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【皮膚科医師監修】水ぶくれや痛みは帯状疱疹?症状がはっきりしないときの検査と診断方法を解説

帯状疱疹の検査はなぜ必要?症状だけでは判断が難しいケースもある

帯状疱疹は、水ぶくれやピリピリとした痛みなど、特徴的な症状から診断されることが多い病気です。しかし、すべての人が典型的な症状を示すわけではありません。とくに発症初期や症状が軽い場合には、他の病気と区別がつきにくく、自己判断では誤ることもあります。

 

帯状疱疹の可能性がある場合は、正確な診断のために皮膚科での検査を受けることが大切です。痛みだけが先に現れるケースや、発疹がごくわずかしか出ないケースでは、専門医の判断と検査が重要になります。

基本は問診と視診で判断されることが多い

帯状疱疹は、問診と視診だけである程度の診断がつくことが多い病気です。皮膚に帯状の水ぶくれや赤みが見られ、それが体の片側に限局している場合、医師は帯状疱疹を強く疑います。また、痛みの性質や経過を確認することで診断の精度が高まります。

 

しかし、症状が典型的でないときは、問診と視診だけでは判断ができません。たとえば、痛みが腰や背中に限られていると、整形外科的な疾患と誤認されることもあります。その場合、湿布などを使用して悪化することもあるため注意しましょう。

症状が軽い場合は診断が難しいこともある

帯状疱疹は必ずしも強い痛みや広範囲の発疹を伴うとは限りません。中には、かすかなかゆみや虫刺されのような見た目で始まり、本人が帯状疱疹とは思わず放置してしまうケースもあります。

 

また、発疹よりも先に痛みだけが数日から2週間続くこともあります。この段階では内科や整形外科など、皮膚科以外の診療科を受診する人も多く、原因不明の痛みとして扱われがちです。その後に発疹が出てようやく帯状疱疹と診断される、という流れも珍しくありません。

 

こうしたケースでは、医師の経験だけで正確な判断をするのは難しく、追加の検査が必要になることがあります。

帯状疱疹の検査方法にはどんなものがあるか

診断には、症状だけでは不十分な場合もあるため、確定診断のためにいくつかの検査が行われることがあります。症状が軽い場合や、ほかの病気との鑑別が必要な場合に検査は有効です。ここでは、医療現場で使われている主な帯状疱疹の検査方法についてわかりやすくご紹介します。

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Taijouhoushin2025.pdf

(ガイドライン 2.5 診断,検査より)

Tzanck試験:短時間で可能な基本的検査

水ぶくれやただれた部分から採取した細胞を染色し、顕微鏡で確認する検査です。10〜15分ほどで結果が出る手軽な方法で、帯状疱疹を疑った初期の段階でよく行われます。

 

ただし、この検査では帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)と、類似した症状を引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)との区別はできません。そのため、より詳しい検査が必要になることもあります。

蛍光抗体法:ヘルペスウイルスの型も判別可能

水疱から採取した検体に特殊な蛍光物質で標識した抗体を使い、VZVが存在するかを確認する検査です。感染細胞が蛍光を発するため、蛍光顕微鏡で容易に確認できます。

 

この方法の特徴は、VZVと単純ヘルペスを見分けられる点です。検査は1時間程度で完了し、診断精度も高いため、多くの医療機関で活用されています。

核酸増幅法(PCR・リアルタイムPCR・LAMP):高感度の遺伝子検査

ウイルスのDNAをわずかな量から増幅し、存在を確認する高度な検査です。感度・特異度ともに非常に高く、確実な診断が求められる場面で使われます。

 

リアルタイムPCRでは、ウイルス量を測定できるため、症状の重症度の予測にも役立ちます。また、日本で開発されたLAMP法は、一定温度で短時間に検出ができる点が特徴です。いずれも専門機関で行われる検査で、保険適用には限りがありますが、正確な診断には非常に有効です。

