【医師監修】口のまわりがかゆい・赤い…ヘルペスかも?ステロイドは使っていい?
ヘルペスが繰り返すのはなぜ?
ヘルペスは「一度治ったら終わり」ではありません。体の中に潜んだウイルスがときどき顔を出すことで何度も起こります。普段は静かにしているウイルスが、からだの調子が崩れた瞬間を狙って活動を再開する、という性質があるからです。
原因は体に潜む「単純ヘルペスウイルス」
原因は単純ヘルペスウイルス(HSV)です。感染後は三叉神経などの神経節に潜伏し、体の防御力が弱まったタイミングで再活性化します。完全に体内から消すことはできないため、「治ったように見えても再発する」病気です。
ストレスや疲れで再発
睡眠不足や強いストレス、風邪などで免疫が落ちたとき、また強い紫外線を浴びたときに再発しやすくなります。月末の忙しさや季節の変わり目など、生活リズムが乱れたタイミングで「また出てきた」と感じやすいのはこのためです。
口唇ヘルペスの主な症状は
唇やその周りに「チクチク・ピリピリ」といった前ぶれが出て、続いて小さな水ぶくれが群れて現れます。痛みやかゆみを伴い、水ぶくれは破れてびらんとなり、やがてかさぶたになります。
ステロイドでヘルペスが悪化する?その理由
「赤くてかゆい=ステロイドで抑える」という発想は皮膚炎では有効なことがありますが、ヘルペスに対しては逆効果になり得ます。仕組みを知っておくと自己判断のミスを防げます。
ステロイドは“炎症を抑える薬”でもウイルスには無力
ステロイド外用薬は炎症やかゆみを鎮める薬で、湿疹やかぶれには役立ちます。ただし、ヘルペスの原因はウイルスであり、ステロイド自体には抗ウイルス作用がありません。
免疫を抑えることでウイルスが増える?
ステロイドには免疫反応を弱める作用があります。ヘルペス患部に使用すると局所の免疫が落ち、ウイルスが増えやすくなって症状が広がったり、治りが遅くなったりするおそれがあります。
「強い薬ほどよく効く」はウソ?部位によって効果も副作用も変わる
ステロイド外用薬には「弱い・普通・強い・とても強い・最も強い」といった強さの段階があります。市販で選べるのは通常「弱い〜強い」までです。
顔や首、陰部のように皮膚が薄い部位では吸収が高く副作用も出やすくなります。手足の厚い皮膚とは選ぶ強さが異なり、「強ければ安心」ではありません。医師の指示に沿って部位・症状に合う強さを使うことが大切です。
ステロイドの効果が期待できる病気は?
接触皮膚炎(かぶれ)や湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、虫刺されなど、炎症が主体の皮膚疾患ではステロイドが治療の柱です。乾癬やケロイドのように専門的な管理が必要な病気でも、医師の指示のもとで外用ステロイドが用いられることがあります。
「肌の赤みやかゆみ=ステロイド」は要注意
赤み・かゆみがあるからといって、すべてが「湿疹」とは限りません。ヘルペスを湿疹やかぶれと誤認してステロイドを塗ると、かえって長引くことがあります。
かぶれや湿疹とヘルペス、症状だけでは見分けにくい
かぶれ(接触皮膚炎)や湿疹とヘルペスは、赤みやかゆみ、水ぶくれなどの似たような症状を引き起こします。かぶれは、特定の物質に皮膚が触れることで起き、触れた部分に一致して赤くなったり、ブツブツができたりするのが特徴です。湿疹も皮膚の炎症ですが、刺激やアレルギー体質、乾燥などさまざまな原因が絡み合って発症します。
ニキビ?口内炎?似た症状との違い
唇のまわりにできたブツブツや赤みを、ニキビや口内炎と勘違いすることも少なくありません。ニキビは皮脂やアクネ菌が原因で毛穴に炎症が起こる病気で、皮膚表面にポツポツとしたできものが現れます。口内炎は、口の中の粘膜にできる潰瘍で、主にビタミン不足やストレス、免疫力の低下が原因とされています。
迷ったら皮膚科へ。早期診断で悪化を防ぐ
赤みやかゆみ、水ぶくれといった皮膚症状は、見た目だけで原因を特定するのが難しい場合もあります。湿疹やかぶれと初期症状が似ているため、間違った対応をしてしまうと症状が長引いたり、周囲に感染が広がるおそれもあります。自己判断で薬を塗る前に、まずは皮膚科を受診して正しい診断を受けましょう。
ヘルペス治療、正しくできていますか?
