帯状疱疹の痕を最小限にするために、正しいケア方法や注意点を紹介

なぜ帯状疱疹で痕が残ってしまうのか？

帯状疱疹で痕が残る大きな原因は、炎症による組織のダメージの深さと、患部をかくなどの刺激による二次的な感染や傷の悪化です。帯状疱疹の患部は強い痛みやかゆみを伴うことが多く、無意識にかきむしってしまう方も少なくありません。水ぶくれを爪で傷つけてしまうと、細菌が入り込んで感染が広がり、傷あととして残ってしまう可能性が高まります。

色素沈着ができる仕組み

肌に炎症が起きると、体はその部分を守ろうとして「メラノサイト」という細胞が活発になり、黒色メラニンという色素を多く作り出します。通常であれば、作られたメラニンは肌のターンオーバーによって自然に排出されます。しかし、炎症が強いと、メラニンが肌にとどまってしまい、茶色いシミとして表面に残ってしまうのです。

一度できてしまった炎症後色素沈着は、時間の経過とともに徐々に薄くなることがほとんどです。紫外線を浴びると色が濃くなってしまうため、日頃の紫外線対策もかかせません。

瘢痕形成ができる仕組み

傷を治す過程で皮膚の中のコラーゲンなどが必要以上に作られ、傷痕が盛り上がってしまうことで起こります。傷は「血が固まる→ 炎症が起こる→新しい組織が作られる→傷痕が強く整えられる」という流れで治りますが、最後の段階（再構築期）がうまく進まないと、組織が過剰に増えてしまい瘢痕ができます。

帯状疱疹の痕はどのくらいで治る？

帯状疱疹が治ったあとに残る赤みや黒ずみは、「炎症後色素沈着」と呼ばれるもので、多くの場合は時間の経過とともに自然に薄くなっていきます。

自然に薄くなるまでの目安

残りやすい赤みや黒ずみは、通常3ヶ月から半年ほどかけて少しずつ目立たなくなります。人によっては1年ほどかかる場合もありますが、時間とともに肌の新陳代謝が進むことで、メラニンが排出され徐々に色が薄くなります。

悪化させないために日常生活で注意すること

紫外線を浴びると色素沈着が濃く残りやすくなるため、日焼け止めや帽子、日傘などでしっかりと紫外線対策を行ってください。洗顔や入浴の際に患部をゴシゴシこすらず、刺激を与えないように優しく洗うことも大切です。肌を清潔に保ちつつ、乾燥しないように保湿を心がけると、皮膚の修復がスムーズになります。

帯状疱疹で痕が残った場合の治療法は

顔など目立つ部分に痕が残ってしまうと、気になるかもしれません。発疹が軽ければ痕は残りにくいですが、水疱が深く破れて潰瘍になると、瘢痕（傷あと）として残ってしまうことがあります。いくつかの治療法がありますので、皮膚科で相談しながら適切な方法を選びましょう。

ステロイド

できたばかりの瘢痕には、ステロイドの塗り薬を使用することが一般的です。炎症を抑え、余分な組織が盛り上がりすぎないようにする効果があります。皮膚の状態を見ながら、医師の指示に従って使用しましょう。なかなか治らない場合は、ステロイドを直接患部に注射する方法もあります。

圧迫療法

これは、専用のシリコンジェルシートやサポーターなどで傷あとを適度に圧迫する治療法です。皮膚が盛り上がってしまうのを抑え、瘢痕がやわらかくなるよう促します。やけどの後の瘢痕治療にも用いられる方法で、比較的負担が少ないのが特徴です。

外科治療

時間がたっても目立つ瘢痕の場合は、外科的な方法で形を整えることもあります。例えば、瘢痕部分を切除して縫い直す方法や、皮膚移植などの方法です。ただし、傷痕を完全に消すことは難しいため、医師と相談しながら決めましょう。

レーザー治療

保険適用外にはなりますが、レーザー治療も選択肢の一つです。赤みを軽減するレーザーや、肌の凹凸を滑らかにするレーザーなど、症状に合わせて種類を選べます。複数回の施術が必要になることが多いため、無理のない計画で継続することが重要です。

帯状疱疹で痕を残さないためにできること

帯状疱疹は、適切なタイミングで正しい治療とケアを行えば、痕をできるだけ残さずに治すことが可能です。ここでは、帯状疱疹の痕を残さないために、大切なポイントをまとめました。

帯状疱疹に気づいたら早く治療開始する

抗ウイルス薬は発疹出現後72時間以内の投与が推奨されます。早く抗ウイルス薬を服用することで、ウイルスの増殖を抑えられ、炎症が広がりにくくなります。痛みや皮膚のダメージを最小限に抑えるためにも、「帯状疱疹かも」と思ったらすぐに皮膚科を受診しましょう。

治療を自己判断で辞めない

症状が軽くなってきたからといって、自己判断で薬の服用を中断するのは避けましょう。治療を途中でやめてしまうとウイルスが完全に抑えきれず、炎症が長引いてしまう可能性があります。医師の指示通りに最後まで治療を続けることで、痕が残るリスクを減らせます。

水ぶくれを破らない

帯状疱疹の水ぶくれは、つい触りたくなったり、かゆみで引っかいてしまいがちですが、無理に破ると細菌が入り込みやすく、傷が深くなって痕が残る原因になります。水ぶくれができたら清潔に保ち、できるだけ触らないことが大切です。かゆみや痛みが我慢できない場合は、医師に相談し適切な処置をしてもらいましょう。

帯状疱疹の痕を防ぐために

帯状疱疹の痕を残さないためには、できるだけ発症を防ぐことが大切です。50歳を過ぎると発症リスクが高くなるため、予防接種や免疫力を保つ生活習慣を意識しましょう。

ワクチンで予防

50歳以上の方は、帯状疱疹の発症を防ぐためにワクチン接種を受けられます。ワクチンは帯状疱疹そのものを完全に防ぐものではありませんが、発症するリスクを減らし、発症した場合の症状を軽くする効果が期待できます。接種できるかどうか、持病や体調に問題がないかは必ず医師に相談してください。

免疫力を落とさない生活習慣

帯状疱疹は、体の免疫機能が低下したときに起こりやすくなります。加齢だけでなく、疲れやストレス、睡眠不足も免疫力低下の原因です。日頃から免疫力を維持するために、バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠を心がけましょう。

散歩や軽い体操などの無理のない運動は、体力を保つだけでなくストレス解消にも役立ちます。また、趣味やリラックスできる時間を取り入れて、心身の疲れをため込まないことも大切です。

痕を残さないためにも早めに皮膚科を受診しよう

帯状疱疹は、発症してからできるだけ早く治療を始めることが、痕を残さないための最大のポイントです。顔など目立つ部位に帯状疱疹が出た場合は、痕が残りやすくなるだけでなく、目や耳の合併症を引き起こすこともあります。放置せずに、早めに専門医に診てもらいましょう。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

帯状疱疹は、できるだけ早く治療を始めることが大切です。しかし、仕事や家庭の都合で「病院に行く時間がない」と感じている方も多いかもしれません。オンライン診療を活用すれば、忙しい方でも治療を後回しにせずに済みます。

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まとめ

帯状疱疹の痕を残さないためには、発症に気づいたらできるだけ早く皮膚科を受診して、適切な治療を始めることが何より重要です。また、水ぶくれを無理に触らないことや、スキンケアの見直し、紫外線対策なども大切なポイントになります。治療中はもちろん、治った後も自己判断せず、専門医のアドバイスを受けながら肌の回復をしっかりサポートしていきましょう。