケースでは前兆から24時間以内に症状が進行するため、早期対応が重要です。
単純ヘルペス1型がうつるタイミングは
HSV-1は、症状が現れていないときでも他人にうつる可能性があるウイルスです。また、口唇ヘルペスが出ている期間は感染力が非常に高く、身近な人にうつるリスクが上がるため、注意が必要です。
感染経路
主に接触によって感染します。最も一般的なのは、口から口への接触です。キスや飲食物の共有、同じタオルや食器の使用などを通じてウイルスが広がります。
水ぶくれができている時期はウイルス量が多いため、注意しましょう。直接触れたり、患部に触れた手で他の人の皮膚や粘膜に触れることで感染します。また、唾液に含まれるウイルスが飛沫として飛び散り、近距離での会話やくしゃみなどによって感染が起こることもあります。
感染予防のポイントは
感染を防ぐためには、日常生活の中で少しの配慮が大切です。症状が出ている方との直接的なスキンシップ(キスや頬ずりなど)は控えるようにしましょう。口唇ヘルペスが出ているときは、患部に触れた手で他の部分に触れないよう注意し、手をこまめに洗うことが重要です。
タオルや食器類の共用も避けてください。ウイルスはプラスチックやガラスの表面では数時間生き残ることが確認されており、家族内での間接的な感染も起こり得ます。ただし、使用後に洗剤で洗えば問題ありません。疲労やストレスをためず、規則正しい生活を送ることで再発の予防にもつながります。
単純ヘルペス2型(HSV-2)とは
主に性器やその周辺に症状を引き起こすヘルペスウイルスで、性行為を通じて感染する性感染症のひとつです。世界中で約4億人が感染していると推定されています。感染者は男性よりも女性の方が多いことがわかっています。これは、性行為によるウイルスの感染が男性から女性へ広がりやすいという性差に基づく要因によるものです。
下半身に現れるヘルペスの原因になる
下半身にできる「性器ヘルペス」の主な原因はウイルスです。ウイルスは腰の神経節(腰仙髄神経節)に潜伏し、性器の周囲や肛門、お尻、太ももなどに症状が出ることがあります。近年では、HSV-1によって性器ヘルペスが起こるケースも増えていますが、再発しやすく長期的に症状を繰り返すのはHSV-2による感染がほとんどです。
性器ヘルペスは、見た目や響きから重い病気と思われがちですが、正しい知識とケアによって症状を軽減し、感染拡大を防げます。
初感染では、感染後2〜10日ほどで症状が現れることがあります。性器やその周辺に赤みやかゆみを伴う水ぶくれが主な症状です。水泡が破れると痛みを伴うただれが現れます。初感染時には、発熱、だるさ、リンパ節の腫れ、頭痛などの全身症状が起こることもあります。
再発時の症状は初感染よりも軽く、前兆としてピリピリ、ムズムズとした違和感を感じることがほとんどです。女性は平均して年7回、男性では年12回程度と再発頻度が高く、生活に支障をきたすケースもあります。ウイルスが活発になると再発間隔が短くなることがあるため、早めの治療と予防が大切です。
単純ヘルペス2型がうつるタイミングは
症状が出ていない時でも感染する可能性のあるウイルスです。見た目に異常がなくても、ウイルスは皮膚表面や体液に存在していることがあり、相手に感染するリスクがあります。そのため、症状のない時期でも注意が必要です。
感染経路
主に性交渉を通じて感染します。性器同士の接触はもちろん、肛門や口との接触でも感染する可能性があります。感染は皮膚の見た目が正常でも起こり得るため、「症状がないから大丈夫」という判断は危険です。
出産時に母親が性器ヘルペスを発症している場合、産道を通る際に赤ちゃんに感染することがあります(新生児ヘルペス)。これはまれなケースですが、重症化すると命に関わることもあるため、妊娠中の女性は特に注意が必要です。
HIVの感染との関係
HSV-2はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)との関連が深いことが知られています。HSV-2に感染していると、HIVに感染するリスクが約3倍に高まるといわれています。性器にできた潰瘍やただれは、HIVウイルスの侵入を助けてしまうことが理由です。
さらに、HIVにすでに感染している人がHSV-2にも感染すると、HIVを他人にうつすリスクが高くなります。免疫力が低下した状態ではヘルペスの症状が重くなりやすく、再発もしばしば起こります。HIV感染者にとってHSV-2は特に注意すべきウイルスといえるでしょう。
