少し言われただけで泣くのは病気?涙もろさの原因や考えられる疾患、対処法を紹介!
更新日:2024年12月24日

「少し言われただけで、なぜか涙が出てきてしまう…」「自分は病気なのだろうか…?」そう感じていませんか?日常の中で、ちょっとした言葉に過剰に反応して泣いてしまうことが続くと、不安になったり、自己嫌悪に陥ったりすることもあるでしょう。しかし、その涙は決して「おかしいこと」ではありません。そこには様々な心や体の状態が隠されている可能性があります。この記事では、「少し言われただけで泣いてしまう」という状態が病気なのか、考えられる原因、そしてあなた自身ができる対処法や、専門家へ相談すべき目安について詳しく解説します。一人で抱え込まず、この記事を読んで、ご自身の心や体への理解を深め、適切な一歩を踏み出すきっかけにしてください。
「少し言われただけで泣いてしまう」という状態について、ご自身で悩んだり、周囲からの理解が得られずに苦しんだりしている方は少なくありません。なぜ、他の人よりも感情が揺れ動き、すぐに涙が出てしまうのだろう?これはもしかして病気なのか?治るのだろうか?といった疑問や不安を抱えていることと思います。
感情が大きく揺れ動くことや、それによって涙を流すことは、人間にとって自然な生理的反応の一つです。しかし、「少し言われただけで」というように、その反応が自分でもコントロールできないほど強く、頻繁に起こる場合は、その背景に何らかの原因が隠されている可能性も考えられます。それは必ずしも「病気」という診断がつくものとは限りませんが、心や体が助けを求めているサインである可能性も否定できません。
この記事では、「少し言われただけで泣いてしまう」という状態が、一体何によって引き起こされているのか、その可能性について多角的に解説します。原因を理解することは、自分自身を責めるのではなく、適切な対処法を見つけるための第一歩となります。
少し言われただけで泣くのは病気?考えられる可能性
結論から言うと、「少し言われただけで泣いてしまうこと」が、直ちに特定の「病気」であると断定されるわけではありません。 感情の表現方法や感受性の高さは人それぞれ異なり、非常に個人的なものです。涙腺が緩い、感受性が豊か、といった気質や性格の範囲内であることも十分に考えられます。
しかし、この状態が「以前はそうではなかったのに最近急に始まった」「日常生活に支障が出ている」「自分自身が辛いと感じている」といった場合は、何らかの心や体の状態が影響しているサインである可能性も考えられます。例えば、一時的なストレスや疲労、ホルモンバランスの乱れなどが原因となっていることもあれば、場合によっては精神的な不調や疾患の初期症状として現れている可能性もゼロではありません。
大切なのは、「泣いてしまうこと」を単なる「弱さ」や「欠点」として捉えるのではなく、ご自身の心身が発するメッセージとして受け止めることです。その背景にある可能性を探ることで、適切な対処法や必要なサポートが見えてくるはずです。
病気ではない場合もある?性格や気質との関係
「少し言われただけで泣いてしまう」状態が必ずしも病気ではない、という場合に考えられる要因の一つに、生まれ持った性格や気質があります。人にはそれぞれ個性があり、感受性の高さや感情表現の仕方も異なります。
- 感受性が豊かな人: 他人の言葉の裏にある感情や意図を敏感に察知しやすい人は、喜びや悲しみといった感情も深く感じやすい傾向があります。そのため、何気ない一言でも、その言葉が持つ響きや背景を強く受け止めてしまい、感情が大きく揺れ動くことがあります。
- 共感力が高い人: 他人の感情に寄り添い、あたかも自分のことのように感じ取る力が強い人は、批判的な言葉や残念な出来事を聞いた際に、相手や関係者の感情を強く感じ取り、それが涙となって現れることがあります。
- 内向的な人: 自分の内面で感情を深く処理する傾向がある内向的な人は、外部からの刺激に対して内側で強く反応し、それが表に出る際に涙という形を取りやすいことがあります。
- HSP(Highly Sensitive Person): 非常に繊細な気質を持つHSPは、外部からの刺激(光、音、匂い、他人の感情など)を深く処理する特性があります。そのため、人から言われた言葉も、非HSPの人よりも深く、多角的に受け止め、感情が大きく揺れ動きやすい傾向があります。HSPは病気ではなく、生まれ持った特性の一つと考えられています。この特性を持つ人は、そうでない人に比べて、言葉のニュアンスや背後にある感情を強く感じ取り、それに圧倒されて涙が出てしまうことがあります。
HSPの4つの特徴(DOES)は以下の通りです。
特徴 | 説明 |
---|---|
Depth of processing (深く処理する) | 物事を深く考え、情報を多角的に処理する傾向がある。言葉の裏にある意図やニュアンスも深く汲み取ろうとするため、言葉に過敏に反応しやすい。 |
Overstimulation (過剰に刺激を受けやすい) | 五感からの情報(光、音、匂い、肌触りなど)や、他人の感情、雰囲気といった非言語的な情報にも敏感で、刺激を過剰に受けやすい。会議でのざわつきや人の多い場所など、外部からの刺激に圧倒されやすい。 |
Emotional reactivity and empathy (感情反応が強く、共感力が高い) | 感情の動きが大きく、他人の感情にも非常に敏感で共感しやすい。他人の喜びや悲しみを自分のことのように感じ、それに伴って涙が出やすい。自分自身の感情も強く感じやすい。 |
