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鼻水・鼻づまりの症状だけでコロナ(COVID-19)と判断できるか

監修医師 木村眞樹子
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

鼻水・鼻づまりの症状だけでコロナ(COVID-19)と判断できるかのイメージ
例年、秋終いからインフルエンザの流行期です。2020年は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の予防のため、飛沫感染対策や手指の消毒、マスク着用の徹底などが功を奏したと考えられ、例年に比べインフルエンザの患者数は大幅な減少でした。
今回は、COVID-19と他の感染症やアレルギー症状との症状の違いなどを中心に解説します。

鼻水・鼻づまりだけでは判別できない

症状が鼻水・鼻づまりだけの場合、原因疾患がいろいろ考えられます。PCR検査などの検査を受けたいと思っても、検査を受けられるのは診断した医師がCOVID-19の疑いがあると判断した場合のみです。

 

濃厚接触者などの理由がない限り、医療機関での検査は難しいと思うので、どうしても検査したいならば抗原検査キットを薬局で購入するほかないでしょう。

 

抗原検査キットは2021年9月27日に厚生労働省が、特例で薬局での販売を認めたものです。

 

しかし、PCR検査と比べると精度は劣り、感染していても陰性となる「偽陰性」が出やすいデメリットもあります。購入時には薬剤師から使い方を指導の受け、署名が必要になります。

アレルギー性と感染症の鼻水の違い

花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患と風邪やCOVID-19などを代表とするウイルスや細菌による感染症の鼻水の違いを知っていますか?違いは下記のとおりです。

【アレルギー性】

透明でサラッとした鼻水
朝方の強い症状(モーニングアタック)が特徴的

【感染症】


どろっとした黄色い鼻水(疾患によってはサラサラした鼻水の場合もある)

COVID-19・インフルエンザ・風邪の違い

これから流行が予想される感染症3疾患の鼻症状の違いについて解説します。

●COVID-19

鼻水:時にある(あったとしても少量で多くはサラサラしている)
鼻づまり:時にある

●インフルエンザ

鼻水:時々みられる(あったとしても多くはサラサラしている)
鼻づまり:まれ

●風邪

鼻水:よくある(最初は透明でサラサラしているが、時間とともにどろっとした黄色い鼻水に変化することが多い)
鼻づまり:よくある

他の初期症状の有無が重要になる

COVID-19の場合、初期症状が4~5症状ほどがほぼ同時に起こることが多いとされています。そのため、鼻水・鼻づまり以外の症状の有無が重要となるのです。

 

他のCOVID-19の初期症状の具体例

COVID-19の初期症状としては、風邪に似た症状が多いです。

 

WHO(世界保健機関)は、最も多い症状として発熱や空咳(乾いた咳)、倦怠感(だるさ)を挙げ、患者によっては鼻づまりやのどの痛み、下痢などの胃腸症状も起きると発表しています。

 

また、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が2020年4月に発表したCOVID-19の初期症状として
・咳・息苦しさ
の他、次の症状のうち2つ以上の症状があるとCOVID-19の可能性があるとしています。
・発熱
・寒気・悪寒
・筋肉痛
・頭痛
・のどの痛み
・味覚または嗅覚の異常

COVID-19の嗅覚・味覚障害は特異的

日本耳鼻咽喉科学会と金沢医科大学の共同研究グループが、日本でのCOVID-19による嗅覚・味覚障害の発生頻度や特徴、持続期間、その予後を把握することを目的として調査を行い、2021年7月に結果が公表されました。

(対象:20~59歳までの病院やホテルに療養中のCOVID-19患者119人 実施期間:2021年2月~5月)

調査の概要は下記のとおりです。
・57%に嗅覚障害、40%に味覚障害
全体の37%は嗅覚・味覚両方の障害
味覚障害のみは4%と少ない
・味覚障害を訴える患者の多くは、風味障害である可能性が高い
・嗅覚・味覚障害ともに男性よりも女性に頻度が高い
・加齢とともに頻度は減少、嗅覚・味覚障害ともに20代~30代が多い
・鼻水・鼻づまり、くしゃみ、鼻の痛みがある患者に嗅覚・味覚障害が発生(正の相関)

COVID-19疑いの場合の対応

では、COVID-19の疑いが出た場合、どのような対応をしたらいいのでしょうか。

鼻をかんだティッシュも感染性廃棄物扱い

“COVID-19の患者(疑い例を含む)から排出された廃棄物は、感染性廃棄物として排出する。”

厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部.新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き.第5.3版,p.60(4 廃棄物)より抜粋

 