感染予防のポイントは
感染を防ぐには、正しい知識と実践的な対策が欠かせません。最も基本的な予防法は、症状があるときは性交渉を避けることです。水ぶくれやただれがあるときはウイルスの量が多く、感染のリスクが最大になります。
また、症状がない時期にも感染する可能性があるため、常にコンドームを使用することが推奨されます。ただし、ヘルペスはコンドームで覆われない部分からも感染するため、完全に防げるわけではありません。相手に症状があるかどうかを確認する、性器や口の周りに違和感があるときは無理をしないといった配慮も大切です。
妊娠中の女性は、過去にヘルペスの症状があった場合や、パートナーが感染している可能性がある場合には、産婦人科医に相談して適切な対策をとるようにしましょう。
感染、再発しないためには免疫力を高めよう
感染症に打ち勝つために「免疫力を高めることが大切」とよく言われます。ヘルペスウイルスのように、一度体内に入ると再発を繰り返す感染症では、免疫機能の強さが症状の出方や回復スピードに大きく影響します。
免疫力とは
「免疫」とは、体内に侵入したウイルスや細菌といった病原体を排除し、健康を守るための防御システムです。この免疫には主に「自然免疫」と「獲得免疫」という2つの仕組みがあります。
自然免疫は生まれつき備わっている防御機能です。異物を即座に察知して排除しようとします。一方で、獲得免疫は過去に出会った病原体を「記憶」し、次に同じものが侵入してきた時には、より素早く、効率的に対応します。
免疫力とは、この自然免疫と獲得免疫の両方がバランスよく働いている状態のことです。単に「高めれば良い」というものではありません。自分の体にとって適切に機能しているかどうかが重要です。
加齢によって弱ってくる
免疫力は年齢とともに少しずつ低下していきます。ウイルスや細菌に反応する免疫細胞は、骨髄や胸腺という器官で作られ成熟しますが、この胸腺は思春期をピークに機能が低下していきます。そのため、高齢者になると病気にかかりやすくなり、症状も長引きやすくなるのです。
加齢に伴う免疫力の低下は自然なことですが、日々の生活習慣を見直すことで、免疫機能を維持しやすくなります。運動や栄養、睡眠などの積み重ねが、免疫細胞の働きを支えてくれるのです。
対策①体を温める
体温と免疫機能は密接に関係しています。体が温まると、血流やリンパの流れが良くなり、免疫細胞が全身をスムーズに巡回できるようになります。逆に冷えた状態では、免疫細胞の活動が鈍くなり、病原体に対する反応も遅れてしまう可能性があるのです。
適度な運動や入浴で体温を少し上げることは、免疫機能の活性化に役立ちます。お風呂にゆっくり浸かることは、リラックス効果とともに血行促進にもつながり、日々の習慣として取り入れやすい方法です。
対策②バランスのよい食事をとる
免疫細胞がきちんと働くためには、糖やアミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が必要です。特定の食品に偏るのではなく、バランスよく食べることが基本となります。
極端なダイエットや偏食を避け、1日3食、決まった時間に食事をとることを心がけましょう。特別な「免疫を高める食品」に頼るのではなく、日常的に栄養のバランスを整えることが、長い目で見て免疫力を安定させる近道です。
対策③腸内環境を整える
腸には、全身の免疫細胞の約7割が集まっていると言われています。そのため、腸の健康状態はそのまま免疫力に直結します。腸内環境を良好に保つためには、発酵食品を取り入れた食生活が効果的です。
ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品には、腸内の善玉菌を増やし、腸の働きを助ける作用があります。また食物繊維も善玉菌のエサとなるため、野菜や海藻類なども積極的に取り入れましょう。腸が整うことで、体の中の炎症を抑える効果も期待でき、ヘルペスなどの再発を防ぐ上でも効果的です。
強い痛みや違和感を伴う水ぶくれが出たら、早く皮膚科を受診しよう
