つらい花粉症に！クラリチンのジェネリック医薬品であるロラタジンの成分や効果を解説。クラリチンとの違いはある？

2020年12月23日

花粉症は花粉に免疫細胞が反応しアレルギー性鼻炎や後鼻漏、くしゃみ、目のかゆみといった症状が現れる疾患です。春や秋に発症することが多く、一年中症状が現れる方もいます。花粉症のつらい症状を抑える抗ヒスタミン薬には様々な種類がありますが多くは副作用として眠気が報告されています。今回は抗ヒスタミン薬の中で眠気の少ない成分であるロラタジンについてその効能効果、服用方法、副作用、注意点といった情報を紹介していきます。

ロラタジンとは

ロラタジンはアレルギーを抑える抗ヒスタミン薬の一つで花粉症や鼻炎、蕁麻疹といったアレルギーの患者さんに処方されることの多い薬剤です。「ロラタジン」という商品名の医薬品は、「クラリチン」という先発医薬品のジェネリック医薬品（後発医薬品）に該当します。医療機関で診察を受けたときにお医者さんから処方される医療用医薬品には「先発医薬品」と「ジェネリック医薬品（後発医薬品）」の2種類があります。先発医薬品とは、新薬として製造された医薬品で、医薬品メーカーによって独占的に製造・販売できる特許期間があります。しかし、その特許期間等が終わると、他の医薬品メーカーでも同じ成分の医薬品を製造・販売することができるようになります。これがジェネリック医薬品（後発医薬品）です。ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ成分で、同じ効果を示しますが、先発医薬品に比べ開発に期間がかからず費用も少なく抑えられるため、薬価も安くなっています。

ロラタジンにはどんな成分が含まれている？

「クラリチン」「ロラタジン」という商品名の医薬品の主成分（一般名）は、後発品と同じ名称であるロラタジンという成分です。ロラタジンはヒスタミンの働きを抑制する抗ヒスタミン薬に該当します。アレルギーの症状は、体内に侵入したアレルゲンに免疫細胞が反応することでヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインなど様々な物質が放出され、これらが体内の臓器を刺激することで生じます。ロラタジンは肥満細胞に作用してヒスタミンやロイコトリエンなどが放出されるのを抑制する作用と、ヒスタミンH1受容体にヒスタミンが結合するのを阻害する作用があり、アレルギー症状を抑えます。

抗ヒスタミン薬には第一世代、第二世代がありロラタジンを含む第二世代の抗ヒスタミン薬は第一世代と比べ眠気や口の渇きが出にくいといった特徴があります。またロラタジンは脳への移行性が少なく集中力の低下が起こりにくい成分です。なお先発品のクラリチンと後発品のロラタジンの主成分、含有量に違いはありません。また市販薬にも同一成分で含有量も同じである「クラリチンEX錠」「クラリチンEX　OD錠」も販売されています。

ロラタジンは花粉症に効果的？ほかにはどんな症状に効果があるの？

効能効果として花粉症を含むアレルギー性鼻炎の他に、蕁麻疹、皮膚疾患（湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症）にともなうかゆみの治療に用いられます。

使い方のポイント

成人：通常、1回1錠（ロラタジンとして10mg）を1日1回食後に服用しますが、治療を受ける疾患や年齢・症状により適宜増減されます。

3歳以上7歳未満の小児：ロラタジンとして1回5mg（ドライシロップとして0.5g）を1日1回食後に服用します。

7歳以上の小児：通常、1回1錠（ロラタジンとして10mg）を1日1回食後に服用します。

いずれも、必ず指示された用法用量を守って服用してください。ロラタジンには錠剤、ドライシロップ、水なしで服用できる製品(クラリチンレディタブ錠、ロラタジンOD錠、ロラタジンODフィルム)があり用途に合わせて選択することができます。花粉症に対して服用する場合、散開始予測時期の症状が出る前や症状が軽い時期に服用を始める方がより効果的です。初期から服用を開始することで、強い症状が生じるのを遅らせるだけでなく、症状の程度を軽くすることが出来ます。服用開始の目安として花粉飛散開始予測時期の少なくとも1週間前に服用開始することが望ましいです。

