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ザイロリック錠(アロプリノール) に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 伊波 綾乃
更新日:2024年02月29日

更新日:2024年02月29日

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ザイロリック錠(アロプリノール)とは、1956年にイギリスのウエルカム研究所(現グラクソ・スミスクライン社)により発見された高尿酸血症治療薬です。日本では、1969年より100mgの剤型が発売開始され、2002年に50mgの剤型追加がされました。

健康診断などで尿酸値が高いと指摘され服用開始となった方、痛風発作後の再発予防として服用開始となった方も多いと思います。ここでは、ザイロリック錠(アロプリノール)について解説していきます。

痛風・高尿酸血症について

痛風は高尿酸血症が元になる疾患の一つです。高尿酸血症により、尿酸塩結晶が母趾関節(足の親指の付け根)や足関節に沈着し痛風発作を起こします。

 

また、腎臓への尿酸・尿酸塩の沈着は腎機能障害を起こすこともあるので、尿酸値を正常に保つことが治療の基本となります。高尿酸血症とは血液中の尿酸が高い状態のことを指します。血中の尿酸値が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。

 

では、尿酸値が高くなる要因としては何が考えられるでしょうか?
まず、第一の要因としてアルコールの過剰摂取が挙げられます。アルコール自体に尿酸値を高くする働きがあるため、予防のためにもアルコールの過度な摂取は控えましょう。

 

第二の要因として、『プリン体(ビール・鶏卵・魚卵・肉・魚などに多く含まれる)』の過剰摂取が挙げられます。

また、女性ホルモンが尿酸の生成を抑えることがわかっており、痛風発作や高尿酸血症と診断される方の9割は男性が占めています。

プリン体・尿酸とは

プリン体は運動したり臓器を動かすためのエネルギー物質で、常に体内で作られています。

また、人間の細胞には遺伝情報を伝える役割を持つ核酸という物質がありますが、核酸の構成成分もプリン体でできているので、古い細胞を分解するときに代謝の過程でプリン体が出てきます。

プリン体は細胞の中にあるものなので、動物・植物いずれの食品からも体内に入ります。

 

尿酸はプリン体が肝臓で分解された代謝産物になります。一時的に体内に溜め込まれた後、尿や便として排泄されます。

尿酸は1日におよそ700mg産生するとされており、1日で排泄される量は700mg程度なので、正常であれば上手く均衡を保っています。

しかし、プリン体の過剰摂取や排泄不良によって均衡が崩れてしまうことで高尿酸血症となってしまいます。

プリン体から尿酸への代謝経路

上記で述べたとおり、プリン体が代謝されることで尿酸が生成されます。
プリン体は食事からも摂取されますが、遺伝子の元となる核酸(プリン塩基;アデニン、ググアニン)の成分でもあります。

 

プリン体や古くなった核酸は色々な代謝経路を経て、最終的にキサンチンオキシゲナーゼという酵素によってヒポキサンチン→キサンチン→尿酸と代謝されます。

ザイロリック錠(アロプリノール)の作用機序

ザイロリック錠(アロプリノール)は尿酸降下薬に分類され、キサンチンオキシダーゼ阻害薬と呼ばれておりヒポキサンチンやキサンチンとよく似た構造をしています。

 

キサンチンオキシゲナーゼ阻害薬はヒポキサンチンやキサンチンの代わりにキサンチンノキシゲナーゼに取り込まれることで代謝を阻害し、尿酸の生成を抑える作用をもっている医薬品です。

痛風発作の予防や尿酸値の数値を下げる目的で服用されます。

ザイロリック錠(アロプリノール) の用法・用量は?

添付文書上の用法用量は下記の通りとなっています。

“通常、成人は1日量アロプリノールとして200~300mgを2~3回に分けて食後に経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。”

用法用量に関する注意点として、初めて服用する場合は血中尿酸値を測定しながら投与し、治療初期1週間は1日100mg投与が望ましいとされています。

また、食後に服用した方が忍容性(副作用にどれだけ耐えられるかの程度を示したもの)が良好であることがわかっているので、できるだけ食後に服用しましょう。

ザイロリック錠(アロプリノール) の副作用

重大な副作用として、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剝脱性皮膚炎等の重篤な皮膚障害又は過敏性血管炎や薬剤性過敏症症候群、ショック、アナフィラキシー、 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、 劇症肝炎等の重篤な肝機能障害、黄疸、 腎不全、腎不全の増悪、間質性腎炎を含む腎障害、間質性肺炎、横紋筋融解症、無菌性髄膜炎が挙げられます。