つまり、COVID-19疑いの患者が鼻をかんだティッシュも感染性廃棄物扱いとなり、医療機関などでは「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき処理されます。

自宅療養中は一般廃棄物として処理が可能

しかし、自宅療養中に関しては、患者本人やその家族がティッシュやマスクの廃棄をしなければならないと思うので、注意が必要です。具体的な感染防止策は「ゴミに直接触れないこと」です。

 

・ゴミ袋がいっぱいになる前に、しっかり封をすること
また、ゴミが袋の外側に触れたり、封をする際隙間が開いていたり、袋に穴が開く可能性も考え、
・ゴミ袋を二重にすること
・ゴミを捨てた後は、石鹸を使い、流水でよく手を洗うこと

 

そして、自治体のルールに従って廃棄するのが基本ですが、環境省から新型インフルエンザと同様の処理をすれば廃棄物が原因の新規感染はないとされており、一般廃棄物として処理ができます。

インフルエンザの時期は特に注意

季節性のインフルエンザ感染症は、例年ならば11月~12月から増え、1月~3月がピークを迎えます。冒頭でも触れた通り、昨シーズンは稀に見るインフルエンザ患者の減少があり、今シーズンはその反動で、大流行の予測がされています。

 

また、年末には新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の第6波が来ると多くの学者が予測しており、最悪の場合同時に罹ってしまうことも多分に考えられます。

COVID-19とインフルエンザの違い

鼻水・鼻づまりに関してはあまり大差は見られないCOVID-19とインフルエンザ。では、一体どのような部分がそれぞれ特徴的であり、異なる点なのでしょうか。

●COVID-19

主な症状:上気道症状
潜伏期間:1〜14 日(平均 5.6 日)
無症状感染:数%〜60%。無症状患者でも、ウイルス量は多く、感染力が強い
重症度:重症になりうる
特徴的症状:嗅覚・味覚障害。無症状感染

●インフルエンザ

主な症状:全身症状
潜伏期間:1~2 日
無症状感染:10%。無症状患者では、ウイルス量は少ない
重症度:多くは軽度~中等度
特徴的症状:急激に悪化。関節痛、38~40℃の高熱が出ることもあり。

インフルエンザワクチンの接種を

自治体にもよりますが、基本的に10月1日から季節性インフルエンザワクチン接種は開始しています。
厚生労働省は最大約6300万人分のワクチンを供給予定ですが、より必要とされる人に確実に渡るよう、原則として、下記のスケジュールでの接種をお願いしています。

 

2021年10月1日から接種可能
①予防接種法に基づく定期接種対象者(65 歳以上の方等)でワクチン接種を希望される方
※それ以外は10月26日まで接種を待つこと

2021年10月26日以降
②医療従事者、65 歳未満の基礎疾患を有する方、妊婦、乳幼児(生後6ヶ月以上)~小学校低学年(2年生)で、ワクチン接種を希望される方が接種可能
※10月26日以降については、これら以外の人についても接種は可能
季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い|厚生労働省 参照

 

また、日本感染症学会もCOVID-19とインフルエンザの同時流行を懸念し、インフルエンザワクチン接種を強く推奨しています。

まとめ

医師の判断次第ですが、嗅覚障害がある、濃厚接触者であるなどの理由がない限り、鼻水・鼻づまりの症状だけではPCR検査などの検査を受けられない可能性が高いでしょう。それは鼻水・鼻づまりがCOVID-19の特徴的症状でないためです。

 

しかし、他に明らかな原因がない限り、COVID-19の可能性があると考え、家族や周りの人を守るためにも、自ら他の人との接触を避ける、鼻をかんだティッシュやマスクの廃棄法に注意するなどの生活をすると安心でしょう。

参考資料(すべて参照2021-10-17)
新型コロナウイルス 初期症状 受診の目安 緊急性の高い症状|NHK特設サイト
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/consultation/#mokuji2
新型コロナウイルス感染症による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明に資する研究成果の発表:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
http://www.jibika.or.jp/media/pressrelease/2107_covid-19.html
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第5.3版| p.60|厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部
https://ajhc.or.jp/siryo/20200317-covid19.pdf
廃棄物処理における 新型コロナウイルス感染症 対策に関する Q&A (令和2年5月1日)|Q1-5|環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課・廃棄物規制課
https://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/infection/200501qa.pdf
健康・医療|季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou18/index_00011.html
⼀般社団法⼈⽇本感染症学会提⾔ 今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2012_teigen_influenza_covid19.pdf

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監修医師 木村眞樹子
現役医師、産業医 10年以上大学病院で臨床に従事、産業医として企業の健康経営にも携わる 2019年より医療ライターとしても活動している
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