【医師監修】おでこやまぶたが痛い?それ、目の帯状疱疹かもしれません
目にも帯状疱疹ができるって本当?
「帯状疱疹」というと、体や背中に水ぶくれができるイメージが一般的かもしれません。しかし、実は顔や目の周りに発症することがあります。おでこやまぶた、鼻のまわりに症状が現れたものが「眼部帯状疱疹」です。
帯状疱疹とはどんな病気
皮膚に強い痛みと帯状の赤い発疹が現れる病気です。水ぼうそうの原因でもある「水痘・帯状疱疹ウイルス」が関係しています。子どもの頃に水ぼうそうにかかると、治った後もウイルスは体内の神経に潜んでいます。年齢を重ねたり、ストレスや病気で体の抵抗力が弱まったときに、このウイルスが再び活性化するのです。神経に沿って皮膚に痛みを伴う発疹を起こします。
50歳を過ぎると発症率が高くなり、日本では成人の約9割がこのウイルスを体内に持っているとされ、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験するといわれています。
目の周りにできる帯状疱疹、眼部帯状疱疹とは
顔の感覚をつかさどる三叉神経のうち、おでこや上まぶた、鼻を含む「第1枝」の領域に帯状疱疹が発症したものです。左右のどちらか片側だけに症状が出るのが特徴で、痛みだけでなく、まぶたの腫れ、赤み、水ぶくれが現れます。
鼻の先に発疹ができた場合は、ウイルスが目の奥に入り込みやすく、角膜炎などの合併症を起こしやすいとされています。眼部帯状疱疹を放置すると視力に関わるリスクがあるため、早期の診断と治療がとても重要です。
目にできた帯状疱疹で起こる症状は
眼部帯状疱疹は、皮膚だけでなく目そのものにも影響を及ぼすのが大きな特徴です。
まぶたやおでこに出る初期症状
初めにでる症状は、おでこやまぶた、眉毛の周辺にピリピリ、ズキズキするような痛みやかゆみです。痛みは片側だけで、次第に赤みや小さな水疱が現れ、まぶたが腫れぼったくなります。鼻先まで発疹が広がると、ウイルスが鼻の神経を通じて目の中へ入り込む可能性が高まります。
人によっては虫刺されやニキビと勘違いするかもしれません。市販の薬を塗り、症状を悪化させてしまうこともあります。
目の中にまで及ぶとどうなる?
ウイルスが目の内部に達すると結膜炎、角膜炎、虹彩炎などの合併症を引き起こします。皮膚の発疹が治ってからも目の合併症は続くことがあるため、自己判断で治療をやめないようにしましょう。
結膜炎
目が赤く充血し、異物感や涙が止まらなくなることがあります。
角膜炎
進行すると、黒目に傷がついて痛みやまぶしさが強くなり、視界がかすむこともあります。
虹彩炎
光をまぶしく感じたり、眼圧が上がって緑内障を引き起こすリスクもあり、最悪の場合は視力を失う可能性もあります。
目の帯状疱疹の検査は
眼部帯状疱疹が疑われるときは、皮膚の状態だけでなく、目の中の詳しい検査が必要です。
眼科で行う主な検査
スリットランプ(細隙灯顕微鏡)を用いて目の表面や内部を詳しく調べます。角膜に傷がないか、結膜に炎症がないか、虹彩や水晶体の状態まで確認します。
また、角膜の感覚が低下していないかを調べる角膜知覚検査も重要です。これにより、ウイルスによる神経障害の有無を把握できます。フルオレセイン染色という検査では、目に特殊な染料をつけて青い光を当て、微細な傷を発見します。
ウイルス検査
発疹がはっきり出ていない場合や、他の病気と区別がつきにくい場合は、ウイルス検査を行うことがあります。PCR検査で角膜の表面や前房水からウイルスのDNAを調べたり、血液検査で抗体の変化を確認する方法です。こうした検査を組み合わせることで、診断の確実性が高まります。
目の帯状疱疹の治療はスピード勝負
眼部帯状疱疹は治療を始めるタイミングが早いほど、症状の進行を防ぎやすくなります。
抗ウイルス薬をしっかり服用
治療の基本は抗ウイルス薬の全身投与(内服または点滴)です。発疹が出てから72時間以内に治療を始めると、ウイルスの増殖を抑え、後遺症が残りにくいと言われています。
皮膚の発疹部分には抗ウイルス薬の軟膏を塗り、ウイルスの活動を局所でも抑えます。まぶたに塗った薬が目に入っても問題はありませんが、自己判断で市販薬を使うのは避けましょう。
目の炎症には追加の治療
目の中に炎症が広がっている場合は、抗ウイルス薬に加えてステロイド点眼薬を使用し、炎症を鎮めます。虹彩炎による眼圧上昇には、緑内障治療薬を併用することもあります。角膜に濁りが残る重症例では、角膜移植が検討されることもありますが、まずは早期の治療で進行を防ぐことが重要です。治療後も再発防止と経過観察のため、定期的な眼科受診を続けましょう。
目の帯状疱疹を予防するためにできること
ここでは、日常生活のポイントと予防接種について紹介します。
免疫力を落とさない生活習慣
帯状疱疹は免疫力の低下が引き金です。加齢だけでなく、疲れやストレスの蓄積も発症のリスクを高めます。まずは、十分な休息と睡眠を心がけ、無理のない生活を送りましょう。
