蕁麻疹(じんましん)に漢方薬は効くの?タイプ別に効果の期待できる漢方薬を紹介
更新日:2025年02月4日
漢方薬とは
漢方薬は漢方医学の理論に基づき、複数の生薬を決められた分量で組み合わせて作られる薬です。生薬単体では得られない効果が期待されるように設計されています。
生薬とは、漢方薬を作るための原料となるもので、植物の葉や茎、根といった部位、さらには鉱物や動物由来の薬効を持つ部分を加工したものです。加工には、切断、乾燥、蒸すといった方法が用いられます。
西洋薬は、通常1つの有効成分で構成され、血圧を下げる、細菌を殺す、熱や痛みを和らげるなど、特定の症状や病気に対して強力な効果を発揮します。一方、漢方薬は1つの薬剤に複数の有効成分を含むため、さまざまな症状に同時に効果を発揮できる点が特徴です。このため、1つの漢方薬で複数の不調を改善できることがあります。
西洋医学での蕁麻疹治療
蕁麻疹の多くがヒスタミンなどの物質による血管や神経への刺激で起こるため、抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬を使用するのが基本です。塗り薬よりも、内服薬や注射が高い効果を発揮することが多く、服薬を開始してから数日から1週間程度で症状が改善することが一般的です。
治療を続けても症状が完全に治まらない、または薬をやめると再発するといったことが見られる場合もあります。あきらめずに治療を続けることが何より重要です。
蕁麻疹と漢方治療
抗ヒスタミン薬で十分に改善しない場合や症状が長引いて1か月以上続く場合、再発を繰り返す場合は治療がさらに難しくなることがあります。抗ヒスタミン薬で効果が見られない場合は、漢方治療を検討してみましょう。
たとえば西洋医学で治りにくい寒冷蕁麻疹においても、漢方治療は有効とされています。寒冷蕁麻疹は寒さや冷えによる刺激で発症するため、通常の抗ヒスタミン薬では改善が難しいことがありますが、漢方治療による改善が期待できます。
蕁麻疹(じんましん)に効果が期待できる代表的な漢方薬
蕁麻疹にはさまざまなタイプがあり、それぞれに異なる原因や特徴があります。抗ヒスタミン薬などのアレルギーを抑える薬だけでは十分な効果が得られない場合、漢方薬を補助的に使うことがあります。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
十味敗毒湯は、肌のトラブルが始まったばかりの段階で広く使われる漢方薬です。特に、赤みやかゆみがあり、場合によっては少し膿が出るような症状を持つ方に向いています。この薬は、体内にたまった余分な物質や炎症の元を体外へ排出し、皮膚の状態を整えるのに役立ちます。
十味敗毒湯は、この薬に含まれる10種類の生薬が皮膚から毒素や不要なものを排出して症状を和らげる働きを持っていることが名前の由来です。蕁麻疹、湿疹、皮膚炎といった症状を改善し、皮膚の赤みやかゆみ、軽い化膿などを和らげる効果があります。皮膚疾患の初期段階で使用することで、症状が悪化する前に改善を目指せる漢方薬です。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連解毒湯は、体の熱がこもることで引き起こされるさまざまな症状を和らげる漢方薬です。特に、顔が赤くのぼせた感じがあり、イライラして落ち着かない方に向いています。この薬は、湿疹や皮膚のかゆみなど、ほてりが症状を悪化させる皮膚トラブルにも効果を発揮します。
漢方医学では、体に熱がこもると肌のかゆみが強くなったり、気持ちが不安定になったりすると考えられています。黄連解毒湯は、この「体内の熱」を冷ます働きがあり、それによって湿疹やかゆみを軽減するとともに、イライラや不安などの精神的な症状も改善するのが特徴です。体に熱がこもることで現れる多様な不快症状を抑えるための漢方薬になります。
皮膚の温度が上昇することによって起こる蕁麻疹(じんましん)に効く漢方薬
皮膚の温度が上昇することで引き起こされる蕁麻疹には、体の熱を冷ます作用を持つ漢方薬が効果的です。
消風散(しょうふうさん)
消風散は、皮膚の強いかゆみや赤み、ジュクジュクとした湿疹や炎症に効果が期待できる漢方薬です。湿度や温度が高い季節に症状が悪化しやすい方や、患部を温めるとさらにかゆみが増す方に適しています。
湿疹や皮膚炎に加え、水虫やあせもによるかゆみにも効果があるため、幅広い皮膚トラブルに使用できます。高温多湿な環境で悪化しやすい症状の緩和に向いている漢方薬です。
銀翹散(ぎんぎょうさん)
銀翹散は、漢方の考え方に基づき、体に入り込んだ「風熱」の邪気を追い払い、炎症を抑えるための薬です。特に、「風熱」が体の上部に留まることで起こる鼻やのどの乾燥、のどの痛み、頭痛などの症状に効果を発揮します。また、熱によって体内の水分が失われることで起こる口の渇きにも適している漢方薬です。
荊芥(けいがい)や淡豆鼓(たんとうこ)という発散作用のある生薬も含まれているため、麻疹、風疹、蕁麻疹の初期段階の症状にも用いられることがあります。
寒冷が原因によっておこる蕁麻疹(じんましん)に効く漢方
寒冷が原因で起こる蕁麻疹に対しては、体を温め冷えによる症状を和らげる漢方薬が効果的です。
桂枝湯(けいしとう)
桂枝湯は、風邪の初期症状を和らげるために使われる漢方薬です。「少しかぜ気味かな」と感じるときや、「このままだと風邪が悪化しそう」と思った段階(発症から1〜2日以内)で使用するのが効果的です。体を穏やかに温め、自然な発汗を促すことで、冷えによる体調の不調を整える効果が期待できます。