口唇や性器の周辺に、小さな水ぶくれやピリピリとした痛みを感じたら、それは単純ヘルペスウイルスによる症状かもしれません。強い痛みや違和感を伴う場合は、我慢せず、できるだけ早く皮膚科を受診することが大切です。ウイルスが活発に増殖している初期の段階で抗ウイルス薬による治療を始めれば、治癒が早まり、再発のリスクも軽減できます。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「仕事が忙しくて病院に行けない」「子どもがいて外出が難しい」といった理由から、受診を先延ばしにしていませんか? そんなときに活用したいのが、オンライン診療です。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネット環境が整ったスマートフォンやパソコン、タブレットを使って、自宅などから医師の診察を受けられる医療サービスです。ビデオ通話を通じて医師と直接話し、症状を伝えることで、必要な薬の処方やアドバイスを受けられます。予約から問診、診察、支払い、薬の受け取りまでがすべてオンライン上で完結するため、外出が難しい人や多忙な人にとって非常に便利です。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、アプリで簡単にオンライン診療を受けられるサービスです。予約から診療、薬の受け取りまでをワンストップで提供しており、初めての方でも迷うことなく利用できます。
クリニックや薬局をお気に入り登録できる機能や、デジタルお薬手帳など便利なサポートも揃っています。また、全国どこでも当日または翌日に薬を受け取ることが可能です。
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まとめ
ヘルペスは、誰もが感染する可能性のある身近なウイルス感染症です。感染のきっかけや予防のポイントを知っておくことで、自分自身だけでなく、まわりの人への感染も防ぎやすくなります。再発を防ぐには、日頃から免疫力を保つことがとても重要です。もし水ぶくれや痛みといった症状に気づいたら、できるだけ早く皮膚科を受診し、適切な治療を受けましょう。
「ヘルペスはどうやって感染するの?」「なぜ同じ場所に繰り返し症状が出るの?」こうした疑問を抱く人は少なくありません。ヘルペスは一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、体調の変化などをきっかけに再発を起こすことがある感染症です。この記事では、ヘルペスの原因となるウイルスのタイプや、感染が広がる経路、日常生活で気をつけたい予防策について、わかりやすく紹介します。
ヘルペスはうつる病気なのか?
「ヘルペス」と聞くと、多くの方が「うつる病気なの?」と不安になるかもしれません。実際に、ヘルペスは人から人へとうつる感染症です。ただし、どのように感染するのか、どんな種類のヘルペスがあるのかを正しく理解していれば、過度に心配する必要はありません。
ヘルペスウイルスの種類
ヘルペスと呼ばれるウイルスには、8種類の「ヒトヘルペスウイルス」が存在します。その中でもよく知られているのが「単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)」と「単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)」です。HSV-1は主に顔や唇など上半身に、HSV-2は主に性器など下半身に症状を引き起こします。
また、ヘルペスウイルスの中には、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」、乳幼児の発熱を引き起こす「ヒトヘルペスウイルス6型・7型」なども存在します。
ヘルペスウイルスの感染力は
単純ヘルペスウイルスは非常に感染力の強いウイルスです。症状が出ているときには、水ぶくれやただれの中に大量のウイルスが存在しており、この状態で接触すると、他人に感染を広げるリスクが高くなります。
また、症状がない時でも感染力を持っているという点に注意しないといけません。ウイルスを持っている方が自覚症状がない場合でも、唾液や皮膚表面から他人へ感染させてしまうことがあるのです。
感染のしくみ
単純ヘルペスウイルスは、皮膚や粘膜を通じて体内に侵入し、神経に潜伏するウイルスです。感染は、ウイルスが付着した手や物、あるいは体液との直接的な接触を通じて起こります。
