【医師監修】固いしこりのあるニキビの原因と対処方法は?粉瘤と間違えないように注意!


更新日:2025年06月3日

しこりのあるニキビとは
しこりのあるニキビとは、皮膚の深い部分に膿や血がたまって硬くなり、触れると痛みや圧を感じるタイプのニキビです。医学的には「嚢腫(のうしゅ)」や「結節(けっせつ)」と呼ばれ、通常のニキビよりも重症度が高いとされています。
このタイプのニキビは治りにくく、放置すると色素沈着や凹凸といったニキビ跡が残ることもあるため、早めの対処が大切です。
ニキビの悪化していく経過は
ニキビは、毛穴の詰まりから始まり、段階的に悪化していきます。初期段階で適切に対処できれば重症化を防げますが、炎症が進むと深部にしこりができる場合もあります。
白ニキビ
毛穴の中に皮脂や角質が溜まり始め、白っぽい小さな盛り上がりができます。この時点では炎症は起きておらず、見た目の変化も控えめですが、アクネ菌がじわじわと増殖し始めています。
黒ニキビ
毛穴の詰まりが空気に触れて酸化すると、皮脂が黒く見えるようになります。これが黒ニキビで、まだ炎症はありません。詰まりを放置すると炎症性ニキビへと進みやすくなります。
赤ニキビ
毛穴の中でアクネ菌が活発になると、炎症が始まり、周囲が赤く腫れてくるのが赤ニキビです。痛みや熱を感じることもあり、肌の奥で炎症が広がっています。しこり化へと進行するリスクが高まります。
黄ニキビ
赤ニキビがさらに悪化し、炎症がひどくなると膿がたまり、黄色く盛り上がった黄ニキビになります。この膿が排出されにくいと、しこり状に固まってしまい、触れると痛みのある結節(しこりニキビ)に変化することがあります。
しこりのあるニキビができる仕組み
ニキビは毛穴の詰まりから始まります。皮脂や古い角質がたまり、毛穴がふさがれることでアクネ菌が増殖し炎症が起こります。通常はここで赤ニキビや黄ニキビとして表面にあらわれますが、炎症が深部まで及ぶと、膿や血液が皮膚の奥に閉じ込められてしまい、排出されずにしこり状に固まるのです。
また、体が傷ついた組織を修復しようとして細胞を過剰に増やすことで、しこりがより硬く大きくなるケースもあります。こうした深い炎症は真皮層にまで達するため、治ったあとも色素沈着やクレーター状のニキビ跡を残すことが少なくありません。
しこりのあるニキビと間違えやすい粉瘤とは
粉瘤とは、皮膚の下にできる袋状の「できもの」の一種で、まるでニキビのように見えることもありますが、少し違った特徴があります。袋の中には、古くなった角質や皮脂がたまり、白くてドロッとした粥(おかゆ)のような物が入っています。これは、脂ではなく“垢のカタマリ”です。
原因は、皮膚の一番外にある表皮の細胞が、けがや刺激などによって皮膚の深い部分に入り込んでしまうことです。その細胞が内部で袋を作り、そこにどんどん垢がたまっていきます。たまった垢は外に出られません。時間とともにコロコロと大きくなっていくため、しこりのように触れるようになります。
粉瘤の真ん中には小さな穴があいていることがほとんどです。そこを押すと強いニオイとともに中身が出ることもあります。この穴から細菌が入ると、袋の中が化膿して赤く腫れ、強い痛みをともなうことがあり「炎症性粉瘤」と呼びます。
ニキビと粉瘤の違い
一見するとどちらも“できもの”ですが、実は原因も対処法もまったく異なります。ニキビは市販の薬や生活習慣の見直しで改善することもありますが、粉瘤は自然に治ることはありません。むしろ大きくなったり、炎症を起こして強い痛みが出ることもあります。間違ったケアをして悪化させないように、それぞれの違いをわかりやすくご紹介します。
大きさ | 数ミリ程度 | 数センチまで大きくなる可能性 |
中央の黒い点 | なし | 開口部(黒い点)がある |
臭い | ほとんどなし | 老廃物が溜まり悪臭がする |
大きさ
ニキビは炎症がひどくなってもせいぜい数ミリほどです。一方、粉瘤は放置すると数センチ、時には十数センチにまで大きくなることもあります。「やけに大きいしこりがある…」と感じたら、それはニキビではなく粉瘤かもしれません。
見た目
粉瘤の特徴的なサインとして、しこりの中央にポツンと見える黒い点があります。この「開口部」は、袋の中にたまった老廃物が外とつながる小さな出口です。ただし、黒ニキビも毛穴が黒く見えることがあるため、見た目だけで判断するのは注意しましょう。
臭い
粉瘤の中には、垢や角質などがドロッと溜まっていて、悪臭を放つことがあります。ニキビからニオイがすることはまずないので、「臭うかどうか」は大きな見分けポイントです。
場所
ニキビは主に思春期から30代くらいまでの間に、顔や背中、胸など皮脂の多い部位にできやすいです。一方、粉瘤は年齢を問わず全身どこにでもできます。足の裏や耳の裏など、ニキビではあまり見かけない場所にしこりができたときは、粉瘤の可能性を考えましょう。
しこりニキビの予防方法
しこりニキビは、普段の生活やスキンケアの積み重ねで予防できます。肌を労わりながら、心と体のバランスを整えることが一番の近道です。
スキンケア
ニキビ予防の基本は、やさしくて丁寧な洗顔と保湿です。洗顔ではゴシゴシ擦らず、弾力のある泡で包み込むように洗いましょう。洗顔後は化粧水でしっかり水分を補い、乳液やゲルでうるおいを閉じ込めます。ニキビ肌用の低刺激なアイテムを選ぶのがコツです。
刺激を避ける