分離培養法:ウイルスの感染力を評価できる検査

採取した検体からウイルスを実際に培養して検出する方法です。感染性のあるウイルスが存在しているかを確認できるため、確実性の高い検査といえます。

 

ただし、ウイルスが失活しやすく、培養には数日かかるため、迅速性には欠けます。この欠点を補う方法として、培養細胞を使った「Shell vial法」では、短期間での検出が可能になっています。

病理検査:皮膚の細胞レベルで帯状疱疹を確認する方法

皮膚から採取した組織を詳しく調べる検査です。帯状疱疹では、皮膚の細胞に特徴的な変化が現れるため、それを顕微鏡で確認することで診断を助けます。

 

ただし、同じヘルペスウイルスであるHSVとの見分けは通常の染色では難しく、VZV特有の免疫染色を行うことで確定診断に近づけることが可能です。やや専門的な検査のため、通常は診断が難しい症例で行われます。

イムノクロマト法:外来でもすぐに判定できる迅速検査

近年、外来診療でも活用されているのがイムノクロマト法です。水ぶくれやびらんから採取した検体に含まれるVZV抗原を検出するもので、10分以内に判定できる迅速検査です。

 

検出感度や特異度も高く、PCR検査との一致率も非常に高いことが報告されています。外来ですぐに結果が必要なときにはとても有用な方法です。

血液検査:抗体の上昇から感染の時期を推定するが限界もある

血液検査では、VZVに対する抗体の有無やその量を測定します。IgGやIgMといった抗体の増加を調べることで、感染の時期や経過をある程度推定できます。

 

早期では抗体がまだ上昇していない場合もあるため、補助的な情報として扱われることがほとんどです。帯状疱疹はVZVの再活性化によって起こるため、初感染とは異なり、IgMだけでは診断がつきにくいケースもあります。

帯状疱疹と間違えやすい疾患とは?

帯状疱疹は、特徴的な水ぶくれやチクチクとした神経痛などの症状から診断されることが多いですが、実際にはほかの皮膚疾患と区別がつきにくいケースもあります。また、症状の現れ方には個人差があり、典型的な発疹が出ない「非典型例」も存在するため、自己判断は禁物です。ここでは、帯状疱疹とよく似た症状を持つ病気や、診断が難しくなる特殊なケースについて解説します。

単純ヘルペスや毛嚢炎など似た症状の疾患も多い

帯状疱疹とよく似た症状をもつ病気に「単純ヘルペス」や「接触皮膚炎」、「毛嚢炎」などがあり、これらとの違いを見極めることも検査の目的のひとつです。

 

「単純ヘルペス」

唇や性器などに小さな水ぶくれが集まってできるのが特徴で、同じ場所に何度も再発することがあります。

 

「接触皮膚炎」

皮膚に何かの物質が触れることで赤みやかゆみ、水ぶくれなどの炎症が起こる病気です。原因には、金属・化粧品・植物・薬・日用品などさまざまあります。湿布やアクセサリーの成分に反応したときは、赤みや水ぶくれが神経に沿って広がるように見えることがあります。しかし、痛みがなく、かゆみが主な症状です。

 

「虫刺され」

虫に刺されたり咬まれたりすると、皮膚に痛みやかゆみ、赤み、水ぶくれなどの反応が現れます。かゆみは、体が異物に反応して起こるアレルギー反応によるもので、刺された直後に症状が出る「即時型」と、1〜2日経ってから出てくる「遅延型」があります。

 

「毛嚢炎」

毛穴の奥にある毛根を包む部分に細菌などが感染して起こる炎症です。首の後ろや太もも、お尻など、下着や衣類がこすれやすい部位によく見られ、軽い痛みを伴うことがあります。赤く盛り上がった発疹や、水ぶくれのように見える膿疱ができるのが特徴です。

 