ヘルペスの治療は「炎症止め」ではなく「ウイルスを抑えること」が中心です。再発を繰り返す人ほど、正しい初期対応が重要になります。
正しい治療は抗ウイルス薬
治療の基本は抗ウイルス薬です。再発時はチクチクした前兆や赤みが出てからできるだけ早く開始すると効果的です。医師の判断で内服薬を中心に処方されます。外用の抗ウイルス薬が使われることもありますが、ステロイドは原則として用いません。
再発を繰り返す人のための予防的内服
年に何度も再発する場合は、毎日少量を続ける抑制療法や、前ぶれ時に素早く内服する頓用療法が選択肢になります。自己判断ではなく、再発頻度や生活状況に合わせて医師と相談して決めましょう。
ストレス・疲労・紫外線…再発を防ぐ生活習慣
再発を防ぐためには、ストレスや疲労をためないこと、紫外線を避けることが重要です。規則正しい生活を送り、免疫力を維持することで、ヘルペスの再発を防げます。
自己判断でステロイドの使用は悪化のもと。まずは皮膚科を受診しよう
口のまわりが赤くかゆいときほど「とりあえず手元の塗り薬」に頼りがちですが、ヘルペスの可能性がある場合はステロイドで悪化することがあります。迷ったら自己判断は控え、早めに皮膚科で診断を受け、抗ウイルス薬を中心とした正しい治療につなげてください。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「仕事が忙しくて病院に行けない」「子育て中で通院の時間がとれない」など、皮膚科の受診が難しい方もいるかもしれません。そういった場合には、オンライン診療を活用しましょう。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットを通じて医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォンやパソコン、タブレットを使って、ビデオ通話を通じて医師と直接話すことができ、診察の予約から問診、診断、処方箋の発行、支払いまでをすべてオンライン上で完結できます。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をもっと手軽に受けたい方に向けたサービスです。スマートフォンひとつで、診察の予約からお薬の受け取りまでをスムーズに完結できます。
お気に入りのクリニックや薬局を登録できる機能や、薬の管理に役立つデジタルお薬手帳の機能も便利です。また、処方された薬は全国どこでも当日または翌日に受け取ることができ、忙しい方でも安心して利用できる環境が整っています。
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まとめ
口周りの赤みやかゆみがあったとしても、それがヘルペスによるものなら、ステロイドを使用することで症状が悪化するかもしれません。「炎症だからステロイド」といった誤った認識で自己判断をすると、ウイルスの活動を促進してしまう可能性があるのです。
薬を安易に使わず、まずは皮膚科で正確な診断を受けましょう。早期に適切な治療を開始すれば、症状の悪化や再発を防げます。
「口のまわりが赤くてかゆい…とりあえず手元のステロイドを塗っておこう」
そんなふうに、自己判断で塗り薬を使っていませんか?ステロイドには炎症やかゆみを抑える作用がありますが、もしその症状の原因が“ヘルペス”だった場合、使用することで症状を悪化させてしまう可能性があります。
この記事では、ヘルペスとステロイドの関係性や、なぜステロイドの使用が避けられるべきなのか、見分けにくい他の皮膚疾患との違い、そして適切な治療法について、医師の監修のもとでわかりやすく解説します。
ヘルペスが繰り返すのはなぜ?
ヘルペスは「一度治ったら終わり」ではありません。体の中に潜んだウイルスがときどき顔を出すことで何度も起こります。普段は静かにしているウイルスが、からだの調子が崩れた瞬間を狙って活動を再開する、という性質があるからです。
原因は体に潜む「単純ヘルペスウイルス」
原因は単純ヘルペスウイルス(HSV)です。感染後は三叉神経などの神経節に潜伏し、体の防御力が弱まったタイミングで再活性化します。完全に体内から消すことはできないため、「治ったように見えても再発する」病気です。
ストレスや疲れで再発
睡眠不足や強いストレス、風邪などで免疫が落ちたとき、また強い紫外線を浴びたときに再発しやすくなります。月末の忙しさや季節の変わり目など、生活リズムが乱れたタイミングで「また出てきた」と感じやすいのはこのためです。
口唇ヘルペスの主な症状は
唇やその周りに「チクチク・ピリピリ」といった前ぶれが出て、続いて小さな水ぶくれが群れて現れます。痛みやかゆみを伴い、水ぶくれは破れてびらんとなり、やがてかさぶたになります。
ステロイドでヘルペスが悪化する?その理由
「赤くてかゆい=ステロイドで抑える」という発想は皮膚炎では有効なことがありますが、ヘルペスに対しては逆効果になり得ます。仕組みを知っておくと自己判断のミスを防げます。
ステロイドは“炎症を抑える薬”でもウイルスには無力
ステロイド外用薬は炎症やかゆみを鎮める薬で、湿疹やかぶれには役立ちます。ただし、ヘルペスの原因はウイルスであり、ステロイド自体には抗ウイルス作用がありません。
免疫を抑えることでウイルスが増える?
ステロイドには免疫反応を弱める作用があります。ヘルペス患部に使用すると局所の免疫が落ち、ウイルスが増えやすくなって症状が広がったり、治りが遅くなったりするおそれがあります。
「強い薬ほどよく効く」はウソ?部位によって効果も副作用も変わる
ステロイド外用薬には「弱い・普通・強い・とても強い・最も強い」といった強さの段階があります。市販で選べるのは通常「弱い〜強い」までです。
顔や首、陰部のように皮膚が薄い部位では吸収が高く副作用も出やすくなります。手足の厚い皮膚とは選ぶ強さが異なり、「強ければ安心」ではありません。医師の指示に沿って部位・症状に合う強さを使うことが大切です。
ステロイドの効果が期待できる病気は?
