ディオバン錠(バルサルタン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月19日
ディオバン錠のことを理解することで利用する人が増えると考えられる降圧剤のAT1受容体拮抗薬を知ることができます。
今回は、ディオバン錠(バルサルタン)の成分や効果、副作用などについて解説していきます。
ディオバン錠(バルサルタン)とは
ディオバン錠は、2000年にノバルティスファーマ株式会社から販売されている降圧剤です。最初は20mg、40mg、80mgが販売されていましたが、服薬時の負担軽減を目的として2004年には160mgが販売され、服薬コンプライアンス向上のために水なしで服用ができるOD錠も2013年にも販売開始されました。
海外では、小児高血圧症の適応について2007年にアメリカで最初の承認を得てから英国、フランス。ドイツなどからも承認され、日本でも2012年8月に小児に対しても適応を得ています。
ジェネリック医薬品が存在する
ディオバン錠(バルサルタン)には、ジェネリック医薬品が存在します。ジェネリック医薬品には新薬とは異なるメリットがあります。新薬は、数百億円の開発費と10数年の年月をかけて開発されています。
莫大なコストをかけているため新薬は高い薬剤費が設定されています。しかし、新薬は特許期間が過ぎると他の製薬会社がジェネリック医薬品を製造、販売が可能になります。
ジェネリック医薬品は開発費などのコストを削減できるためお薬代を安くできます。ジェネリック医薬品に変更しようと考えた場合には医師や薬剤師に相談してみてください。
ディオバン錠(バルサルタン)の成分について
ディオバン錠(バルサルタン)は、AT1受容体拮抗薬に分類されている降圧剤です。2〜4週間の投与で降圧効果があらわれ、24時間安定舌血圧コントロールができます。
ディオバン錠は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系に作用することで降圧作用を発揮します。
アンジオテンシンとは?
血圧を上昇させる仕組みとして、体内にはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系というものがあります。血圧が低下すると腎臓の輸入細動脈に存在する傍糸球体細胞からレニンが分泌されます。
レニンが分泌され、血液中に存在するアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンⅠという物質が作られます。
アンジオテンシンⅠからアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンⅡに変換されます。アンジオテンシンⅡは全身の血管を収縮させ、副腎皮質からアルドステロンというホルモンを分泌させます。
アンジオテンシンⅡ単体でも血圧を上昇させますが、アルドステロンはNaを体内に留めて、循環血液量を増加させる効果があります。
アンジオテンシンⅡ受容体に作用する
ディオバン錠(バルサルタン)は、アンジオテンシンⅡ受容体の中でもアンジオテンシンⅡタイプ1受容体(AT1受容体)を阻害して、アンジオテンシンⅡによる血管収縮作用を阻害して降圧作用をあらわします。
アンジオテンシンⅡには心肥大や腎臓繊維化の原因になることもあるのでAT1受容体拮抗薬は、心臓や腎臓の保護作用なども期待できるとされています。
ディオバン錠(バルサルタン)はどんな症状に効果がある?
通常の成人の高血圧症にも使用できますが、小児高血圧症にも適応があるのがディオバンの特徴だといえます。
ディオバン錠(バルサルタン)の用法・用量は?