「水疱性類天疱瘡」

体の免疫の働きに異常が起こり、自分の皮膚に対して攻撃をしてしまう自己免疫疾患のひとつで、皮膚の深い部分に水ぶくれができます。全身の皮膚に、かゆみを伴う赤い発疹や、大きくてパンと張った水ぶくれが突然できるのが特徴です。

 

「蕁麻疹」

皮膚が突然赤く盛り上がり、かゆみを伴う皮膚のトラブルです。膨らんだ赤い発疹が特徴で、数時間以内に自然に消えるのが一般的ですが、症状が強い場合は、次々に新しい発疹が出て、ずっと続いているように見えることもあります。

帯状疱疹特有の症状が出にくい「非典型例」に注意

「無疱疹性帯状疱疹」

水ぶくれができず神経痛のような痛みだけが続きます。皮膚症状がないため、腰痛や神経痛など他の病気と誤認されることもあります。診断には時間がかかる場合もあり、発疹が出てからようやく帯状疱疹とわかることも少なくありません。

 

「汎発性帯状疱疹」

通常は体の片側にだけ現れる帯状疱疹ですが、まれに体の両側や全身に水疱が広がる重症例もあります。このケースでは、免疫力の低下が背景にあることが多く、早期の医療対応が必要です。

 

典型的な症状が出ない場合でも、皮膚に違和感や痛みを感じたら早めに皮膚科を受診することが大切です。

帯状疱疹の検査はいつ行うのが効果的か

検査には適したタイミングがあり、時期を間違えると正しい結果が得られにくくなることもあります。ここでは、帯状疱疹の検査を行うのに効果的な時期について解説します。

水疱が出ている時期が検査の最適タイミング

検査には、水疱の内容物を用いる細胞診や、血液中の抗体を調べる血液検査などがあります。なかでも、水疱ができている時期は検査の精度が高く、ウイルスを直接確認しやすいため、診断にもっとも適したタイミングとされています。

 

血液検査を行う場合は、皮疹が出てから4〜5日経過した時点が目安です。検査では、ウイルスに対する抗体の量を見ることで、感染の有無を調べます。しかし、発疹が出てからすぐの時期では、抗体がまだ十分に増えていないこともあり、正確な診断が難しい場合があるためです。

発疹が出ていない段階では診断が難しい場合もある

水痘・帯状疱疹ウイルスは子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、神経の中に何年も潜伏していて、免疫が落ちたときに再活性化して発症します。潜伏しているあいだは、どれだけ検査をしても帯状疱疹になるかどうかを予測することはできません。

 

発疹よりも先に神経痛のような痛みだけが現れることもあります。初期段階では、皮膚に目立った異常がないため、問診だけでの判断が難しく、検査を行ってもウイルスを確認できないことがあります。

 

そのため、発疹が出ていない状態で「痛みだけがある」という場合には、他の病気との鑑別も含めて慎重な経過観察が必要です。皮膚症状が現れてきた段階で、あらためて検査や診断が行われます。

帯状疱疹は早期治療が大切!わからない場合は放置せず皮膚科を受診しよう

帯状疱疹は、初期に適切な治療を始めることで、症状の悪化を防ぎ、痛みや後遺症のリスクを減らせられる病気です。ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬は、発症からできるだけ早い段階で使用することが効果的とされています。

 

初期症状が「虫刺され」や「かぶれ」と似ていたり、痛みだけが先に現れるケースでは、気づかずに様子を見てしまうかもしれません。症状があいまいであっても、「いつもと違う痛み」「赤みや水ぶくれが片側に集中している」など、少しでも気になることがあれば早めに皮膚科を受診しましょう。問診や視診、必要な場合は検査を行うことで、正確な診断と早期治療につなげられます。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

「仕事が忙しくて病院に行く時間がない」「子どもがいて外出が難しい」など、通院のハードルが高いときに便利なのが、オンライン診療です。症状が軽いうちに相談したいけれど、病院に行くほどか迷う…そんなときにも活用できます。