一度感染するとウイルスは神経節に潜んで活動を休止しますが、ストレスや疲労、免疫力の低下などをきっかけに再活性化し、再発を繰り返すことが特徴です。HSV-1とHSV-2は感染経路や発症部位に違いがありますが、感染の基本的なしくみは共通しています。
単純ヘルペスウイルスの抗体保有率は
ほとんどの方が思春期までにHSV-1に感染し、抗体を持っているとされていました。HSV-1抗体保有率は約50〜70%程度です。しかし、近年は衛生環境の向上や家族構成の変化により、幼少期に感染する機会が減少しています。そのため、大人になってから初めて感染する人が増えており、抗体を持たない成人の割合も上昇傾向にあります。
成人のHSV-2の抗体保有率は5〜10%と比較的低めですが、性行為を通じての感染が多いため注意が必要です。
単純ヘルペス1型(HSV-1)とは
上半身を中心に症状が現れるヘルペスウイルスで、多くの方が幼少期から思春期にかけて感染しています。日本人の約半数がすでに感染しており、無症状のまま体内にウイルスを持っているケースも少なくありません。
上半身に現れるヘルペスの原因になる
主に顔や口の周辺に感染し、「口唇ヘルペス」と呼ばれる症状を引き起こします。ウイルスは三叉神経節という神経の根元に潜伏し、免疫が弱ったときに活性化して再発します。口唇ヘルペスの他にも、角膜炎、歯肉口内炎、咽頭炎、さらには重症例では脳炎の原因になるため注意しましょう。
近年では、HSV-1が性器にも感染するケースが増えており、オーラルセックスを通じて性器ヘルペスの原因となることもあります。
単純ヘルペス1型の症状
初感染は、多くの場合幼少期に起こり、症状がほとんど出ないか、出ても軽度で気づかないことがほとんどです。成人になって初めて感染した場合は、強い症状が出ることがあります。感染部位が赤く腫れ、小さな水ぶくれが多数でき、発熱やだるさ、リンパ節の腫れなどの全身症状を伴うこともあります。回復には2〜4週間程度必要です。
再発する場合は、口唇にピリピリ、チクチクといった前兆症状が現れた後、小さな水ぶくれができ、やがてかさぶたとなって1週間ほどで自然に治癒します。多くのケースでは前兆から24時間以内に症状が進行するため、早期対応が重要です。
単純ヘルペス1型がうつるタイミングは
HSV-1は、症状が現れていないときでも他人にうつる可能性があるウイルスです。また、口唇ヘルペスが出ている期間は感染力が非常に高く、身近な人にうつるリスクが上がるため、注意が必要です。
感染経路
主に接触によって感染します。最も一般的なのは、口から口への接触です。キスや飲食物の共有、同じタオルや食器の使用などを通じてウイルスが広がります。
水ぶくれができている時期はウイルス量が多いため、注意しましょう。直接触れたり、患部に触れた手で他の人の皮膚や粘膜に触れることで感染します。また、唾液に含まれるウイルスが飛沫として飛び散り、近距離での会話やくしゃみなどによって感染が起こることもあります。
感染予防のポイントは
感染を防ぐためには、日常生活の中で少しの配慮が大切です。症状が出ている方との直接的なスキンシップ(キスや頬ずりなど)は控えるようにしましょう。口唇ヘルペスが出ているときは、患部に触れた手で他の部分に触れないよう注意し、手をこまめに洗うことが重要です。
タオルや食器類の共用も避けてください。ウイルスはプラスチックやガラスの表面では数時間生き残ることが確認されており、家族内での間接的な感染も起こり得ます。ただし、使用後に洗剤で洗えば問題ありません。疲労やストレスをためず、規則正しい生活を送ることで再発の予防にもつながります。
単純ヘルペス2型(HSV-2)とは
主に性器やその周辺に症状を引き起こすヘルペスウイルスで、性行為を通じて感染する性感染症のひとつです。世界中で約4億人が感染していると推定されています。感染者は男性よりも女性の方が多いことがわかっています。これは、性行為によるウイルスの感染が男性から女性へ広がりやすいという性差に基づく要因によるものです。
下半身に現れるヘルペスの原因になる
下半身にできる「性器ヘルペス」の主な原因はウイルスです。ウイルスは腰の神経節(腰仙髄神経節)に潜伏し、性器の周囲や肛門、お尻、太ももなどに症状が出ることがあります。近年では、HSV-1によって性器ヘルペスが起こるケースも増えていますが、再発しやすく長期的に症状を繰り返すのはHSV-2による感染がほとんどです。
性器ヘルペスは、見た目や響きから重い病気と思われがちですが、正しい知識とケアによって症状を軽減し、感染拡大を防げます。