Sensitivity to subtle stimuli (些細な刺激に気づきやすい) | 他の人が見過ごすような、些細な変化やディテールによく気づく。人の表情の微妙な変化や、言葉の選び方など、細部にも意識が向きやすく、それらに影響されやすい。 |
これらの気質や性格傾向は、病気ではなくその人の個性の一部です。これらの特性を持つ人は、そうでない人に比べて「少し言われただけで泣いてしまう」という経験をしやすいかもしれません。しかし、それがその人の価値を否定するものではなく、むしろ豊かな感受性や深い共感力といった素晴らしい側面を持つことの裏返しであるとも言えます。
もしご自身がこのような気質を持っていると感じる場合は、自分を責めるのではなく、「私は感受性が豊かで繊細な面があるんだな」と受け止めることから始めてみましょう。ご自身の特性を理解し、それに合わせたセルフケアや環境調整を行うことが大切になります。
ただし、以前はそうではなかったのに急に涙もろくなった、この状態によって日常生活に支障が出ているといった場合は、気質だけでなく後述する他の原因が影響している可能性も考えられます。
すぐ泣く状態に隠された原因とは?
「少し言われただけで泣いてしまう」という状態の背景には、気質や性格だけでなく、様々な心や体の状態が隠されている可能性があります。これらの要因が複合的に影響し合っていることも珍しくありません。ここでは、考えられる主な原因を「精神的な原因」と「身体的な原因」に分けて詳しく見ていきましょう。
精神的な原因
感情のコントロールが難しくなり、涙が出やすくなる状態は、心に何らかの負荷がかかっているサインかもしれません。ここでは、精神的な側面から考えられる原因をいくつかご紹介します。
- 過度なストレスや疲労のサイン: 慢性的なストレスや疲労は、感情をコントロールする脳の働きを低下させ、感情が不安定になり、些細なことにも過剰に反応して涙が出やすくなることがあります。「最近強いストレスを感じている」「慢性的に疲れている」といった場合は、これが原因かもしれません。
- うつ病の初期症状の可能性: 気分の落ち込みに加え、感情の不安定さや涙もろさがうつ病の初期症状として現れることがあります。以前は泣かなかったのに急に涙が出やすくなり、気分の落ち込み、意欲低下、不眠などの症状が2週間以上続く場合は注意が必要です。
- 適応障害: 特定のストレス(人間関係、環境の変化など)にうまく適応できず、不安や抑うつ、イライラ、涙もろさなどの症状が現れる状態です。原因となるストレスから離れると症状が改善する傾向があります。
- HSP(繊細さん)の特徴: 性格や気質の項目で詳しく述べたように、HSPの特性(深い処理、過剰な刺激への反応、強い感情反応と共感力、些細な刺激への気づき)により、言葉や状況に敏感に反応し、涙が出やすくなることがあります。
- その他の精神疾患: まれに双極性障害や不安障害、パーソナリティ障害など、他の精神疾患の一部で感情の不安定さが症状として現れることがあります。これらの疾患には感情の不安定さ以外の顕著な症状も伴うことが多いです。
身体的な原因
体の状態が整っていないことも、感情の安定性に影響を与えます。
- ホルモンバランスの乱れ(PMS/更年期など): 特に女性は、月経前、更年期、妊娠・出産・産後などにホルモンバランスが大きく変動し、感情が不安定になり涙もろさを感じやすくなることがあります。男性の男性更年期でも同様の変化が見られることがあります。
- 睡眠不足や生活習慣の乱れ: 慢性的な睡眠不足や不規則な生活は、自律神経やホルモンバランス、脳機能に悪影響を及ぼし、感情のコントロールを難しくします。十分な休息が取れていない、食生活や運動習慣が乱れている場合、涙もろさの原因となることがあります。
少し言われただけで泣いてしまう人ができる対処法
「少し言われただけで泣いてしまう」という状態を改善するために、ご自身でできる対処法はいくつかあります。これらの対処法は、原因が気質であれ、ストレスや疲労であれ、心身のバランスを整える上で有効です。
精神的なケア方法
- ストレス軽減とリラックス: ストレスの原因を特定し、深呼吸、瞑想、筋弛緩法などのリラクゼーション法を日常に取り入れましょう。趣味の時間を持つことも効果的です。泣きたい時は我慢せず、一人になれる場所で感情を解放するのも良いでしょう。
- 感情のコントロール練習: 自分の感情に気づき、名前をつける(ラベリング)練習をします。また、自分の気持ちを適切に伝えるアサーションや、ネガティブな思考パターンに気づき、別の見方を考える認知行動療法的なアプローチも有効です。感情は波のように変化することを理解し、客観視する練習も大切です。
- 十分な休息をとる: 質の良い睡眠を確保し、日中も意識的に休憩を取るように心がけましょう。睡眠不足は感情の不安定さを招きます。
身体的なケア方法
- 生活習慣の見直し: バランスの取れた食事を摂り、適度な運動を習慣にしましょう。規則正しい生活リズムは、体内時計を整え、心身の安定につながります。脳の働きを助ける栄養素を意識して摂取することも重要です。
- 必要に応じた専門家への相談: セルフケアで改善しない場合や、状態が辛い場合は、一人で抱え込まず専門家への相談を検討しましょう。
「少し言われただけで泣いてしまう」という状態が続く場合や、他の症状が伴う場合は、専門家への相談を検討しましょう。
涙が続くにはどのような症状?