オンライン診療とは

オンライン診療について

 

オンライン診療とは、インターネットを使って、スマートフォンやパソコンを通じて医師の診察を受けられる医療サービスです。自宅にいながら予約・問診・診察・薬の処方までをすべてオンライン上で完結できます。医師とのやりとりはビデオ通話形式で行われ、対面診療と同じように症状の説明や相談が可能です。診察後に処方箋が発行され、薬は自宅に配送されるため、外出せずに治療を進められます。

SOKUYAKUとは

SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をよりスムーズに受けられるサービスです。忙しい日常の中でも安心して医療を受けられる環境が整っています。診察予約からお薬の受け取りまで、すべてのステップをアプリで簡単に済ませられます。

 

使い方も簡単で、クリニックや薬局を事前に登録しておけば、毎回スムーズに予約や処方が可能です。お薬手帳のデジタル管理や、専門スタッフのサポートもあり、初めての方でも安心して利用できます。さらに、全国どこに住んでいても、当日または翌日に薬を受け取れる仕組みが整っているため、症状が出たその日に対応できる点も大きな魅力です。

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まとめ

初期の段階で治療を始めることで、症状の悪化や後遺症のリスクを抑えられます。そのためには、正確な診断が欠かせません。症状がはっきりしない場合でも、医師の判断や検査によって他の病気と見分けることが可能です。「痛みが気になる」「いつもと違う」と感じたときは自己判断で済ませず、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。早期対応が、その後の生活の質を守ることにつながります。

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【皮膚科医師監修】水ぶくれや痛みは帯状疱疹?症状がはっきりしないときの検査と診断方法を解説のイメージ

水ぶくれやピリピリとした痛みがあると、「帯状疱疹かも…」と不安になる方も多いかもしれません。症状がはっきりしない場合、自分で見分けるのは難しいでしょう。帯状疱疹に似た症状の病気もいくつかあり、自己判断によって診断が遅れるケースもあります。そんなとき頼りになるのが、皮膚科で行われる専門的な検査です。この記事では、帯状疱疹を見極めるための検査の種類や、その検査を受けるベストなタイミングについて、詳しくご紹介します。

帯状疱疹の検査はなぜ必要?症状だけでは判断が難しいケースもある

帯状疱疹は、水ぶくれやピリピリとした痛みなど、特徴的な症状から診断されることが多い病気です。しかし、すべての人が典型的な症状を示すわけではありません。とくに発症初期や症状が軽い場合には、他の病気と区別がつきにくく、自己判断では誤ることもあります。

 

帯状疱疹の可能性がある場合は、正確な診断のために皮膚科での検査を受けることが大切です。痛みだけが先に現れるケースや、発疹がごくわずかしか出ないケースでは、専門医の判断と検査が重要になります。

基本は問診と視診で判断されることが多い

帯状疱疹は、問診と視診だけである程度の診断がつくことが多い病気です。皮膚に帯状の水ぶくれや赤みが見られ、それが体の片側に限局している場合、医師は帯状疱疹を強く疑います。また、痛みの性質や経過を確認することで診断の精度が高まります。

 

しかし、症状が典型的でないときは、問診と視診だけでは判断ができません。たとえば、痛みが腰や背中に限られていると、整形外科的な疾患と誤認されることもあります。その場合、湿布などを使用して悪化することもあるため注意しましょう。

症状が軽い場合は診断が難しいこともある

帯状疱疹は必ずしも強い痛みや広範囲の発疹を伴うとは限りません。中には、かすかなかゆみや虫刺されのような見た目で始まり、本人が帯状疱疹とは思わず放置してしまうケースもあります。

 

また、発疹よりも先に痛みだけが数日から2週間続くこともあります。この段階では内科や整形外科など、皮膚科以外の診療科を受診する人も多く、原因不明の痛みとして扱われがちです。その後に発疹が出てようやく帯状疱疹と診断される、という流れも珍しくありません。

