残ってしまった傷跡はどのようにケアしたらいい?効果的な薬や治療方法について詳しく解説
更新日:2025年01月8日
残ってしまった傷跡はどのようにケアしたらいい?
傷の治療後に残る赤みや腫れが大丈夫なのか、気になる方は多いと思います。傷跡の赤みや腫れはよく起こり、通常治療後の一か月ほどが一番赤く腫れて見える時期です。
半年から一年間の傷跡は、まだ赤みや硬さが残っている状態になります。この期間は、皮膚の状態が安定するまで傷跡を大切に保護することが重要です。適切なケアを行うことで、最終的には目立ちにくく、白くきれいな傷跡になることが期待できます。
傷跡の種類
傷ができたとき、体の中ではその傷を治そうとしてコラーゲンという物質が増えます。このコラーゲンの働きで傷がふさがれるのですが、その部分は他の皮膚とは違う質感が残ることがあります。この違う質感は、時間が経っても完全には消えません。ただし、時間が経つにつれて赤みや硬さは少しずつ改善し、最終的には肌の色に近い白くて柔らかい状態になります。
傷が完全にふさがるまでの間は、まだ皮膚が安定していないません。刺激を与えると炎症が起こり、目立つ傷跡になりやすいため注意しましょう。
成熟瘢痕
傷が時間の経過とともに赤みが引いて、肌の色に近づき、最終的には白っぽくなった状態です。最初は赤みを帯びていても、徐々に周囲の肌の色に近づいて目立たなくなります。ただし、深いキズや広い範囲のキズの場合は、目立つ傷跡にるかもしれません。
肥厚性瘢痕
傷が治った後に、その部分の皮膚が赤く盛り上がり、ミミズばれのように見える状態です。首や関節に出来た場合は動かすたびに引っ張られてしまい、炎症が長引いてしまい、完全に治るまでに時間がかかることがあります。
ケロイド
ほんの小さな傷でも発生する可能性があり、特定の体質や遺伝的な要因が関係しています。胸や肩などに発生しやすく、痒みや痛みを伴うことがほとんどです。また、傷の範囲を超えて広がる傾向があります。胸やお腹に出来た場合、ジムでのトレーニングや腹筋などは悪化するリスクがあるため注意してください。
瘢痕拘縮
治療を怠ったり、効果の薄い治療を続けたりした場合、時間が経つにつれて傷跡が硬くなり、皮膚が引きつれてしまうことがあります。皮膚が非常に硬くなり、柔らかくなるまでに長い時間がかかるため、手術が必要な場合もあります。
肥厚性瘢痕やケロイドの原因
傷が治る過程でいろいろな要因が関わってきますが、そのバランスが崩れると、皮膚が普通に戻らないことがあります。たとえば、遺伝的な素因、感染症、傷の深さや大きさ、場所などが要因です。
局所的な問題
局所的な問題は、身体の特定の部位やその周囲で発生する問題です。たとえば、傷ができた場所やその治り方、外力が加わる頻度などが局所的な問題として挙げられます。皮膚を深く切開するような手術やピアス、強い炎症を引き起こすBCGワクチン接種、ニキビなどが原因です。
傷の場所
日常動作で動きが多い部分、たとえば前胸部、肩甲骨周辺、下腹部などは形成されやすい場所です。一方で、頭の頂上やすね、上まぶたなどはできにくい場所になります。
傷の深さ
皮膚の深い部分に傷ができた場合にも発生しやすくなります。傷が浅ければ発生しにくいのですが、毛穴の深い部分に傷ができた場合、発生する可能性が高くなります。
傷の治り方
浅い傷でも、かゆみでかいてしまったり、関節にある傷が動くたびに引っ張られると、炎症が深く広がり、できやすくなります。
全身的な問題(ケロイド体質や悪化因子)
全身的な問題には、高血圧、炎症反応、女性ホルモンの影響、そして過度の飲酒や運動などが挙げられます。局所的に現れる問題より、形成や悪化に関与します。
高血圧
高血圧の方は、血管が硬くなり血流が速くなります。血管に強い圧力がかかりやすく、それが血管を傷つける原因となるため、悪化すると考えられています。
炎症
大きな怪我や火傷をした場合、全身に強い炎症反応が起こります。通常であれば肥厚性瘢痕やケロイドが発生しないような傷でも、形成や症状の悪化が起こりやすくなります。
妊娠や女性ホルモンの影響
妊娠中は体内の血液量が増え、特にエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの影響で血流が増加します。これが、傷の部分に余分な血液を送り込み、悪化させる要因になると考えられています。
過度の飲酒や運動
過度の飲酒や激しい運動も良くありません。血管の動きを変え、血液の流れを速くすることで、傷のかゆみや痛みが悪化することがあります。傷の治りが落ち着くまで、過度の飲酒や激しい運動は避ける方が良いでしょう。
遺伝的な問題
遺伝が関係している可能性がありますが、まだ完全には解明されていません。ただし、親ができやすい場合には、子どもも同じ体質の可能性があります。傷が悪化しないように気をつけたり、早めに治療を受けることが大切です。
傷跡の治療方法
傷跡の治療は、皮膚科や美容外科などの医療機関で受けられます。塗り薬や飲み薬、貼り薬などの治療に加えて、レーザー治療や手術といった方法があります。
手術しない方法
手術をしない治療方法としては、内服、外用薬、注射などがあります。
飲み薬
抗アレルギー剤が有効とされています。痒みや炎症を抑え、病変を沈静化させる効果がありますが、効果はそれほど強くないため、他の治療法と併用されることが一般的です。また、漢方薬が使われることがあります。
