閃輝暗点(前兆)がある頭痛がある人はピルを服用しない方がいいの?理由やリスクについて解説
更新日:2024年05月23日
この記事では、ピルの服用がなぜ閃輝暗点を持つ頭痛患者にとってリスクとなるのか、その理由とリスクについて説明します。ピルを内服するか悩んでいる方、現在ピル内服中で片頭痛に悩んでいる方は参考にしてください。
ピルの服用ができない場合の片頭痛とは?
頭痛がある方がピルを服用する際には、いくつかの注意点があります。特に、片頭痛を持つ方は、注意しないといけません。片頭痛があるだけで女性の虚血性心疾患や虚血性脳卒中(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクが上昇します。そのような方に血栓症のリスクがある低用量ピルを使用することによってさらに脳卒中のリスクが高まる可能性があります。
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、以下のような基準に基づいて、ピルの処方が可能かどうかを判断しています。
慎重投与が必要な場合
・片頭痛以外の頭痛がある
・前兆のない片頭痛を持つ
※ここでいう前兆とは、視覚的な前兆のことです。たとえばキラキラした光、ギザギザした光が見えるなどの症状を意味します。
ピルを処方できない場合(禁忌)
・前兆を伴う片頭痛がある
この基準は、ピルの服用が安全かどうかを判断するためのものです。片頭痛がある場合は、医師に相談しましょう。
ピルの服用により頭痛が起こる原因
ピルの副作用のひとつに、頭痛があります。そのため、ピルの服用を開始すると、人によっては頭痛が起こるかもしれません。ピルの服用で、頭痛が起こる理由を説明します。
ピルの服用によるホルモンバランスの変化
ピルにはエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが含まれています。ピルを内服することで、身体の中で女性ホルモンのバランスが変わります。その結果、頭痛やむくみ、眠気、吐き気などの症状が起こるかもしれません。
ピルを初めて飲む場合には、副作用が起こりやすいため始めは頭痛などが気になります。症状が強くなければ、そのまま内服を続けてください。2~3ヶ月ほどすると、身体が慣れてきて症状が落ち着くことが一般的です。
生理や排卵によりエストロゲンが減少するため
片頭痛は、頭の片側だけが痛むことが特徴です。この痛みは体の中のエストロゲンという女性ホルモンが関係しています。このホルモンは生理周期によって、量が変わることが特徴です。
排卵後~生理が始まる前の時期に、エストロゲンの量が急に減ることがあります。その結果、神経の炎症が起こったり、脳の血管が拡張することで頭痛が起こりやすくなります。
そのため、ピルを飲むと頭痛が楽になるかもしれません。ただし、人によっては逆に頭痛が起こることもあります。これは、薬に含まれる成分がホルモンのバランスを変えることが理由です。
血栓症の疑い
薬には効果がある一方で、副作用の可能性もあります。たとえば、ピルを飲むと血栓症のリスクが高まります。血栓症とは、血管内に血の塊ができて、血管が詰まってしまう状態のことです。この塊ができる場所によって動脈や静脈の血栓症に分けられます。
血栓症のリスクが高くなる理由は、ピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが原因です。このホルモンは、血液を固まりやすくする作用を持っているため、血栓ができやすくなります。
もともと血栓症になりやすい要素である35歳以上でタバコを吸う方、40歳以上の方、血栓症の既往歴がある方は、ピルによる血栓症のリスクがさらに高まるため、内服する場合には注意しないといけません。
血栓症のリスクを減らすためには、健康的な体重を保つことが大切です。また、水分は身体の中で血液をサラサラに保つ役割があるため、日頃からこまめに水を飲むようにしてください。高血圧や糖尿病がある場合は、病気が血栓を作りやすくするため、医師の指導のもとでしっかりと治療を受けることが重要です。
ピルの服用中に頭痛が続く場合の対処法
ピルを内服した後、頭痛が治まらない場合の対処法について紹介します。
医師に相談のうえ頭痛薬を服用する
頭痛が強い時には、頭痛薬や鎮痛剤に頼りたくなりますが、注意してください。市販されている頭痛薬の多くは、痛みを軽減するために効果的です。ただし、ピルを服用している場合、痛み止めの種類によってはピルの効果に影響を与えてしまいます。
たとえば「アセトアミノフェン」という成分が含まれている薬は、ピルの効果が強くなってしまったり、頭痛を和らげる効果を弱くしたりするかもしれません。
痛み止めを使用する際は、自己判断ではなく事前に医師に相談しておきましょう。適切な痛み止めを処方してもらえます。もし市販の頭痛薬を購入する場合には、店舗の薬剤師に相談することが大切です。