 

こうしたケースでは、医師の経験だけで正確な判断をするのは難しく、追加の検査が必要になることがあります。

帯状疱疹の検査方法にはどんなものがあるか

診断には、症状だけでは不十分な場合もあるため、確定診断のためにいくつかの検査が行われることがあります。症状が軽い場合や、ほかの病気との鑑別が必要な場合に検査は有効です。ここでは、医療現場で使われている主な帯状疱疹の検査方法についてわかりやすくご紹介します。

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/Taijouhoushin2025.pdf

(ガイドライン 2.5 診断,検査より)

Tzanck試験:短時間で可能な基本的検査

水ぶくれやただれた部分から採取した細胞を染色し、顕微鏡で確認する検査です。10〜15分ほどで結果が出る手軽な方法で、帯状疱疹を疑った初期の段階でよく行われます。

 

ただし、この検査では帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)と、類似した症状を引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)との区別はできません。そのため、より詳しい検査が必要になることもあります。

蛍光抗体法:ヘルペスウイルスの型も判別可能

水疱から採取した検体に特殊な蛍光物質で標識した抗体を使い、VZVが存在するかを確認する検査です。感染細胞が蛍光を発するため、蛍光顕微鏡で容易に確認できます。

 

この方法の特徴は、VZVと単純ヘルペスを見分けられる点です。検査は1時間程度で完了し、診断精度も高いため、多くの医療機関で活用されています。

核酸増幅法(PCR・リアルタイムPCR・LAMP):高感度の遺伝子検査

ウイルスのDNAをわずかな量から増幅し、存在を確認する高度な検査です。感度・特異度ともに非常に高く、確実な診断が求められる場面で使われます。

 

リアルタイムPCRでは、ウイルス量を測定できるため、症状の重症度の予測にも役立ちます。また、日本で開発されたLAMP法は、一定温度で短時間に検出ができる点が特徴です。いずれも専門機関で行われる検査で、保険適用には限りがありますが、正確な診断には非常に有効です。

分離培養法:ウイルスの感染力を評価できる検査

採取した検体からウイルスを実際に培養して検出する方法です。感染性のあるウイルスが存在しているかを確認できるため、確実性の高い検査といえます。

 

ただし、ウイルスが失活しやすく、培養には数日かかるため、迅速性には欠けます。この欠点を補う方法として、培養細胞を使った「Shell vial法」では、短期間での検出が可能になっています。

病理検査:皮膚の細胞レベルで帯状疱疹を確認する方法

皮膚から採取した組織を詳しく調べる検査です。帯状疱疹では、皮膚の細胞に特徴的な変化が現れるため、それを顕微鏡で確認することで診断を助けます。

 

ただし、同じヘルペスウイルスであるHSVとの見分けは通常の染色では難しく、VZV特有の免疫染色を行うことで確定診断に近づけることが可能です。やや専門的な検査のため、通常は診断が難しい症例で行われます。

イムノクロマト法:外来でもすぐに判定できる迅速検査

近年、外来診療でも活用されているのがイムノクロマト法です。水ぶくれやびらんから採取した検体に含まれるVZV抗原を検出するもので、10分以内に判定できる迅速検査です。

 

検出感度や特異度も高く、PCR検査との一致率も非常に高いことが報告されています。外来ですぐに結果が必要なときにはとても有用な方法です。

血液検査:抗体の上昇から感染の時期を推定するが限界もある

血液検査では、VZVに対する抗体の有無やその量を測定します。IgGやIgMといった抗体の増加を調べることで、感染の時期や経過をある程度推定できます。

 

早期では抗体がまだ上昇していない場合もあるため、補助的な情報として扱われることがほとんどです。帯状疱疹はVZVの再活性化によって起こるため、初感染とは異なり、IgMだけでは診断がつきにくいケースもあります。

帯状疱疹と間違えやすい疾患とは?

