インフルエンザで休む期間は何日?大人・子供の復帰目安とその計算方法【医師監修】
インフルエンザで休む期間の基本ルール
インフルエンザで休む期間については、以下の2つの基準で決められています。
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つまり熱が下がってもすぐには外出できません。なぜなら解熱してもウイルスを周囲に放出する可能性があるためです。
当記事では、インフルエンザ後の復帰までの期間の計算方法、計算の参考表とともに、大人の出勤停止期間と子供の出席停止期間について解説します。
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インフルエンザで休む期間の基本原則
インフルエンザは発症から数日、ウイルスの量が多く、人にうつしやすい期間が続きます。
学校には学校保健安全法が定める出席停止基準がありますが、社会人には社会が定めた厳密なルールはありません。
社会人の場合、周囲への感染を防ぐため、文部科学省の学校保健安全法が示す基準や厚生労働省が示す「感染力が強い時期」を目安に、「いつまで休み」「いつから戻るか」を判断するのが実用的です。
大人(社会人)の場合
大人・社会人の場合、出勤の可否や復帰時期は、まず自分の会社の就業規則や人事の指示に従いましょう。
多くの企業は学校保健安全法の基準を参考に「発症後5日以上かつ解熱後2日以上」を復帰目安として運用しています。
社会人のインフルエンザ休暇・復帰目安
● 発症日:症状が出た日(0日目と計算します)
● 解熱日:解熱剤の服用なしで平熱になった日
● 復帰日:「発症後5日以上」かつ「解熱後2日以上」経過
発症日の数え方は、「発症日を0日目」とし、翌日を1日目としてカウントします。解熱が早くても、解熱したその日や翌日にすぐ職場へ戻るのでなく、感染力が下がるまでの「解熱後2日」の猶予を見ると安心です。
上記を踏まえ、下記の図に「水曜日に発症し、土曜日に解熱した場合」の計算式をご参考として記載します。
インフルエンザが疑われる症状が出ているなか、以下の状況はございませんか。
熱やつらい症状をはやく治すには、処方薬の抗インフルエンザ薬が役立ちます。現在では市販検査キットの結果をもとにオンライン診療で処方薬を自宅へ配送することもできます。
インフルエンザかもしれないときのオンライン診療サービスの活用法や準備することなどはコチラの記事にて説明しています。
まずはインフルエンザか検査を
インフルエンザの検査は発症から24~48時間以内でないと正しく結果が出ないといわれます。
また、タミフルなどの抗ウイルス薬は発症から48時間以内に飲むことでインフルエンザ期間を短くすることが期待できます。
市販検査キットとオンライン診療を組みあわせて迅速に処方を受けるとよいでしょう。医師の判断次第ですが、陰性でも症状からインフルエンザ薬を処方してもらえる場合もあります。
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子供の場合
小学校・中学校・高校など「学校」に通う子供は、学校保健安全法に基づき、インフルエンザの場合は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」は出席停止です。
これは、学校や園で感染が広がるのを防ぐためです。
また、幼稚園児の場合、園の運用によっては復帰を「解熱後3日」としているところもあります。
大人(社会人)のインフルエンザ出勤停止期間の扱い
期間について
大人がインフルエンザで休む期間を考えるとき、「法律上の扱い」「一般的な休む期間の目安」「医学的な根拠」の3つを理解しておく必要があります。
厚生労働省の示す“感染が強い時期”と実務の目安
一般的な休む期間の目安
厚生労働省が推奨する外出自粛期間
出勤再開の判断基準
もしも会社から出勤を強要されたら
インフルエンザで会社を休む際の休暇の種類
インフルエンザで会社を休むことが決まった場合、その休みの日は給与や休暇の扱いでどうなるのでしょうか。「有給休暇」になるのか、「欠勤」になるのか、あるいは別の手当が出るのか、重要なポイントです。
インフルエンザで仕事を休むときの扱いは、「本人の私傷病で働けないのか」「会社の判断で就業を禁止されたのか」で分かれます。
有給か欠勤のどちらも選択可能
出勤停止命令の場合、有給が消化されるのか
インフルエンザもオンライン診療