接触皮膚炎(かぶれ)や湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、虫刺されなど、炎症が主体の皮膚疾患ではステロイドが治療の柱です。乾癬やケロイドのように専門的な管理が必要な病気でも、医師の指示のもとで外用ステロイドが用いられることがあります。
「肌の赤みやかゆみ=ステロイド」は要注意
赤み・かゆみがあるからといって、すべてが「湿疹」とは限りません。ヘルペスを湿疹やかぶれと誤認してステロイドを塗ると、かえって長引くことがあります。
かぶれや湿疹とヘルペス、症状だけでは見分けにくい
かぶれ(接触皮膚炎)や湿疹とヘルペスは、赤みやかゆみ、水ぶくれなどの似たような症状を引き起こします。かぶれは、特定の物質に皮膚が触れることで起き、触れた部分に一致して赤くなったり、ブツブツができたりするのが特徴です。湿疹も皮膚の炎症ですが、刺激やアレルギー体質、乾燥などさまざまな原因が絡み合って発症します。
ニキビ?口内炎?似た症状との違い
唇のまわりにできたブツブツや赤みを、ニキビや口内炎と勘違いすることも少なくありません。ニキビは皮脂やアクネ菌が原因で毛穴に炎症が起こる病気で、皮膚表面にポツポツとしたできものが現れます。口内炎は、口の中の粘膜にできる潰瘍で、主にビタミン不足やストレス、免疫力の低下が原因とされています。
迷ったら皮膚科へ。早期診断で悪化を防ぐ
赤みやかゆみ、水ぶくれといった皮膚症状は、見た目だけで原因を特定するのが難しい場合もあります。湿疹やかぶれと初期症状が似ているため、間違った対応をしてしまうと症状が長引いたり、周囲に感染が広がるおそれもあります。自己判断で薬を塗る前に、まずは皮膚科を受診して正しい診断を受けましょう。
ヘルペス治療、正しくできていますか?
ヘルペスの治療は「炎症止め」ではなく「ウイルスを抑えること」が中心です。再発を繰り返す人ほど、正しい初期対応が重要になります。
正しい治療は抗ウイルス薬
治療の基本は抗ウイルス薬です。再発時はチクチクした前兆や赤みが出てからできるだけ早く開始すると効果的です。医師の判断で内服薬を中心に処方されます。外用の抗ウイルス薬が使われることもありますが、ステロイドは原則として用いません。
再発を繰り返す人のための予防的内服
年に何度も再発する場合は、毎日少量を続ける抑制療法や、前ぶれ時に素早く内服する頓用療法が選択肢になります。自己判断ではなく、再発頻度や生活状況に合わせて医師と相談して決めましょう。
ストレス・疲労・紫外線…再発を防ぐ生活習慣
再発を防ぐためには、ストレスや疲労をためないこと、紫外線を避けることが重要です。規則正しい生活を送り、免疫力を維持することで、ヘルペスの再発を防げます。
自己判断でステロイドの使用は悪化のもと。まずは皮膚科を受診しよう
口のまわりが赤くかゆいときほど「とりあえず手元の塗り薬」に頼りがちですが、ヘルペスの可能性がある場合はステロイドで悪化することがあります。迷ったら自己判断は控え、早めに皮膚科で診断を受け、抗ウイルス薬を中心とした正しい治療につなげてください。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「仕事が忙しくて病院に行けない」「子育て中で通院の時間がとれない」など、皮膚科の受診が難しい方もいるかもしれません。そういった場合には、オンライン診療を活用しましょう。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットを通じて医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォンやパソコン、タブレットを使って、ビデオ通話を通じて医師と直接話すことができ、診察の予約から問診、診断、処方箋の発行、支払いまでをすべてオンライン上で完結できます。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU(ソクヤク)」は、オンライン診療をもっと手軽に受けたい方に向けたサービスです。スマートフォンひとつで、診察の予約からお薬の受け取りまでをスムーズに完結できます。
お気に入りのクリニックや薬局を登録できる機能や、薬の管理に役立つデジタルお薬手帳の機能も便利です。また、処方された薬は全国どこでも当日または翌日に受け取ることができ、忙しい方でも安心して利用できる環境が整っています。
まとめ
口周りの赤みやかゆみがあったとしても、それがヘルペスによるものなら、ステロイドを使用することで症状が悪化するかもしれません。「炎症だからステロイド」といった誤った認識で自己判断をすると、ウイルスの活動を促進してしまう可能性があるのです。
薬を安易に使わず、まずは皮膚科で正確な診断を受けましょう。早期に適切な治療を開始すれば、症状の悪化や再発を防げます。
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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