食事は偏らず、野菜やたんぱく質をバランス良く摂ることが大切です。適度な運動も免疫力維持に役立つため、散歩や軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけてください。ストレスは免疫を弱める原因になるため、趣味の時間を楽しんだり、入浴でリラックスするなど、心身をリフレッシュさせましょう。
ワクチンでリスクを下げよう
50歳以上の方は、帯状疱疹の予防接種を受けるという方法もあります。ワクチンを接種することで、ウイルスに対する免疫力を強化し、帯状疱疹の発症や重症化を防ぐ効果が期待できます。ただし、ワクチンは誰でも接種できるわけではないため、事前に医師と相談することが大切です。
症状が出たら、放置せず眼科を受診しよう
痛みや赤み、水ぶくれが出ているのに「そのうち治るだろう」と放置すると、症状が悪化し、強い痛みや後遺症が残ることがあります。少しでも違和感を感じたら、我慢せずに眼科を受診しましょう。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
仕事や育児で忙しく、なかなか病院に行く時間が取れないという方には、オンライン診療という選択肢があります。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットにつながるスマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師の診察を受けられるサービスです。予約から問診、診察、薬の処方、支払いまでをすべてオンラインで完結でき、忙しい方でも安心して利用できます。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKU(ソクヤク) は、オンライン診療をもっと便利にするサービスです。アプリを使って診察の予約からお薬の受け取りまでをスムーズに行えます。
お気に入りのクリニックを登録でき、デジタルお薬手帳としても活用できます。処方された薬は全国どこでも当日または翌日に受け取れるので、忙しい方でも安心です。
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まとめ
目の周りに帯状疱疹が出ると、見た目だけでなく、視力や目の健康に深刻な影響を与える可能性があります。大切なのは、症状に気づいたときにできるだけ早く治療を始めることです。「何かおかしい」と感じたら、ためらわずに皮膚科や眼科を受診してください。普段から免疫力を保つ生活を心がけ、ワクチン接種での予防も忘れないようにしましょう。早めの対応が、後遺症を残さないためのポイントです。
おでこやまぶたがチクチク、ズキズキと痛むことはありませんか?その症状、もしかすると「目の帯状疱疹」かもしれません。帯状疱疹は体のさまざまな部位に発症しますが、顔や目のまわりにできると、視力に深刻な影響を及ぼす合併症を伴うことがあります。大切な目を守るために、目の帯状疱疹の特徴的な症状や治療法、注意すべきポイントを知っておきましょう。
目にも帯状疱疹ができるって本当?
「帯状疱疹」というと、体や背中に水ぶくれができるイメージが一般的かもしれません。しかし、実は顔や目の周りに発症することがあります。おでこやまぶた、鼻のまわりに症状が現れたものが「眼部帯状疱疹」です。
帯状疱疹とはどんな病気
皮膚に強い痛みと帯状の赤い発疹が現れる病気です。水ぼうそうの原因でもある「水痘・帯状疱疹ウイルス」が関係しています。子どもの頃に水ぼうそうにかかると、治った後もウイルスは体内の神経に潜んでいます。年齢を重ねたり、ストレスや病気で体の抵抗力が弱まったときに、このウイルスが再び活性化するのです。神経に沿って皮膚に痛みを伴う発疹を起こします。
50歳を過ぎると発症率が高くなり、日本では成人の約9割がこのウイルスを体内に持っているとされ、80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験するといわれています。
目の周りにできる帯状疱疹、眼部帯状疱疹とは
顔の感覚をつかさどる三叉神経のうち、おでこや上まぶた、鼻を含む「第1枝」の領域に帯状疱疹が発症したものです。左右のどちらか片側だけに症状が出るのが特徴で、痛みだけでなく、まぶたの腫れ、赤み、水ぶくれが現れます。
鼻の先に発疹ができた場合は、ウイルスが目の奥に入り込みやすく、角膜炎などの合併症を起こしやすいとされています。眼部帯状疱疹を放置すると視力に関わるリスクがあるため、早期の診断と治療がとても重要です。
目にできた帯状疱疹で起こる症状は
眼部帯状疱疹は、皮膚だけでなく目そのものにも影響を及ぼすのが大きな特徴です。
まぶたやおでこに出る初期症状
初めにでる症状は、おでこやまぶた、眉毛の周辺にピリピリ、ズキズキするような痛みやかゆみです。痛みは片側だけで、次第に赤みや小さな水疱が現れ、まぶたが腫れぼったくなります。鼻先まで発疹が広がると、ウイルスが鼻の神経を通じて目の中へ入り込む可能性が高まります。
人によっては虫刺されやニキビと勘違いするかもしれません。市販の薬を塗り、症状を悪化させてしまうこともあります。
目の中にまで及ぶとどうなる?