子供のインフルエンザ出席停止期間の詳細
大人には法律上の明確な出勤停止義務がないのに対し、子供の場合は集団生活の場である学校や園での感染爆発(アウトブレイク)を防ぐため、法律によって明確に「出席停止期間」が定められています。これは「学校保健安全法」に基づくルールです。
以下に順番に説明します。年齢(学齢)によって基準が少し異なるため、正確に理解しておきましょう。
参考元
『文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説」』
『「学校保健安全法施行規則」』
幼稚園児・保育園児
小学生・中学生・高校生
大学生・専門学校生
学校保健安全法による出席停止の基準
インフルエンザは、「学校保健安全法施行規則」において「第二種の感染症」に指定されています。これは、学校などの集団生活において流行を広げる可能性が高いためです。
この法律に基づき、感染した児童生徒は、他者への感染のおそれがなくなるまでの一定期間、出席を停止することが義務付けられています。
幼稚園児・保育園児の場合
幼児の場合、出席停止(登園停止)の基準は小学生以上と少し異なり、以下のようになっています。
小学生以上が「解熱後2日」であるのに対し、幼児は園の運用によっては「解熱後3日」と1日長い場合があります。これは、幼児の方がウイルスを排出する期間が長い傾向があることや、体調がぶり返しやすいことを考慮した基準です。
参考元
『こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」』
小学生・中学生・高校生の場合
大学生・専門学校生の場合
出席停止期間中の扱い
学校保健安全法に基づいて休む「出席停止」は、自己都合で休む「欠席」とは異なります。
これは感染拡大防止のための公的な措置であるため、出席停止となった期間は「欠席日数」としてカウントされません。成績評価などで不利益を被ることはありませんので、本人は療養に専念することが重要です。
とはいえ、学習が遅れないように、連絡帳や学習支援ツールで課題や連絡を受け取り、体調が回復してから無理のない範囲で取り組むと安心です。
復帰の際は、発症日と解熱日を正確に伝え、必要に応じて診断書や登校・登園許可の書類を提出してください。学校や園の指示が基準より厳しい場合は、その取り決めが優先されます。
発症後数日経って陽性が判明した場合
検査の結果が出るタイミングは人それぞれですが、復帰の可否は「陽性とわかった日」ではなく「発症した日」と「解熱した日」を軸に決まります。
発熱や強いだるさ、関節痛、のどの痛みなど、インフルエンザらしい症状がはっきり出た日が起点です。
ここを正しく押さえると、陽性判明が遅れても迷わず計算できます。
休む期間の考え方
たとえ診断が遅れたとしても、休む期間の起算点(カウントの開始日)は「診断された日」ではなく、「最初に症状が出た日(発症日)」です。
インフルエンザの出席停止基準(発症後5日、かつ解熱後〇日)は、あくまで医学的な観点(ウイルスの排出期間)に基づいて定められています。病院で診断されたタイミングによって、ウイルスの排出期間が変わるわけではありません。
したがって、月曜日に発熱し、水曜日にインフルエンザと診断された場合でも、「月曜日=発症0日目」として期間を計算します。
無症状の陽性例も一定数あるため、その場合は医師の指示に従い、周囲への配慮を最優先してください。解熱剤で一時的に平熱になっているだけの状態は「解熱」とはみなしません。薬の効果が切れても平熱が続くことを確認してから、解熱後の日数を数えます。
参考元
『川崎医科大学総合医療センター「インフルエンザと出席停止期間」』
注意:診断前に出勤・登校していた場合
最も注意が必要なのが、診断がつく前に出勤や登校をしてしまっていた場合です。発症前日からウイルスは排出されているため、知らず知らずのうちに職場や学校の同僚・友人に感染を広げてしまっているかもしれません。
インフルエンザと診断された時点で、速やかに職場や学校にその事実を報告してください。連絡の目的は、あなたを責めることではなく、周囲の体調観察や環境整備を早めることにあります。
これは、周囲への感染拡大を防ぎ、注意喚起を促すために非常に重要な社会的マナーです。「いつから症状があり、診断がつくまで出勤(登校)していたか」を正確に伝え、組織としての対応(消毒や他の人の健康観察など)を可能にする必要があります。
