耳が痛いのは帯状疱疹かも？耳帯状疱疹（ラムゼイ・ハント症候群）とは

耳にも発症する帯状疱疹とは？

帯状疱疹は、体の片側にピリピリとした痛みや水ぶくれができる病気ですが、耳にも発症することがあります。これを「耳帯状疱疹」といい、耳周辺の神経に潜伏していたウイルスが再活性化することで起こります。耳の奥や周りに痛みが出るだけでなく、顔の筋肉が動かしにくくなるなどの神経症状を伴う場合があり、早期の対処がとても大切です。

耳帯状疱疹（ラムゼイ・ハント症候群）の特徴

耳帯状疱疹は耳介や外耳道に激しい痛みを伴い、水疱や発疹が片側の耳に現れます。顔面神経にウイルスが影響を及ぼす場合には「ラムゼイ・ハント症候群」と呼ばれ、顔面神経麻痺が生じることがあります。目が閉じにくくなったり、口元が歪んだりして、顔の動きが制限されるのが特徴です。

ベル麻痺との違い

顔面神経麻痺には、帯状疱疹ウイルスが原因のラムゼイ・ハント症候群のほかに「ベル麻痺」という種類があります。顔面神経麻痺の約60％以上を占めます。ベル麻痺は単純ヘルペスウイルスが関係していることが多く、顔の筋肉が急に動かしにくくなる症状が特徴です。

ラムゼイ・ハント症候群は約20%を占めており、ベル麻痺では耳の痛みや発疹がほとんどありません。どちらも早期の治療が回復に重要ですが、耳帯状疱疹が疑われる場合は顔面麻痺だけでなく皮膚症状の有無も判断材料となります。

見逃さないで！耳帯状疱疹の初期サインと進行症状

耳帯状疱疹は初期症状が耳の痛みやかゆみなど、他の耳の疾患と紛らわしいことも多く、見逃されやすい病気です。症状の進行に伴い神経症状が現れるため、早期発見が後遺症を防ぐ鍵となります。

耳の痛みやかゆみから始まる初期サイン

耳帯状疱疹の最初の症状は、片方の耳の外側や耳の中に感じる痛みやかゆみがほとんどです。これはウイルスが神経に再活性化し炎症を起こしているサインで、数日後には耳介や外耳道に赤い発疹や水ぶくれが現れます。

耳の痛みだけが先行することもあるため、原因不明の耳の不快感が続く場合は早めに耳鼻咽喉科や皮膚科を受診しましょう。

かゆみについて詳しく解説

進行すると現れる神経症状に注意

病気が進行すると、ウイルスが顔面神経に影響を及ぼし顔面麻痺を引き起こすことがあります。目が閉じにくくなったり、口角が歪んだりするほか、難聴やめまい、耳鳴りといった症状も出ることが特徴です。

これらはラムゼイ・ハント症候群の症状で、緊急性が高いためすぐに医療機関を受診し、抗ウイルス薬やステロイドによる早期治療を受ける必要があります。治療が遅れると、顔面の動きの回復が難しくなったり、強い痛みが残る帯状疱疹後神経痛を引き起こしたりする可能性があります。また、抗ウイルス薬は発疹出現から72時間以内開始が推奨とされております。

耳帯状疱疹が疑われる場合の検査

耳帯状疱疹は、ウイルスが耳の周辺の神経に感染して起こるため、症状だけでなく詳しい検査が必要です。特に顔面神経麻痺やめまい、難聴などの神経症状がみられる場合は、正確な診断をつけることが大切です。

聴力検査

ウイルスが聴神経にも影響を与えるため、耳が聞こえにくくなることがあります。聴力検査では、音の聞こえ方や左右の耳の聞こえの差を調べて、難聴の程度を確認します。

平衡機能検査

めまいやふらつきがある場合は、平衡機能検査を行ってバランス感覚の異常を調べます。ウイルスが耳の奥の神経に影響していると、平衡感覚が乱れやすくなるため、症状の原因を特定するために重要な検査です。

血液・検体検査

水疱ができている場合は、水疱の中のウイルスを調べる検体検査を行うことがあります。また、症状だけでは診断が難しい場合は、血液検査でウイルスに感染しているかどうかを確認します。発疹がはっきり出ていない場合には有効です。