初感染では、感染後2〜10日ほどで症状が現れることがあります。性器やその周辺に赤みやかゆみを伴う水ぶくれが主な症状です。水泡が破れると痛みを伴うただれが現れます。初感染時には、発熱、だるさ、リンパ節の腫れ、頭痛などの全身症状が起こることもあります。
再発時の症状は初感染よりも軽く、前兆としてピリピリ、ムズムズとした違和感を感じることがほとんどです。女性は平均して年7回、男性では年12回程度と再発頻度が高く、生活に支障をきたすケースもあります。ウイルスが活発になると再発間隔が短くなることがあるため、早めの治療と予防が大切です。
単純ヘルペス2型がうつるタイミングは
症状が出ていない時でも感染する可能性のあるウイルスです。見た目に異常がなくても、ウイルスは皮膚表面や体液に存在していることがあり、相手に感染するリスクがあります。そのため、症状のない時期でも注意が必要です。
感染経路
主に性交渉を通じて感染します。性器同士の接触はもちろん、肛門や口との接触でも感染する可能性があります。感染は皮膚の見た目が正常でも起こり得るため、「症状がないから大丈夫」という判断は危険です。
出産時に母親が性器ヘルペスを発症している場合、産道を通る際に赤ちゃんに感染することがあります(新生児ヘルペス)。これはまれなケースですが、重症化すると命に関わることもあるため、妊娠中の女性は特に注意が必要です。
HIVの感染との関係
HSV-2はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)との関連が深いことが知られています。HSV-2に感染していると、HIVに感染するリスクが約3倍に高まるといわれています。性器にできた潰瘍やただれは、HIVウイルスの侵入を助けてしまうことが理由です。
さらに、HIVにすでに感染している人がHSV-2にも感染すると、HIVを他人にうつすリスクが高くなります。免疫力が低下した状態ではヘルペスの症状が重くなりやすく、再発もしばしば起こります。HIV感染者にとってHSV-2は特に注意すべきウイルスといえるでしょう。
感染予防のポイントは
感染を防ぐには、正しい知識と実践的な対策が欠かせません。最も基本的な予防法は、症状があるときは性交渉を避けることです。水ぶくれやただれがあるときはウイルスの量が多く、感染のリスクが最大になります。
また、症状がない時期にも感染する可能性があるため、常にコンドームを使用することが推奨されます。ただし、ヘルペスはコンドームで覆われない部分からも感染するため、完全に防げるわけではありません。相手に症状があるかどうかを確認する、性器や口の周りに違和感があるときは無理をしないといった配慮も大切です。
妊娠中の女性は、過去にヘルペスの症状があった場合や、パートナーが感染している可能性がある場合には、産婦人科医に相談して適切な対策をとるようにしましょう。
感染、再発しないためには免疫力を高めよう
感染症に打ち勝つために「免疫力を高めることが大切」とよく言われます。ヘルペスウイルスのように、一度体内に入ると再発を繰り返す感染症では、免疫機能の強さが症状の出方や回復スピードに大きく影響します。
免疫力とは
「免疫」とは、体内に侵入したウイルスや細菌といった病原体を排除し、健康を守るための防御システムです。この免疫には主に「自然免疫」と「獲得免疫」という2つの仕組みがあります。
自然免疫は生まれつき備わっている防御機能です。異物を即座に察知して排除しようとします。一方で、獲得免疫は過去に出会った病原体を「記憶」し、次に同じものが侵入してきた時には、より素早く、効率的に対応します。
免疫力とは、この自然免疫と獲得免疫の両方がバランスよく働いている状態のことです。単に「高めれば良い」というものではありません。自分の体にとって適切に機能しているかどうかが重要です。
加齢によって弱ってくる
免疫力は年齢とともに少しずつ低下していきます。ウイルスや細菌に反応する免疫細胞は、骨髄や胸腺という器官で作られ成熟しますが、この胸腺は思春期をピークに機能が低下していきます。そのため、高齢者になると病気にかかりやすくなり、症状も長引きやすくなるのです。
加齢に伴う免疫力の低下は自然なことですが、日々の生活習慣を見直すことで、免疫機能を維持しやすくなります。運動や栄養、睡眠などの積み重ねが、免疫細胞の働きを支えてくれるのです。