同僚やクラスメイトへの個別連絡は、原則として本人が直接行う必要はありません。学校や会社の衛生管理担当・担任・人事が、必要な範囲で周知します。
判断に迷う場合は
「熱っぽかったけど、本格的に高熱が出たのは翌日から。発症日はどっち?」「熱が上がったり下がったりして、いつを『解熱日』とすればいいか分からない」など、ご自身での判断に迷うケースもあるでしょう。
このような場合は、自己判断で復帰時期を決めるのは危険です。必ず診断を受けた医師に相談してください。医師は、症状の経過を医学的に判断し、「あなたは〇月〇日から出勤・登校可能です」という具体的な目安を指示してくれます。
また、学校や会社から診断書や治癒証明書(登校・出勤許可証)の提出を求められる場合に備え、復帰のタイミングと合わせて医師に相談しておくとスムーズです。
抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、ゾフルーザ等)を使うと症状は軽く短くなる傾向がありますが、復帰基準そのもの(発症後の日数や解熱後の日数)が短縮されるわけではありません。体調が戻っても、基準を満たすまでは外出や復帰を控えるのが安全です。
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まとめ
インフルエンザで休む期間は、「いつ発症したか」「いつ解熱したか」を正しく数えることが出勤・登校の可否を決める土台になります。
体調が落ち着いた直後はまだウイルス量が残っている場合があり、無理に早く復帰すると周囲への感染拡大や本人の再悪化につながりかねません。大人も子供も、焦らず客観的な基準で復帰時期を判断しましょう。
子供は法律で出席停止期間が定められている
学校保健安全法の取り扱いにより、原則として「発症後5日+解熱後2日が法令上の基本」で、園児の場合は園が解熱後3日としている場合もあります。
園や学校から個別の指示がある場合はそれに従い、症状が軽快しても条件を満たすまでは自宅で静養します。
大人は法的規定はないが、一般的に同じ基準を適用
社会人の場合、季節性インフルエンザに関しては法律による一律の「出勤停止」義務はありません。
しかし、他者への感染リスクは子供と同じです。そのため、多くの企業が子供の基準(発症後5日、かつ解熱後2日)を就業規則として採用しており、これが社会的な一般的な目安となっています。
まずはご自身の会社のルールを確認することが最優先です。
発症日・解熱日の数え方に注意
「発症日=0日目」「解熱した当日=解熱後0日」という数え方を間違えると、復帰可能日が1〜2日ずれてしまいます。
解熱薬で一時的に熱が下がっているだけでは“解熱”とはみなしません。平熱が安定して続いていることを確認し、日付のカウントを慎重に行いましょう。無熱例では、強い悪寒や筋肉痛などインフルエンザ様症状がはっきり出た日を発症日の起点として扱います。
※当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
3.当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
4.前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
インフルエンザにかかってしまったら、高熱や体の痛みでつらいだけでなく、「学校や会社を何日休めばいいの?」「熱が下がったら、すぐに行ってもいい?」と不安になりますよね。
この記事では、インフルエンザで「何日休むべきか」の基準について解説します。安心して復帰できるよう、計算方法の早見表もご紹介します。
インフルエンザで休む期間の基本ルール
インフルエンザで休む期間については、以下の2つの基準で決められています。
発症してから何日か
熱が下がってから何日か
つまり熱が下がってもすぐには外出できません。なぜなら解熱してもウイルスを周囲に放出する可能性があるためです。
当記事では、インフルエンザ後の復帰までの期間の計算方法、計算の参考表とともに、大人の出勤停止期間と子供の出席停止期間について解説します。
インフルエンザで休む期間の基本原則
インフルエンザは発症から数日、ウイルスの量が多く、人にうつしやすい期間が続きます。
学校には学校保健安全法が定める出席停止基準がありますが、社会人には社会が定めた厳密なルールはありません。
社会人の場合、周囲への感染を防ぐため、文部科学省の学校保健安全法が示す基準や厚生労働省が示す「感染力が強い時期」を目安に、「いつまで休み」「いつから戻るか」を判断するのが実用的です。
