【医師監修】見た目も気分も沈む、鼻の下ニキビ…できやすい理由と対策方法を解説


更新日:2025年06月3日

なぜ“鼻の下にニキビができるの?
鼻の下にニキビができやすい理由には、いくつかの特徴的な要因が重なっています。
鼻の下は「Tゾーン」に含まれる皮脂の分泌が盛んなエリアで、毛穴が密集しているため、皮脂や汚れがたまりやすい場所です。皮脂が過剰に分泌されると毛穴が詰まり、ニキビの原因菌が増えやすくなります。
さらに、鼻の下は日常的に「触れやすい」部位です。たとえば、鼻をかむ、無意識に触る、食事や会話で動くなど、他の部位よりも摩擦や刺激を受ける頻度が多くなります。こうした刺激が炎症を悪化させてしまう原因になります。
マスク生活が長引く現代では、マスクと肌のこすれ、呼気による蒸れ、スキンケア不足などが加わり、鼻の下の環境はますますニキビができやすい状態になっています。とくに保湿が不十分だと、肌は乾燥を防ぐためにさらに皮脂を分泌し、悪循環に陥ることもあるのです。
鼻の下にニキビができる原因
鼻の下は、皮脂の分泌、摩擦、衛生状態の影響を同時に受けやすい部位です。鼻の下にニキビができる主な原因について、ひとつひとつ丁寧に解説していきます。
摩擦や外部刺激
鼻の下は、マスクの着用や鼻をかむ動作、無意識に手で触れるクセなど、日常の中で何度も刺激を受けやすい部位です。こうした刺激が繰り返されると、肌の表面を守るバリア機能が弱まり、乾燥や炎症が起こりやすくなります。すると、肌は自らを守ろうと皮脂を過剰に分泌し、毛穴が詰まってニキビの原因になってしまうのです。
花粉の季節や風邪をひいている時期は、鼻を頻繁にかむことで摩擦が増え、さらに肌が乾燥しやすくなります。
ホルモンバランスの乱れ
女性の場合は、生理前や排卵期になるとホルモンの変化によって皮脂の分泌が増え、毛穴が詰まりやすくなります。皮脂がたまるとアクネ菌が増殖しやすくなり、炎症を起こして赤く腫れたニキビへと発展してしまうのです。
また、ストレスが続くと、体内で「男性ホルモン」に似たホルモンが増え、皮脂の量がさらに増加します。睡眠不足や生活の乱れもホルモンに影響を与えるため、注意しましょう。
不十分な洗顔やクレンジング
鼻の下は構造的に凹凸があり、ファンデーションや皮脂が溜まりやすい部位です。とくに小鼻の横から鼻の下にかけては、毛穴が深く、汗やメイク汚れが残りやすいため、きちんと洗いきれていないケースが少なくありません。
こうした汚れが毛穴にとどまることで詰まりが起こり、ニキビが発生しやすい状態になります。また、クレンジングの際に肌に触れる力加減や洗浄の時間が不適切な場合は洗い残しの要因となり、ニキビが悪化する原因となります。
生活習慣の乱れ
肌は、日々の食事や睡眠、運動といった基本的な生活の積み重ねによって健康を保っています。しかし、食事の栄養バランスが偏ったり、夜更かしや睡眠不足が続いたり、運動不足が慢性化したりすると、体内のリズムが乱れ、肌のターンオーバーがうまく働きません。その結果、古い角質が肌に残りやすくなり、毛穴が詰まりやすい状態になります。
加えて、ホルモンバランスも崩れやすくなり、皮脂の分泌量が不安定になることで、ニキビができやすい環境が整ってしまいます。生活習慣の乱れは、肌表面だけでなく体の内側からじわじわと影響を与える要因です。
ストレス
強いストレスを受けると、体内ではコルチゾールなどのホルモンが分泌され、自律神経のバランスが乱れやすくなります。皮脂の分泌が過剰になったり、肌の水分バランスが崩れたりして、毛穴が詰まりやすくなります。肌の回復力そのものが落ちてしまうため、ニキビができやすくなるだけではありません。一度できたニキビがなかなか治らないという悪循環にもつながります。
また、ストレスの影響で睡眠の質が低下したり、食欲が不安定になることも多く、これらの変化が肌の調子に悪影響を与えることもあります。
鼻の下にできるニキビの種類