通常の成人の高血圧症には40〜80mgを1日1回経口投与します。年齢や症状によって適宜増減が可能で、 1日160mgまで増量できます。
6歳以上の小児には、体重が35kg未満の場合には20mg、体重35kg以上の場合には40mgを1日1回経口投与します。年齢や体重、症状によって適宜増減できますが、 体重35kg未満の場合にでは 1日40mgが最高用量です。
ディオバン錠(バルサルタン)の副作用
ディオバン錠の重大な副作用として頻度は稀ですが、血管浮腫、肝炎、腎不全、高カリウム血症、ショック、失神、意識消失、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、間質性肺炎、低血糖、横紋筋融解症、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多彩紅斑、天疱瘡、類天疱瘡が報告されています。
ディオバン錠を服用してから体調に変化が起きたら服用を中止して医師に相談したほうがいいでしょう。
ディオバン錠(バルサルタン)に関する注意点
ディオバン錠を服用する際には注意することがいくつかあります。注意点について理解して安全にディオバン錠を服用しましょう。
アリスキレンと併用できない
アリスキレンは、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の起点であるレニンを直接阻害することで降圧作用をあらわします。
ディオバン錠の仕組みもレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系のアンジオテンシンの働きを抑えるため急激に血圧を下げる可能性があります。
また、糖尿病患者において脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスクが増加することが報告されています。
そのため、アリスキレンを服用している糖尿病患者にはディオバン錠は使用できません。
肝機能には注意が必要
AT1受容体拮抗薬の中には、肝炎などの重篤な肝障害があらわれたと報告されているのでディオバン錠を服用する場合には定期的に肝機能検査を実施したほうがいいでしょう。
手術する際は医師に相談を
手術時の失血をしたり、麻酔薬などの影響によって血圧が低下する傾向があります。ディオバン錠を服用中、手術前24時間は血圧が維持できない可能性もあります。
ふらつきには注意
ディオバン錠を含めて血圧を下げる効果がある降圧剤を服用していると血圧が急に下がることがあります。血圧が低下することでめまいやふらつきがあらわれることがあるので自動車の運転や危険な作業をする場合には注意が必要です。
妊婦・授乳婦への投与
妊娠中期〜末期に投与された患者さんの中には胎児・新生児が死亡したり、低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全が起きたりしました。
羊水過少症による発育不全なども報告されているため妊婦や妊娠している可能性のある女性にはディオバン錠を服用はできません。
高齢者への投与
高齢者では腎臓や肝臓などの代謝や排泄に関わる機能が低下しているため若い人に比べると副作用があらわれるリスクが高いです。そのため、少量から投与を開始していくといいでしょう。
ディオバン錠(バルサルタン)と同じ成分の市販薬はある?
ディオバン錠は医療用医薬品に分類されています。医療用医薬品は、医師の診察を受けてから処方してもらわなければ入手できません。病院やクリニックや調剤薬局の待ち時間を考えると市販薬も忙しい人にはメリットがあります。
ディオバン錠と同じ成分の市販薬は存在しない
お客さんの判断で購入できる市販薬であれば入手もしやすいのですが、残念ながらディオバン錠と同じ有効成分の市販薬は存在しません。血圧を直接下げる市販薬は存在しないですが、高血圧に伴う頭痛やのぼせなどを和らげる漢方薬はあります。
釣藤散
ストレスなどによって血圧が上がるのは、東洋医学における概念の一つである「気」が頭のほうに上昇している状態だとされています。釣藤散には「気」の上昇を抑え、高血圧に伴う頭痛、肩こり、めまいを改善します。
漢方薬は作用が緩やかなイメージがありますが、医薬品であることには変わりありません。漢方薬を使用する場合には医師や薬剤師に相談してください。
高血圧改善には生活習慣を見直そう
血圧が高い状態がつづている場合には薬物治療も行いますが、基本的には生活習慣のほうが重要度が高いです。血圧が高くなる原因はさまざまありますが、適度な運動習慣や栄養バランスの取れた食事や減塩など生活習慣の改善をすることで血圧が改善するとされています。
ストレスや喫煙、飲酒も血圧を上げる要因なので禁煙や飲酒量の調節、ストレス対策も合わせて行ったほうがいいでしょう。
気になることがあれば医療機関へ
生活習慣の改善を行なった上で血圧がなかなか下がらない場合には薬物療法に頼るのもいいでしょう。
血圧が高い状態が続くと血管にダメージが蓄積され、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めてしまうので早期に治療を開始することが重要です。
高血圧は自覚症状がないことが多いので健康診断などで測ってもらうのがいいでしょう。気になることがあれば病院やクリニックに受診してみてください。
参考文献
ディオバン医薬品インタビューフォーム
選択的AT1受容体ブロッカー 日本薬局方 バルサルタン錠
ARBの解説|日経メディカル処方薬事典
アダラート – 7. 血圧上昇のメカニズム(レニン-アンジオテンシン・アルドステロン系)
高血圧の随伴症状|症状・悩みから選ぶ|漢方薬を選ぶ|漢方セラピー|クラシエ
ラジレス添付文書
高血圧を予防・改善したい方へ!生活習慣(食事・運動)で気をつけるべきポイント | 気になることをやさしく解説「生活習慣ケアコラム」
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