大人(社会人)の場合
大人・社会人の場合、出勤の可否や復帰時期は、まず自分の会社の就業規則や人事の指示に従いましょう。
多くの企業は学校保健安全法の基準を参考に「発症後5日以上かつ解熱後2日以上」を復帰目安として運用しています。
社会人のインフルエンザ休暇・復帰目安
● 発症日:症状が出た日(0日目と計算します)
● 解熱日:解熱剤の服用なしで平熱になった日
● 復帰日:「発症後5日以上」かつ「解熱後2日以上」経過
発症日の数え方は、「発症日を0日目」とし、翌日を1日目としてカウントします。解熱が早くても、解熱したその日や翌日にすぐ職場へ戻るのでなく、感染力が下がるまでの「解熱後2日」の猶予を見ると安心です。
上記を踏まえ、下記の図に「水曜日に発症し、土曜日に解熱した場合」の計算式をご参考として記載します。
インフルエンザが疑われる症状が出ているなか、以下の状況はございませんか。
熱やつらい症状をはやく治すには、処方薬の抗インフルエンザ薬が役立ちます。現在では市販検査キットの結果をもとにオンライン診療で処方薬を自宅へ配送することもできます。
インフルエンザかもしれないときのオンライン診療サービスの活用法や準備することなどはコチラの記事にて説明しています。
まずはインフルエンザか検査を
インフルエンザの検査は発症から24~48時間以内でないと正しく結果が出ないといわれます。
また、タミフルなどの抗ウイルス薬は発症から48時間以内に飲むことでインフルエンザ期間を短くすることが期待できます。
市販検査キットとオンライン診療を組みあわせて迅速に処方を受けるとよいでしょう。医師の判断次第ですが、陰性でも症状からインフルエンザ薬を処方してもらえる場合もあります。
子供の場合
小学校・中学校・高校など「学校」に通う子供は、学校保健安全法に基づき、インフルエンザの場合は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」は出席停止です。
これは、学校や園で感染が広がるのを防ぐためです。
また、幼稚園児の場合、園の運用によっては復帰を「解熱後3日」としているところもあります。
大人(社会人)のインフルエンザ出勤停止期間の扱い
期間について
大人がインフルエンザで休む期間を考えるとき、「法律上の扱い」「一般的な休む期間の目安」「医学的な根拠」の3つを理解しておく必要があります。
厚生労働省の示す“感染が強い時期”と実務の目安
社会人の場合、学校のように法律で決められた「出勤停止」のルールはありません。
ただし、厚生労働省は感染性の強い時期として「発症の前日から発症後およそ3〜7日間」を示しており、この間は特に他者へ移しやすいとされています。
発症してから3日間はウイルスの量が多いため、咳をしたり会話をしたりすると周囲へ感染を広げる可能性が高いです。
高熱や咳などの症状があるときは無理をせず、熱が下がった後も体の中にウイルスが残っている可能性があるため、しばらくは外出を控えることが勧められています。
職場で集団感染を防ぐという観点でも、この期間は自宅で療養を続けるのが適切です。
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一般的な休む期間の目安
先ほども説明した通り、法律の定めがないため、現場では「学校保健安全法の基準」を目安にするケースが広く見られます。
さきほどもご紹介した、発症日を0日目として5日が経過し、かつ解熱後2日が経過していることの双方を満たしたタイミングが復帰基準、という考え方です。
これは法的義務ではありませんが、勤務先の衛生管理や周囲への配慮として合理的と考えられています。
症状の強さや基礎疾患の有無、体力の回復度合いによっては、目安より長めの休養が必要になることもあります。
厚生労働省が推奨する外出自粛期間
なぜ厚生労働省や多くの企業が「発症後5日+解熱後2日」という長い休みを推奨するのでしょうか。
これは「みんなの健康を守るため、感染リスクが高い時期は人との接触を減らしましょう」という考え方を示す『目安』です。医学的な根拠、「ウイルスが体から出ていく期間」に基づいて考えられています。
これは法律で「必ず〇日間休むこと」と義務付けたルールであったり、社会人の復帰日数を直接指定したりするものではありません。
目的は自分の療養だけでなく、同僚や取引先を含む周囲への二次感染を防ぐことです。推奨される休養期間は、この「感染力を持つ期間」をカバーするために設定されています。