鼻の下にできるニキビには、実はさまざまな種類があり、それぞれ状態や進行度によって見た目も対処の難しさも異なります。
白ニキビ
毛穴に皮脂がつまることでできる初期段階のニキビが白ニキビです。小さく白っぽいポツンとした点が特徴で、炎症を起こしていないため痛みはほとんどありません。鼻の下は皮脂分泌が多い部位のため、この白ニキビがよく見られますが、放置すると悪化するおそれがあるため注意が必要です。
黒ニキビ
白ニキビが進行し、毛穴が開いて中の皮脂が空気に触れて酸化すると、黒く変色して黒ニキビになります。見た目は小さな黒い点で、鼻下では特に目立ちやすく、人目が気になりやすいニキビのひとつです。汚れと誤解されがちですが、実際は皮脂の酸化による変色です。
赤ニキビ
皮脂がつまった毛穴の内部でアクネ菌が増殖し、炎症を起こした状態が赤ニキビです。赤みを帯びて腫れや痛みを伴うため、鼻の下にできるとかなり不快に感じるかもしれません。炎症が強くなると見た目にも目立ちやすく、悪化させないよう注意しましょう。
黄ニキビ
赤ニキビがさらに進行し、炎症が激しくなって膿を持った状態が黄ニキビです。見た目のインパクトも大きく、触れると痛みを感じやすいため、無理につぶしたりすると跡が残るリスクがあります。
鼻の下ニキビの対策方法
鼻の下のニキビへの対策は、しっかりとしたスキンケアと生活習慣の見直しが大切になります。
鼻の下への刺激を避ける
鼻の下にニキビを繰り返す人は、日常的な刺激を減らす工夫が必要です。マスクは自分の顔に合ったサイズを選び、長時間つけっぱなしにしないようにしましょう。こまめに取り外して肌を休ませることも大切です。
鼻をかむときは、柔らかいティッシュを使い、こすらず優しく押さえるようにしてください。また、洗顔やスキンケアでは、指先に力を入れず、泡や化粧水をそっと肌に乗せるように使います。無意識に鼻の下を触る癖がある人は、触らない意識づけをし、外出時はこまめに手を洗い清潔を保ちましょう。
こうした小さな工夫が、鼻の下のニキビを予防するうえで効果的です。
正しいスキンケアを行う
鼻の下にニキビができやすい人は、毎日のスキンケアを少し見直すだけで、肌の状態がぐんと変わることがあります。とくに大切なのは「正しい洗顔」です。
ゴシゴシこすって汚れを落とそうとするのではなく、泡でやさしくなでるように洗うのがポイントになります。洗顔は朝と夜の2回、ぬるま湯を使い、しっかり泡立てた洗顔料で優しく肌を包み込むようにしましょう。
洗い終わったら、清潔なタオルで軽く押さえるように水分を拭き取り、すぐに化粧水や乳液でしっかり保湿してください。洗顔のやり方ひとつで、毛穴の詰まりや皮脂のバランスが整い、ニキビができにくい肌に近づけます。スキンケアは毎日の積み重ねです。肌をいたわる丁寧な洗顔と保湿が、ニキビ対策になります。
生活リズムを整える
肌トラブルを予防するためには、毎日の生活の“流れ”を整えることが土台になります。起きる時間・寝る時間・食事や活動のタイミングを一定に保つことで、体内時計が安定し、自律神経やホルモンのリズムも整っていきます。
朝は同じ時間に起きて太陽の光を浴び、日中は活動的に過ごしましょう。夜はしっかり体を休めるという基本的なリズムを守ることが、肌の内側から整える第一歩になります。どんなに高価なスキンケアをしても、この「土台」が乱れていては効果が出ません。
食事に注意する
体の内側から肌を整えるためには、栄養バランスのとれた食事が欠かせません。注目したいのは、皮脂分泌を安定させるビタミンB群や、肌の修復に働くビタミンC・E、そして肌の材料となるたんぱく質です。これらを意識して日々の食事に取り入れることで、肌トラブルを起こしにくい体質づくりに近づきます。
逆に、スナック菓子や揚げ物、甘い飲み物など脂質や糖分の多い食品は、皮脂の過剰分泌や炎症の原因になりやすいので注意しましょう。体調と肌の調子を見ながら、自分に合った食べ方を探っていくことが、ニキビ予防につながります。