 

いずれも頻度不明となっています。また、0.1〜5%の確率で発疹、食欲不振、胃部不快感、軟便、下痢、脱毛が起こることがわかっています。

その他にも頻度は極めて低いですが、貧血などの症状が現れることもあります。
早期対応が求められる症状がほとんどのため、体調が悪くなったら副作用の可能性も考えて早めに医師・薬剤師へ相談することをお勧めします。

ザイロリック錠(アロプリノール) に関する注意点

重要な注意点としては、痛風発作が治ってから服用を開始することです。初めて発作が起きた方の場合は尿酸降下薬使用し尿酸値を急激に変動させてしまうと発作が長引いてしまうことがあるからです。

 

もし、ザイロリック錠(アロプリノール)服用中に痛風発作が起きてしまったら服用はやめずに1日でも早く受診をして、医師の指示を仰いでください。

 

ザイロリック錠(アロプリノール)は腎臓から排泄される医薬品なので、腎機能障害をもっている方の服用は要注意です。過去には腎機能障害患者さんで、排泄が上手くいかずに血中濃度が上がってしまい副作用が出現し死亡してしまったケースもあります。

 

このような事態を防ぐためにも投与量を減らすか、服用間隔を延ばすか考慮が必要になってきます。健康診断などで腎機能が落ちていると言われた方は診察時に医師へきちんと伝えましょう。

 

妊婦・妊娠の可能性のある女性への投与は「有益性投与」といい、治療することで母体への負担が減ると判断された場合にのみ投与されます。
授乳婦への投与も同じく有益性投与となっていますが、ザイロリック(アロプリノール)が母乳中へ移行してしまうことから、投与中の授乳は控えていただくことになります。

 

小児・高齢者への投与は副作用が出現する可能性が高いことから慎重に投与することとなっています。

また、併用注意の医薬品もいくつかあります。

キサンチンオキシダーゼによって代謝される医薬品(メルカプトプリン、アザチオプリン、テオフィリンなどのキサンチン系医薬品、ジダノシン)はザイロリック錠(アロプリノール)との併用により血中濃度が高くなってしまい、副作用の発現率が高くなってしまうため併用注意となっています。

その他にも、ザイロリック錠(アロプリノール)との併用でワルファリンやシクロホスファミドといった肝臓で代謝される医薬品の代謝を阻害することもわかっています。

 

相互作用を未然に防ぐためにも他にも薬を飲んでいる方は、医療機関を受診するとき・薬局に来局される際にはお薬手帳をご持参ください。

ザイロリック錠(アロプリノール) と同じ成分の市販薬はある?

ザイロリック錠(アロプリノール)と同様の成分の市販薬はありません。副作用のリスクが高く医師・薬剤師による投与量の判断が必要とされる医薬品なので市販化されることはないかと思います。

また、尿酸値を下げるような市販薬も現在のところ発売はされていません。
市販薬でのセルフメディケーションが困難なので、健康診断で指摘された方や痛風発作が起きてしまった方は早めに医療機関を受診してください。

最後に

痛風発作・高尿酸血症は遺伝や薬物治療で発症してしまうこともありますが、基本的には生活習慣を改善することで予防できます。過

 

度なアルコール摂取を控えること、プリン体を多く含む食材を避けること、運動をすること、きちんと睡眠を取ることで十分に予防可能な疾患です。

 

すでに尿酸値が高いが治療はしていない方も、まだ高くはない方も、いつ発作が起こるかはわかりません。日々の生活習慣を見直して適正な尿酸値を保っていきましょう。

参考文献
ザイロリック錠50・ザイロリック錠100 添付文書
ザイロリック錠50・100インタビューフォーム
高尿酸血症|e-ヘルスネット(厚生労働省)
「尿酸」ってなんですか?|激痛!痛風を予防する|高尿酸血症・痛風|三和科学研究所
役に立つ薬の情報ー専門薬学ー|ザイロリックの作用機序

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監修薬剤師 伊波 綾乃
総合病院で4年、保険薬局で3年勤務。がん治療期~緩和ケア領域、小児科、耳鼻科、透析、心療内科を経験。現在はフリーランス。 症状に適したお薬選びができるよう、読者の皆様の手助けができればと思います。
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