出勤再開の判断基準
職場復帰を判断する最終的な基準は何になるのでしょうか。
それは「会社の就業規則」です。これまで解説した法律の扱いや一般的な目安(5日+ 2日)はあくまで参考であり、最終的に従うべきは自社が定めたルールです。
インフルエンザと診断されたら、まずは速やかに上司や人事部に連絡し、「何日間休む必要があるか」「復帰の条件は何か」を正確に確認しましょう。
医師の診断書や意見書の提出を求められる場合は、その指示に従いましょう。
もしも会社から出勤を強要されたら
万が一、インフルエンザと診断されているにもかかわらず、上司などから出勤を強要された場合はどうすればよいでしょうか。
企業には「労働契約法」に基づき、従業員の生命や身体の安全を確保しつつ労働できるよう配慮する「安全配慮義務」があります。
感染している従業員を無理に出勤させ、症状を悪化させたり、他の従業員に感染を蔓延させたりする行為は、この義務に違反する可能性があります。
まずは医師の診断書を提示し、休む必要があることを冷静に伝えましょう。
それでも話が進まない場合は、社内のコンプライアンス窓口や人事部、あるいは外部の労働相談窓口への相談もご検討ください。
インフルエンザで会社を休む際の休暇の種類
インフルエンザで会社を休むことが決まった場合、その休みの日は給与や休暇の扱いでどうなるのでしょうか。「有給休暇」になるのか、「欠勤」になるのか、あるいは別の手当が出るのか、重要なポイントです。
インフルエンザで仕事を休むときの扱いは、「本人の私傷病で働けないのか」「会社の判断で就業を禁止されたのか」で分かれます。
有給か欠勤のどちらも選択可能
まず基本的なルールとして、インフルエンザで休む期間を有給休暇にするか欠勤にするかは、従業員本人が選択できます。
本人の体調不良で就労できない場合は、原則として賃金の支払い義務は生じません。そのため、賃金を確保したいときは年次有給休暇を申請して休むのが一般的です。
年次有給休暇が残っていて、その期間に有給を使いたいと会社に申請すれば、会社は原則としてそれを拒否できません。一方で、有給休暇を使わずに「欠勤」(病欠)として処理することもできます。その場合、その日の給与は支払われないのが一般的です。
会社側が「インフルエンザだから」という理由で、あなたの許可なく勝手に有給休暇を消化させることはできないという点が重要になります。有給休暇は、あくまで労働者本人の申請に基づいて使われるものです。
出勤停止命令の場合、有給が消化されるのか
会社側から「他の従業員に移るから出勤停止にする」と強く命じられた場合はどうでしょうか。
出勤の意思があるにもかかわらず、会社の判断(業務命令)で休ませる場合、それは「会社都合の休業」とみなされる可能性があります。
労働基準法第26条では、会社の都合によって従業員を休業させる場合、会社は平均賃金の6割以上の「休業手当」を支払わなければならないと定められています。
したがって、会社命令による出勤停止の場合は、有給休暇が消化されるのではなく、この「休業手当」の支払い対象となるのが原則です。
ただし、会社と従業員が話し合い、従業員本人が同意した上で有給休暇を取得する、という形をとる場合もあります。
対応は会社によって異なるため、この点も就業規則や人事部へ確認しましょう。
子供のインフルエンザ出席停止期間の詳細
大人には法律上の明確な出勤停止義務がないのに対し、子供の場合は集団生活の場である学校や園での感染爆発(アウトブレイク)を防ぐため、法律によって明確に「出席停止期間」が定められています。これは「学校保健安全法」に基づくルールです。
以下に順番に説明します。年齢(学齢)によって基準が少し異なるため、正確に理解しておきましょう。
幼稚園児・保育園児
〇出席停止期間の基準
発症後5日+解熱後2日
ただし、幼児はウイルスが体から出ていく期間がより長いとされるため、園が登園再開を許可するのは解熱後3日とする場合もあります。
小学生・中学生・高校生
〇出席停止期間の基準
発症後5日+解熱後2日
学校保健安全法に基づき、この区分に該当する年齢の子どもは上記の日程と決められています。
大学生・専門学校生
〇出席停止期間の基準
(一般的に)発症後5日+解熱後2日
大学生や専門学生は学校保健安全法の対象ではありませんが、“準じる”という形で同じ期間としているところが多いです。
通っている学校に詳細を確認しておきましょう。