塗り薬
炎症が軽い場合に効果があります。ヘパリン類の軟膏、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド軟膏やクリームなどを使用します。
貼り薬
半年から数年にわたって使用することで、皮膚が平らになります。目をつぶって触ってもわからないくらいに柔らかく平らになったら、赤みが残っていても使用頻度を減らしていきます。
テープは基本的に毎日貼り替えないといけません。正常な皮膚にできるだけつかないように切って使用します。赤い状態が続くからといってテープを貼り続けると、皮膚が薄くなりすぎて赤みが引かなくなる可能性があるため注意が必要です。
固定具の使用
悪化しやすい部位を固定したり、圧迫したりすることで、症状の悪化を防ぎます。シートやテープ、包帯やサポーターなどを使います。
ステロイド注射
赤みや痛み、痒みを早く軽減できますが、効果が強すぎると凹んだ瘢痕になることもあります。
レーザー治療
赤みや凹凸の改善、そして炎症の鎮静化に対して行います。目立たなくする効果がありますが、完全に消すことはできません。
リハビリメイク
副作用がないため、気軽に取り入れられる方法です。テープを使って傷を覆い、さらにファンデーションを塗ることで、自然に色味をカバーできます。凹凸については、極薄の粘着テープを用いることである程度カバーが可能です。
手術する方法
傷跡の種類によって手術は変わります。
ケロイド、肥厚性瘢痕
ひきつれを引き起こす場合や、見た目が問題となる場合に手術が適応です。手術後には、再発を防ぐために放射線治療が行われることもありますが、周囲の正常皮膚への影響や発がんリスクがあります。
瘢痕拘縮
皮膚が引っ張られる方向を変える縫い方や局所皮弁術が行われます。
成熟瘢痕
見た目が問題となる傷跡に対して手術が行われることがあります。広い範囲のキズには、エキスパンダーを使って皮膚の面積を増やします。手術後は、ケアを行い炎症を抑えることが重要です。見た目の改善が目的の場合、保険適応外になるため注意しましょう。
傷跡のセルフケア
傷跡がなじむまでの半年〜1年はアフターケアが必要です。傷跡がまだ完全に治っていない時期のケアには、主に3つのポイントがあります。それは、保湿、遮光、そして保護です。このポイントに注意することで、傷跡の状態を良好に保ち、治りを早められます。
保湿
傷跡の保湿は非常に重要です。適度な湿度を保つことで、皮膚の回復力が高まり、傷が早く治ります。傷が乾燥してしまうと、痒みや痛みが出てくるだけでなく、赤みも長引いてしまいます。傷が塞がった後もしっかりと保湿を続けましょう。
遮光
傷跡が紫外線に当たると、色素沈着が起こって傷跡が茶色くなり、なかなか治らなくなります。傷が治った後も最低でも3か月から半年程度は、日焼け止めや遮光性のテープを使って紫外線対策を行いましょう。
保護
未成熟な傷跡は、擦れたり掻いたりすると再び傷が付いてしまうことがあります。摩擦などの強い刺激から傷跡を守るため、しっかりと保護しましょう。
浅い傷でも感染を起こし、炎症が深くまで進行すると傷跡がひどくなる可能性があります。たとえばピアスをつけたまま寝ることや、ピアスの取り外しで傷つけないように注意が必要です。
シリコンジェルシートは傷跡を保護し、皮膚の緊張を和らげる効果があります。高い保湿作用があり、痒みや赤み、痛みを改善する効果が期待できます。胸部から肩、上腕、下腹部、肘や膝の関節部分など、傷跡になりやすい部位に使用するのがおすすめです。
傷跡が気になる場合は医師に相談しましょう。
かすり傷のような軽い傷であれば、市販のクリームを使って改善できますが、深い傷跡の場合、市販薬ではきれいに消すことは難しくなります。市販薬を試しても効果が見られなかったり、すでに肥厚性瘢痕やケロイドができてしまっている場合は、早めに専門の医療機関を受診することが重要です。
専門の医師が傷跡を悪化させないため、個々の状況に応じた対応をしてくれます。自己判断での治療は避け、専門家の意見を参考にしましょう。
通院が難しい場合はオンライン診療もおすすめ
傷跡が気になっていても、通院が難しい場合、オンライン診療がおすすめです。多くの医療機関がオンライン診療を提供しており、インターネットを通じて医師と相談できます。
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まとめ
傷跡を目立たなくするためには、セルフケアと医療機関での治療を組み合わせることがおすすめです。保湿や紫外線対策は傷跡の改善に役立ち、シリコンジェルシートやレーザー治療といった専門的な治療法も、状態に応じて選択することで効果が期待できます。日常のケアと併用することで、より効果的に傷跡を目立たなくできるかもしれません。
この記事を参考にして、正しい知識を身につけて、自分に合った方法を見つけてください。詳しい情報や具体的なアドバイスが必要な場合、医師に相談しましょう。
医師
眞鍋 憲正
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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