しっかり睡眠をとる
肌の再生には「質のよい睡眠」が欠かせません。眠り始めの3時間に分泌される成長ホルモンは、肌のターンオーバーを促進し、ニキビなどのダメージを修復する働きがあります。
鼻の下ニキビを改善したい場合、夜更かしは避け、できるだけ早く寝る習慣をつけましょう。理想は22時〜深夜2時の間に熟睡していることです。この時間帯に眠っていることで、ホルモンバランスも安定し、肌の調子が整いやすくなります。
寝る前のスマホや強い照明は避け、ぬるめのお風呂や軽いストレッチなどでリラックスすると入眠がスムーズになります。「肌を休ませる時間」として、意識的に睡眠を確保することが、ニキビ予防への近道です。
適度に運動をする
肌の調子を整えるには、体の「巡り」を良くすることも欠かせません。そのカギを握るのが、日々の適度な運動です。
軽いウォーキングやストレッチなどの有酸素運動を行うと血流が促進され、酸素や栄養がしっかりと肌に届けられるようになります。また、汗とともに老廃物の排出も進み、毛穴詰まりや炎症の予防にも効果的です。
運動にはストレスをやわらげる働きもあり、ホルモンバランスの安定にもつながります。無理に激しい運動をする必要はありません。20〜30分の軽い運動を週数回取り入れるだけでも、肌の内側から整っていくのを実感できるはずです。
スキンケアだけでは届かない「巡りのケア」として、運動を日常に取り入れていきましょう。
ストレスをためない
気づかないうちに肌に影響を与えているのが、心のストレスです。ストレスを感じると、自律神経やホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌が増えて毛穴詰まりや炎症の原因になります。大切なのは、ストレスを溜めこまず、自分なりの発散方法を持つことです。
好きな音楽を聴く、ゆっくりお風呂に入る、自然の中を散歩するなど、気持ちがリセットされる時間を意識的につくりましょう。頑張りすぎず、適度に力を抜くことも肌には必要です。肌を整えるには、心の余裕も同じくらい大切になります。
鼻の下ニキビでやってはいけないNGケア
鼻の下にニキビができると、つい気になって触ってしまったり、無理に隠そうとメイクを厚く重ねてしまったりしがちです。しかし、間違ったケアはかえって症状を悪化させてしまいます。
手で潰す
鼻の下は皮膚が薄くデリケートなうえ、皮脂腺が多く炎症が起こりやすい部位です。ニキビの芯を無理やり押し出すと毛穴の奥を傷つけて雑菌が入り、炎症がひどくなる恐れがあります。さらに、潰したことで跡が残るリスクも高まります。
何度も洗う
清潔に保ちたい気持ちはわかりますが、洗いすぎは逆効果です。過剰な洗顔は肌に必要な皮脂まで落としてしまい、バリア機能を弱めてしまいます。これにより乾燥が進み、皮脂の分泌がさらに増えてニキビが悪化することもあります。洗顔は朝と夜の2回で十分です。
強い洗浄力の洗顔を使う
「しっかり落とそう」と洗浄力の強い洗顔料を使うと、必要な潤いまで奪ってしまい肌が敏感に傾きます。特に鼻の下は刺激に弱いため、敏感肌用や乾燥肌向けのやさしい洗顔料を選ぶのがおすすめです。肌にやさしい成分かどうかも確認してみましょう。
メイクで隠す
メイクを厚塗りすると毛穴をふさぎ、炎症が悪化する可能性があります。どうしてもメイクが必要な場面では、ノンコメドジェニック処方(ニキビを悪化させにくい)の化粧品を選び、クレンジングは丁寧かつやさしく行いましょう。
放置する
鼻の下は食べ物の刺激や汗、摩擦が多い場所なので、放置すると悪化しやすい部位です。繰り返すニキビやなかなか治らない場合は、スキンケアを見直したり、早めに皮膚科を受診することも大切です。
鼻の下のニキビの治療法
鼻の下にできるニキビは、目立つだけでなく繰り返しやすいのが悩みです。治療法は大きく分けて、塗り薬と飲み薬があります。
外用薬
