知らずに悪化させてない?アトピーの原因を知って正しい対策を始めよう


更新日:2025年03月5日

この記事では、アトピーの原因や悪化要因、症状を和らげる対策について詳しく解説します。日々のスキンケアや生活習慣を見直して、アトピーと上手に付き合っていきましょう。
アトピー性皮膚炎の原因になるアトピー素因とは
アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の病気です。多くは、「アトピー素因」と呼ばれる特定の体質を持っています。アトピー素因とは、喘息やアレルギー性の鼻炎、結膜炎、またはこれらの病歴を本人や家族が持っていることです。アレルギー反応に関わるIgE抗体という特定の抗体を作りやすい体質になります。
アトピー性皮膚炎の原因は一つじゃない!
アトピー性皮膚炎は、多くの要因が絡み合って発症する病気です。遺伝的な要素や肌の状態、そして外部からの刺激などが重なり合って症状が現れます。
体質と生活環境の影響が絡み合う
ある人が特定のアレルゲンに接触すると、その人の肌が過敏に反応して湿疹ができることがあります。しかし、同じアレルゲンに接触しても、別の人には全く症状が出ないこともあります。これは体質によって、反応が違うためです。
また、同じ人でもその日の体調や精神状態によって症状が変わることがあります。今日は何ともなく過ごせたのに、明日同じ刺激を受けると症状が現れる、ということもあります。
これは、アトピー性皮膚炎が一つの原因で発症するわけではなく、いくつもの要因が組み合わさって影響を与える「多因子性」の病気であるためです。そのため、症状が出るタイミングや程度も人それぞれで異なります。
皮膚のバリア機能の低下
皮膚には「バリア機能」と呼ばれる大切な役割があります。これは、外部からの刺激や雑菌が体内に入り込むのを防ぎ、また、体内の水分が逃げるのを防ぐ機能のことです。皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されていますが、その中でも表皮の一番外側にある「角層」という部分が特にバリア機能を担っています。
アトピー性皮膚炎の方の皮膚では、このバリア機能が弱まっています。角層を構成する細胞同士の隙間を埋めている脂質や、水分を保つ天然保湿成分が減少していることが原因です。その結果、角層がうまく機能しなくなり、外部からの刺激やアレルゲンが皮膚に入り込みやすくなります。
皮膚に侵入したアレルゲンは、体内の免疫細胞と結びつき、ヒスタミンという物質を放出させます。このヒスタミンが、炎症が起こる原因です。かゆみが発生しやすくなり、かきむしることでさらに皮膚のバリア機能が低下し、悪循環に陥ることがあります。
年齢によっても違う
アトピー性皮膚炎は、年齢によってその症状が変化します。多くの場合、乳幼児期に発症し、成長とともに治っていくことが一般的です。ただし、大人になるまで続く場合や再発することもあり、再発した場合は治りにくいといわれています。思春期や成人期に発症するアトピー性皮膚炎がありますが、頻度は低めです。
年齢に応じた症状の傾向も異なります。乳児期には頭や顔に多く見られ、幼児期になると体や下肢に広がります。関節部分に現れやすく、皮膚の乾燥が目立ちます。思春期から青年期にかけては、顔や胸、背中、肘など上半身が湿疹のできやすい場所です。乳児で2ヶ月以上、幼児から成人は6ヶ月以上症状が続くと、アトピー性皮膚炎と診断されます。
アトピー性皮膚炎が悪化する要因
アトピー性皮膚炎の発症や悪化には多くの要因が絡んでいます。日常生活や職場環境での抗原や刺激物への接触、ライフスタイル、温度や湿度などの環境要因も症状が悪化する要因です。また、皮膚の生理機能が変調することで、炎症が持続したり悪化したりすることもあります。
日常生活で受ける一般的な刺激
日常生活での一般的な刺激でも悪化することがあります。例えば、唾液や汗、髪の毛の接触、衣類との摩擦などです。皮膚への刺激によって、炎症や痒みが引き起こされることがあります。また、かゆくて掻きむしることも症状が悪化する要因です。
接触アレルギー
接触アレルギーによって悪化することがあります。例えば、外用薬、化粧品、香料、金属、シャンプーやリンス、消毒薬などに注意しましょう。
食べ物
乳児や幼児の場合、特定の食物が症状の悪化する要因になることがあります。ただし、特定の食物による悪化が確認されていない限り、アレルゲンとなりやすい食物を除去することはおすすめできません。成長や発育に悪影響を与えることがあるためです。まずは、十分な抗炎症治療を行いましょう。
吸入アレルゲン
環境アレルゲンによって症状が悪化することがあります。例えば、ダニや室内塵、花粉、ペットの毛、カビなどが原因です。アレルゲンが多く存在する場所で皮疹や痒みが悪化し、その場所から離れると症状が軽減する場合は、アレルギーの可能性を疑いましょう。