副作用と注意点

副作用には眠気、倦怠感、腹痛、口渇、吐き気、嘔吐、発疹、便秘などがあります。眠気は抗ヒスタミン薬で生じやすい副作用です。抗ヒスタミン薬が脳内のヒスタミンの作用を阻害し脳の活動が低下することで眠気が生じます。多くの抗ヒスタミン薬の添付文書には自動車運転に対し注意喚起がされていますが、ロラタジンは他の抗ヒスタミン薬と比較し眠気が少なく自動車運転の制限もありません。しかし、副作用の程度は個人差があるため眠気を強く感じる場合は、医師や薬剤師に相談してください。非常にまれですが、下記のような症状は重大な副作用の初期症状の可能性があります。

ショック・アナフィラキシー：皮膚や粘膜（特に唇、手足の爪）が青紫色〜暗紫色になる、息苦しい、立ちくらみ

まぶたや口唇の腫れ、けいれん：筋肉の発作的な収縮肝機能障害

黄疸：倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる

このような症状が現れた場合はすぐに医師の診療を受けてください。その他にも何か気になる症状がある場合は医師や薬剤師に相談してください。

注意点

以前服用した際に過敏症が生じた方は必ず医師、薬剤師に相談してください。

てんかんの既往がある患者さんは、服用によりけいれん発作が生じることがあり注意が必要です。事前に既往歴について医師薬剤師に伝えてください。

クラリチンレディタブは吸湿性があるため使用直前に開封してください。

ロラタジンOD錠、ODフィルム、クラリチンレディタブはすぐに口の中で崩壊するため水なしで服用することができますが、粘膜から吸収されないため必ず唾液を飲み込んでください。

症状によっては、効果が出るまでに時間がかかる可能性があります。自己判断で中断せず医師の指示通りに継続して使用してください。

他に薬や健康食品などを使っている場合、お互いに作用を強めたり弱めたりする可能性もあり注意が必要です。使用中の薬などについて薬剤師にお伝えください。

妊娠している方、授乳婦の方は薬剤師にご相談ください。

どうすれば購入できる？

ロラタジンは市販薬で同一成分の「クラリチンEX」という商品が販売されており、ドラッグストアや薬局で薬を購入することが可能です。ただし市販薬の場合15歳未満の小児患者は適応がなく使用できません。また第一類医薬品に該当するため薬剤師から書面を用いて説明を受けることが義務付けられており、注意する点として、薬剤師がいない場合は購入ができません。医療用医薬品の「クラリチン」「ロラタジン」は市販では販売されておらず、原則、病院で医師の診療を受け処方箋を出してもらう必要があります。

しかし忙しくてなかなか受診できないという方は「零売」という方法で薬を購入することができます。零売はもともと小売りや分割販売という意味があり、一部の医療用医薬品を処方箋なしで購入することができます。零売は薬剤師によるカウンセリングが必要であり、基本的に自分の症状を把握している場合に必要最低限の量の医薬品を購入することが可能になります。ただし、医療医薬品は医師の処方箋に基づく薬剤の交付を原則が原則であるため、健康日本堂調剤薬局赤坂店では、購入者に「零売を正しく認識していただく」、「薬を安心して服用していただく」ために、次のことを実践しています。

医療機関への受診を推奨している

使用は本人のみとしている

お薬によってご購入できる量を制限させていただくことがある

ほかに飲んでいるお薬があるかなどカウンセリングを行っている

定められた用法用量を守っていただくようお薬の説明を行っている

なお、薬剤師によるカウンセリングを受ける際には、お薬手帳や処方されている医薬品の説明書を持参するとスムーズです。そうすることで、使用中の医薬品情報を明確に示せるほか、自分の体調やお薬に関する相談がしやすくなります。なお、ロラタジン製剤には先発医薬品とジェネリック医薬品があるためどちらを希望するかお伝えください。安く購入したい方は薬価の低いロラタジンを選択すると良いでしょう。また普通錠、OD錠など複数の剤形があるため、どのような製品を希望するかも薬剤師にお伝えください。