「アクネ菌」を殺菌する抗生物質入りの塗り薬や、皮膚表面の古い角質をはがして毛穴のつまりを取り除くタイプの塗り薬が効果的です。
ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑制し、炎症を軽減する作用があります。また、皮膚表面の古い角質を取り除くことで毛穴のつまりを改善する作用もあります。赤く腫れたニキビだけでなく、まだ炎症が起きていない初期段階の白いぶつぶつ(面ぽう)の段階から効果を発揮します。
内服薬
ニキビが広範囲に広がったり、治りにくく繰り返す場合に使われます。炎症を抑える抗生物質のほか、肌の脂っぽさを改善する薬、ビタミン剤や漢方薬などを使い、身体の内側からニキビができにくい状態に整えていきます。
鼻の下のニキビが治らない場合はほかの病気かも
鼻の下のできものがニキビだと思っていたら、実は違う病気だったというケースがあります。治らない場合には、他の病気が隠れているかもしれません。
めんちょう(面疔)
めんちょうは、皮膚にある黄色ブドウ球菌という細菌が増えてしまうことで起こる、炎症性のできものです。見た目がニキビと似ていても、原因も治療法も違います。鼻の先や顔の中心にできやすく、赤みや腫れ、膿がたまったような固いしこりができるのが特徴です。
髭剃りや鼻まわりの産毛処理でできた小さな傷、手で鼻を触るクセ、ストレスや疲れによる免疫力の低下など、日常のちょっとしたことがきっかけで発症することもあります。軽い症状なら市販薬で治ることもありますが、ひどくなると切開や抗生物質の治療が必要になることもあります。痛みが強い、膿があるといった場合は皮膚科を受診しましょう。
粉瘤
粉瘤とは、皮膚の下に袋のような組織ができ、そこに皮脂や古い角質などの老廃物がたまっていく良性の腫瘍です。最初は小さく、痛みもなく目立ちませんが、時間が経つと大きくなったり、独特のにおいを放ったりすることもあります。
細菌が入って炎症を起こすと、赤く腫れて強い痛みが出たり、膿がたまって熱を持ったりします。この場合は、すぐに膿を出す治療が必要です。
ニキビと間違われがちですが、粉瘤は自然には治りません。ニキビは毛穴のつまりが原因で自然に治ることもありますが、粉瘤は袋そのものを完全に取り除かないと再発してしまいます。
稗粒腫
稗粒腫は、肌の表面近くにある毛穴の奥に角質がたまってできる小さな袋のようなものです。直径1〜2mmほどの白~黄白色のツブツブが、目の周りやまぶた、目の下、鼻の周りなどにできます。見た目はニキビのようでも、実は中身は皮脂ではなく「角質のかたまり」です。
赤みや痛みなどの自覚症状はほとんどありません。鏡を見たときや、触れたときの小さな固さで気付きます。自然には消えにくく放置しても治らないことが多いため、気になる場合は皮膚科での処置をうけましょう。
鼻の下のニキビが気になる場合は我慢せず皮膚科への受診がおすすめ
鼻の下のニキビが気になる場合は、自己判断や我慢をせずに早めに皮膚科を受診しましょう。症状に合わせて適切な薬を処方してもらうことで、悪化や跡を防ぎ治せます。気になった時点で、迷わず専門家に相談することが一番の近道です。
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まとめ
鼻の下にできるニキビは、摩擦やホルモンバランスの乱れ、生活習慣の影響が大きく関わっています。無意識に触れてしまったり、自己流のケアを続けると、かえって悪化してしまうかもしれません。まずは正しいスキンケアを心がけ、睡眠や食生活など日常の習慣も見直すことが大切です。
もし、症状がなかなか治まらない場合や赤み・痛みが強い場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。適切な治療と予防で、健やかな肌を取り戻せます。

医師
五藤 良将

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