発汗
アトピー性皮膚炎の方は、発汗量が減少することがあります。汗の減少は皮膚温の上昇や乾燥を引き起こし、炎症を悪化させる要因です。汗孔が詰まったり、皮膚炎によって汗腺の機能が低下したりすることが発汗量の減少に関連し、不安などの神経的な要因も影響します。
汗をかいている場合でも、汗を介して皮膚表面のマラセチア抗原に触れることで、皮膚炎が悪化することがあります。汗が溜まりやすい関節の内側や首の部分は、汗の影響が大きくなるため注意しましょう。皮疹の重症度によって汗の成分が変わるため、汗の効果が得にくいこともあります。
細菌、真菌
アトピー性皮膚炎の病変部には、黄色ブドウ球菌が多く検出され、菌の増加は炎症が悪化する要因になります。また、カンジダやマラセチアという真菌(カビ)が皮膚に存在すると、アレルギー反応が起こり、皮膚炎が悪化することがあります。
アトピー性皮膚炎が悪化しないための方法
症状が悪化しないようにするためには、皮膚のバリア機能を維持し、アレルゲンや刺激から守ることが重要です。
肌への刺激物を避ける
唾液や汗がついたら、すぐに洗い流すか、濡れた柔らかいガーゼで拭き取ってください。羊毛や硬い素材の衣類は避け、肌に優しい素材を選びましょう。髪の毛は短く切るか束ねて、皮膚への接触を減らす工夫も有効です。シャンプーやリンス、石けんのすすぎ残しにも注意しましょう。
かゆくて掻きむしることは、皮膚炎を悪化させる要因です。爪を短く切り、必要に応じて長袖・長ズボン・手袋を着用して就寝することで、掻きむしる行為を防ぎましょう。
スキンケアを行う
「清潔」と「保湿」が基本です。汗やほこり、雑菌などの汚れは炎症やかゆみを引き起こす原因になります。毎日入浴やシャワーで優しく汚れを洗い流し、肌を清潔に保ちましょう。洗う際には、ぬるま湯で肌を湿らせ、よく泡立てた洗浄料を使って優しく洗ってください。熱いお湯は避け、ナイロンなどの刺激の強い素材で、ゴシゴシと強くこすらないようにしましょう。
洗浄後は保湿が重要です。刺激の少ない保湿剤をたっぷりと塗り、手のひらで広く伸ばすように優しく塗ってください。保湿は入浴後だけでなく、外出前後や乾燥が気になるときに1日数回行いましょう。冬場など空気が乾燥している場合は、加湿を行い湿度を保つことも効果的です。
環境を整える
ダニやホコリにアレルギーがある場合は、家を清潔に保つことが大切です。布団やカーペット、カーテンなどは定期的に掃除しましょう。
花粉にアレルギーがある場合は、花粉が多い季節にはマスクを着け、帰宅時には衣類の花粉を払い落とし、すぐに洗顔して花粉を洗い流すことが効果的です。ペットアレルギーがある場合は、ペットを手放す、洗う、寝室に入れないといった対策をしてください。
ストレスを避ける
ストレスが溜まると、症状が悪化することがあります。強いかゆみや皮膚の状態に悩まされると、気持ちが落ち込んでしまうことがあるかもしれません。ストレスをため込まずに、しっかりと対策を取ることが大切です。
医療への不安や、症状が良くならないことから自己判断で治療を中断してしまう場合もありますが、一人で抱え込まずに、正直に医師に相談してください。症状や気持ちを理解し、最適な治療方法を提案してくれるでしょう。
正しい治療を受ける
アトピー性皮膚炎が大人になってから発症した場合、市販薬を自己判断で使うのは避けた方が良いです。誤った使い方をすると、症状が改善しなかったり、逆に悪化したりすることがあります。信頼できる皮膚科の専門医がいる医療機関を受診し、医師の診療を受けることが大切です。医師が処方した治療薬を適切に使用することで、症状の改善が期待できます。
また、治療中にわからないことや悩み、不安なことがあれば、遠慮せずに医師に相談することが大切です。
アトピー性皮膚炎が辛い場合は我慢せずに、皮膚科を受診しよう
辛いときは、我慢せずに皮膚科を受診することが大切です。自己判断での対処は、症状を悪化させることがあるため、専門の医師に診てもらってください。自分の体に優しいケアを心掛け、症状が改善するようサポートしてもらいましょう。
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まとめ
アトピー性皮膚炎は、体質や環境、日常生活の刺激など、さまざまな要因が重なり合って発症します。肌を守るためには、正しいスキンケアや環境の整備、ストレスの管理が重要です。これらを実践することで、症状の悪化を防げます。
それでも症状が改善しない場合は、自己判断で市販薬を使うのではなく、皮膚科を受診することが大切です。専門的な治療を受けることで、より効果的なケアが期待できます。我慢せず、早めの対応を心がけましょう。

医師
五藤 良将

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