- 涙もろさが以前より明らかに増え、または急に始まった
- 感情のコントロールが難しく、自分自身が辛いと感じる
- 日常生活(仕事、学業、家事など)に支障が出ている
- 感情の不安定さ以外にも、慢性的な疲労、不眠、食欲不振などの体の不調がある
- 意欲や興味が著しく低下している
- 強い不安や抑うつ気分が2週間以上続いている
- セルフケアを試しても効果がない
- 自己肯定感が著しく低下している
これらのサインは、心身が助けを求めている可能性があります。
どこに相談すれば良い?(精神科、心療内科、カウンセラー)
相談先を選ぶ際は、ご自身の状態や目的に合わせて検討しましょう。
相談先 | 特徴・役割 | 向いているケース |
---|---|---|
精神科医 | 精神疾患の診断、薬物療法、精神療法など、精神疾患全般の治療を行います。医学的な観点から評価し、薬を処方できます。 | 精神疾患(うつ病、適応障害など)の可能性が疑われる、診断や薬物療法を検討したい、日常生活に大きな支障が出ている場合。 |
心療内科医 | ストレスなど心の問題が原因で体に症状が出る「心身症」を主に扱います。体の不調も合わせて相談しやすいです。精神的な問題も診察します。 | ストレスによる体の不調を伴う場合。「少し言われただけで泣いてしまう」と同時に、体の症状にも悩んでいる場合。 |
臨床心理士・公認心理師(カウンセラー) | カウンセリングを通じて、悩みや問題を整理し、心の状態を改善するサポートを行います。診断や薬の処方はできません。じっくり話を聞いてもらえます。 | 診断名がつかないが悩みを抱えている場合(HSPなど)。セルフケアや感情との付き合い方を学びたい場合。特定の悩みについてじっくり話したい場合。 |
まずはかかりつけ医に相談したり、症状に合わせて適切な専門機関を選んだりすることが大切です。予約制の場合が多いので、事前に確認しましょう。
少し言われただけで泣く場合は相談を
「少し言われただけで泣いてしまう」という状態について、それが直ちに特定の「病気」であるとは限らないこと、しかしその背景には気質や性格、過度なストレスや疲労、精神疾患、ホルモンバランスの乱れなど、様々な原因が隠されている可能性があることを解説しました。
もしあなたがこの状態で悩んでいるなら、まずはご自身を責めないでください。感情が揺れ動きやすいことや、涙が出てしまうことは、あなたの個性の一部であったり、心や体が助けを求めているサインであったりします。
ご紹介したセルフケア方法(ストレス軽減、感情コントロール練習、十分な休息、生活習慣の見直しなど)は、心身のバランスを整え、感情の安定につながる有効な手段です。
そして、もしセルフケアだけでは改善が見られない場合や、日常生活に支障が出ている場合、他の辛い症状も伴っている場合は、一人で抱え込まず、専門家(精神科医、心療内科医、カウンセラーなど)に相談することを強くおすすめします。専門家はあなたの状態を正しく理解し、適切な診断やサポートを提供してくれます。専門家への相談は、決して「弱いこと」ではなく、ご自身の心と体を大切にするための賢明な選択です。
「少し言われただけで泣いてしまう」という悩みを持つあなたが、ご自身の心と体についてより深く理解し、自分に合った対処法を見つけ、安心して日々を送れるようになることを願っています。
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