帯状疱疹は、特徴的な水ぶくれやチクチクとした神経痛などの症状から診断されることが多いですが、実際にはほかの皮膚疾患と区別がつきにくいケースもあります。また、症状の現れ方には個人差があり、典型的な発疹が出ない「非典型例」も存在するため、自己判断は禁物です。ここでは、帯状疱疹とよく似た症状を持つ病気や、診断が難しくなる特殊なケースについて解説します。

単純ヘルペスや毛嚢炎など似た症状の疾患も多い

帯状疱疹とよく似た症状をもつ病気に「単純ヘルペス」や「接触皮膚炎」、「毛嚢炎」などがあり、これらとの違いを見極めることも検査の目的のひとつです。

 

「単純ヘルペス」

唇や性器などに小さな水ぶくれが集まってできるのが特徴で、同じ場所に何度も再発することがあります。

 

「接触皮膚炎」

皮膚に何かの物質が触れることで赤みやかゆみ、水ぶくれなどの炎症が起こる病気です。原因には、金属・化粧品・植物・薬・日用品などさまざまあります。湿布やアクセサリーの成分に反応したときは、赤みや水ぶくれが神経に沿って広がるように見えることがあります。しかし、痛みがなく、かゆみが主な症状です。

 

「虫刺され」

虫に刺されたり咬まれたりすると、皮膚に痛みやかゆみ、赤み、水ぶくれなどの反応が現れます。かゆみは、体が異物に反応して起こるアレルギー反応によるもので、刺された直後に症状が出る「即時型」と、1〜2日経ってから出てくる「遅延型」があります。

 

「毛嚢炎」

毛穴の奥にある毛根を包む部分に細菌などが感染して起こる炎症です。首の後ろや太もも、お尻など、下着や衣類がこすれやすい部位によく見られ、軽い痛みを伴うことがあります。赤く盛り上がった発疹や、水ぶくれのように見える膿疱ができるのが特徴です。

 

「水疱性類天疱瘡」

体の免疫の働きに異常が起こり、自分の皮膚に対して攻撃をしてしまう自己免疫疾患のひとつで、皮膚の深い部分に水ぶくれができます。全身の皮膚に、かゆみを伴う赤い発疹や、大きくてパンと張った水ぶくれが突然できるのが特徴です。

 

「蕁麻疹」

皮膚が突然赤く盛り上がり、かゆみを伴う皮膚のトラブルです。膨らんだ赤い発疹が特徴で、数時間以内に自然に消えるのが一般的ですが、症状が強い場合は、次々に新しい発疹が出て、ずっと続いているように見えることもあります。

帯状疱疹特有の症状が出にくい「非典型例」に注意

「無疱疹性帯状疱疹」

水ぶくれができず神経痛のような痛みだけが続きます。皮膚症状がないため、腰痛や神経痛など他の病気と誤認されることもあります。診断には時間がかかる場合もあり、発疹が出てからようやく帯状疱疹とわかることも少なくありません。

 

「汎発性帯状疱疹」

通常は体の片側にだけ現れる帯状疱疹ですが、まれに体の両側や全身に水疱が広がる重症例もあります。このケースでは、免疫力の低下が背景にあることが多く、早期の医療対応が必要です。

 

典型的な症状が出ない場合でも、皮膚に違和感や痛みを感じたら早めに皮膚科を受診することが大切です。

帯状疱疹の検査はいつ行うのが効果的か

検査には適したタイミングがあり、時期を間違えると正しい結果が得られにくくなることもあります。ここでは、帯状疱疹の検査を行うのに効果的な時期について解説します。

水疱が出ている時期が検査の最適タイミング

検査には、水疱の内容物を用いる細胞診や、血液中の抗体を調べる血液検査などがあります。なかでも、水疱ができている時期は検査の精度が高く、ウイルスを直接確認しやすいため、診断にもっとも適したタイミングとされています。

 