手で顔をさわるクセや、髪の毛が頬にかかるスタイル、化繊のマスクや服の刺激は、ニキビの大敵です。肌に直接ふれるものは清潔で刺激の少ない素材にし、日常から見直してみましょう。
バランスのよい食事
油っこい食事や甘いものの摂りすぎは皮脂分泌を増やします。代わりに、野菜、豆、海藻、ナッツなどを意識してとり、ビタミンや食物繊維をバランスよく補いましょう。肌を育てるたんぱく質も欠かせません。
睡眠をしっかりとる
夜更かしが続くとホルモンバランスが乱れ、ニキビが悪化しやすくなります。毎日なるべく同じ時間に寝て、リズムがある生活を目指しましょう。寝る前のスマホは控えめにして、リラックスできる環境を整えるのがおすすめです。
ストレスをためない
ストレスがたまると肌荒れにもつながります。趣味に没頭したり、軽く体を動かしたり、お風呂でゆったりするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけておくことも予防には大切です。
しこりニキビの間違ったケア
実は、無意識にやってしまっているケアこそ、しこりニキビを長引かせる原因になることがあります。知らずに続けていないか、チェックしてみましょう。
自分で潰す
気になるからと、しこりニキビを指でつぶしたり芯を出そうとすると、雑菌が入り込んで炎症が悪化します。皮膚の奥までダメージが届くと、クレーター状のニキビ跡になるリスクもあります。手で触るクセも要注意です。清潔を保ち、自己処理しないようにしましょう。
濃いメイクで隠す
コンシーラーやファンデで厚塗りすると、毛穴をふさいでさらに悪化します。特に油分の多いアイテムは要注意です。オイルフリーやミネラル系など、肌への負担が少ないものを選び、カバーは最小限にしてください。メイク後のクレンジングも丁寧に行いましょう。
ゴシゴシ洗う
しこりニキビがある肌は敏感です。清潔にしようとして強く洗ったり、洗浄力の高すぎる洗顔料を使ったりすると、かえって肌を乾燥させて悪化の原因になります。泡でやさしく包むように洗い、洗顔料は刺激の少ないものを選びましょう。
放置する
しこりニキビは自然に治ることもありますが、悪化すると色素沈着や凹みなどの跡が残ることもあります。炎症がひどくなる前に、早めのセルフケアか皮膚科での治療を検討しましょう。特に長引いている場合や痛みを伴う場合は放置せず、専門の医療機関での相談が安心です。
ニキビができたら悪化する前に皮膚科を受診しよう
ニキビは「そのうち治る」と思って放置してしまいがちですが、実は初期の段階で皮膚科を受診することが、悪化やニキビ跡を防ぐ一番の近道です。しこりニキビや赤く腫れているタイプは、自己判断でケアを続けると、炎症が深くまで進み、跡が残るリスクが高くなります。
悩みを長引かせないためにも、正しいタイミングで専門の力を借りることが大切です。皮膚科では、ニキビの状態に合わせた外用薬や内服薬など、医師の判断で最適な治療を受けられます。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
「仕事が忙しくて皮膚科に行く時間がない」「子育て中で外出が難しい」そんな場合には、スマホやパソコンで受診できるオンライン診療という選択肢があります。「通えないから仕方ない」と放置するのではなく、オンライン診療を上手に活用して、早めの治療につなげましょう。ニキビは早期対応がカギです。
オンライン診療とは
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師の診察を受けられる医療サービスです。インターネットを通じてビデオ通話で医師と話し、問診・診察・薬の処方までをすべてオンラインで完結できるのが特徴になります。
通院の時間や移動の負担がなく、忙しい方や外出が難しい方でも手軽に医師の診察を受けられるのが魅力です。生活スタイルに合わせて、無理なく医療を取り入れることができます。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をよりスムーズに行えるサービスです。診察の予約からお薬の受け取りまで、すべての流れをアプリで完結できます。アプリ内では、お気に入りのクリニックや薬局を登録ができ、再診や薬の受け取りもスムーズです。お薬手帳もデジタル化されるので、過去の処方履歴の管理もラクになります。
処方されたお薬は全国どこでも当日または翌日に自宅に届くため、忙しい方や外出が難しい方にとって大変便利なサービスです。今のライフスタイルに寄り添う形で医療がぐっと身近になります。
まとめ
しこりニキビは、皮膚の奥深くで炎症を起こすため、一般的なニキビとは異なる丁寧な対応が必要です。自己判断で潰したり放っておくと、炎症が悪化しやすく、跡が残るかもしれません。悪化を防ぐためにも、早めに皮膚科で適切な治療を受けることが大切です。日々のスキンケアと生活習慣の見直しを通じて、ニキビに悩まない健やかな肌を目指しましょう。

医師
高藤 円香

この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。
普段のケアの仕方から間違った方法を取っていないか、治療をしっかり行うだけでなく普段からのケア方法を確認されると良いと思います。また、なかなか治らないなと思ったら自己流にこだわらず、早めに受診をおすすめします。