桂麻各半湯(けいまかくはんとう)
桂麻各半湯は、体を温めながら発汗を促すことで、体内にこもった熱や炎症を和らげます。風邪の初期症状で咳や痰がある場合や、皮膚にかゆみを伴う症状に適している漢方薬です。桂枝湯と麻黄湯を組み合わせたているため、発汗を助ける桂枝や麻黄、痛みを緩和する芍薬、咳を抑え去痰作用のある杏仁などの生薬が含まれています。
ストレスが原因によって起こる蕁麻疹(じんましん)に効く漢方薬
蕁麻疹は、ストレスが関与することがあります。ストレスがかかると、体内でヒスタミンが放出されやすくなるためです。ストレスを緩和する効果が期待できる漢方薬を紹介します。
四逆散(しぎゃくさん)
四逆散は、精神的な症状と消化器の不調が関連する場合に用いられる漢方薬です。特に、イライラや不眠、抑うつ感といった精神神経症状に加え、腹痛やお腹の張りなどの消化器症状を伴う方に適しています。また、神経質な性格の方が抱える気管支炎や胃炎の治療にも使われます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
加味逍遙散は、ホルモンバランスの乱れによって起こるイライラや不眠症、冷え症などに効果が期待できる漢方薬です。特に、生理周期や更年期の影響で体調が不安定になりやすい方に向いています。この薬は、原因がはっきりしない体調不良、いわゆる「不定愁訴」を改善するのに広く用いられています。この薬は、体全体のバランスを整え、症状の改善を目指すための漢方薬です。
抑肝散(よくかんさん)
抑肝散は、ストレスや興奮によって引き起こされるイライラや不眠、怒りっぽさ、歯ぎしりなどを和らげる漢方薬です。特に、普段から神経が高ぶりやすく、些細なことでもカッとなりやすい方や、目がさえてなかなか寝つけない方に適しています。また、年齢を重ねるにつれて怒りっぽくなったと感じる方にも効果が期待できます。
小児から高齢者まで幅広く使用できることが特徴です。生後3か月以上の子供にも使え、小児の夜泣きや神経過敏な症状にも対応しています。さらに、更年期障害や血の道症といったホルモンバランスの乱れに伴うイライラや不安感の改善にも有効です。
皮膚のバリア機能の不足によって起きやすい蕁麻疹(じんましん)に効く漢方薬
慢性蕁麻疹の状態にある方は、皮膚のバリア機能が弱まりやすい傾向があります。中医学では、このような体表の防衛機能が低下している状態を「衛気虚(えききょ)」と呼びます。衛気虚が進むと、体が外からの刺激に対して敏感になり、蕁麻疹などの症状が現れやすくなります。
このような場合、蕁麻疹を鎮める漢方薬とともに、「黄耆(おうぎ)」を含む処方が効果的です。
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)は、汗をかきやすく疲労感が強く、風邪をひきやすい体質の方に適した漢方薬です。主に黄耆(おうぎ)と白朮(びゃくじゅつ)という補気薬が、体のエネルギーを補い、体表の防御力を高める役割を果たします。また、防風(ぼうふう)という生薬が風邪の侵入を防ぎ、感染症の予防に寄与します。これらの生薬が組み合わさることで、汗腺の働きが正常化され、異常な汗が止まり、外的刺激に対する防御力の回復が期待できるのです。
蕁麻疹(じんましん)に効く漢方薬を希望するなら、医療機関を受診しよう
蕁麻疹に効果的な漢方薬を希望する場合は、医療機関を受診しましょう。漢方薬は、体質や症状の特徴に基づいて処方が選ばれるため、専門の医師による診断が重要です。適切な漢方薬を使うことで、蕁麻疹の症状を和らげる効果が期待できます。まずは医師に相談してみましょう。
忙しくて通院できない場合にはオンライン診療がおすすめ
蕁麻疹に効果のある漢方薬をお探しの方で、忙しくて通院が難しい場合には、オンライン診療を利用するのも一つの方法です。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、インターネットを利用して、自宅などから医師の診察を受けられる医療サービスです。スマートフォンやパソコン、タブレットを使い、ビデオチャットを通じて医師と直接話せます。予約、問診、診断、処方箋の発行、支払いまで、すべてオンラインで完結するのが特徴です。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKUは、オンライン診療をスムーズに行えるサービスです。アプリを使うことで、診察の予約から薬の受け取りまでのすべてのステップを簡単に完結できます。
このサービスには、専門スタッフによるサポート機能や、お気に入りのクリニックや薬局を登録する機能があり、さらにデジタル化されたお薬手帳も利用可能です。全国どこでも、当日または翌日に薬を受け取れるため、忙しい方でも健康管理がしやすくなります。
まとめ
漢方薬は、蕁麻疹の原因や体質に合わせた治療ができるため、症状を根本から改善できる可能性があります。しかし、自己判断で服用するのはリスクが伴うため、専門の医師や漢方に詳しい医療機関に相談しましょう。適切な漢方薬を選ぶことで、蕁麻疹の症状を和らげ、より快適な生活を送るためのサポートとなります。悩んでいる方は、ぜひ一度医療機関に相談してみてください。
医師
五藤 良将
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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