血液検査を行う場合は、皮疹が出てから4〜5日経過した時点が目安です。検査では、ウイルスに対する抗体の量を見ることで、感染の有無を調べます。しかし、発疹が出てからすぐの時期では、抗体がまだ十分に増えていないこともあり、正確な診断が難しい場合があるためです。

発疹が出ていない段階では診断が難しい場合もある

水痘・帯状疱疹ウイルスは子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、神経の中に何年も潜伏していて、免疫が落ちたときに再活性化して発症します。潜伏しているあいだは、どれだけ検査をしても帯状疱疹になるかどうかを予測することはできません。

 

発疹よりも先に神経痛のような痛みだけが現れることもあります。初期段階では、皮膚に目立った異常がないため、問診だけでの判断が難しく、検査を行ってもウイルスを確認できないことがあります。

 

そのため、発疹が出ていない状態で「痛みだけがある」という場合には、他の病気との鑑別も含めて慎重な経過観察が必要です。皮膚症状が現れてきた段階で、あらためて検査や診断が行われます。

帯状疱疹は早期治療が大切!わからない場合は放置せず皮膚科を受診しよう

帯状疱疹は、初期に適切な治療を始めることで、症状の悪化を防ぎ、痛みや後遺症のリスクを減らせられる病気です。ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬は、発症からできるだけ早い段階で使用することが効果的とされています。

 

初期症状が「虫刺され」や「かぶれ」と似ていたり、痛みだけが先に現れるケースでは、気づかずに様子を見てしまうかもしれません。症状があいまいであっても、「いつもと違う痛み」「赤みや水ぶくれが片側に集中している」など、少しでも気になることがあれば早めに皮膚科を受診しましょう。問診や視診、必要な場合は検査を行うことで、正確な診断と早期治療につなげられます。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

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オンライン診療とは、インターネットを使って、スマートフォンやパソコンを通じて医師の診察を受けられる医療サービスです。自宅にいながら予約・問診・診察・薬の処方までをすべてオンライン上で完結できます。医師とのやりとりはビデオ通話形式で行われ、対面診療と同じように症状の説明や相談が可能です。診察後に処方箋が発行され、薬は自宅に配送されるため、外出せずに治療を進められます。

SOKUYAKUとは

SOKUYAKU(ソクヤク)は、オンライン診療をよりスムーズに受けられるサービスです。忙しい日常の中でも安心して医療を受けられる環境が整っています。診察予約からお薬の受け取りまで、すべてのステップをアプリで簡単に済ませられます。

 

使い方も簡単で、クリニックや薬局を事前に登録しておけば、毎回スムーズに予約や処方が可能です。お薬手帳のデジタル管理や、専門スタッフのサポートもあり、初めての方でも安心して利用できます。さらに、全国どこに住んでいても、当日または翌日に薬を受け取れる仕組みが整っているため、症状が出たその日に対応できる点も大きな魅力です。

まとめ

初期の段階で治療を始めることで、症状の悪化や後遺症のリスクを抑えられます。そのためには、正確な診断が欠かせません。症状がはっきりしない場合でも、医師の判断や検査によって他の病気と見分けることが可能です。「痛みが気になる」「いつもと違う」と感じたときは自己判断で済ませず、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。早期対応が、その後の生活の質を守ることにつながります。

コメント 免疫が低下すると潜伏 VZV が再活性化しやすく、帯状疱疹は再発リスクが高まります。高齢者、糖尿病や腎不全など慢性疾患を持つ方、抗がん剤・免疫抑制薬・ステロイドを長期使用中の方、強いストレスや睡眠不足が続く方 は特に注意が必要です。ワクチン接種と規則正しい生活で免疫維持を図り、異変を感じたら 72 時間以内の受診を推奨します。

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監修医師 松澤 宗範
青山メディカルクリニック院長/慶応義塾大学病院形成外科

皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
青山メディカルクリニック院長/慶応義塾大学病院形成外科 皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療 2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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