学校保健安全法による出席停止の基準
インフルエンザは、「学校保健安全法施行規則」において「第二種の感染症」に指定されています。これは、学校などの集団生活において流行を広げる可能性が高いためです。
この法律に基づき、感染した児童生徒は、他者への感染のおそれがなくなるまでの一定期間、出席を停止することが義務付けられています。
幼稚園児・保育園児の場合
幼稚園は学校保健安全法の対象ですが、保育園(保育所)は厚生労働省(現在はこども家庭庁)の管轄であり、法律上は異なります。
しかし、保育所においても「保育所における感染症対策ガイドライン」に基づき、学校保健安全法に準じた対応が求められます。
園によっては医師の「治癒証明」や「登園許可書」の提出が必要な場合があるので、受診時に書式の有無を確認しておくとスムーズです。
幼児の場合、出席停止(登園停止)の基準は小学生以上と少し異なり、以下のようになっています。
- ・発症した後5日を経過していること
- ・解熱した後2日を経過しているが、園が解熱後3日としているケースも多い
小学生以上が「解熱後2日」であるのに対し、幼児は園の運用によっては「解熱後3日」と1日長い場合があります。これは、幼児の方がウイルスを排出する期間が長い傾向があることや、体調がぶり返しやすいことを考慮した基準です。
小学生・中学生・高校生の場合
小学生、中学生、高校生の場合、インフルエンザによる出席停止期間は、以下の2つの条件を両方とも満たす必要があります。
- ・発症した後5日を経過していること
- ・解熱した後2日を経過していること
重要なのは、発症した日を「0日目」としてカウントする点です。例えば、すぐに熱が下がったとしても、発症から5日が経過していなければ登校できません。逆に、発症から5日を過ぎても熱が続いていれば、解熱後2日間は休む必要があります。
大学生・専門学校生の場合
大学(高等専門学校を含む)も、学校保健安全法の対象です。したがって、出席停止の基準は小学生や高校生と同じ「発症後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が適用されます。
専門学校(専修学校)についても、この法律の規定が準用されるため、基本的には同じ基準に従うことになります。
具体的な提出物や出欠の扱いは学部や学校ごとの規程で定められているため、保健管理センターや教務窓口の指示に従ってください。
オンライン授業やレポート提出で学習機会を確保できる制度が用意されていることもあります。発症日・解熱日の自己申告だけでなく、医療機関の受診記録や検査結果を求められるケースもあるため、証拠となる書類は保管しておきましょう。
参考元
『学校保健安全法』
出席停止期間中の扱い
学校保健安全法に基づいて休む「出席停止」は、自己都合で休む「欠席」とは異なります。
これは感染拡大防止のための公的な措置であるため、出席停止となった期間は「欠席日数」としてカウントされません。成績評価などで不利益を被ることはありませんので、本人は療養に専念することが重要です。
とはいえ、学習が遅れないように、連絡帳や学習支援ツールで課題や連絡を受け取り、体調が回復してから無理のない範囲で取り組むと安心です。
復帰の際は、発症日と解熱日を正確に伝え、必要に応じて診断書や登校・登園許可の書類を提出してください。学校や園の指示が基準より厳しい場合は、その取り決めが優先されます。
発症後数日経って陽性が判明した場合
検査の結果が出るタイミングは人それぞれですが、復帰の可否は「陽性とわかった日」ではなく「発症した日」と「解熱した日」を軸に決まります。
発熱や強いだるさ、関節痛、のどの痛みなど、インフルエンザらしい症状がはっきり出た日が起点です。
ここを正しく押さえると、陽性判明が遅れても迷わず計算できます。
休む期間の考え方
たとえ診断が遅れたとしても、休む期間の起算点(カウントの開始日)は「診断された日」ではなく、「最初に症状が出た日(発症日)」です。
インフルエンザの出席停止基準(発症後5日、かつ解熱後〇日)は、あくまで医学的な観点(ウイルスの排出期間)に基づいて定められています。病院で診断されたタイミングによって、ウイルスの排出期間が変わるわけではありません。
したがって、月曜日に発熱し、水曜日にインフルエンザと診断された場合でも、「月曜日=発症0日目」として期間を計算します。