MRI検査

顔面神経麻痺などの神経症状が強い場合には、MRI検査が行います。MRIで顔面神経の炎症や腫れを確認することで、ほかの病気と区別し、適切な治療を選択するための大切な情報を得られます。

耳帯状疱疹の治療法

ウイルスの活動を抑え、痛みを和らげ、後遺症をできるだけ残さないようにすることが治療の目的です。症状が出てから早い段階で適切な治療を始めることが非常に重要になります。

抗ウイルス薬

治療の中心となるのが、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビルといった薬を飲み薬として処方されることが多いですが、重症の場合や飲み薬が難しい場合は点滴で投与することもあります。皮膚症状が出てから72時間以内に服用を開始するのが理想ですが、多少遅れても効果が期待できます。

副腎皮質ステロイド薬

顔面神経麻痺などの神経の炎症を抑えるために、副腎皮質ステロイド薬が併用されます。これにより、神経の腫れを抑え、後遺症を防ぐ効果が期待できます。ステロイド薬は医師の指示に従い、適切な量と期間で使用することが大切です。

鎮痛剤

帯状疱疹では強い痛みを伴うことが多く、鎮痛剤も治療の一環です。ロキソプロフェンなどのNSAIDsや、アセトアミノフェンがよく使われます。また、痛みが強く長引く場合には、神経痛に効果があるプレガバリンや三環系抗うつ薬などが処方されることもあります。適切な痛みのコントロールが、治療の負担を減らすために大切です。

その他

必要に応じて、ビタミンB12剤やATP剤を使って神経の回復を助けることもあります。皮膚の症状には抗ウイルス作用のある軟膏を塗る場合もあります。顔面神経麻痺が生じた場合には、リハビリとして顔面マッサージを行うことも有効です。症状が重く、治療だけでは麻痺が改善しない場合には、患者さんの希望に応じて顔面神経減荷術という手術が検討されることもあります。

耳帯状疱疹を防ぐために今日からできること

原因になるウイルスは多くの方の体内に潜んでおり、完全に取り除くことはできません。日々の心がけが、後遺症を防ぐ第一歩になります。

日常生活で免疫力を保つコツ

免疫力の低下は発症の大きな原因です。疲れやストレスをためず、十分な睡眠をとりましょう。食事は栄養バランスを意識し、無理のない範囲で軽い運動や日光浴もおすすめです。忙しいときこそ、ゆっくりお風呂に入ったり趣味を楽しんだりして心を休める時間を作りましょう。

ワクチン接種で予防できるって本当？

50歳以上の方は帯状疱疹ワクチンを接種できます。ワクチンは発症を完全に防ぐものではありませんが、症状を軽くする効果が期待できます。体調によっては接種できない場合もあるので、まずは医師に相談しましょう。

帯状疱疹ワクチンについて詳しく解説

耳に異変を感じたら早めに受診しよう

耳に痛みやかゆみ、違和感を感じた場合は、軽視せず早めに医療機関を受診することが大切です。片方の耳周辺に水ぶくれや発疹が現れたり、顔の動きに異常を感じたりした場合は、耳帯状疱疹かもしれません。

耳の不調は他の病気と紛らわしい場合も多く、自己判断だけでは原因がわかりにくいため、専門の耳鼻咽喉科や皮膚科で診察を受けることをおすすめします。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

仕事や育児、介護などで忙しくて病院に行く時間がなかなか取れない場合は、オンライン診療を利用する方法もあります。初期症状や軽い症状であれば、オンラインで症状を相談し、必要に応じて適切な薬を処方してもらうことが可能です。

オンライン診療とは

オンライン診療について

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まとめ

耳に強い痛みやかゆみ、顔の動きに違和感がある場合は、耳帯状疱疹かもしれません。放置すると顔面神経麻痺や難聴などの重い後遺症を引き起こすことがあります。異変を感じたら速やかに医療機関で診察を受け、適切な検査と治療を行うことが重要です。日頃から免疫力を維持する生活習慣を心がけるとともに、ワクチン接種による予防も効果的です。耳の不調を軽視せず、早めの対応を心掛けましょう。