まぶたの痛みと水疱、眼瞼ヘルペスに注意！まぶたに起こる症状と治療法

まぶたに現れるヘルペスとは？

ヘルペスというと「唇にできる水ぶくれ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。実はまぶたにもヘルペスは発症します。まぶたにできるヘルペスは「眼瞼（がんけん）ヘルペス」と呼ばれ、単純ヘルペスウイルスが原因です。

まぶたの痛みと水疱がサイン

最初のサインは、まぶたのチクチク・ズキズキとした違和感や痛みです。そこから赤く腫れ、小さな水ぶくれが出現します。

一見ニキビや虫刺されに似ているため、初期段階では見分けがつきにくいかもしれません。徐々に水ぶくれが増え、痛みやかゆみが強くなる場合はヘルペスの可能性があります。

帯状ヘルペスとの症状の違い

まぶたに出るヘルペスには、もうひとつ「帯状ヘルペスウイルス」が原因となるものもあります。単純ヘルペスと帯状ヘルペスは似た症状を持ちますが、発症の仕方に違いがあります。

単純ヘルペスは比較的局所的に現れ、再発しやすいのが特徴です。一方で帯状ヘルペスは、神経に沿って顔の片側に広範囲で水疱ができることが多く、強い痛みや発熱、倦怠感などを伴う場合があります。

ヘルペスウイルスがまぶたに感染する理由

単純ヘルペスウイルス1型は口や目のまわりに感染しやすく、多くの方が子どもの頃に初感染します。感染したあともウイルスは完全に体外へ排除されることはなく、神経の中に潜んでいます。

感染した後、三叉神経に潜む

ヘルペスウイルスは初めて感染すると、顔の感覚を司る「三叉神経」に沿って移動し、神経の奥にある「三叉神経節」という場所に潜伏します。普段はそこでじっとしていますが、何らかのきっかけで再び活動を始めると、まぶたに症状があらわれます。

免疫力の低下が引き金に

再発するきっかけは、身体の抵抗力が弱まったときです。風邪をひいたときや強い紫外線を浴びたとき、疲労やストレス、睡眠不足などが続いたときなどに、潜んでいたウイルスが再活性化して症状を引き起こします。

まぶたのヘルペスは早期治療がカギ

見た目は軽い炎症やにきびのように見えても、自然治癒に任せるだけでは悪化するおそれがあります。症状が広がる前に治療を始めることで、目への合併症や再発のリスクを抑えられます。

抗ウイルス薬の軟膏

治療には、抗ウイルス薬を含む軟膏を使用し、これにはウイルスの増殖を抑える効果があります。軟膏はまぶたの患部に直接塗布することで、症状の進行を食い止め、水疱や炎症を和らげます。

点眼で二次感染を防ぐ

ヘルペスによってまぶたや目のまわりの皮膚が傷つくと、そこから細菌が入り込みやすくなります。そのため、抗ウイルス薬の軟膏とあわせて、抗菌薬の点眼薬が処方されることがあります。これは細菌による二次感染を予防するための重要な対策です。

また、結膜炎や角膜炎を合併している場合には、炎症を抑えるためにステロイド点眼薬が用いられることもあります。目の状態に応じた治療が必要となるため、症状がある場合は自己判断せずに眼科を受診しましょう。

まぶたのヘルペスが引き起こす目の合併症

症状が進行すると目そのものにも影響を及ぼすことがあります。まぶたと眼球は非常に近いため、ウイルスが結膜や角膜、さらには目の奥の組織にまで広がると、視力に関わる重大な合併症を引き起こす可能性があります。症状を軽く見ず、早めに眼科での診察を受けることがとても大切です。

眼科でする目の検査

眼科では視診だけでなく、いくつかの検査を通して目の内部の状態を詳しく確認します。主な検査には、角膜や結膜の状態を確認する「細隙灯（さいげきとう）顕微鏡検査」、炎症の有無を調べる「眼圧測定」、目の奥にある網膜などの異常を調べる「眼底検査」などがあります。

結膜炎

まぶたにできたヘルペスウイルスが結膜に感染すると、目の白目部分が赤く充血し、目やにやかゆみを伴う「結膜炎」を起こすことがあります。軽度で済むことがほとんどです。しかし、繰り返し炎症が起こることで慢性化するケースもあります。早期にウイルスを抑える治療を行うことで、症状の悪化を防げます。

ヘルペス性角膜炎

ヘルペスウイルスが角膜に感染すると「ヘルペス性角膜炎」を発症します。視力に直結する深刻な合併症で、目のかすみ、ゴロゴロとした異物感、まぶしさ、視力の低下などの症状を引き起こします。

角膜炎は再発しやすく、適切な治療が行われなかった場合には失明に至る可能性もあるため、軽視できません。感染が角膜の表層にとどまる場合は比較的治りやすいですが、深部にまで及ぶと角膜が白く濁り、重度の視力障害を残すこともあります。

ぶどう膜炎

まれではありますが、ウイルスの感染が眼球内部にまで広がると「ぶどう膜炎」と呼ばれる炎症を引き起こすことがあります。ぶどう膜とは、虹彩（こうさい）・毛様体・脈絡膜という目の重要な組織を含む部分です。ここに炎症が生じると強い痛みや視力の急激な低下が現れることがあります。

ぶどう膜炎は眼圧の上昇や網膜の障害にもつながるため、放置すると視機能に深刻な影響を与える恐れがあります。眼科での継続的な管理と治療が欠かせません。

まぶたの腫れや額の赤みや痒みなどを感じたら、皮膚科か眼科を受診しよう

まぶたや額にピリピリとした痛みやかゆみがある場合は、眼瞼ヘルペスの初期症状かもしれません。ヘルペスは放っておくと悪化し、目の疾患に発展する恐れもあるため、症状に気づいたら早めに皮膚科や眼科を受診することが大切です。

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まとめ

まぶたの痛みや小さな水ぶくれは、眼瞼ヘルペスの症状かもしれません。放置してしまうと、目の合併症へと進行する恐れもあるため、早期の受診と治療がとても重要です。まぶたや額に違和感を感じたら、自己判断せずに皮膚科や眼科で専門的な診察を受けるようにしましょう。