無症状の陽性例も一定数あるため、その場合は医師の指示に従い、周囲への配慮を最優先してください。解熱剤で一時的に平熱になっているだけの状態は「解熱」とはみなしません。薬の効果が切れても平熱が続くことを確認してから、解熱後の日数を数えます。
注意:診断前に出勤・登校していた場合
最も注意が必要なのが、診断がつく前に出勤や登校をしてしまっていた場合です。発症前日からウイルスは排出されているため、知らず知らずのうちに職場や学校の同僚・友人に感染を広げてしまっているかもしれません。
インフルエンザと診断された時点で、速やかに職場や学校にその事実を報告してください。連絡の目的は、あなたを責めることではなく、周囲の体調観察や環境整備を早めることにあります。
これは、周囲への感染拡大を防ぎ、注意喚起を促すために非常に重要な社会的マナーです。「いつから症状があり、診断がつくまで出勤(登校)していたか」を正確に伝え、組織としての対応(消毒や他の人の健康観察など)を可能にする必要があります。
同僚やクラスメイトへの個別連絡は、原則として本人が直接行う必要はありません。学校や会社の衛生管理担当・担任・人事が、必要な範囲で周知します。
判断に迷う場合は
「熱っぽかったけど、本格的に高熱が出たのは翌日から。発症日はどっち?」「熱が上がったり下がったりして、いつを『解熱日』とすればいいか分からない」など、ご自身での判断に迷うケースもあるでしょう。
このような場合は、自己判断で復帰時期を決めるのは危険です。必ず診断を受けた医師に相談してください。医師は、症状の経過を医学的に判断し、「あなたは〇月〇日から出勤・登校可能です」という具体的な目安を指示してくれます。
また、学校や会社から診断書や治癒証明書(登校・出勤許可証)の提出を求められる場合に備え、復帰のタイミングと合わせて医師に相談しておくとスムーズです。
抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、ゾフルーザ等)を使うと症状は軽く短くなる傾向がありますが、復帰基準そのもの(発症後の日数や解熱後の日数)が短縮されるわけではありません。体調が戻っても、基準を満たすまでは外出や復帰を控えるのが安全です。
まとめ
インフルエンザで休む期間は、「いつ発症したか」「いつ解熱したか」を正しく数えることが出勤・登校の可否を決める土台になります。
体調が落ち着いた直後はまだウイルス量が残っている場合があり、無理に早く復帰すると周囲への感染拡大や本人の再悪化につながりかねません。大人も子供も、焦らず客観的な基準で復帰時期を判断しましょう。
子供は法律で出席停止期間が定められている
学校保健安全法の取り扱いにより、原則として「発症後5日+解熱後2日が法令上の基本」で、園児の場合は園が解熱後3日としている場合もあります。
園や学校から個別の指示がある場合はそれに従い、症状が軽快しても条件を満たすまでは自宅で静養します。
大人は法的規定はないが、一般的に同じ基準を適用
社会人の場合、季節性インフルエンザに関しては法律による一律の「出勤停止」義務はありません。
しかし、他者への感染リスクは子供と同じです。そのため、多くの企業が子供の基準(発症後5日、かつ解熱後2日)を就業規則として採用しており、これが社会的な一般的な目安となっています。
まずはご自身の会社のルールを確認することが最優先です。
発症日・解熱日の数え方に注意
「発症日=0日目」「解熱した当日=解熱後0日」という数え方を間違えると、復帰可能日が1〜2日ずれてしまいます。
解熱薬で一時的に熱が下がっているだけでは“解熱”とはみなしません。平熱が安定して続いていることを確認し、日付のカウントを慎重に行いましょう。無熱例では、強い悪寒や筋肉痛などインフルエンザ様症状がはっきり出た日を発症日の起点として扱います。
※当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
2.当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
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当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.
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2.
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