ウイルスが目の内部に達すると結膜炎、角膜炎、虹彩炎などの合併症を引き起こします。皮膚の発疹が治ってからも目の合併症は続くことがあるため、自己判断で治療をやめないようにしましょう。
結膜炎
目が赤く充血し、異物感や涙が止まらなくなることがあります。
角膜炎
進行すると、黒目に傷がついて痛みやまぶしさが強くなり、視界がかすむこともあります。
虹彩炎
光をまぶしく感じたり、眼圧が上がって緑内障を引き起こすリスクもあり、最悪の場合は視力を失う可能性もあります。
目の帯状疱疹の検査は
眼部帯状疱疹が疑われるときは、皮膚の状態だけでなく、目の中の詳しい検査が必要です。
眼科で行う主な検査
スリットランプ(細隙灯顕微鏡)を用いて目の表面や内部を詳しく調べます。角膜に傷がないか、結膜に炎症がないか、虹彩や水晶体の状態まで確認します。
また、角膜の感覚が低下していないかを調べる角膜知覚検査も重要です。これにより、ウイルスによる神経障害の有無を把握できます。フルオレセイン染色という検査では、目に特殊な染料をつけて青い光を当て、微細な傷を発見します。
ウイルス検査
発疹がはっきり出ていない場合や、他の病気と区別がつきにくい場合は、ウイルス検査を行うことがあります。PCR検査で角膜の表面や前房水からウイルスのDNAを調べたり、血液検査で抗体の変化を確認する方法です。こうした検査を組み合わせることで、診断の確実性が高まります。
目の帯状疱疹の治療はスピード勝負
眼部帯状疱疹は治療を始めるタイミングが早いほど、症状の進行を防ぎやすくなります。
抗ウイルス薬をしっかり服用
治療の基本は抗ウイルス薬の全身投与(内服または点滴)です。発疹が出てから72時間以内に治療を始めると、ウイルスの増殖を抑え、後遺症が残りにくいと言われています。
皮膚の発疹部分には抗ウイルス薬の軟膏を塗り、ウイルスの活動を局所でも抑えます。まぶたに塗った薬が目に入っても問題はありませんが、自己判断で市販薬を使うのは避けましょう。
目の炎症には追加の治療
目の中に炎症が広がっている場合は、抗ウイルス薬に加えてステロイド点眼薬を使用し、炎症を鎮めます。虹彩炎による眼圧上昇には、緑内障治療薬を併用することもあります。角膜に濁りが残る重症例では、角膜移植が検討されることもありますが、まずは早期の治療で進行を防ぐことが重要です。治療後も再発防止と経過観察のため、定期的な眼科受診を続けましょう。
目の帯状疱疹を予防するためにできること
ここでは、日常生活のポイントと予防接種について紹介します。
免疫力を落とさない生活習慣
帯状疱疹は免疫力の低下が引き金です。加齢だけでなく、疲れやストレスの蓄積も発症のリスクを高めます。まずは、十分な休息と睡眠を心がけ、無理のない生活を送りましょう。
食事は偏らず、野菜やたんぱく質をバランス良く摂ることが大切です。適度な運動も免疫力維持に役立つため、散歩や軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけてください。ストレスは免疫を弱める原因になるため、趣味の時間を楽しんだり、入浴でリラックスするなど、心身をリフレッシュさせましょう。
ワクチンでリスクを下げよう
50歳以上の方は、帯状疱疹の予防接種を受けるという方法もあります。ワクチンを接種することで、ウイルスに対する免疫力を強化し、帯状疱疹の発症や重症化を防ぐ効果が期待できます。ただし、ワクチンは誰でも接種できるわけではないため、事前に医師と相談することが大切です。
症状が出たら、放置せず眼科を受診しよう
痛みや赤み、水ぶくれが出ているのに「そのうち治るだろう」と放置すると、症状が悪化し、強い痛みや後遺症が残ることがあります。少しでも違和感を感じたら、我慢せずに眼科を受診しましょう。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
仕事や育児で忙しく、なかなか病院に行く時間が取れないという方には、オンライン診療という選択肢があります。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットにつながるスマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師の診察を受けられるサービスです。予約から問診、診察、薬の処方、支払いまでをすべてオンラインで完結でき、忙しい方でも安心して利用できます。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKU(ソクヤク) は、オンライン診療をもっと便利にするサービスです。アプリを使って診察の予約からお薬の受け取りまでをスムーズに行えます。
お気に入りのクリニックを登録でき、デジタルお薬手帳としても活用できます。処方された薬は全国どこでも当日または翌日に受け取れるので、忙しい方でも安心です。
まとめ
目の周りに帯状疱疹が出ると、見た目だけでなく、視力や目の健康に深刻な影響を与える可能性があります。大切なのは、症状に気づいたときにできるだけ早く治療を始めることです。「何かおかしい」と感じたら、ためらわずに皮膚科や眼科を受診してください。普段から免疫力を保つ生活を心がけ、ワクチン接種での予防も忘れないようにしましょう。早めの対応が、後遺症を残さないためのポイントです。
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
1.
当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
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免許・資格:眼科専門医、PDT 認定医
所属:Vista medical international clinic Shenzhen


















