対策①体を温める
体温と免疫機能は密接に関係しています。体が温まると、血流やリンパの流れが良くなり、免疫細胞が全身をスムーズに巡回できるようになります。逆に冷えた状態では、免疫細胞の活動が鈍くなり、病原体に対する反応も遅れてしまう可能性があるのです。
適度な運動や入浴で体温を少し上げることは、免疫機能の活性化に役立ちます。お風呂にゆっくり浸かることは、リラックス効果とともに血行促進にもつながり、日々の習慣として取り入れやすい方法です。
対策②バランスのよい食事をとる
免疫細胞がきちんと働くためには、糖やアミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が必要です。特定の食品に偏るのではなく、バランスよく食べることが基本となります。
極端なダイエットや偏食を避け、1日3食、決まった時間に食事をとることを心がけましょう。特別な「免疫を高める食品」に頼るのではなく、日常的に栄養のバランスを整えることが、長い目で見て免疫力を安定させる近道です。
対策③腸内環境を整える
腸には、全身の免疫細胞の約7割が集まっていると言われています。そのため、腸の健康状態はそのまま免疫力に直結します。腸内環境を良好に保つためには、発酵食品を取り入れた食生活が効果的です。
ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品には、腸内の善玉菌を増やし、腸の働きを助ける作用があります。また食物繊維も善玉菌のエサとなるため、野菜や海藻類なども積極的に取り入れましょう。腸が整うことで、体の中の炎症を抑える効果も期待でき、ヘルペスなどの再発を防ぐ上でも効果的です。
強い痛みや違和感を伴う水ぶくれが出たら、早く皮膚科を受診しよう
口唇や性器の周辺に、小さな水ぶくれやピリピリとした痛みを感じたら、それは単純ヘルペスウイルスによる症状かもしれません。強い痛みや違和感を伴う場合は、我慢せず、できるだけ早く皮膚科を受診することが大切です。ウイルスが活発に増殖している初期の段階で抗ウイルス薬による治療を始めれば、治癒が早まり、再発のリスクも軽減できます。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「仕事が忙しくて病院に行けない」「子どもがいて外出が難しい」といった理由から、受診を先延ばしにしていませんか? そんなときに活用したいのが、オンライン診療です。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネット環境が整ったスマートフォンやパソコン、タブレットを使って、自宅などから医師の診察を受けられる医療サービスです。ビデオ通話を通じて医師と直接話し、症状を伝えることで、必要な薬の処方やアドバイスを受けられます。予約から問診、診察、支払い、薬の受け取りまでがすべてオンライン上で完結するため、外出が難しい人や多忙な人にとって非常に便利です。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、アプリで簡単にオンライン診療を受けられるサービスです。予約から診療、薬の受け取りまでをワンストップで提供しており、初めての方でも迷うことなく利用できます。
クリニックや薬局をお気に入り登録できる機能や、デジタルお薬手帳など便利なサポートも揃っています。また、全国どこでも当日または翌日に薬を受け取ることが可能です。
まとめ
ヘルペスは、誰もが感染する可能性のある身近なウイルス感染症です。感染のきっかけや予防のポイントを知っておくことで、自分自身だけでなく、まわりの人への感染も防ぎやすくなります。再発を防ぐには、日頃から免疫力を保つことがとても重要です。もし水ぶくれや痛みといった症状に気づいたら、できるだけ早く皮膚科を受診し、適切な治療を受けましょう。
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皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療
2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業


















