2~3か月頭痛が改善されない場合は医師に相談を
ピルを飲むと身体のホルモンバランスが変わるため、初めの数ヶ月は頭痛などの副作用が現れやすいことは避けられません。副作用は、あくまで身体が慣れるまでの一時的なものです。ただし、2~3ヶ月が経過しても頭痛が改善しない場合は医師に相談しましょう。
また非常に強い頭痛に悩まされている場合は、2~3ヶ月経ってなくても我慢せず伝えてください。医師は、副作用を和らげるための薬を処方したり、ピルの種類を変更したりなどの対策をしてくれます。自分の身体と相談しながら、最適な対応を見つけることが大切です。
セルフケアで対処する
頭痛は一般的にも起こる症状で、原因はいろいろ考えられます。風邪やインフルエンザのような感染症、長時間のデスクワークによる疲労、ストレス、睡眠不足、目の疲れ、さらには肩こりや首の痛みなど、日常生活の中で様々なことが要因です。
ピルを服用しているときに頭痛が起こる場合、それがピルの直接的な副作用の可能性もありますが、他の要因によるものかもしれません。たとえば、ストレスが多い時期や、不規則な生活を送っているときなど、ピルとは関係なく頭痛が起こることがあります。
頭痛が出るタイミングをチェックしておき、軽い頭痛の場合は、まずは自分でできる対処法を試してみましょう。
・リラックスして休息を取る
・十分な睡眠を確保する
・適度な運動を行う
・バランスの良い食事を心がける
・目を酷使しない
・ストレッチやマッサージで肩こりを解消する
ただし、頭痛が続く場合や、特に強い頭痛がある場合は医師の診察を受けることが重要です。
ピルの服用中の頭痛が辛い場合は医師に相談を
頭痛が続く場合や、特に強い頭痛がある場合は、我慢する必要はありません。医師の診察を受けることが重要です。この時に、頭痛が出る時の状況などが分かると、医師は参考になります。
ピルの種類を変えたり、適切な痛み止めの処方を受けたりすることで、頭痛が治まる可能性があります。遠慮して自己判断で対処するよりも、専門家の意見を求めることが安全です。
まとめ
閃輝暗点を伴う頭痛のある方がピルを服用すると、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高まります。これは、ピルに含まれるエストロゲンが血液を固まりやすくする作用を持っているため、血栓ができやすくなるからです。そのため、ピルの処方はできません。閃輝暗点を伴わない片頭痛や頭痛を持っている方に対しては、血栓症に注意しながら内服はできます。自分は内服しても大丈夫なのか迷う場合は産婦人科で相談するようにしましょう。
ピルを服用する際、初期にはホルモンの変動によって頭痛や吐き気といった副作用が現れるかもしれません。これは身体が新しいホルモンバランスに慣れる過程で起こり得る、自然な反応です。多くの場合、時間とともに身体が慣れて副作用は徐々に軽減します。
ただし、頭痛が軽度であっても、不安や心配がある場合は医師に相談してください。
SOKUYAKUオンラインクリニックは、ピルに関する診療にも対応しているクリニックです。オンラインのため、待ち時間や移動の煩わしさもありません。
受付時間:平日10:00~19:00
医師
馬場 敦志
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
当コラムの掲載記事に関するご注意点
- 当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
- 当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
- 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
- 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
いいねしよう!
SOKUYAKUの使い方
-
STEP1
診療予約
-
STEP2
オンライン問診
-
STEP3
オンライン診療
-
STEP4
オンライン服薬指導
-
STEP5
おくすり配達
※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。
ガイドラインでも禁忌の扱いとなっておりますので御留意ください。
ちなみに、片頭痛だとご自身でおもっていても、実は片頭痛ではない場合は結構多くあります。
とくに、天気が悪い日など気圧が低いときに頭痛が起こる気圧変動性の頭痛であれば、ピルは問題なく使用できます。
また、前兆のない片頭痛の場合であれば、ピルを使える場合もあります。
避妊を希望される場合や月経症状を改善するのにピルは良い薬です。
片頭痛持ちで、ピルを安全に使えるか気になる方は、受診して医師と相談するようにしましょう。
なお、ピルが使えない場合にも、ほかの薬が最適な場合もありますので、受診することをオススメします。